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{"novel_id": "n0001ho", "chapter": 1, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0001ho/1/", "title": "明るくて美人で巨乳のクラスメイト", "content": " 高校二年生になる葛木怜也には少し厄介なクラスメイトがいた。名を海乃美依と言う。\n 捻くれ者で根暗な怜也と違って海乃は誰にでも優しくて友達も多く、いつもニコニコと笑っている女子だ。染めたての明るい茶髪を華奢な肩にサラリと垂らし、スタイルはモデル並に抜群。何なら胸も大きい。\n\n「くーずきくんっ。なにしてるのー?」\n\n 葛木に話しかける海乃。\n 何故か葛木はクラスのカースト上位であるキラキラ女子の海乃に好かれている。\n\n「……」\n「おーい、くずきくーん」\n\n 机に突っ伏し寝たフリをする葛木。\n まるでこの空間に自分はいませんよーとでも言うように。実際クラスの人気者である海乃が彼に話しかけなければ誰も存在に注目することはないだろう。\n\n「くずきクン、寝てるの?」\n「……」\n\n 海乃は葛木にそう言って首を傾げる。\n よぉし、やっと諦めたか。そう思う怜也。\n ──次の瞬間、教室中がザワつく発言をする美依だ。\n\n「それにしても熱いなー。上着脱ごっと。やだ、ブラまで一緒に脱げちゃった……♡」\n「っ!」\n\n 思わずガバッと起き上がる葛木。\n その視線の先にいたのはイタズラそうな笑みを浮かべる巨乳小悪魔だった。\n\n「おはよ。葛木クン」\n「……俺を騙したのか」\n「うん。でも葛木クンがえっちなのが悪い」\n「俺はえっちじゃない」\n「えー? でも今私の裸想像したでしょ」\n「してない」\n「嘘つく必要ないよ。全部分かってるから。葛木クンは私の肌が見たくて見たくて堪らないんだよね。うんうん、私って罪な女だなぁ」\n「何がうんうんだよ……海乃」\n\n 思わずため息がこぼれる葛木だ。\n 顔が赤くなる。心臓の鼓動も早くなる。\n 海乃に恋していることがバレてしまう。\n 海乃は自分のことををからかって楽しんでいるだけだろうと葛木は思っていた。だって海乃は滅茶苦茶美人だし、スタイルはモデル並みだし、いつも明るくて元気だ。こんな根暗な陰キャの葛木に惚れるわけがない。\n\n そんなこんなしていると。\n 次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。\n\n「あ、もう次の授業だね。じゃあまたね、葛木クン」\n「ん」\n「もぉ、カッコつけちゃって。私と離れるのがそんなに嫌?」\n「別に」\n「素直になりなよこのこの〜」\n\n 葛木の腕をつんつんとつついてくる海乃。\n こそばゆい感覚が妙に心地いいと感じたのは胸の内に秘めておく葛木だ。\n\n※※※\n\n「海乃〜。テストの点数どうだった?」\n\n 休み時間。\n 海乃の周りには多くの人でごった返していた。\n 海乃は容姿だけではなく、成績も抜群に良かった。周りの生徒や教師の全員が海乃は有名大学に進学するのだろうと思っていた。\n\n「うわ、数学100点じゃん。やっば」\n「まあね。私にかかればこんなもんよ」\n\n 海乃が明るい口調でそう言うと。\n 友人のひとりが諦めたように。\n\n「いいよねー海乃は。ちょっと勉強しただけですぐ満点だもん。才能の違いってやつ?」\n「わかるー。美依ちゃんホント天才すぎ。勝てないよー」\n「……あはは、ありがとう」\n\n 海乃の表情が一瞬曇る。\n 横目で見ていた葛木はその瞬間を見逃さなかった。葛木は知っている。この女が才能だけで楽に生きているわけではないということを。\n\n 皆の中心であり続ける為にオシャレやメイクには人一倍時間をかけ、最新のトレンドは聞き逃さず。勉強だって周りには全然やっていない風を装っているが、寝る間も惜しんで一生懸命やっているのだ。葛木は全部知っていた。\n\n「……葛木クン。おーっす」\n「皆と話さなくていいのか」\n「みんな私の答案用紙に夢中みたい。だからさ、お話しようよ」\n「好きにしろ」\n\n 海乃は葛木の机に腰を下ろす。\n スカート越しにチラリと見えるムチッとした尻肉が机に押し付けられる。思わず視線をそこに向けてしまいたくなる葛木だが、プライドが邪魔して上手く見れない。\n\n「……えっち」\n「見てないって」\n「嘘。見てたよ。葛木クンのことは全部分かるから」\n「俺はお前のことなんも分からないよ」\n「ふーん。そっか」\n\n しばらく沈黙が続き。\n 次に口を開いたのは葛木だった。\n\n「数学のテスト、100点だったんだ」\n「うん。よゆーだった」\n「嘘つけ。目の下にクマできてんぞ」\n「え、嘘。やだ恥ずかし……」\n「冗談だよ。いつもと変わらん」\n「いつもと変わらず可愛い?」\n「いつもと変わらずウザイ」\n「もぉ、葛木クンのバカ」\n\n 軽口を叩き合う二人。\n ふと、葛木がこう言う。\n\n「無理してないよな」\n「……してないよ。無理なんて」\n「そうかよ。ならいいけど」\n「優しいんだね。葛木クン」\n「優しくないよ」\n「優しいよ。ほんと」\n\n 海乃の表情は少し和らいでいた。\n 表向きの取り繕った笑顔でなく、心の底から楽しそうな笑顔。海乃は葛木のいるところが心地良いのだ。\n\n「葛木クンは変にお世辞言わないから好き」\n「どうせ俺は社会不適合者ですよ」\n「そんなこと言ってないじゃん。そう聞こえた?」\n「いや、そういうわけじゃないけど」\n「そっか。なら、いいけど……」\n\n ほぉ……と安堵したように胸を撫で下ろす海乃。\n 胸部のたわわなラインをなぞるように。\n 跳ねる乳肉。思わず視線を逸らす葛木。\n すると海乃はニヤッとイタズラに笑い。\n\n「今おっぱい見たでしょ」\n「見てない」\n「隠さなくていいよ。葛木クンのことは何でも分かるんだ」\n「俺の何が分かるんだよ」\n「分かるよー? 例えば、私の身体に夢中なこととか」\n\n むふふんと自慢げな表情の海乃。\n 己の整った身体付きを見せつけてくる。\n そんなことされたらますます視線を逸らしたくなる葛木だ。海乃はそんな彼の耳元に顔を近付け。\n\n「ね、葛木クン。えっちしよっか……」\n「しねぇよ……」\n「あ、今顔赤くなった。目も逸らしてるし」\n「はぁっ? 何言ってんの」\n「葛木クン可愛いなぁ。やっぱり好き」\n「もう席戻れよっ。皆呼んでるぞ」\n「はーい。じゃ、またねー。旦那さん」\n「誰が旦那だっ」\n「くすす……じゃね、葛木クン」\n「……うん」\n\n\n 海乃は今日も葛木をからかって遊ぶのだった。\n\n※※※\n\n 放課後の教室にて。\n 葛木はクラスの男女に囲まれている海乃を見た。いつも彼女の周りには人集りができている。ボッチで根暗な葛木とは違う。\n\n 海乃は明るい表情で周りの生徒と談笑していた。\n 葛木は机に突っ伏しながらその様子を見ていた。\n\n「海乃さんってほんと完璧だよね」\n「そんなことないよー」\n「いやいや何言ってんのさ。成績は学年一位、スタイルはモデル顔負け、運動神経も抜群。あーあ、私もこんな完璧な人間の人生が良かったわー」\n「わかるわかる。まじで人生ヌルゲーって感じ。ちょっと私に変わってよー」\n「……あはは」\n\n クラスメイトのの何気ない一言に再び顔色が曇る。\n 海乃の人知れない努力も知らずに軽い口調でケラケラと発言する周りの連中に少々の怒りを覚える葛木だ。\n\n(下らね。図書館でも行くか)\n\n 葛木はふぁぁとあくびをしたのちに。\n よろりと席を立ち教室を出る。\n 海乃は葛木のその様子を見て。\n\n「ごめん、私バイトあるからさ。また明日ね」\n「んー? 今日もバイトなん? 海乃さんも大変ね」\n「働くの好きなんだー私。じゃね、みんな」\n「また明日ねー」\n「ばいばーい」\n\n 海乃も図書館に向かうのだった。\n\n※※※\n\n「おーっす。葛木クン」\n\n 図書館にて。\n 海乃は椅子に座って本を読んでいる葛木のもとを尋ねた。\n\n「バイトじゃなかったのか」\n「まだ1時間あるから。だからお話しよーよ」\n「好きにしろ」\n「うん。じゃあ好きにするね」\n\n 葛木の隣に腰掛ける海乃。\n 本を読む葛木に距離を詰め、海乃はこう言う。\n\n「ね、こういうのってさ。図書館デートって言うんだよね」\n「そんなデートはない」\n「あるよー? 葛木クン知らないの?」\n「恋人作るような浮ついた連中は図書館なんて来ないだろ」\n「偏差値高い高校のカップルはするんじゃない?」\n「ウチの高校の偏差値は60を超えているが、そんな奴ら見たことないぞ」\n「それは葛木クンの視野が狭いだけだよ。注意深くカップルを観察してる?」\n「カップルを観察する趣味はないので」\n「もぉ。まーたそうやってカッコつけてさ」\n\n ぷくっと頬を膨らませる海乃。\n だがその口調はどこか楽しそうだった。\n 海乃は葛木のことが好きだった。\n 普通クラスのカースト上位の自分を見たら怯えるか、何とか気に入られようと擦り寄ってくる。実際そういう人達を海乃は嫌というほど見てきた。その度に人間が嫌いになっていくほどには。\n\n ……だけど葛木はそのどれでもなかった。\n 怯えるでも、お世辞を言うでもない。\n  何も取り繕うことのない本音を言ってくれるのだ。海乃はそれが新鮮だった。だから次第に惹かれていって、今では恋をしている。\n\n「……私の人生ってさ」\n「どうした」\n「いや、さっきさ、クラスの子に私の人生ヌルゲーって言われちゃった」\n「聞いてたよ」\n「聞いてたんだ。そっか」\n\n 海乃は少し黙ったあと。\n 葛木にポツリとこう訊く。\n\n「私の人生ってさ、ヌルゲーなのかな」\n「お前はどう思うんだ」\n「私は、か。……そうだな」\n\n 海乃は少し考え。\n\n「葛木クンはどう思う?」\n「なんで俺の意見が必要なんだよ」\n「葛木クンに聞きたいんだよ」\n「……小悪魔め」\n「小悪魔だもん。だから。お願い」\n\n 海乃が真剣な顔をしていることは見なくても分かった。葛木はヤレヤレと思い、海乃のほうに身体を向けて。こう言ってあげた。\n\n「海乃は……まあ、頑張ってるよ」\n「えへへ」\n「笑うなよ。恥ずくなる」\n「だって、葛木クンすっごい顔赤いんだもん」\n「赤くない」\n「赤いよ。トマトみたい」\n「そこまでか?」\n「ふふ、どうだろうね」\n\n クスクスと笑う海乃。\n 葛木はヤレヤレと溜め息をついたあと。\n\n「お前がただの天才じゃないのは知ってるから」\n「努力の天才だもんね」\n「そうとも言うかもな」\n「ふふん、もっと褒めてくれてもいいよ」\n「今日はもう褒めない」\n「えー? ケチんぼ」\n「ケチでもいいよ」\n\n 軽口を言い合う海乃と葛木。\n まるで恋人同士のようだ。\n 実際海乃は葛木と付き合っていると思っていた。葛木のほうは海乃が自分にそんな気持ちになっていることなど知らないのだが。\n\n「ねぇ、葛木クン」\n「ん?」\n「チンチン舐めたい」\n「はぁっ?」\n「ダメ、かな」\n\n 海乃のトンデモない提案に。\n 思わず驚いてしまう葛木。\n\n「ダメに決まってるだろ」\n「なんで?」\n「なんでって……普通におかしいだろ」\n「おかしいの?」\n「おかしいよっ。なんでいきなり……フェ……」\n「フェラチオ?」\n「ちょっ、声が大きいってっ」\n\n 周りに聞かれていないか辺りを見渡す葛木。\n だが生徒達は勉強や読書に夢中で聞いていないようだ。ひとまず安堵する葛木である。\n\n「海乃っ、お前なぁ……女の子が軽々しくそういうこと言うなって」\n「ごめん。でも、葛木クンのチンチン舐めたら嬉しいかなって」\n「俺はそんなことされても嬉しくも何ともないよ」\n「男の子はみんな嬉しいのかと思ってた」\n「……あのさぁ」\n\n コホンを咳をして。\n 葛木は海乃に言う。\n\n「別に……そーゆー行為を無理にしなくたって、お前のこと嫌いになったりしないから」\n「離れたりしない?」\n「別に、離れる理由もない」\n「ごめん、私重い子だよね……ほんと、ごめん」\n「謝る必要なんてない」\n\n 唯一本音を話せる葛木を失いたくない。\n そんな想いから来る海乃の発言だった。\n 実際海乃はクラスの男子が話しているのを聞いたことがある。ヤってみたいだとか、舐められたいだとか、揉んでみたいだとか。最初に耳に入った時は不快感を覚えた海乃だが、葛木がそれで喜んでくれるなら望んでしてもいいと思っていた。\n\n「……もうバイトの時間だろ。早く行きなよ」\n「うん。そうだね」\n「どうかしたか?」\n「んー? ……えっと。あはは」\n\n 出た。海乃の取り繕ったような笑顔。\n ほとんどの生徒はこの太陽のように明るい笑顔に騙されるが、葛木には酷く不格好に見えるのだ。心の底に秘めたほの暗い何かを必死で隠しているようで、見るに堪えないのだ。\n\n だから葛木は海乃にこう言った。\n\n「言ってよ。悩んでるんでしょ」\n「……大したことじゃないよ。ただ、家に帰りたくないなって」\n「親と喧嘩でもしたのか?」\n「ううん。でも、なんかね……居づらいの」\n「……そっか」\n\n 葛木はそれから何も言わなかった。\n 海乃が再び口を開くのを待ったのだ。\n やがて彼女は話し始める。\n\n「私さ、バイトしてるじゃん。あれね、家にお金入れる為なんだ」\n「そういやお前の家って」\n「うん、片親。だからね、今はお母さんと二人で頑張ってるんだー」\n\n 「でも」と言葉を続ける海乃。\n\n「いつまで頑張っても、お母さんは笑ってくれないんだ。お父さんのこと、まだ忘れられないみたい」\n「そうか」\n「うん。だからね、少し家にいるのが……辛いかな。ダメだね、私」\n「……海乃」\n\n 葛木はこんな時なんと返していいか分からなかった。自分から悩みを吐かせたのに。\n すると海乃は立ち上がり。\n\n「変な話しちゃったね。ごめんねー。じゃ、私もう行くからっ」\n「あ、海乃っ」\n\n 気まずさに耐えきれなくなったのか。\n 海乃は葛木のもとを去っていった。\n 葛木はさっきまで海乃が座っていた席を見つめ。自分に対して湧き上がる怒りを混ぜながら。\n\n「クソ……俺ってやつは……」\n\n そう呟くのだった。\n 今は自分の不甲斐なさに押し潰されそうだ。\n\n※※※\n\n その夜。\n 葛木は自分の部屋で自主勉をしていた。\n 次のテストでは海乃に勝ちたい葛木だ。\n 海乃が葛木と離れたくない一方で、葛木もまた海乃と離れたくなかった。せめて成績ぐらいは張り合う相手にならないと愛想を尽かされてしまうのではという焦りがあったのだ。\n\n\n ブーーーッ♪♪ ブーーーッ♪♪\n\n\n 葛木のスマホが鳴った。\n 電話だ。相手は……なんと海乃だった。\n 時刻は深夜12時すぎ。一体なんの用事なのか。\n\n「もしもし……?」\n『…………おーっす。葛木クン』\n「なんの用事だよ」\n『……ごめんね』\n「海乃?」\n\n 海乃の様子は明らかにおかしかった。\n いつもなら「用事がなくなって別にいいじゃん葛木クンのイジワル〜」くらい軽い口調で言いそうなものだが、電話越しの海乃は明らかに元気がなかった。\n\n「今どこだよ」\n『……外』\n「家に帰ってないのか?」\n『まーね。えへへ……』\n「えへへじゃねぇよ」\n『家行ってもいい?』\n「はぁっ? 何言ってんだよ」\n『今日くらいいいじゃん……入れてくれるなら何でもするからさ』\n「……お前今どこ」\n『バイト先近くの公園。ブランコ漕いでる』\n「そこ離れんなよっ」\n『迎えに来てくれるの? やたー』\n\n 迎えに行く? 確かに葛木は海乃のもとに行こうとしていた。だが家に招き入れるだなんて、そんな気はサラサラなかった。むしろ説教をしに行くつもりなのだ。\n\n すぐに通話を切り、急いで身支度を済ませると外に出る葛木だった。\n\n※※※\n\n お母さんと喧嘩した。\n いつまでメソメソしてるの? って。\n もうお父さんはいないんだから前を向いて生きようって、真っ当なことを言っただけなのに。\n 私のお父さんは私が小学校低学年の時にガンで亡くなった。だから私──海乃美依にはお父さんと一緒に過ごした記憶がほとんどない。\n\n(私、間違ってないもん)\n\n いない人のことを考えてメソメソしたってしょうがないじゃん。お父さんはもう死んじゃってて、私とお母さんの二人で頑張っていかなきゃいけないんだから。それが現実なんだから。\n\n キーコーキーコーっと真夜中の公園でひとりブランコを漕ぐ私。誰かに見つかって襲われたらどうしようと胸がドキドキする。でも家には帰りたくなくて。\n\n「……海乃」\n\n っと。その時前方から聞き馴染みのある声がする。王子様の参上だ。彼の名は葛木怜也クン。とっても捻くれてるけど、とっても優しい私の好きな人。\n\n 私はいつものようにニコッと笑ってみせる。\n クラスメイトに見せる私の自慢の笑顔だ。\n そのまま軽い口調で言う。\n\n「やっときた」\n「待たせたな」\n「待ってないもーん。じゃ、家連れてってよ」\n「海乃」\n「図書館でも言ったけど、普通に葛木クンのチンチンなら舐められるよ。あんま上手くないかもだけど、一生懸命やるから。だから────」\n\n バチン!!! っという音。\n それと同時に私の頬に激痛が走る。\n 一瞬何が起こったのかよく分からなかった。\n 衝撃で横を向いた顔をゆっくりと正面に戻すと、葛木クンが怒った顔をしていた。\n\n「……くずき、くん?」\n「お前、バカかよ」\n「は、はぁ……? なに、それ」\n「こんな真夜中に1人で外いたら危ないだろ!」\n「っ! おっきい声出さないでよ……」\n\n 急に怒鳴りだす葛木クン。\n もう訳が分からない。私を家に連れて行ってくれるんじゃないの?\n 思考停止している私を見て。\n 今度は申し訳なさそうに葛木クンは言う。\n\n「ごめん」\n「痛いよ」\n「ぶったことに関しては謝らない。俺が謝ったのは、図書館でのことだよ」\n「……?」\n「あの時、海乃の悩みをキチンと受け止めてやれたら、家出なんてしなくて済んだのかなって」\n「別に……葛木くんのせいじゃ」\n「いや、俺のせいだ。そういうことにさせてくれ」\n\n 本当は全部私が悪いのに。\n 葛木くんは全ての責任を自分に背負わしている。\n ああもう。どこまで優しいだろう、この人は。\n\n「帰ろう、海乃」\n「……うん」\n「ん、いこっか」\n\n 葛木くんの優しい声に。\n 私は我慢できなくて。こう言った。\n\n「ねぇ……」\n「ん?」\n「手、にぎってよ」\n「……それで少しは落ち着くのか」\n「だいぶ。だから……お願い」\n「……りょーかい」\n\n 葛木くんは私に手を差し伸べる。\n 私がそっと触れると、少し強引にぎゅっと握ってきた。ああもぉ、強引なんだから。でも、何だかドキドキしちゃうな。\n\n ぎゅっと握られた手と手。\n 葛木くんの手はゴツゴツしてて、でも温かくて。\n ずっと触れていると、何でもできる気がしてくる。実際この人と一緒なら何でもできると思う。いや、きっとできる。どこまでも行ける。\n\n「くずき、くん……」\n「ん?」\n「つらいよ」\n「もうちょっと握ってよっか。海乃の辛いのがなくなるまで」\n「うん……う、ぁ……ぐすん」\n\n 静かに涙を零す私。\n また辛くなったらこの手の温もりを思い出そう。\n そう思う深夜の空の下だった。\n\n※※※\n\n それから海乃は家に帰り。\n 母親にこっぴどく叱られたあと。\n 同時に涙ながらに謝られたのだった。\n いつまでもメソメソしていてごめんねと。\n 前を向くからと。\n\n 海乃はベッドに潜り。\n 数時間前まで握られていた葛木の手の温もりや感触を思い出していた。ああ、温かかったなとか。ゴツゴツしてて男の子っぽい形だったなとか。\n\n「ん……♡ くずき、くん……♡」\n\n 自然とおまんこの割れ目に握られていたほうの手が伸びる。葛木のことを考えながらオナニーをする海乃だ。\n\n「くずきくん……すきっ、すき……だい、すき……えっちしたいよ……あっ♡ ん、んんゅ♡」\n\n クチュッ♡ クチュッ♡ っと愛液が擦れるイヤラしい水音が薄暗い室内に響く。同時に海乃の声優のように綺麗な嬌声も。\n 葛木怜也とセックスがしたい。腟内にゴツゴツのチンチンをナマでハメられながら、びゅーびゅーっと腟内に沢山精液を出されて果てたい。彼の赤ちゃんを産みたい。心の底から思った。\n\n「つらい、よ、ぉ、……♡ なまごろし、ぃ……♡ はぁっ、イク……っ、イクイクっ、……くずきくんっ、イク、から、ぁ……♡♡ あっあっぁっ……!!!♡♡♡♡♡♡」\n\n 遂に葛木のことを想像しながら絶頂してしまった。みっともない声なんか漏らしながら。母親に聞こえてないか不安に思う余裕なんて今はない。\n\n「っっっ、はぁぁ……♡♡ はぁ……はぁ、はぁ…………くずきくん……すき……♡ すきぃ♡ はぁ、はぁ……」\n\n(決めた。絶対、葛木クンとエッチする。チンチンも絶対舐めてやる。他の女の子がしてくれなさそうなこと全部してやる……!)\n\n こうして。\n クラスの人気者海乃美依は本格的に葛木怜也という獲物に狙いを定めたのだった。"}

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