Krixter/Repo / n0002jy /40.json
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{"novel_id": "n0002jy", "chapter": 40, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002jy/40/", "title": "とりあえず、事情を聞かねぇとな。", "content": "「やだ…血が…シューヤが死んじゃう…やだよ……!」\n\nキョウコが、涙を流しながら錯乱している。\n\n痛みからして、死ぬような傷じゃねぇはずだが\n冷静じゃねぇんだろうな。\n\nそして、未だに固まったままの女の子。\n俺たちより、年齢が低そうだ。\n俺はてっきり、山田がまた来たのかと思ったが…\n\n\n俺の視線に気付いたのか、キョウコがそちらを見る。\n\n一瞬驚愕したような顔をしたかと思うと\nすぐに怒りの形相に変わった。\n\n\n「ルイっ!!!\nお前ぇぇぇえーーッッッ!!!!」\n\n女の子がビクッとなる。\n…ルイ?ってことは………\nって、いかん。\nまずは愛しの彼女を落ち着かせねぇと。\n\n俺は両手でキョウコの顔を挟み、こちらを向かせる。\n\n\n「キョウコ、落ち着け。俺は大丈夫だ。\n俺の目を見ろ。\n……………そうだ、いい子だ。\nそのまま、俺の目を見たまま深呼吸だ。\n……そうだ、もう一回、深呼吸だ」\n\nキョウコの瞳に、知性の色が戻る。\n未だに涙目だが。\n\n\n「よし、落ち着いたな、いい子だ。\n傷の状態が見たい。\n手鏡を出してくれ」\n\nキョウコが鞄の中にある鏡でこちらを映してくれる。\n\n傷は…よし、深くない。\n多少広く削れたくらいだ。\nこれなら大丈夫だ。\n\n俺は、患部には触らず、その少し下をハンカチで押さえる。\n今日一日使ったハンカチだから、なるべくキズには当てずに\n血が垂れるのだけを防ぐようにする。\n\n\nキョウコはこのままここにいると\nまた怒りが再発しそうだから\nお使いをお願いすることにした。\n\n\n「キョウコ、頼みがある。\nこの先のドラッグストアで、俺がいつも使ってるバンドエイドと、ミネラルウォーター、ガーゼを買ってきてくれ」\n\n\n「うん…ぐすっ…うん…買ってくる…\n大丈夫…?痛いよね……すぐに戻ってくるね…?」\n\n\n「あぁ、このキズのサイズのやつを頼むぜ。\nあと、絶対に走っていくなよ?\n自分でもわかってると思うが\nお前は今焦ってるんだ。\nそういう時は注意力が散漫になる。\nそれが原因で、キョウコが事故にでも遭ったら俺が耐えられん」\n\n\n「すぅーーーー………はぁーーーー…………\n……うん、大丈夫。落ち着いた。\n走らず、頼まれたもの、ちゃんと選んで買ってくるね?\nチュッ♡待っててね?」\n\n俺にキスが出来るくらいには\n落ち着いたようだな。\nさすが俺の彼女だ。\n切り替えがしっかりしている。\n\n……あ、キョウコがあの子を睨みながら\n横を通り過ぎた。\nまたビクッてなってるわ。\n\n\n\n…………よし、キョウコは行ったな。\n\nさて。\n\n「おーい、嬢ちゃん」\n\nあ、またビクッてなった。\nそりゃ、俺みたいなヤツに石当てたら\n何されるかわからんよな。\n\n「安心しな、俺は、君を怒らない。\n多分、お互い相手が誰かわかってると思うが\nまだ初対面だ。\n一応、自己紹介しようぜ?\n知ってると思うが俺は、柊シュウヤだ。\n君の名前は?」\n\n\n「…………………………ルイ」\n\nてっきり、怖がって何も話さないと思ったら\n意外とコミュニケーションは出来そうだ。\n\n「返事してくれてありがとな。\n確認させてくれ。\n山田ルイちゃん…だよな?」\n\n\n「…………………うん」\n\n\n「なんで石を投げたのかは\nなんとなく察しがつく。\nただ、正確な理由を知りてぇんだ。\nすぐそこの公園わかるか?\nあそこで話したいんだが、いいか?」\n\n\n\n「………………………うん」\n\nははっ、素直ないい子じゃねぇか。\n\n俺はキョウコに公園に移動するとメッセージを入れたあと、移動した。\nルイちゃんも、後からちゃんと付いてきた。\n\n\n\n俺たちは、公園に着いた。\n…ここ、カナエの時も使った公園だな。\n縁があるなぁ…\n\n「よし。話をする前に、一つ確認させてくれ。\nあの石は、俺が庇わないとキョウコに当たるコースだった」\n\nルイちゃんがまたビクッとなって\n顔が真っ青になる。\n\n「あれは、キョウコを狙ったわけじゃないよな?」\n\n「……違う…ます」\n\n\nよし、そこだけ確認出来れば十分だ。\n\n\n「あぁ、敬語は無理に使わなくていいぜ。\n話しやすいように話してくれ。\nキョウコを狙ったわけじゃねぇなら\nあとでキョウコが来たらキョウコに謝ってほしい。\nいいか?」\n\n\n「…うん、ごめんなさい……」\n\nうーん、ホントに素直ないい子だな。\n\n\n「石を投げた原因は俺、だよな。\n正確には、俺とルイちゃんのアニキの事だよな?」\n\n\nルイちゃんがキッとこちらを睨む。\n\n「…そうだよ!あなたが!あなたがコウ兄からキョウ姉を奪ったから!\nキョウ姉が家に来なくなったもん!\nあなたが!キョウ姉をウチに来させるなって言ったから!」\n\n……………ん?\n\n「わりぃ、ちょっと待ってくれ。\n俺が、キョウコをそっちの家に行くなって\n言ったのか?」\n\n\n「そうだよ!白々しいわよ!そう言ったんでしょ!?」\n\n\n「あーー………もう一個確認させてくれ。\nそれ、誰から聞いた?」\n\n「コウ兄が、そう言ってたもん!」\n\n\nそういうことかぁ…………\n\nわかりやすい原因に、俺は脱力してしまう。\n\n\n「…ちなみに、兄貴はどういう経緯でキョウコと別れたって言ってた?」\n\n\n「あなたがキョウ姉の弱みを握ってコウ兄と別れるように言ったんでしょ!?」\n\n\n山田ぁ…………\nお前、妹に何言ってんだよ…\n虚言癖もいい加減にしろよ…\n\n\n「……なぁ、さっき、俺が血を流した時\nキョウコめっちゃ俺の心配してくれてたよな…?\nあれが、弱みを握られた人間がする事だと思うか…?」\n\n「そ、それは…………」\n\n\nだよなぁ…もう綻び出来てるよなぁ…\n\n\n「…キョウコが戻ってきたら、一度キョウコから話を聞いてくれないか?」\n\n「うん…わたしも、そうしたいって思ったから…」\n\n\n\n程なくして、キョウコが公園まで来た。\n\n「シューヤ!買ってきたよ!\nほら、キズ見せて…?」\n\n「おう、ありがとよ。さすがに頭は自分じゃやりにくいからよ、任せていいか?」\n\n\n「うん、まずはお水で流すね…?\n沁みると思うけど…ごめんね…?」\n\nキョウコがキズを洗って、清潔なガーゼで水気を拭いて、バンドエイドを貼ってくれた。\n正直、ここまできっちりやらなくても大丈夫なんだが\nここまでやらないとキョウコは不安になるよな。\n逆の立場なら、俺はめちゃくちゃ不安になるしな。\n\n\n「よし、これで大丈夫だな。\nさすがキョウコだ。完璧だぜ」\n\n「えへへ…取り乱しちゃってごめんね…?」\n\n「あ、あの…」\n\n「病院とかは行く?私としては、行ってほしいんだけど…」\n\n「キ、キョウ姉…」\n\n「その絆創膏って、取り替えなくていいやつだっけ?病院行って剥がしても大丈夫かな…?」\n\n\nおぅ…完全無視だ…。\nこれはちょっと、いや、大分可哀想だな…。\nルイちゃん涙目になってるぜ…。\n\n「………キョウコ。\n俺は大丈夫だ。それより、ルイちゃんと\nちゃんと話そうぜ…?」\n\n\n「……へぇ?シューヤを傷付けた、こいつと…?」\n\n\nルイちゃんまたビクッてなっちゃったよ…。\n\n\n「キョウコ。もう一度言うぜ?\n俺は大丈夫だ。\nお前が俺のことを大事に想ってくれてるからこその、その態度だってのもわかる。\nだがな、いや、だからこそだな。\nルイちゃんとちゃんと向き合ってやってくれ」\n\n\n「………ふぅーーーー……………。\nわかった。そうよね、向き合わなきゃ。\nルイちゃん」\n\n「は、はい!」\n\n「大人げない態度だった、ごめんなさい」\n\nキョウコがルイちゃんに頭を下げる。\n\n「わ、わたしの方こそごめんなさい!!」\n\n「私じゃなくて、シューヤに謝ってほしいんだけどなぁ…」\n\n\n「あ、わり。俺がキョウコに謝ってくれって頼んだんだわ」\n\n「…もう、ケガしたのシューヤなんだよ?\nそれで、なんであんなことしたの…?」\n\nルイちゃんは、俺にした話をキョウコにも聞かせてくれた。\n\n\n\n\n「あ、あの男は……っ!\nあのね、ルイちゃん。\n私、シューヤのことが大好きだから、シューヤと付き合ってるのよ…?」\n\n「……コウ兄が噓付いてるってこと…?」\n\n「えぇ、そうよ」\n\n「ウソ…ウソだよ…だってあんなにコウ兄、キョウ姉の事大好きだったんだよ?\nいつもキョウ姉の話してて…\n相思相愛だって…\nねぇ、キョウ姉?\nキョウ姉はもうウチに来てくれないの…?\nお父さんも、お母さんも、わたしも寂しいの…\n家が、ずっと暗いままなの…\nキョウ姉さえいてくれれば…」\n\n\n「………ねぇ、ルイちゃん。\nあいつが、コウタが私にお礼言ったの聞いたことある?」\n\n\n「………………え?」\n\n\n「ない、よね。\nそりゃ、始めの方はあったかもしれないけど\n少なくとも、ここ数年では一度もないよね?」\n\n\n「そ、それは…」\n\n「私ね、ずぅーーーっと苦痛だったの。\nしんどかったの。私の人生が、あいつの為に消費されてるのが…」\n\n\n「で、でも!だったら!わたしとかお母さんにでも言ってくれたら!」\n\n\n「『ふつつかな兄ですけど、これからも兄の事をお願いします』だっけ?」\n\n「っっ!!!」\n\n「ルイちゃん、あいつの事大好きだもんね。\nそんなルイちゃんに、苦痛だって言えると思う…?」\n\n\n………そんな経緯もあったのか。\n改めて、キョウコに限界が来る前に\nキョウコに出会えてよかったぜ…。\n\n\n「そ、そんな…でも、だって…」\n\n「……すぐには納得出来ないよね。\n大好きなお兄ちゃんが噓付いてるとは思えないもんね。\nだから、私はルイちゃんとも距離を取ったの。\nそんな理由があるから、私はもうあの家には行かないわ。\n…ルイちゃんのことは、嫌いじゃないよ?\nでも、それ以上に、あいつの存在を許せないだけ」\n\n\n「………うん、わかった。\nちょっと、信じられない…ううん、信じたくない気持ちがあるから\nわたしも、しっかり自分で考えてみる。\nキョウ姉には、もうワガママは言わないようにする…」\n\n「うん、やっぱりルイちゃんは頭いいね。\nまた、気持ちが落ち着いたら\n連絡してくれていいからね?」\n\n「うん…ありがとう、キョウ姉。\nあ、あの、お兄さん」\n\n「ん?俺か?」\n\n「うん…ケガさせちゃって、ごめんなさい…」\n\n「おう、謝れてえらいな。\nもちろん許すぜ。だからもう気にすんな?」\n\n\n「うん、ありがとう、お兄さん。キョウ姉。\nわたし、帰るね…」\n\n\n「バイバイ、ルイちゃん。\nまた、ね?」\n\n「さよならだ、気を付けて帰れよ?」\n\n「うん、バイバイ…」\n\n\n\nルイちゃんがトボトボと帰っていく。\n\n\n\n「………山田って、マジでペテン師の才能あるな…」\n\n\n「私も、なんかそんな気がしてきた…\nあいつはホント迷惑しかかけないねぇ…」\n\n\n「ルイちゃん、いい子だったな」\n\n「そうだねぇ…\n一応、来年ウチの学校への入学が\n決まってるから\nそこでまた仲良く出来たらいいんだけどねぇ…」\n\n\n「時が解決してくれることを願おうぜ。\nさて、俺たちも行くか」\n\n「うん、ねぇ病院…」\n\n「あぁ行こうぜ、正直言うとそこまでする必要はねぇとは思うが\n医者に診てもらったほうがキョウコは安心だろ?」\n\n\n\n「……っ!うんっ♪よく、私がその方が安心するってわかったね?」\n\n「逆の立場なら、俺も病院に行ってもらわねぇと不安になるからなぁ………」\n\n「…………♡ 行こっかっ♡」\n\n\nそうして、俺は病院に行ってから帰宅した。\n案の定、医者からは問題ないと診断された。\nただ、念の為数日は安静にしろってよ。\n\n……ん?待てよ?\n…それは、セックスもするなってことか?\n…………数日も?\n………マジか…。", "preface": "40話いきましたー!", "afterword": "あ、そうそう。\n誤字脱字のご報告、ありがとうございます!\n校正は割としているつもりでしたが\nどうしても抜けてしまう部分があるようで\n大変助かっておりますー。"}

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