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{"novel_id": "n0002fv", "chapter": 8, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002fv/8/", "title": "8話 恋人とは", "content": "──ヤバい。\nヤバいヤバい、どうしよう!\n\nイーリス・サンクエスはグレイスの暮らすアパートで。\n安っぽい布団の上で裸のままパニックに陥っていた。\n\n\nグレイスとしては何て事のないいつものコミュニケーション。\n二人の出会いは娼館でのエッチから始まったのもあり、自然とエッチでもするかーという話になった。\n\nけれどイーリスにとってはいつもと状況が全然違う。\n好意をハッキリと意識させられ、恋人として抱かれる。\nいつもは彼の筋肉やアソコに欲情していた自覚はあるが、今改めて見ると直視できない。\n見慣れたはずなのに、素敵に素敵すぎて素敵に感じるのだ。\n\n自分でも何言っているのか分からない。\nけれど恋ってのは厄介なものだと実感させられる。\n好きという気持ちに底がないのだ。\n触れるどころか、キスもされてないのに濡れそう。──濡れてた。恥ずかしい。\n\n膣からは愛液が漏れ初めて、期待はしている。興奮もしている。\n自分でもはしたなさすぎて顔から火を吹きそうだった。\n\n\n「なんだ、もう濡れてんのか?期待しすぎだろ」\n「そりゃね。グレイスとのエッチ好きだし」\n「そりゃ光栄だ。今日もたっぷり楽しもうぜ」\n\n\n──いやぁぁぁ!恥ずかしい!バレてる!!!\n私って実は二重人格だったりしない?内心、すっごく恥ずかしいのにいつも通り受け答えできてる。できてるよね?\nなんだかもう、催眠術か何かで本心を封印されてエッチな人格が表に出されてるんじゃないかってくらい自分で自分が分からない。\nハードなジャンルの、そんな感じのポルノ小説を読んだ事がある。\n\nけれどその小説と違うのは──表面の私も内面の私もグレイスの事が好きってトコロ。\nどう足掻いてもハードになり得ない、純愛小説だ。\n\n\n「なぁ、今まで引かれるかなーって頼めなかった事があるんだけど良いか?」\n「どうしたの改まって?」\n「いやぁ……我ながら変態的な頼みでな。嫌なら断ってくれて良いんだがコレで恋人解消されてもイヤだな」\n「断ってもいいなら問題ないでしょ。好きに言って、好きに甘えていいのよ?」\n\n\nあ……恋人解消を躊躇うくらいに思ってくれているのは凄く嬉しい。\nけど表面の私、あまり調子に乗らないで。\n今の状態で甘えられたらキュン死する。\n\n\n「……髪の匂い、嗅がせてもらっていいかな?」\n「それくらい、構わないけど……。ていうか、それくらいならエッチ中じゃなくても良くない?」\n\n\n──あぁぁぁ!!!だから!調子に乗らないで、私!\nそんな日常的に髪を触られて、嗅がれたりしたら幸せすぎてどうなるか分からない!\nうん、自慢の髪の毛だからグレイスに気に入って貰えたのは凄く嬉しいけど!\nむしろグレイスだけでなく私の性癖にも突き刺さって興奮する!\n\n\n「じゃ、遠慮なく」\n\n\nグレイスが正面から私の髪を掬って匂いを嗅ぐ。\nシャンプーしたばかりだから変な匂いしないよね?\n髪に伝わる指の感触や鼻息がこそばゆくて、ゾクゾクする。\n\n\n「良い匂いだ…ずっと心行くまで触れたかった」\n「そ、そう……」\n「このまま、いくぞ──」\n\n──あっ。\nそんな小さな喘ぎ声が、口から漏れる。\nグレイスが今度は首に顔を埋め、鎖骨、胸、お腹、下腹部──。\nゆっくりと舌を這わせていく。\nグレイスの舌の感触だけで全身に電気が走って気持ちが良かった。\nまだ簡単な愛撫なのに子宮がキュン、と縮こまる。\n\n今度はグレイスの大きな手が肩を、胸を、お尻を。\nゆっくりと触りつつ私の目の前に顔を近づけてきて──。\nキスを、した。\n\n\n何度もおこなっている手慣れたコミュニケーション。\nけれどコミュニケーションが愛情表現に変わると、幸せの感情が脳内麻薬のように分泌されて頭がおかしくなりそうだった。\n\n舌を絡めて、貪って。\n唾液を交換して、蕩けあって。\n幸せすぎて自分の顔がどんなだらしない顔をしているのか、考えたくなかった。\n\n\n「──エッロ。何処までオレを興奮させれば気が済むんだよ?」\n\n\nその言葉は思いっきりブーメラン。\nこんな素敵なキスをして、素敵な表情で見つめて、私を何処まで悦ばせるつもりなのか。\n\nエッチな行為に慣れた二人なので前戯はスムーズに進んだ。\n下腹部に顔を埋められて膣を激しく舐め上げられる──クンニ。\n\nとても恥ずかしかったけれど、とても気持ちが良かった。\nグレイスの舌の動き一つ一つで私の身体は反応し、あんあんあんと喘ぎ声をひたすら上げていた。\n愛液をわざとらしく音を立てて啜られた時は──興奮した辺り、私はやっぱりエッチが好きな変態だ。\n\n\n「イーリスはバックが好きだったよな?けど今日の一回目は正常位でも良いか?」\n「うん──私も今はそっちが良い」\n\n\nグレイスの逞しいぺニスが膣の前で臨戦態勢に入る。\nいつもは興奮するだけだったのに、それ以上のドキドキがするのはなんなのだろう。\n戸惑うけども、この気持ちは馴れて忘れたくない。\n\n\n「ゴムは──」\n\n\nゴム──コンドーム。\n彼の口から、ゆっくりとそんな言葉が出た。\n\nそうだ。今の私達は恋人同士。\nセックスはコミュニケーションではなく、本来の用途として使えるのだ。\n\n冷静に考えるなら結婚とか、子育ての準備とか予定を立ててからするべきなのだろう。\n──けども、そんな理性的にいられるほど私達は大人じゃなかった。\n\n私も、グレイスも。\n子作りしたいと、目で訴えていた。\n\n\n「しよ?子作り」\n\n\n私は、言葉に出した。\n自覚はなかったがグレイスはその言葉で理性を失ったようだった。\n\n──そこからは、獣の交尾。\nいつもの気持ち良くなるための性行為ではなく、子供を孕み、産むための作業。\nとはいえ凄く気持ち良かったのですけどね。\n\n\n「あっ、あっ、あっ、はあっ♡んっ、あっ♡はっ、あっ♡グレ、イスぅ♡」\n「イーリス…!!!」\n\n\n──パンパンパンパン!!!\n体位だとか、気持ち良くなる工夫だとか。\nそんなモノは何も考えなかった。\nただグレイスの身体に必死にしがみついて、キスして、手を繋いで、腰を振って。\n\n彼のぺニスに膣を押し広げられ、子宮をこじ開けられる感覚にひたすら快感を感じていた。\nやっぱり大きい。気持ちが良い。\n腰を打ち付ける音だけじゃなくて溢れる愛液で水音も混じる。\n\n\n「あっ♡はぁっ♡んっ、くっ♡はっ、ああっんっ♡♡♡」\n\n\n──キュッ。と繋いだ手の温もりが幸せだった。\n今にも狂いそうな快感の中で幸せという概念までもが頭を支配して何にも考えられない。\n\n膣が、子宮が。\n手が、温もりが。\n\nおっきいぺニスに串刺しにされながら。\n好きな男性と一つの存在のように繋がりながら。\n快感と幸福感が身体を支配する。\n\nエッチが好きなはしたない私も。\n最近目覚めた恥ずかしがりやな私も。\nどちらもが満足できる最高のセックスだった。\n\n\n「出、るっ…!!!」\n「あっ…!?やっ、あっ、はあっ♡んーっ♡あっ、はあっ、やっ、あぁぁぁぁっ♡♡♡」\n\n\n本当に喘ぎ声しか上げられなかった。\nエッチに慣れたはしたない私としては精液あつぅい、とか中で精液たくさんでてるぅとか、男を悦ばせる言葉の一つ言いたかったができなかった。\n\n──ビュルッ!ビュルル!!!\nと子宮に激しく叩きつけられる精液を感じても「あーっ♡」って喘ぎ声を上げる事しかできないのは悔しかった。\n\n膣内で、グレイスのぺニスが痙攣してるのが分かる。\n一滴残らず射精し、孕まそうというのが伝わってくる。\n膣出しって、こんなにも暖かくて心地よくて──気持ちの良いモノだったんだね。\n\n\nコレは一段とエッチにハマりそう。\n膣からぺニスが引き抜かれると大量の精液が溢れ出てきた。勿体無い。けど。\n\n\n「二回戦、続けるぞ──」\n「あはっ♡」\n\n\nそんな、勿体無いとか思う必要がないほどに──注がれ続ける。\n夜はまだ、始まったばかり。\n\n◇◇◇\n\n──二人はお互いの何処が好きなの?\nそんな風に聞かれても二人はすぐには答えられないだろう。\nそんな曖昧な態度をする二人に周囲は不安に思うかもしれない。\n普通好きあっているなら相手の好きな部分は幾らでも出てくるはずだ──と。\n\n\nけれど二人は見た目以上に『不器用』なのだ。\n片方は勇者に良いところを取られ続け、自分に魅力がないと諦め続けてきた戦士。\n片方は恋を知らぬまま男に抱かれ続けてお金を稼いできた娼婦。\n\n何処かしら人としての欠陥を抱いている自分が誰かを好きになるなんておこがましいと思い込み、相手を直視できずにいる。\nそれが故に何処が好きなのかという簡単な質問にすら答えられない欠陥を抱えた恋人達が出来上がっていた。\n\n\n──しかし、欠陥と言っても二人は単に『不器用』なだけだった。\n慣れない感情に、子供のように困惑しているだけ。\n身体ばっかり付き合いが深まって大人になり、心は子供のままな残念な成人というだけなのだ。\n\n言葉にするのが苦手な二人だが──。\n二人は思った以上に相手を好きあっている。\nそれは夜の営みやピロートーク。何気ない日常での距離の近さが物語っていた。\n付き合っているのだから問題ないが、これで恋仲でなければ周囲がもどかしくなるだけだっただろう。\n\n\n──恋人になった二人が朝起きればまずするのが\n挨拶のキス。\n挨拶のキスをしよう、と決めたワケでもなく自然と習慣になっていった。\n裸のまま寝ていた二人は、そのまま布団の中で寄り添いながらキスを繰り返す。\n元々性欲の強い二人なのでそのまま絡み合うのも珍しくない。\n\nその後は一緒にシャワーを浴びて朝食の準備。\nお互い一人暮らしをしていたので生活感はあるほうで、一緒に準備をしていく。\n今はグレイスの狭いアパートにいるというのに向かい合って食事を取るのではなく横に並んで狭苦しく、くっついて食事をしていた。\n向かい合うより隣り合って食事する方が気分良いから──というのは二人の談だ。\n\n\nグレイスの所属する勇者一行はしばらく遠出したり冒険に出る予定はない。\n魔物討伐が主だった日課になっており、退治する魔物の習性等により出かける時間が毎日異なるが転移魔法等もあるので朝はゆっくりできる事が多い。\n夜行性の魔物も多いため、休息日以外は朝遅く夜も遅い事の方が多いくらいか。\n\nそれは夜の仕事をしているイーリスも同じ事が言える。\n恋人が出来たため流石に身体を売る事は止めたが、酒場等で働くと夜遅くなる事が多い。\n\n\nなので二人は世間的に見れば不規則だが、思った以上に生活のリズムは合っている。\n朝から昼までダラダラと──エッチな事をしなくとも薄着でくっついて今後の相談をしたり読書したり何気ない会話したりとイチャついている。\n勿論、その気になればエッチに発展するまでの展開は早い。\n\n誰がどう見ても性欲旺盛な若いカップルだ。\n\n\nそんな二人にとって生活が一変したな──と思うのは二人での同居生活中よりも離れて行動している時だった。\n相手は今何してるかな──。\n危ない事に巻き込まれていないかな──。\nあ、コレ。彼が(彼女が)好きそうだな、買って帰ろうか──。\n\nなど、相手を思う事が増えた。\n今までは自分の事しか考えて生活してこなかった分、それが新鮮かつ甘酸っぱい心地好いものだった。\n恋人になり同居してからそう考えるようになる辺りが、不器用な二人らしいのだけれども。\nそうやってお互いを思った分だけ性欲も高まり毎日のように飽きずに行為に及ぶ辺りも彼等、らしい。\n\n\nそうやって順風満帆に恋仲を深めあっている二人だが、相変わらずお互いの好きな所は上げられない不器用っぷり。\n強いて言えば──相手の全部が好きと答える色ボケっぷりに変わりつつあるだけなので、周囲の人が本当に好きあっているのか心配するだけ野暮というか、無駄だろう。\n\n\nけれど──二人が仲睦まじくする一方で空気が悪くなるモノもある。\n\nお忍びで外に出ていたリリアンヌ・ドゥルーシカ・エルドゥーラ。\n通称リリーナは、そんな睦まじく二人を見て苦虫を噛み締めるような表情をする事しかできなかった。", 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