Krixter/Repo / n0005cn /104.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 104, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/104/", "title": "104 嵐の先", "content": "「はあっ、はあっ……」\n\n こういうのも反射というのでしょうか。\n ゲームなのについ呼吸を荒くしてしまいます。\n\n「ユウカちゃんっ!」\n\n「おねえちゃんっ」\n\n「ユウカさん」\n\n 夕凪さんたちが駆け寄ってきます。\n\n やっと大蜥蜴を倒しました。\n 間違いなく今までで一番長く戦いました。\n なんだか体が重いですが、これは雨のせいなのでしょう。\n\n「皆さん、大丈夫でしたか?」\n\n「それよりもユウカちゃん! 本当に焦ったんだからねぇ」\n\n 私の肩を掴んでほっと息をつく夕凪さん。\n 確かに危ないところはありましたが、終始かすめていただけですからね。\n\n「そうじゃなくて、ユウカちゃんのHPだよ」\n\n 言われて確かめてびっくりです。\n かすめていただけのはずなのに、私のHPは2割を切っていたのです。\n\n「いつの間にこんなに……」\n\n「ほんと見てて焦ったよ。ユウカちゃんが噛まれるたびにHPが減っていくんだからね」\n\n 噛まれる、というのは私の影が、ですよね。\n 知りませんでした、あの影が倒されると私のHPが減少するんですね。\n\n「まあ、倒せたんですからね」\n\n「そうだけどさ……。それにユウカちゃんは装備も壊れちゃったみたいだし」\n\n 武器はそのまま残っています。\n 自分の身体を見ても、いつものとおりに黒い和服です。\n ……ああ、アーミーベストがいつの間にか無くなっています。\n 壊れて消えてしまったのでしょう。\n 身体が重かったのもこのせいなのでしょう。\n\n「アーミーベストなら余裕があるので大丈夫そうですね」\n\n 蜥蜴の革はたくさんあります。\n\n「とりあえず、戻る?」\n\n そうですね。\n 今日はもう狩りは十分でしょう。\n\n\n「ユウカちゃん、これ受け取ってよ」\n\n 渡されたのは、『シャワーリザードの玉符革』と『シャワーリザードの竹符革』というものでした。\n\n「これってドロップ品ですか?」\n\n「そうそう。どうせ私たちの中だとユウカちゃんしか加工できないからね」\n\n 私のインベントリにも同じものが入っています。\n どうせなら皆がいるときに戦いたかったですね。\n\n それにしても、この革は硬いですね。\n これならばエジアの武器が作れそうな気がします。\n 大きさも十分足りそうです。\n\n「戻ったらエジアの装備を作りましょうね」\n\n「嬉しいの!」\n\n 別の使い方もあるのかもしれませんが、今必要なのはエジアの装備ですからね。\n\n「それにしても強かったですね」\n\n「そうだねえ。おかげで私の職も進化できたしね」\n\n「……おめでとうございます?」\n\n「ふふっ、ありがと」\n\n 夕凪さんの職は【弓使い】でした。\n それと私と同じ【復讐者】も持っていたはずですね。\n もしかしたら他の職も持っているかもしれませんが、マナーなので聞いていません。\n\n どうやら職業はレベル100になると進化するらしいですね。\n しかも【弓兵】と【狩人】のふたつから選ぶ必要があったそうです。\n 夕凪さんは予め【狩人】になることを決めていたそうです。\n 【弓兵】は、周りに【弓兵】が集まるほど強くなるみたいです。\n 【狩人】は、それなりの強さですが同じ職が揃っても強さは変わらないと。\n きちんと調べているんですねえ。\n\n 私も調べたほうがいいのでしょうか。\n 【盗賊】レベルはもう93。\n 頑張ったら数日で進化するでしょう。\n しかし、どうやらこれまでの行動によって選択できる職業が変わってくるのだとか。\n 無駄な時間を使う可能性もあるので、進化が可能になってから考えたほうがいいかもしれませんね。\n\n\n------\n\n\n 村へと戻ってきました。\n やはり晴れというのはいいですね、いくら雨の中に慣れたとはいえ。\n それでは早速装備作りです。\n 広場にみんなで集まります。\n\n「それでは手のサイズを測らせてもらいますね」\n\n エジアの手をとって大きさを測ります。\n 出来る限りスキルを使わないほうがいいものができるということは分かっています。\n 丁寧に丁寧に、彼女の手をサイズを測りました。\n\n それにしても、小さな手です。\n ぷにぷに柔らかくて、素手で殴っていたなんて思えません。\n 思わずぎゅっと指と指を絡めて握ってしまいます。\n 握り返してくれたのは嬉しいですね。\n\n その次に手に入れた革を取り出します。\n 『シャワーリザードの玉符革』と『シャワーリザードの竹符革』です。\n どちらも『シャワーリザードの革』と比較すると硬いのですが、どうやら竹符革が特に硬いみたいです。\n\n 早速加工するのですが、その前に。\n\n「どのような見た目がいいでしょうか?」\n\n「カッコいいのがいいの!」\n\n さて……。\n なかなかセンスの問われるリクエストです。\n テーマは……エジアなので竜っぽいものがいいでしょうか。\n\n ところで、蜥蜴と竜って親戚みたいですよね。\n 蜥蜴の革を装備にすることに思うところはないのでしょうか。\n 人で言うと猿とかの装備でしょうか?\n ……あまり関係ないかもしれませんね。\n\n 次は革の裁断です。\n どうやら革一枚だけでグローブをセットで作れそうです。\n ジョキンとまずは半分に。\n いえ、嘘です、そんな簡単には切れませんでした。\n 凄く硬い革を頑張って頑張って裁断します。\n ハサミが壊れないのが不思議なくらいでした。\n\n 半分になった革をこれまた頑張って腕の形へと変えていきます。\n その後の裁縫なのですが、これまた大変なものでした。\n なかなか針が通りません。\n 刺して、刺して、指まで貫通しそうなぐらいに力を込めます。\n\n 多分ですけれど、これは本当にいい素材なのでしょうね。\n だからこれほど加工しにくいのでしょう。\n そうなると、出来上がるものは期待できそうです。\n それこそエジアが一番火力があるぐらいにまでなるかもしれません。\n\n そうしてなんとか、グローブとブーツが完成しました。\n 硬いです。\n とてつもなく硬いです。\n 殴られたら気絶してしまいそうです。\n さすがにこのままだと手を痛めそうだったので、内側には布を詰めました。\n おかげで一度縫い直す羽目になりました。\n もっと計画的にやらねばなりませんね。\n\n「ありがとうなの! とってもカッコいいの!」\n\n 出来上がったのは青みがかった鱗のグローブとブーツです。\n デザイン云々は忘れました。\n とてもとても私のスキルではこだわれません。\n 形にするだけで精一杯なのでした。\n\n グローブとブーツを身に付けたエジア。\n 小さいながら様になっている気がします。\n あとは防具ですね。\n 今の服はツナギみたいなものですから、グローブとブーツがアンバランスです。\n だからいいのだという人もいるかもしれませんが、やっぱりおかしいです。\n エジアは言うならば拳闘士。\n ならば必要なのは……マントでしょう。\n\n でも作る前に時間切れです。\n\n「ユウカさんっ!」\n\n 抱きついてきたのはアイリーです。\n 以前は皆の前で好意を見せることを隠していたのに、今ではむしろ見せつけようとしています。\n もちろん私も歓迎です。\n\n「ユウカさあん。クエスト終わりましたよ~!」\n\n さすがに駆けよるまではしなかったリコが声を大きく話してくれました。\n ……クエスト、終わったんですか?\n\n クエストを開くと……あら、受領中のクエストが全部消えています。\n 完了済みに『ななつ』のほうのクエストが移動しており、失敗のほうに『ここのつ』のクエストが移っています。\n ステータスを見ると、新たに【幻惑耐性】を覚えていました。\n\n「これで、やっと西へと向かえるのですね……」\n\n 先週末に西へと移動して、ちょうど一週間でしょうか。\n 謎解きから足止めまで、色々と長かった気がします。\n\n「もうこの村にいる必要もないし、早速移動するだろう?」\n\n「でも、今の時間から移動すると間違いなく野宿になりますよ?」\n\n「今日で5日目だし、移動するなら早いほうがいいと思うかな」\n\n もうそろそろ日も暮れようとしている時間です。\n 安全を取るならば、今日は村に滞在するのがいいでしょう。\n しかし本日は、ログインしてから5日目です。\n 明日はログアウトの日。\n 安全地点でログアウトしないと、何が起こるか分かりません。\n\n この村は安全地点ではなく、その気になると村の中でも戦闘行為が可能です。\n つまり、移動する必要がありました。\n ひとつはアテルダムへと戻る案。\n そして来週改めて西へ向かうということですね。\n もうひとつは今すぐ西へ。\n 安全地点を見つけられるのではという安易な考えのもとに進みます。\n\n ……進みましょうか。\n 別に安全地点が見つからなくてもいいではないですか。\n どうせゲームなのです、そこまでリスク回避はしなくてもいいでしょう。\n\n そもそも私たちは拠点を探して西へ向かうのです。\n 拠点の設置は恐らく早い者勝ちなので、誰よりも早く行く必要があります。\n つまり、リスクなんていちいち考えていられないということですね。\n\n「分かりました。それでは早速向かいましょう」\n\n 雨の中狩りをしてきたので休みたかったのですが、西へ向かえるなら向かいましょう。\n 私は馬車の中で休みますけどね。\n\n\n 馬車に乗って村を出ます。\n お世話になった村ですが、お互いに挨拶はありません。\n\n そして村を出たあとなのですが、目の前で村が消えました。\n\n「これは……」\n\n 夕凪さんが教えてくれます。\n 恐らく、クエスト専用の村なんだろうねと。\n 石碑を解読することで村に入れるようになって、クエストをクリアしたからもう村には戻れない。\n もう用事はないからいいんですけれど、入れなくなるのはちょっとだけ残念でした。\n\n「さすがに掲示板に書いたほうがいいかな」\n\n そうですね。\n 石碑の内容だけでも書き込んだから、誰かが別の答えを教えてくれるかもしれませんからね。\n\n\n 石碑の近くまで戻ってきました。\n\n「大丈夫でしょうか……」\n\n 確かに新たなスキルは得たのですが、進めるかどうかは不安になりますね。\n 表示されている地図を拡大します。\n もうすぐ詳細な情報はなくなります。\n つまり飛ばされた地点です。\n\n「もしもダメだったら西に行くのは諦めるんですか?」\n\n そうですね、もしもの場合も考えたほうがいいかもしれませんね。\n あと思うのは、アテルダムから西に行けなくても、ぐるっと南から西へ向かえばもしかしたらとも思うのです。\n まあ失敗してから考えたらいいですね。\n\n そして、気付いたら新たな地に入っていました。\n\n 御者はマトヴィさん達ですからね、特に思い入れもありませんよね……。\n\n「これで一安心ね」\n\n「そうだねえ。あとは街が見つかると最高なんだけどねえ」\n\n 未だ誰も踏み入れたことのない土地です。\n 近くに何があるのか、私たちにはさっぱりです。\n そういえば、誰かが色んな村によっていけとか言ってたような?\n\n「とりあえず今日はもう野宿がいいでしょうね」\n\n もう外は暗くなっているので、これ以上進むのは危険でしょう。\n 西に来た瞬間、雨が止んでいます。\n ということはモンスターも変わっているはずです。\n 明るくなるまでは待つべきでしょうね。\n\n「ユウカ、あそこにあるのが見えるかい」\n\n 声をかける前に、マトヴィさんから声がかかります。\n 窓から顔を乗り出して見つめる先には……家?\n\n「あれ、なんでしょう?」\n\n「さあ……とりあえず向かうかい?」\n\n「そう、ですね。こんな道沿いにある家ですから、少なくとも危なくはないでしょうね」\n\n 一体何でしょう。\n ある程度大きな、3階建てぐらいの建物でした。\n\n\n「おや、いらっしゃい。こんな時間にお客さんなんて珍しいこともあるね」\n\n とりあえず様子見で私が入ったのですが、中にはカウンターが有りました。\n そして妙齢の女性です。\n\n「すみません。初めてこの辺りまで来たのですが、ここはどういった建物なのでしょうか?」\n\n「なんだ、知らないのかい。ここは旅の宿さ。野宿を嫌がる客もそれなりにいるからね、道に沿って宿屋もあるというわけさ。もちろんそれなりのお金はいただくけどね」\n\n お金は……あると言えばあります。\n そしてこの宿屋の中は、どうやら武器を構えることができません。\n つまりは安全地帯です。\n 野宿よりも断然マシです。\n ここに泊まることにしましょう。\n\n「ありがとうございます。できたらここに泊まりたいのですがお部屋は空いているでしょうか。合計で9名なのですけれど」\n\n「見ての通り今日の客はゼロだよ。あんたたちひとりひとりに部屋を与えることができるさね」\n\n ちょっと失礼な聞き方だったかもしれませんね。\n お部屋の空きはあるそうなので、早速皆さんを連れてきましょう。\n\n\n「じゃあ明日の朝ね」\n\n「おやすみぃ~」\n\n「おやすみなさい」\n\n マトヴィさんは紫桜さんとヨウをつれてお部屋に消えました。\n 残った私たちは大部屋です。\n 人数で割ると大部屋のほうが安上がりなのがいいですよね。\n\n「今日はとっても疲れました……」\n\n「神経使ったからねぇ」\n\n そうですね、ずっと気を張っていました。\n 脳の疲労というのは眠らないと抜けませんよね。\n 実際には今も眠っているはずなので、精神的なものかもしれませんけれど。\n\n「そういえば、アイリーはまだ職業は進化していないのですか? 夕凪さんは【狩人】になったそうですけれど」\n\n「うそっ!?」\n\n あれ、夕凪さんはまだ伝えてなかったんですね。\n\n「……錬金術士はあがりにくのよ」\n\n よしよし。\n アイリーを抱きしめてあげます。\n\n「ユウカさあん。薬師もあがりにくいんですぅ」\n\n よしよし。\n リコも抱きしめてあげました。\n\n「私もなの!」\n\n エジアも飛びついてきて、ベッドに押し倒されてしまいます。\n なかなかいいベッドのようで、ふわっと身体が包まれます。\n\n 同時に襲ってくる眠気。\n もう、寝ちゃいましょうか……。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv64\n職業:盗賊Lv94, 復讐者Lv32\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:3300/3300\nMP:3300/3300\n-\nSTR:255\nVIT:120\nAGI:755\nDEX:590\nINT:350\nポイント:300\n-\n【パッシブスキル】\n短剣Lv100, 投擲Lv28\n看知の瞳Lv32, 工人の瞳Lv7\n夜目Lv31, 超聴覚Lv51, 気配察知Lv54\n農業Lv12\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:171\n【レジストスキル】\n幻惑耐性 (New)\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+7, 信頼+3, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,702,765e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   雨蜥蜴のアーミーベスト\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n   転移のイヤリング"}

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