Krixter/Repo / n0002la /17.json
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{"novel_id": "n0002la", "chapter": 17, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0002la/17/", "title": "幕間②『リトル・ガールフレンド』(後)", "content": " リスちゃんとのデートを終え、寮に帰って夕飯を食い、居間でまったりしていると、洗い物を終えたかぐやがやってきて、ちょこんと隣に座った。\n\n「今日はアイちゃんと遊んでくれたんだって?」\n「ああ。まあな」\n「アイちゃん喜んでたよー。ふふ、何して遊んだの?」\n「いやあ。まあなんというか」\n\n 俺は頭を掻き、思わず目をそらす。リスちゃんの話を思い出したのだ。とばしっこをするのが夜叉熊っ子の通過儀礼だとかなんとか。かぐやも川でおしっこ飛ばして遊んだのか? うーん……。\n\n「なあ、かぐや。とばしっこって知ってる?」\n「え」\n\n かぐやはきょとんとして、あははと乾いた笑いを漏らす。\n\n「村の男の子の遊びだよね? 度胸試しみたいな」\n「女の子はやらないのか?」\n「わたしはやらなかったなー。普通はやらないんじゃない?」\n「だよなぁ」\n\n どう考えても女の子の遊びじゃないもんな。リスちゃん、誰からあんな遊びを教えてもらったんだろうな。おおかた、リスちゃんを可愛がっている村の爺さま方が吹き込んだんじゃないかと思った。\n かぐやはこてんと小首をかしげる。\n\n「え? 閑馬くん、とばしっこしたの?」\n「さー、風呂でも入ってくるか」\n\n 俺はやおら立ち上がり、そそくさと居間を後にする。我ながら誤魔化しが下手すぎるな。\n 着替えを持って脱衣所に行くと、風呂上がりの祐衣がドライヤーで髪を乾かしていた。\n\n「ちょっと。ノックくらいしなさいよ。全裸だったらどうするの」\n「悪い悪い」\n\n 共同生活にも慣れてきたが、やっぱり女ばかりの寮生活に混じっているせいで、最初の頃は結構トラブルを起こしたなぁと遠い目をする。\n\n「外出てようか?」\n「いいわよ。もう部屋戻るし」\n\n 脇を通り抜けていった祐衣の髪からシャンプーの良いにおいがして、ほんのり幸せな気分になった。寮生活はこういうささやかなハッピーがいっぱいで非常にはかどる。何がとは言わないが。\n 服を脱ぎ、浴室に入る。シャワーでさっと汗を流し、シャンプーを手にとって泡だて、わしゃわしゃと髪を洗っていると――\n\n「カンちゃん!」\n\n 風呂の扉が勢いよく開いた。ぎょっとしながら振り返ると、そこにはスクール水着姿のリスちゃんが仁王立ちしていた。\n\n「ど、どうしたの?」\n\n 俺がおずおずと訊ねると、リスちゃんはぷくっと頬をふくらませる。\n\n「どうしたの?じゃないよ。なにひとりでお風呂入ってるの?」\n「風呂はひとりで入るものだろ」\n\n リスちゃんは、ちっちっちと指を振る。\n\n「こいびとはいっしょにお風呂に入るって那歩子ちゃんが言ってたよ」\n「那歩子ぉおおおっ!」\n\n 俺は思わず叫んだ。無垢なリスちゃんに何吹き込んでんだよ!\n リスちゃんは、手をわきわきさせながらにじり寄ってくる。\n\n「というわけで、お背中流させろー!」\n「ウワー!」\n\n ――というわけで。\n\n「ごしごし。ごしごし。かゆいところないですかー?」\n「痒かったら自分で掻くよ。背中なんだし」\n\n 俺は、リスちゃんに背中を洗ってもらっている。なんだこれ。どういうシチュエーションだよ。\n\n「んっしょ。おいっしょ」\n\n リスちゃんは両手でスポンジを持って、体重をかけて背中を擦る。俺的にはもっと強めにやってもらっていいんだけど、女の子――それも小学生の力じゃこんなもんだよな。\n\n「次は前も洗うね!」\n「そっちは自分でできますので!」\n\n さすがに断固として拒否した。小学生の女の子にお股を洗わせるなんて犯罪的すぎる!\n ゴシゴシと前を洗ってから、俺は全身をシャワーで流し、湯船に入る。今度はリスちゃんが風呂椅子に座り、二の腕を洗い始めた。\n\n「水着じゃ洗いづらいだろ」\n「でも、おっぱい見られるの恥ずかしいし」\n\n リスちゃんはもじもじする。おまんこを見られるのは平気だけど、おっぱいを見られるのは恥ずかしい。これが小学生の羞恥心か……。俺が生暖かい眼差しを向けていると、リスちゃんがこっちにシャワーをぶっかけてきた。\n\n「あんまり見ちゃだめ!」\n「ごめんごめん」\n\n 俺は目をそらし、自分の膝頭をじっと見つめた。やがて全身を洗い終えたリスちゃんが浴槽に入ってくる。\n\n「あははっ。狭いねー」\n「だってどう考えても1人用だもんよ。そりゃ狭いさ」\n\n 湯船の中で体操座りして向かい合う。窮屈だけど、不思議と嫌な気分にはならなかった。\n\n「ねえ、カンちゃん」\n\n リスちゃんが膝頭に顎をのせ、上目遣いにこちらを見る。\n\n「あたし、ちゃんとこいびとできてた?」\n「ああ。できてたできてた」\n「えへへっ」\n\n くすぐったい笑い声が狭い浴室にわんわんとこだまする。リスちゃんは浴槽の中で手を伸ばし、俺の手をにぎにぎする。\n\n「カンちゃん、ありがとね」\n「え?」\n\n 何に対するお礼なんだろうと首をひねる。彼女はにっと歯を見せて笑った。\n\n「あたしね、ずっとお兄ちゃんが欲しかったんだ。カンちゃんがりゅーがく?にきて、夢が叶っちゃった」\n「ああ」\n\n 俺はうなずき、リスちゃんの手を握り返す。\n\n「俺も、リスちゃんのことを妹みたいに思ってるよ」\n「ふふー。うれしーなぁ」\n\n リスちゃんはにへらと口元を緩ませ、ぱちゃぱちゃと水面を叩く。年相応の子供っぽい仕草だが、彼女の感情がわかりやすく伝わってきて、自然と頬が緩んだ。\n\n「……いつか、本当のこいびとにしてね」\n\n 囁くような声だったが、風呂場は声の通りが良いからよく聞こえた。俺はぽんぽんと彼女の頭を撫でる。\n\n「リスちゃんがもう少し大人になったらな」\n「約束だよー?」\n\n 俺はリスちゃんと指切りげんまんした。\n 俺は先に風呂から上がり、ささっと髪を乾かして部屋に戻る。しばらくして、こんこんと扉をノックされた。\n\n「カンちゃん……きちゃった♪」\n\n パジャマ姿のリスちゃんが枕を抱えてやってきた。意図は理解できるが……。\n\n「急にどうしたんだ?」\n「那歩子ちゃんがね、こいびと同士は一緒に寝るんだって言ってたの」\n\n たぶん\"寝る\"の意味が違うんだろうなぁと思った。\n リスちゃんは枕に顎をのせて、上目遣いにこちらを見る。\n\n「……だめ?」\n\n 俺はぽんぽんとベッドを叩いた。\n\n「いいよ。おいで」\n「うんっ」\n\n リスちゃんは俺の隣に枕を置き、布団に潜り込んできた。\n\n「今夜は寝かさないよー? いっぱいお話するんだから!」\n\n と意気込んでいたが、彼女は布団に入って1分も経たないうちに穏やかな寝息を立て始めた。\n\n「くーくー。にへへ。カンちゃんだいすきー」\n「はは」\n\n 俺はそんな小さなガールフレンドのしっとりとした髪を優しく梳り、ぽつり呟いた。\n\n「……村での生活、やっぱり最高かもな」"}

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