Krixter/Repo / n0002jy /52.json
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{"novel_id": "n0002jy", "chapter": 52, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002jy/52/", "title": "そして、その日。そして、これから。", "content": "俺がコウタの家に行った数日後。\n\n今日は2人が海外へと旅立つ日だ。\n俺達はルイの希望で空港に来ていた。\n2人を見送りたいとお願いされたからだ。\n\nとはいえ、直接2人と会わせるようなことはしない。\nコウタが反省して、ルイに謝罪をしたいというなら\n話は別だが\n先日の様子だと反省すらしていない。\n会ったとしても、ルイを傷付けるだけだ。\n\nなので、俺達は一足先に電車で空港まで来ていた。\n\n今はラウンジで寛いでいる。\n\n「ルイ、体調はどうだ?」\n\nここに来るまでも、つぶさに観察はしていて\n特に顔色などは悪くなってはいないが\n一応本人にも確認してみる。\n\n「うん、大丈夫そう。\nありがと、シュウ兄」\n\n「あ、ミヨさんから連絡来たよ。\nそろそろ到着するって」\n\nキョウコがスマホを見ながらそう伝えてきた。\n\nミヨさんは、親父さん達と一緒に車でここに来る予定になっていた。\nそして、帰りは俺達も車に乗せて行ってもらうことに\nなっている。\n\n「ありがと、キョウ姉。\nそれじゃ、移動しようか?」\n\n俺達はラウンジを出て、出国ゲートの見える位置まで移動した。\n\nそれから20分ほど経った頃だろうか\n「あ、きた」\nルイがそう発したのでゲートの方を見てみると\n確かに3人が見えた。\n\nコウタのやつ、散髪をしたようで\n見た目は大分スッキリしていた。\nだが、ずっと俯いていて表情は一切見えない。\nミヨさんが顔を見て話そうとしているのか\n下から覗き込むような体勢をしたが\nコウタの方が顔を背けてしまった。\n\nそして、ミヨさんと会話をしたのか\nしていないのかわからぬまま\n2人はゲートの向こうに行き\n見えなくなった。\n\n「……お父さん、元気でね。\n……………バイバイ、コウ兄」\n\nあの人、ではなく、コウ兄。\nルイのコウタに対する呼び方が戻っていた。\n\n驚きながらルイの表情を見てみると\n寂しそうにしながらも\nスッキリした表情を浮かべていた。\n\nそして、何より、さっきまでより\n大人の顔つきになっていた。\nもちろん、まだあどけなさはあるが\nそれでも一段と魅力的な、良い女に\nなったのは確かだ。\n\n「むむむ、うかうかしてられないかも」\n\nキョウコがそうつぶやく。\nキョウコも、ルイの変化に気付いたのだろう。\n\n確信がある。\nルイはこれからもっともっと素敵な女性に\nなっていくんだろうな。\n\n\n〜山田ルイ視点〜\n\nお父さんと、あの人…ううん、コウ兄が\n日本を発った。\n\nもうあの日の事を思い出しても\n震えが来ることはない。\n\nあの時のコウ兄の顔を思い出しても\n怖いとは思わない。\n\nむしろ、可哀想に見えてくる。\n…ねぇ、コウ兄?\n誰かに愛してもらえることって\n当たり前のことじゃないんだよ?\n\nそれは最も得難く、とても大切なものなんだよ?\n\n日常にいると気付きにくいけど\nわたしは、それを知ることが出来た。\n\nキョウ姉の顔を見る。\nわたしが、わたし達が傷付け、追い詰めてしまった人。\nそれでも、わたし達を許してくれた優しい人。\n多分、コウ兄が心から反省して\n誠実に謝れば、キョウ姉は許してくれると思う。\nでも、仮に許したとしても、もうコウ兄の\n隣にいることはない。\n\nシュウ兄の顔を見る。\nキョウ姉を救い、わたしまで救ってくれた\n優しい人。\nこの人の隣がキョウ姉の居場所だからだ。\n\n初めてこの人の温もりに触れた時\nもしかしたら、自分はコウ兄の代わりを\nこの人に求めてしまっているのかもと思った。\n\nけど、それは違うとすぐに分かった。\nわたしは、妹ではなく、女としてこの人と\n一緒にいたいと気付いたからだ。\n\n多分シュウ兄は、愛されないことの\n辛さや怖さを知ってる人だ。\n直接そういう話をしたことはないけど\nおそらく、キョウ姉や他の皆も気づいている。\n\nだからこそ、皆、この人が愛おしくなる。\nこの人が、寂しくならないよう、辛くならないよう\n与えてくれた優しさや、温もりを\n目一杯返してあげたくなる。\n\nそしてそれは、義務や同情などじゃない。\nわたしが、わたしたちがそうしたいから\nしているんだ。\n\nわたしは、シュウ兄に大切にされていることを\n誇りに思う。\nそして、わたしはわたしのやり方でこの人を\n愛していきたい。\n\nわたしは、両サイドで結んでいる髪を解いた。\n幼い頃、コウ兄がアニメに出てくる妹キャラを真似て\nこの髪型に結んでくれた。\nお父さんも、お母さんも似合ってると言ってくれたから\nずっとその髪型のまま過ごしていた。\n\n髪を解いたからといって、何か変わるわけでもない。\nけど、わたしは。\n\n「シュウ兄、キョウ姉」\n\n大好きな2人の名前を呼ぶ。\n2人とも優しい笑顔だ。\n\n「行こ?お母さんが待ってるよ」\n\nわたしは、この2人と一緒に歩いていく。", "preface": "52話目!\n山田ルイ編ラストです!", "afterword": "山田コウタの結末について、\nちょっと、いやかなり思うところがありまして。\n活動報告の方に書いてますので\nよろしければ、そちらも見ていただけると\nありがたいですー。\nhttps://syosetu.com/userxblogmanage/view/blogkey/407432/\n\n次回、閑話をはさんで、最終章をはじめます!"}

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