Krixter/Repo / n0002fv /29.json
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{"novel_id": "n0002fv", "chapter": 29, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002fv/29/", "title": "29話 エンテイアの街", "content": "冒険者とは勇者だけがなる職業ではない。\n特に目立つ活躍や実績のない冒険者だって沢山いる。\n彼、ロイド・レーヴァンもそんなごく普通の冒険者の一人だった。\n\n歳は30で冒険者歴は10年を超えるベテラン。\n戦士職ではあるが初級魔法なら扱えるオールラウンダー。\n活動場所は今グレイス達がいるサティアラ国からエルドゥーラ国を挟んで向こうにある、フィリアス国。\nルーキーのように魔物退治等の派手な仕事ばかりを好んでするではなく、薬草採取等の地味な仕事もこなすのがロイドだった。\n\n彼にしてみれば薬草採取こそ楽かつ安定した仕事はない。\n大きな収入はないが定期的に依頼はあるし、他のクエストと平行してできるお手軽さ。\n顔を覚えてもらえれば指名も入るのでとにかく安定度が他のクエストと比べて違う。\nそして何よりロイドを懇意にしてくれる教会のシスターは美人揃いなのが薬草採取を好んでやるのが一番の理由だろう。\n\n\nフィリアス国に属するエンテイアの街。\n王都ほどではないが広く整った街で教会もそれなり豪華。\n魔王の存在が噂され魔物が絶えないこの世界では神様を信仰するかしないかは両極端。\n神様がいないから魔物が蔓延るんだよと言う者もいれば、神様がいるから人はまだ生きていけるとも。\n冒険者、農家、商人問わずに神様を深く信仰する者もいれば、そうでないものもいる。\nロイドは──神様を信じていないが、先にも言った通り美人が多いエンテイアの教会は下心ありで懇意にしている。\n\n\n教会の方も彼に信仰心がないのも、下心があるのも筒抜けだったが安く確実に仕事をこなしてくれるのであまり無下にできない。\nエンテイアの教会では病院代わりに医療や薬造りをしたりするので薬草がよく足りなくなるのだ。\n新米では雑な薬草摘みでダメになる物も出るので、ベテランがクエストを受けてくれるのはとてもありがたい。\n若いシスターへの視線がイヤらしいが、我慢すればいいだけ。\n──そんな感情も逆にロイドに筒抜けだったが、それでも懇意にしてくれるので文句はないし美人シスターで目の保養にもなる。\n\n\n特にエンテイアの聖女とも呼ばれる女性の存在がロイドのお気に入りだ。\n名前はセヴン。\n淡い水色の髪が何処と無く人間離れした容姿を思わせるが、実際にただの人間ではないらしい。\n世界の片隅で人と交わる事を良しとせず交流もほとんどない種族──エルフ。\n人間よりも遥か長寿で魔法や弓を得意とするエルフの血を少しだが継いでいるらしい。\n耳も長くないし、成長速度も人間と変わらないようだが人間離れした美貌は誰の目にも止まる。\n\n\nいつも通り薬草採取を終え、教会に来たロイドは報告がてらセヴンを目で追ってしまう。\nセヴンはよく教会の中心で神像に祈りを捧げているがタイミングが合わないと会えない。\n聖女とまで称されるだけあり付き人もいたりとガードが固いが、眺めるだけでも目の保養になる。\n今日は──いる。\n珍しく取り巻きガードもおらず一人で祈りを捧げていた。\nとなれば、これ見よがしに視線を送ってしまうのも仕方ないもので。\n\n\n「あのぉ……」\n「おっとごめんごめん。報酬はいつも通りな」\n\n\n報告をしていたシスターに咎められてしまう。\nロイドの目前にいるシスターの名前はアイシス・ケミナ。\n18歳で赤毛の美人シスターの一人だ。\n\n\n今日はロイドにとって大当たりの日だ。\nセヴンは別格だがアイシスも美人で目の保養になる。\n露出の少ない修道服にフードで赤毛すら目立たないよう隠されているが、整った顔つきや凹凸のある豊満な肉体は服の上からでも隠しきれない。\nロイドの視線がイヤらしい、と評されてるのは知っているが男ならデレデレとするか気恥ずかしくなって俯くかのどちらかになってしまうだろう。\n普通に年老いたシスターや男の修道士相手もあるのでアイシスと会話できるのはロイドにとって当たりだ。\n\n\n「報酬の事なんですが……もう少しお安くなりませんか?」\n「はぁ?」\n\n\nしかしアイシスの発言でロイドの意識も一気に鮮明になる。\n薬草採取のクエストはただでさえ報酬が乏しい。\n依頼主の良品が欲しい、という贅沢さえなければ知識さえあればルーキーですら行える簡単なクエストだからだ。\nロイドはお金以外にも目の保養を報酬としているので好き好み依頼を受けているが、そもそもルーキーも地味なクエストを受けたがらないのが実状である。\n\nなのに、更に報酬を値下げしろと言われても流石のロイドも面を食らいアイシスにとってかかろうとしたが──。\n\n\n「足りない分は、他で補いますので……♡」\n「は、ぁ……?」\n\n\nアイシスがロイドの右腕を掴んだと思ったら自らの乳房に彼の手を押し付けた。\n悲鳴でも上げて有耶無耶にされるかと思ったが、アイシスは怪訝そうな顔をしない。\nむしろ火照ったような、発情したような、妖艶な顔つきでロイドを見つめる。\n\n困惑し、言葉にもならないロイドに分かるのは掌に伝わる柔らかな感触のみ。\nしかも修道服の下は──下着をつけていないのか、布一枚を挟んだだけのような直接的な感触。\n彼女の乳房に付いた小さな突起の感触すら伝わってくる。\n\n\n「此方では何ですし、奥の部屋へ……」\n「あ、あぁ……」\n\n\n夜の繁華街とかであればロイドも警戒しただろう。\nどんなぼったくりや恐いお兄さんが待ち受けているのかと。\nしかしここは街の中でも特に神聖な場所。\n警戒心の欠片も持たずにここに来たし、武器すら持っていない。\n\nロイドはアイシスに誘われるまま奥へと誘われるが──。\n彼はある意味、ぼったくりや恐いお兄さんの方が優しく感じる世界を味会わされる事になる。\n命の危険もなければ、お金の心配もない世界ではあるが。\n\n\n発情したメスの顔をするアイシスと、戸惑いながら誘われるロイド。\nそんな二人をセヴンが切ないような、もどかしいような表情で見守っていたが二人は気がつかない。"}

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