| {"novel_id": "n0002fv", "chapter": 7, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002fv/7/", "title": "7話 グレイスとイーリスのデート", "content": "こき使われたのは納得いかないがリタの家族と過ごすのはなんだかんだ楽しかった休息日の翌日。\nリタは相変わらずの相変わらずでした。\nホントね、どんだけアルスの事が好きなんだよ。\nこっちが勝手にリタに対して女性として意識しちまったなってだけだし、何とも思わないさ。\n\n\n──嘘です。\nオレは聖人でもなんでもないのでアルスに嫉妬します。ごめん相棒。\nもうこの際ハッキリ言っておくとオレ、結構リタの事好きですよ。\n恋愛的なのかは分からないが幼馴染みとして、家族みたいな付き合いもしてね。\n恋愛として発展しないのは既に好きあってる奴等がいるから考えないようにしてるって自覚もありますよ。はい。\n\n\nそんな感じに失恋ではないにしろ改めてアルスとリタの仲良さを見せつけられたオレは次の休息日イーリスに泣きついた。\nいっつも休息日みたいな感じするかもしれないがちゃんと勇者一行として活動もしてます。\n昨日は大型のドラゴン退治してきました。\n\n\nしかしタイミングが悪いのか本日の休息日はイーリスもシフト外だった。\n他の娼婦と遊んだりナンパしに行ってもいいんだけど、イーリスに癒されたい!と予定を決めていたものだからその気になれず。\n迷惑かと思ったがイーリスの家に行ってみた。\nアフターでお楽しみさせて貰ったり、送り迎えもさせてもらってるので彼女の家の場所は知っていたから。\n\n後々思えば最悪な客だよな。休日にまで家にやってくるなんて。\nけれど運命の悪戯か何かが良い方向に傾いたのか、イーリスは歓迎してくれた。\n営業的な付き合いからの気遣いで言わせたとかじゃなくて、普通にデートしてみたかったなんて言われて。\nすんごく嬉しかったです、はい。\n\n\n「はぁーっ…グレイスとエッチするのも良いけどこうやってのんびりするのもいいねー…」\n「そうだなー…のんびりするのも良いなー…」\n\n\nそんなこんなでやってきたのは温泉でした。\n混浴の露天風呂で並んで一緒にお風呂入ってます。\nお風呂入ってのんびりするってのはある意味珍しい。\n一緒に入浴するのはよくある事だが娼館に金を払うのはエッチするのが前提ですよってなるので、のんびりはしない。\n\nオレがイーリスの身体に欲情するのは当然だが何を気に入ったかイーリスもオレの身体が気に入ったようでいつもすぐエッチに移行していたし。\n\n\n──まぁ、今もムラムラしないかと言ったらしますけどね。\n黒髪美人がオレの隣でバスタオルも巻かずに一緒に温泉に入っているのですから。\n温泉にタオル付けるのはマナーが悪いと言っても混浴ならそこまで五月蝿い人はいないから巻いてもいいんだろうにな。\n\nとはいえイーリスは裸を見られる仕事しているからか、あまり気にした様子はない。\nあからさまに混浴で女の裸目当てに来ているエロガキやオッサン達がいても、だ。\n\nこちとら今日はオフなんだから素直に露天風呂を満喫させてほしいね。\n王都の外れにあるこの露天風呂は、絶景とは言わないにしろ王都に面した山の景色も満喫できるのでそれなりに良い場所だ。\n\n\n「ねぇグレイス。恋人って募集してる?」\n「あー?そりゃまぁ恋人できたら嬉しいから募集してはいるさ」\n「じゃあ立候補していいかな?」\n「そりゃ大歓迎──」\n\n\n──なんて。何をあっさり言ってるんだこの人は。\n露天風呂で真っ裸で。他の人目もある中で告白された。\n最初は冗談かとも思ったが、冗談で言う必要もない告白だった。\n軽すぎて、流す所だったぞ。\n\n\n「び、びっくりした。そりゃ本当に構わないけどイーリスは良いのか?」\n「良いから告白してるんでしょうが。こっちは必死にアピールしてるのにエッチ以外手をつけてくれないから私から告白したんじゃない」\n「アピール──してたの?」\n\n\n勢いよく脳天にチョップされた。\nイーリスの細腕じゃ痛くもなんともないが、失礼な事を言ってしまった自覚はある。\n\nイーリスからしてみれば仕事だからって好きな相手でもなければ必要以上に甘えさせたりアフターに付き合ったりしないとの事。\n本来アフターってのは金持ちに気に入られるために仕事熱心な娼婦がやる事で、金はそこそこあるが冒険者上がりと変わらないただの男に理由もなくする必要なんてないとまで言われた。\n\n\n「仕事とかどうするんだ?」\n「流石に娼館は止めるかな。エッチなのは好きだけどグレイスが相手してくれるでしょ?普通に酒場とかレストランで働けそうな所探すわ」\n「そ、そうか…」\n\n\nいきなり恋人ができて実感が沸かない。\nイーリスの事は好きだし、恋人として独占できるならこれ以上ない幸せだ。\nそれに──恋人っていざなったら何をすれば良いものなんだ?\n\n\n「とりあえず──一緒に暮らすか?」\n「い、良いの?」\n「知ってると思うが実家は荷物置き場にして独り暮らししてるから広い場所じゃないけどな。\nそれに一緒に暮らすってのは今まで以上にエッチしたり甘えたりすると思うけどイーリスこそ良いのか?」\n「それが良いんじゃない!たっぷり甘えてたっぷりエッチしましょ!」\n「い、イーリスが良いなら何も問題ないけどな」\n\n\nどこら辺にイーリスが喜ぶポイントがあったのか分からないが、同居の提案も受け入れられた。\nエッチなのが好きなのは知ってるけども、趣味とかストレス発散とかその程度だろうに。\n\nこんなオレとの恋人関係や同居の何処に心踊っているのが分からないが、イーリスは結構嬉しそうだった。\n\n\n◇◇◇\n\nイーリス・サンクエスは人並みの幸せを諦めていた。\n娼婦という仕事を選んだのは給料が良い事とエッチな事が好きなからだ。\nけれども一番の理由は──人を好きになれなかったからである。\n\n娼婦の仕事をする人の理由はそれぞれだが、基本的にお金が目的だ。\n女として生まれた以上、素敵な王子様と結ばれたい──とまではいかないにしろ、しっかりと身持ちを固めたいと思うのが普通だ。\nけれど心から好きになれる相手がいるワケでもないし、お金はあって困るモノじゃないから娼婦の仕事でもいいかなって思っていた。\n類は友を呼ぶというか、同じような感性の友人も何人かいる。\n\n\nけれどそんなイーリスが一人の男に自分から告白するなんていう事は──正直、自分が一番驚いていた。\n最初は甘えてくれるグレイスが可愛くて面白いっていうのが感情の芽生えたきっかけだけど、甘えてくる客ってのは他にいないワケじゃない。\n\nそこに何の違いがあるのか──強いて言えばエッチの上手さとか気持ち良さくらいだけれども、自分でも何故彼に好意を抱いたのか分からなかった。\nけれども確かなのはグレイス以外の男の人に甘えてもらっても楽しくないし、エッチしてもつまらないしで理由も分からない好意だけが実感できた。\n\n\nそして告白に至ったきっかけは──これもよく分からなかった。\n休日にグレイスが申し訳なさそうな顔をして家にやってきて(凄く可愛かったし、頼ってくれて嬉しかった)、一緒に食事して、一緒に温泉入って──。\n\n好意を自覚したからか、理由も分からないまま今の時間が幸せだなと思った。\nエッチな関係も良いが、こうやってデートして幸せを噛み締めるのも凄く楽しくて幸せだった。\n\n──多分、コレが人を好きになるって事なんだと思う。\n感情の面で不器用な私は上手く理解できなかったが、そういうモノと割りきるのが恋心だったのかもしれない。\n\n\nけれど問題だったのは深く考えず告白してしまった事だった。\n断られたらどうしよう。重いとか思われたらとうしよう。ウザいとか思われたらどうしよう。\n──嫌われたら、どうしよう。\n\n表面上はいつも通り振る舞っていたけれど内心、胸が張り裂けそうだった。\nグレイスも告白を受けてくれはしたが、何だか微妙そうな顔をしているし、やっぱ何か違うとか言われて捨てられたらどうしよう。\nそんな事ばかり、考えてた。\n\n\n「とりあえず──一緒に暮らすか」\n\n\nけれど不安以上にグレイスの提案は嬉しかった。\nどうしたら良いのか悩んでいる素振りだったが、それは私もだったから。\n今まで以上にエッチしたり、甘えたりするなんて発言は私達らしい会話だったがそれすらも嬉しかった。\n\n彼の言葉や態度の一つ一つで私は一喜一憂する。\nこれがもし告白を断られたり、何の進展もなかったら私の精神状態はどうなっていた事か。\n\n彼を好きになった理由は今も分からなかったが──。\n彼に恋をした、という実感だけは確かだった。", "preface": "エッチなのはないです"} |
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