| {"novel_id": "n0002la", "chapter": 16, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002la/16/", "title": "幕間②『リトル・ガールフレンド』(前)", "content": " 夜叉熊村に留学してきて一番きついこと――それは、なんといっても娯楽がなさすぎることだ。\n 「田舎はセックス以外の娯楽がない」なんてよく揶揄されるけど、正直否定できない俺がいる。なにせここはコンビニすらないド田舎だからな。当然カラオケもボウリングもないし、スポッチャ行くくらいならズポッチュしろって風潮だし。隣の朱鷺野町まではバスで片道1時間もかかる上に本数自体少なすぎるから、気軽に遠出もできない。初めのうちこそ自然溢れる田舎の風景に興奮していた俺だが、さすがに2ヶ月近く経つと見慣れてくる。\n つまるところ、俺は刺激に飢えていた。これは都会育ちのさがなのだろう。都会と比べて情報量の少なすぎる村での暮らしに、暇を持て余した脳があくびをしているのだ。\n\n『フンバルトデル王国の皇太子ウンティ・モラ氏が来日中にとつぜん便失禁した問題で――』\n\n テレビをつけてもろくなニュースやってないし。あまりにも見る価値がないな。そもそもチャンネル数が少なすぎるだろ!\n\n「暇だなぁ」\n\n 俺が居間のソファであくびを噛み殺していると――\n\n「どーん!」\n「うおっ!?」\n\n 突然リスちゃんが降ってきた! 俺は驚きつつ、その小柄なカラダを抱きとめる。\n\n「どうしたの。危ないでしょ」\n「えへへ~」\n\n リスちゃんはいたずらっぽく笑い、俺のお腹におでこをすりすりと擦り付けてくる。めちゃくちゃあまえんぼモードじゃないか。くそ、可愛すぎるな。天使かよ。\n リスちゃんは顔を上げ、上目遣いに俺を見ながら足をパタパタさせる。\n\n「カンちゃん。暇なの?」\n「まあな。今日は特に予定もないし。他のみんなも用事があるみたいで」\n「そーなんだぁ」\n\n リスちゃんはなぜか嬉しそうだ。にまにまと口の端をつりあげ、期待に満ちたまなざしで俺を見る。\n 俺は肩をすくめた。\n\n「ええと、遊ぶ?」\n「うんっ」\n「じゃあ、また性戯王カードとか」\n「ううん。今日は別のがいい」\n\n リスちゃんは俺の手を握り、勢いよく身体を起こす。そして、目をキラキラ輝かせながら言った。\n\n「カンちゃん。あたし、れんあい?っていうのしてみたい!」\n「恋愛?」\n「うんっ」\n\n リスちゃんは期待に満ちた眼差しを向けてくる。その瞳は新しいおもちゃを見つけた幼子のごとき無垢な輝きにあふれていた。\n 俺はうーんと唸る。恋愛かぁ。リスちゃんもそういうことに興味を持つお年頃なのかな? 俺がリスちゃんくらいの歳の頃は漫画とゲームのことしか考えてなかったけど。まあ、女の子って早熟だって言うしな。\n 俺はリスちゃんの目をまっすぐ見つめて訊ねる。\n\n「リスちゃん、恋愛ってどういうことをするかわかってる?」\n「知ってるよー。ちゅーとかするんでしょ?」\n「あはは。ませてんなぁ」\n\n こんな村で育ったら、そりゃマセガキにもなるだろうけどさ。\n\n「でも、リスちゃんにちゅーはまだ早いかもなー?」\n「むー。子供扱いしてる」\n\n リスちゃんはぷくっと頬をふくらませる。めちゃくちゃ子供じゃんって笑いそうになった。\n\n「恋愛って、他にはどういうことをするの?」\n「そうだなぁ。デートとか?」\n「一緒にお出かけするやつでしょ?」\n\n リスちゃんはにぱっと笑う。\n\n「じゃあ、今日はあたしとデートして遊ぼ!」\n「あはは。デートかぁ」\n\n 俺は苦笑しつつ、まあたまにはそういう休日も良いかもなと思った。どうせ他にすることもないし、リスちゃんとデートしてみようかな?\n 俺はリスちゃんと寮を出て、ぶらぶらとあてどなく歩き出した。\n\n「ふんふーん♪ ふふふーん♪」\n\n 隣を歩くリスちゃんは上機嫌で、歩幅も気持ち大きめだ。ぴょこぴょこ跳ねるサイドテールが微笑ましくて、自然と頬が緩む。\n\n「ていうか、リスちゃんは外出るときも体操服着てるんだな」\n\n 白くて厚ぼったいシャツとブルマを穿いたリスちゃんは、まあシンプルに小学生!って感じがして可愛い。\n リスちゃんはにひっと元気よく笑う。\n\n「そだよー。だって、これなら汚れても平気だもんね!」\n「まあ、言っちゃえば汚れるための服だもんな」\n\n 吸水性も速乾性も高いから汗をかいてもすぐ乾くし。体操服って万能だな。全小学生は体操服を私服にしろ(過激派)。\n\n「それで、これからどこに行くの?」\n\n 俺が訊ねると、リスちゃんはくるりと振り返り、にこっと笑った。\n\n「まずはお食事デートだよ!」\n\n そう言って彼女に連れてこられたのは、村の台所――小豆商店だった。コンビニはもとよりスーパーマーケットもないこの村では、食料品を買う場所といったらこの店。こじんまりとした外観とは裏腹に奥行きがあって、品揃えも良い。お菓子なんかも売ってる。\n\n「おお、アイリスちゃん。今日はかもろし様と一緒なんだねぇ」\n「おじいちゃん、こんにちは!」\n\n 店主の明日吉爺さんが声をかけてくる。見るからに好々爺って感じの爺さんだが、リスちゃんを見る目はとびきり優しい。実の孫のようにかわいがっているんだろうな。\n 爺さんは目を細め、俺とリスちゃんを順繰りに見る。\n\n「今日はふたりでお出かけかな?」\n「ふっふー。今日はね、カンちゃんとデートなの!」\n「リ、リスちゃん、それは……」\n\n 俺は冷や汗をかいた。かもろしとあらにえは恋愛禁止。寮の外で恋愛をほのめかすような発言はちょっと……!\n 明日吉爺さんは、ほっほっと漫画のように笑う。\n\n「そいつはいいねぇ」\n「でしょー?」\n「ワシも若い頃はバアさんとデェトしたもんだよ」\n「あはは……」\n\n 俺はほっと胸を撫で下ろす。一瞬焦ったけど、よく考えてみればリスちゃんはあらにえじゃないから、別に恋愛禁止じゃないのか。そもそも、爺さんも本気で俺達が男女の仲だと考えているわけじゃなさそうだ。\n\n「アイリスちゃん、なにか買っていくかい?」\n\n リスちゃんはニヒルな笑みを浮かべる。\n\n「おじいちゃん。\"いつもの\"ちょうだい」\n\n …………。\n ……。\n\n「いつものって、これなんだ」\n「そだよ。甘くておいしいでしょ!」\n\n チュッパチャップスをペロペロ舐めながら、俺達は村道を並んで歩く。もっと田舎っぽいお菓子でも紹介してくれるのかと思ったら、都会の子もよく舐めてるやつだった。まあ、味は間違いないけど。\n\n「次はどこ行くの?」\n「景色が良いとこがいいよねー」\n「おお。なんかそれっぽいな」\n\n ――ということで、俺達は櫓戊川へとやってきたのだった。\n 村の大動脈は今日も穏やかで、水面を見ていると癒やされる。俺が和んでいると、リスちゃんはおもむろに靴を脱ぎだした\n\n「川に入るの? まだ5月だし冷たいんじゃ……」\n「ううん。違うよー」\n\n 裸足になったリスちゃんはふるふるとかぶりを振り、得意げな顔で俺を見る。\n\n「今日はね、カンちゃんに村の遊びを教えてあげます!」\n「村の遊び……?」\n\n そういえば、この村の子供ってどういう遊びをするんだろう。田舎ならではの娯楽があるならぜひ知りたいな。俺がわくわくしていると、リスちゃんはおもむろにブルマの股布をずらして幼い性器を露出させた。\n 俺はぎょっとする。\n\n「え。ちょ。リスちゃんっ、なにしてるの?」\n「ふふ。これが村に伝わる伝統的な遊び……\"とばしっこ\"!だよ♪」\n「とばしっこって……」\n\n ……え。もしかして、おしっこ飛ばすの? だからお外なのにおまんこ出しちゃったの!?\n\n「川辺のギリギリのところに立って、おしっこを飛ばすの! 一番遠くまで飛ばした子が\"おしっこキング\"になるんだよ」\n「なんだその不名誉すぎる称号!」\n\n だいたい、女の子ばかりなんだから\"おしっこクイーン\"じゃないか? どっちみち不名誉だな!\n 田舎はおおらかってイメージがあるが、あまりにもおおらかすぎるだろ!\n\n「そんな遊び、リスちゃんしかしてないでしょ?」\n「ふふふー。これは、つーかぎれー?なんだよ。おしっこ飛ばして一人前の夜叉熊っ子なんだ♪」\n\n マジかよ。本当に? かぐやとか祐衣がおしっこ飛ばしてるところ、想像できねえんだが。\n\n「ほら、カンちゃんも脱いで! おしっこしよ♪」\n「わ、わかったから。自分で脱げるって」\n\n 俺はハーフパンツをずり下ろし、ちんちんを丸出しにした。こんなところ人に見られたらめっちゃ恥ずかしいぞ!\n\n「おー。ぞうさん。もさもさだ」\n\n リスちゃんは俺のちんこに興味津々のようで、めっちゃ見てくる。勘弁してほしい。\n 俺とリスちゃんは川面ギリギリのところでしっこスタンバイする。\n\n「おしっこするときは『しっこします!』って言うんだよ。じゃないと『うっかりシッコ』で無効だから」\n「レギュレーションが厳しすぎる……!」\n「しっこしますっ!」\n\n さっそくリスちゃんがおしっこし始めた。つるつるまんこから勢いよく噴き出した飛沫がしたたかに川面を叩く。\n\n「んんっ。今日は飛距離がいまいち」\n「違いがわからん……」\n\n 槍投げか砲丸投げの選手かよってツッコミを入れそうになる。\n 徐々に勢いが弱まり、やがておしっこを出し尽くしたのか、リスちゃんはぶるっと身体を震わせる。\n\n「えへへ。ちょっと足にかかっちゃった。でも、川で洗えばいいよねっ」\n「そうだね……」\n\n 俺はどう返すのが正解だったんだろうなぁ……と煩悶した。\n\n「次はカンちゃんの番だよ!」\n「わかったって。ちょっと待って」\n「ちなみに、白いおしっこはルール違反で負けだからね?」\n\n この状況で白いおしっこ出したら、俺は人間としてアウトじゃないでしょうか。もう十分にアウトな気がするけど!\n\n「んっ」\n\n じょぼじょぼ。俺はおしっこをした。放物線を描いて飛び出した黄金水が、自分でもびっくりするくらい飛んだ。\n リスちゃんは悔しそうに膝をつく。\n\n「くっ。負けた……! このためにおしっこ我慢してたのにっ」\n「このゲーム、男が有利すぎるだろ……」\n\n かくして、俺はおしっこキングの称号を得た! いらねえ……!\n\n「これでカンちゃんも立派な夜叉熊っ子だね♪」\n\n リスちゃんはぐっと親指を立て、バチコンとウインクする。\n リスちゃんとの絆が深まった――ような気がするけど、デート感はなくなったなぁ、と俺は遠い目をするのだった――。"} |
Xet Storage Details
- Size:
- 12.6 kB
- Xet hash:
- fa459eb346a227401c6ade98927451b92138499a7ae0d33fa298f8aa7f357231
·
Xet efficiently stores files, intelligently splitting them into unique chunks and accelerating uploads and downloads. More info.