| {"novel_id": "n0002fv", "chapter": 5, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002fv/5/", "title": "5話 戦士と魔法使いの休息日", "content": "──戦闘、戦闘、休息日。戦闘、戦闘、戦闘、休息日。\n最近は魔物退治ばかりで冒険をした記憶がないな。\n\nそれだけ魔物が活性化してるって事なんだけれども。\nそれに冒険と称してはいるが実際は地味な情報収集だ。\n\n\n転移魔法や転移門を使って各地に飛び、姿を隠している魔王の情報を探す。\n主だった街は協力者が情報をくれるので基本的に転移した先から田舎にまで足を運んだりするのが冒険だ。\nうん、本当に地味でいざ冒険ばかり続くと危険ではあるが強力な魔物退治が恋しくなるのも知っている。難しい所だ。\n\n\n本当に魔王なんて存在はいるのか?と魔物退治をしない人達は思うかもしれないが確かにヤツはいる。\nその証拠の一つが魔物の活性化。\n魔王が存在しない時に比べて凶悪かつ、大きな街の側にまで強い魔物が出るようになる。\n\nあとは勘。\n勇者やその仲間達は魔王が存在するという事実を魂か何かで感じられるのだ。\nそれこそ戦闘に関わらない人達は何を言ってるんだってなるかもしれないけれど王城お抱えの神官達も国の垣根を越えて魔王の存在を伝えているのだから信じざるを得ない。\n\nとはいえ明確な姿が見られていないので国につき一つ勇者様(候補)ご一行がいたりするのだが。\n\n\n\nそして本日の休息日。\n拠点にしてる王都エルドゥーラの繁華街でナンパをして新しい女の子と仲良くなって──。\n魔法使いリタの家の模様替え兼大掃除を手伝わされていた。\n\n\n「どうしてこうなった…」\n「兄ちゃん、こっち!机運んで!」\n「その次はこの食器棚ね!」\n\n\nリタの弟や妹にまでこき使われている。\nせっかくナンパに成功してお茶でも──と思った所でリタと遭遇した。\n同じ街で暮らしてるんだから遭遇ぐらいあるわな。\n\nけれど普段なら勇者一行がナンパなんてしてるな!ってなる所が本日は──。\n\n──探していたのよ、何処で油売ってるのよ。\n──ほら、早く行きましょ(腕組み)\n──実家の大掃除と模様替えするの。力仕事だから手伝って。\n\n\n以上。オレの休息日終了のお知らせでした。\nちなみにこの場にアルスやアイシャはいない。\n二人にはしっかり休息してほしいだってさ。\n仲間想いの優しさに感動するね。\n\n\nそうやってふて腐れながらも手伝うのがグレイスという男だった。\n\nリタの実家は商家を営んでおり、家が広い。\nしかし商売に関しては大胆かつ堅実な投資をするものの変な所でケチ臭い。\n今回の模様替えも業者を読んだりしないし、いつも雇っている家政婦と自分たち+グレイスで済ませようとしていた。\n\nリタの一家は祖父と祖母──この二人は歳で動けないとか言って役に立たない。\nそして父と母──この二人も発案者のくせに仕事が忙しいとかで手伝わない。\nそしてリタ、15歳の妹リン、12歳の弟ロン。\nグレイスに指示ばかり出して、自分たちの小物はともかく力仕事はしようともしない。\nなかなか酷い状況だ。\n\nとはいえグレイスとリタは幼馴染みという事もあってかリタの家族にはコレでも好かれてはいる。\n妹弟はグレイスの事を兄ちゃんと呼んで慕っているし、両親祖父祖母も家族の一員みたいに親しく接してくれていた。\n\n幼少の頃はよくお菓子とかをもらっていたし、祖父祖母にいたっては幼少の頃の感覚が抜けないのか「お手伝いありがとね~」とお礼にお菓子を渡してこようとしてくるほど。\n\n勇者アルスのような最高峰のカリスマや人心掌握ではないにしろ、グレイスも十分に好かれやすい性質だった。\n\n\n「お疲れ、紅茶入れてきたわ。少し休みましょ」\n「ぜぇー、ぜぇー…。てめぇら、指示出してばっかりで動いてないじゃねーか…」\n「あら、休憩いらない?」\n「いる!!!」\n\n\n肉体を鍛え、体力に自信のあるグレイスだったが流石に汗だくだった。\nズボンはともかく、シャツや肌着が汗でベッタリで気持ち悪かったので上半身だけ裸になる。\n他所なら見苦しいとか言われるかもしれないがリタは冒険仲間だし、その家族も親しい関係だから問題はなかった。\n\n\n「……いつも思うけど、アンタの筋肉って本当に凄いわね。」\n「そりゃどーも」\n\n\n何を今更。冒険の最中にいくらでも見慣れているだろうに。\n流石に女性人には気を使うがアルスもグレイスも、特に野宿の時なんかは好きな格好で彷徨いている。\n\nそれに凄いというのならリタの胸も大概なものだ。\nグレイスとしてもいつも思うが流石の巨乳。\nだが今日はノースリーブのセーターで妙に強調されている気がするし、ナンパ相手から引き剥がす時に行った腕組みで当たった感触は素晴らしかった。\n\n見慣れているはずだが、お互い妙に意識してしまう。\n\n\n「──はっ!そうだ、あとどんくらいかかる!?」\n「ふえっ!?そ、そうね。大物は結構運んだからもうそんなに時間かからないかな!?」\n\n\n疲れているからかグレイスはリタの胸元を凝視してしまっていた。\n急いで視線と話題を反らしたが、何故かリタの方も上半身裸の男に目を奪われていたようだったが。\n\n\nもしリタがフリーだったなら絶対に放っておかないのになと恋人であるアルスが羨ましくて仕方がない。\n活発で人を平気でこき使う女だが長女という事もあってか家庭的かつ面倒見が良い。\n最近、娼婦のイーリスが妙に甘やかしてくるからお姉さん気質の良さに目覚めさせられている気がするし…。\n\n何より、その豊満な胸元は魅力的かつ母性的。\nグレイスとは同い年のはずだが、甘えたい気持ちが沸いてくる。\n\nとはいえ相手は恋人がいる。\nそれもグレイスにとっても大切な相棒がその相手だ。\nそもそも親しい幼馴染みに劣情を抱く事も気恥ずかしいやら申し訳ない気持ちになって落ち着かなかった。\n\nグレイスは首を激しく横に振り雑念を払い、紅茶も一気に飲み干す。\n一気に飲み干してしまったが、とっても美味しかった。\nというかグレイスの好きな銘柄だと思うのだがリタは覚えていたのだろうか。\n\n\n「さ、さーて!残りの手伝いもとっとと済ませるか!」\n「よ、よろしく!」\n\n\n勢いで色々と誤魔化して模様替えを再開する。\nあー…本当にアルスが羨ましい。\n\n\n◇◇◇\n\nリタ・カトリウス。\n19歳。誕生日が遅いだけでアルスやグレイス達と同い年だ。\n\nリタは自分の容姿が好きじゃなかった。\n豊満な乳房は嫌でも男達の視線を集めるし、動きにくいし、身長の割には体重も嵩むし。\nけれども恋人のアルスがそのコンプレックスを好いてくれるならいいかなと思うようになった。\n\nそう思いながら冒険や魔物退治、休息日を繰り返していたある日、リタはグレイスのナンパ現場を目撃する。\n凄くイラっとした。私には浮わついた言葉なんてかけた事ないのに──じゃない、勇者一行の自覚もない行為は止めなくては。\nこのまま場を納めてもまたナンパしたり娼館に行ったりするだろうから私の実家に連行した。\n\n\n丁度人手が欲しかったし、家族はグレイスを気に入っているから感激していたし。\n特に妹のリンや弟のロンは本当の兄のように慕っている。\n──娼館とかに行くくらいならもっと私の家に顔見せればいいのに。\n\n\nそしてグレイスを招いて始まった大掃除と模様替え。\n力自慢のグレイスがいると流石に頼りになるものだから何でもかんでも頼ってしまった。\n両親に至ってはグレイス君がいるなら安心だな!とせっかくの休みなのに仕事に行ってしまった。仕事の虫め。\nグレイスが頼りになりすぎるのも問題だと感じた。\n\n\nとはいえこき使いすぎたのか流石のグレイスも汗だくになった。\n私の実家に馴染んでいるグレイスはあっさりと植を脱ぐが、今更気にする人はいない。\n──はずなのだけれど、何故かドキッとしてしまった。\n\n汗の流れる男らしい肉体に目を奪われてしまった。\n何故だかドキドキと心臓の音が高鳴って落ち着かない。\nこんな感覚は初めてだった。\n\nどうして男の人が私の胸を凝視するのか少し分かった気がする。\n魅力的な異性の身体はいくら見ても飽きない。\nむしろもっと見ていたい。\n異性に魅了される、というのはこういう事なのだろうか。\n\n\nしかし気がつけばグレイスも私の胸を凝視していた。\n何で、今更。\nそれにグレイスに凝視されても──。\n\n──グレイスなら良いかな。\nなんでかそう思ってしまった。\nグレイスも自分が凝視していた事に気がついたのか慌てて話題を変えてきて私もそれに乗る。\n\n\n違うのよ。\nアルスを相手したみたいな感情じゃなくて、幼馴染みのグレイス相手なら多少はコンプレックス刺激されても問題ないっかなって思っただけなのよ!\nグレイスの身体に見とれたのもきっと疲れてぼーっとしてただけ!\n\nそう、結論付けた。\n\n\nその後、掃除も模様替えも済ませてグレイスは私達一家と食事した。\nその時には両親も帰ってきて全員で。\n家族もグレイスも楽しそうで良かった。\n──そういえば、アルスは私の家族と食事した記憶があんまりないな。\n\nともあれ、食事が終わる頃には夜も更けていた。\n両親は泊まっていって構わないとグレイスに話を持ちかけていたが、グレイスも同じ街に住んでるワケだし家もあるからわざわざ泊まる必要性がないと言って帰っていた。\n確かに、泊まるなら着替えとかもってこないといけないだろうし逆に手間だ。\n\nウチの家族はそれはもう残念そうだっけれど。\n\n\n私がグレイスを玄関まで見送り、彼が夜道に消えていくと──。\nカレが、入れ違いにやってきた。\n\n\n『ずいぶんと楽しそうだったね。彼の事が好きなのかい』\n\n\nそんなワケ──はい。好きです。\n\n\n『おやおや、最近構ってあげなかったからか随分と薄れたようだ。今日は一晩中可愛がってあげるよ』\n\n\n──嬉しい!アナタのためだってなんだってするわ!\n\n\n『……忙しかったとはいえ、しばらく構わなかったのは失敗だったな。言葉遣いってものがあるだろう?』\n\n\nカレの瞳が怪しくギラリ、と光る。\nその光は瞳を通して脳にまで浸透していくようで──。\n\n(──あぁ、私はなんて愚かな事を。)\n\n\n身振りも弁えずに馴れ馴れしい態度をとってしまった。\n申し訳ない気持ちで一杯になってしまい、直ぐ様全身で誠意をお見せする。\n玄関だろうとお構い無しに服と下着を脱ぎ捨てて、土下座した。\n\n\n「愚かな私にはお仕置きしてください──魔王様」\n\n\n今の私はは勇者でもグレイスの恋人でもない。\n魔王様の、肉奴隷。", "preface": "エッチなのはないよ"} |
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