| {"novel_id": "n0002la", "chapter": 14, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002la/14/", "title": "13.『覚悟を決めて』♡", "content": " この村の中心を流れる大きな川は、櫓戊川というらしい。「良いところだから一度は行ってみなよ」と村人から薦められていたが、実際に訪れて生で見ると、これがまた見事なものだった。穏やかに波打つ透き通った水面の美しさと、バックを彩る雄大な山々の翠のコントラスト。せせらぎの音が心を癒やしてくれる。\n\n「こりゃいいな。観光名所にすりゃいいのに」\n\n 問題は村に来るまでのハードルが高すぎることだな。過疎ってる村はだいたい交通の便が悪い。来てみれば良いところだとわかるのだが。\n 俺が世知辛さに涙をのんでいると、視界になにか白っぽいものが映り込んだ。視線を向けると、川面にぷかぷかと大きなものが浮かんでいる。目を凝らして見ると、それは服を着た人間だった。ぴくりとも動いていない。\n 俺はぎょっとして叫んだ。\n\n「ウワー! 水死体!」\n「生きてるよ」\n\n ざばっと水飛沫が上がり、女の子が立ち上がった。ずぶ濡れ体操服姿の少女の顔はとても見覚えがある。\n\n「な、那歩子?」\n「うん。こんにちは、かんまくん」\n\n ざぶざぶと水をかき分けながら、那歩子は川岸へ上がってくる。\n\n「なにしてんだよ。いや、ほんとになにしてんの……?」\n\n 服着たまま川に飛び込むなんてやんちゃすぎませんか? 那歩子ってそんなアクティブな子だったっけ。\n 俺が困惑していると、那歩子はぼたぽたと滝のような水滴を垂らしながらこう言った。\n\n「次のコンクールで、川の絵を描くことになったの」\n「ほう。いいな」\n「それで、川を見に来たんだけど。いまいちイメージが湧いてこなくて」\n「ふむふむ」\n「だから、川の気持ちを知るために川の中に入ったの」\n「うん?」\n\n 途中まで理解できてたのに、急に置いてけぼりにしないでくれ。\n\n「そんで、川の気持ちわかった?」\n\n 俺が訊ねると、那歩子はしゅんとまなじりを下げた。\n\n「水が冷たかった」\n「まだ5月の頭だしな。風邪引くぞ」\n\n 那歩子って、けっこう不思議ちゃんだよなぁ。そこが可愛いんだけど!\n\n「かんまくん。ユーは何をしにこんなところまで?」\n\n 那歩子はこてんと首をかしげ、俺の目を見つめる。深みを感じさせる瞳に見られていると、隠していたものをすべてさらけ出したくなる。けど、全部言ったらまずいよな。俺はところどころぼかしながら事情を打ち明けた。\n\n「俺、気になる女の子がいるんだけど。その子とうまくいってなくてさ。喧嘩?したわけでもないんだけど、ぎくしゃくしてて。で、もやもやして散歩してたらここにきた……みたいな」\n\n 俺としては上手にぼやかしたつもりだったが、那歩子はいつもの薄い表情で言った。\n\n「かぐやちゃん?」\n「っ。なんで」\n「最近ふたり、なんか変だから。そうなのかなって」\n\n こいつ、意外と鋭いよな。物事の本質を見る目を持つ人は芸術家に向いているとか聞いたことがある。那歩子もそのたぐいなのかもしれないなと思った。\n これ以上隠し事はできないと思った俺は、素直に打ち明けた。\n\n「俺、かぐやが好きなんだよ。でも、かもろしとあらにえは恋愛しちゃだめだって。それが掟なんだって言われて。だからちょっと、ぎくしゃくしてる」\n「そっか」\n\n 那歩子は俺の話を静かに聞いてくれる。本当なら人に話しちゃいけないことかもしれないが、那歩子は村人に告げ口するようなことはしないという信頼があった。\n\n 那歩子は俺の手を優しく掴み、ぎゅっと握る。手、冷たすぎだろ。\n\n「かぐやちゃんも、かんまくんのことが好きだよ。でも、かぐやちゃんは寮長だから。掟を破るのはいけないことだって、自分に言い聞かせてるんだと思う」\n\n 那歩子が妙に見透かしたようなことを言うものだから、俺は少し苛立った。\n\n「なんでそんなことが言えるんだよ」\n「かぐやちゃん、泣いてた」\n「え……っ」\n\n 俺は息を呑む。那歩子は淡々と、けれども悲しそうな声音で続ける。\n\n「夜、勉強を見てもらおうとお部屋に行ったら、すすり泣く声が聞こえて。その日からかぐやちゃんとかんまくんがぎくしゃくするようになったから。なにかあったんだろうなって」\n「……そっか」\n\n 俺はふうと息を整え、心を落ち着かせる。そして目の前の那歩子に、俺は訊ねた。\n\n「俺、どうしたらいいかな」\n「かんまくんのしたいようにすればいいと思う」\n「俺のしたいことって」\n\n 俺はかぐやと恋人になりたい。でも、それは許されないことなんだよな? 俺はどうしたら――\n\n「かんまくん」\n「っ」\n\n 那歩子はまっすぐに俺を見つめて言った。\n\n「男の子が女の子を泣かせていいのは、ベッドの上でだけだよ」\n「――――」\n\n 俺は目を閉じて、自らの頬をパンと叩く。覚悟は決まった。目を開けると、そこには柔らかく微笑む那歩子がいた。\n\n「行ってらっしゃい。かんまくん」\n「ああ。さんきゅ」\n\n 那歩子に見送られ、俺は走り出す。先程まであんなに重かったカラダが羽のように軽い。今ならどこへだって飛んでいけそうだ。\n\n「待ってろ、かぐや!」\n\n ◆\n\n ――村の会合を終えて帰宅したかぐやは、はあと大きくため息をつく。\n\n(疲れたな)\n\n 村のお偉方と話すのはいつだって緊張する。けれども、それが寮長の務めだから。自分がやらなければならない仕事なのだ。嫌だ嫌だとダダを捏ねるほど子供じゃない。わたしが不用意な発言をすれば、より締め付けが強くなる可能性もある。みんなが楽しく寮生活を送れるように、わたしが踏ん張らなきゃいけないんだ。\n\n 村のお歴々の関心は、もっぱら閑馬のこと。いつ子供はできるのか。毎日種付けはしてもらってるのか? 都会ならセクハラで訴えられそうな詰問を笑顔でかわす。もう慣れたけど、やっぱり辛いよ。かぐやの心はぼろぼろだった。\n\n「ふう」\n\n 部屋に戻ってくると、ようやく一息つける。かぐやは休日だというのに会合のために着用していたセーラー服を脱ぎ、下着姿でベッドにダイブする。こんなだらしない姿、みんなには見せられないな。なんてことを考えながら、かぐやの手は無意識にパンツに伸びていた。\n\n「んっ」\n\n 下着の上から秘所に触れ、パンツに浮き出た縦スジにすりすりと指の腹を擦り付ける。びりびりと電気が背筋を駆け昇り、頭がふわふわしてくる。空いた手でおっぱいをまさぐり、貪欲に刺激を求める。そのうち物足りなくなって、かぐやはブラとパンツを億劫そうに脱ぎ散らかした。乳首をピンピンと指で弾きながら、すでに濡れそぼっているオマンコに指を突っ込んでクチュクチュとかき回す。\n\n「閑馬くん……♡」\n\n 自然と彼の名前が口からこぼれ出る。\n 1ヶ月前に村に招かれたかもろし。わたしに種付けしてくれる人。最初はどんなヘンタイが来るかと身構えていたけど、実際彼はすごく良い人だった。顔も好みですぐ好きになったし、えっちだけどわたしの嫌がることはしない。かぐやはすぐに閑馬のことが好きになった。\n\n「でも、だめだよ……掟は絶対なんだから。好きになったらだめ」\n\n 口ではそう言いながらも、閑馬の顔を思い浮かべるだけで膣内にじゅんと愛液が染み出してきて、ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響く。快感も先程の比ではなく、下肢がぴくぴくと痙攣する。\n\n「閑馬くん……っ、ごめんねっ、ごめんなさいっ」\n\n 自分から彼を誘惑して、勝手に想いを告げ、突き放した。ひどいことをしたと思っている。でも、これが村の掟だから。あらにえとかもろしは結ばれてはいけないのだ。\n\n「んっんっ! つらい……つらいよぉ……」\n\n いつしかかぐやの目からは涙がこぼれていた。泣きながらぐちゅぐちゅと性器をまさぐり、悲しみを紛らわそうとする。けれども切なさと愛しさは強くなるばかりで、余計心がぐちゃぐちゃになった。\n\n「閑馬くんっ♡ すきっ♡ だいすきっ♡」\n\n ぴーんと両足をつっぱらせ、クリトリスをコリコリとしごく。頭が弾けそうな快感にガクガクとカラダが震えた。ふうふうと荒い息を吐きながら、押し寄せてくる虚無感と脱力感に耐えきれず、カラダがベッドに沈み込む。\n\n「……閑馬くん。すき……」\n\n 遠のく意識を手放して、かぐやはしばしの眠りに落ちた。\n まどろみの海の中で、かぐやは夢を見る。大好きな人との赤ちゃんを胸に抱え、幸せに笑っている自分がいた。何度も見た夢。叶うことのない願望のあらわれ。目が覚めたときに虚しくなるから、かぐやはこのたぐいの夢が嫌いだった。\n\n「……ん?」\n\n 妙にカラダが重い。まるで誰かが腕を押さえつけているみたいな。金縛り……?\n ゆっくりと目を開くと、そこには見慣れた顔の男性がいた。閑馬だった。\n\n「え? え。……え?」\n\n 何が起きたかわからない。かぐやは全裸でベッドに寝ていて、その上に閑馬が覆いかぶさっている。叫びそうになった。けれど、機先を制したのは閑馬のほうだった。\n 閑馬は、かぐやの目をまっすぐに見て叫んだ。\n\n「妊娠を前提にお付き合いしてください!!」"} |
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