| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 11, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/11/", "title": "011 知りたくなかった初体験", "content": "「きゃっ」\n\n 夕凪さんと編み物の材料を求めて歩いていた時です。\n 後ろから人にぶつかられ、倒れ込みそうになったところを夕凪さんに支えられます。\n\n「あ、ありがとうございます」\n\n「いえいえ、気にすることはないよ」\n\n うーん、相変わらずかっこいいですねえ。\n それはそうと、一体誰がぶつかって来たのでしょうか。\n 私にぶつかって仰向けに倒れたのでしょうおじさんは、いきなり飛び上がって叫んできました。\n\n「クソっ! 邪魔だお前ら!」\n\n そう言って私の横を駆け抜けようとしたところを、すかさず夕凪さんが捕まえました。\n\n「ちょっと待った。私たちはただ歩いてただけだよ。悪いのは明らかにあんただろう?」\n\n「う、うるせえ! そんなことはどーでもいいんだよ! いいからとっとと腕を離しやがれ!」\n\n おじさんは理不尽に叫び暴れますが、夕凪さんは手を離しません。\n 弓使いは力も強いのでしょうかね。\n\n「~~おい! そいつを逃さないでくれっ!」\n\n おじさんと夕凪さんで押し問答をしていると、遠くから声がかかります。\n 同じ服を着た人が3名、こちらに向かって駆けてきました。\n\n「ああ、そういうことなんだ」\n\n 夕凪さんは何かがわかったようでした。\n そのまま3人がやってきて、夕凪さんとちょっと話したあとにおじさんを連れて行きました。\n\n「あれ、一応クエストなんだよ」\n\n 疑問に思っていた私に夕凪さんが教えてくれます。\n\n「たぶん食い逃げとか盗人とかだと思うんだけどね、大体はバレて街の警備に追いかけられてるんだ。それにぶつかったらクエスト開始。警備の人が来るまで捕まえてたら成功で、逃げられたら失敗っていうお小遣い稼ぎのクエストだよ」\n\n クエストのログを見てみると、確かに更新されていました。\n 『盗人を逃がすな』だそうです。\n こんなの気付きませんよねぇ。\n\n「前はよく分からずに逃してしまう人も多かったみたいだね。掲示板で早くから有名なイベントだったから、すぐに対応方法が確立されたんだよ」\n\n「それじゃぶつかって来た人は常に捕まえたらいいんですか?」\n\n「それがそうでもなくてねぇ。冤罪の場合もあるんだよ。見分け方は、さっきの人見たいに理不尽に怒ってきたら犯罪者。礼儀正しい人は冤罪って感じかな。それも確実じゃないから、ぶつからないことが一番安全だけどね」\n\n これで一獲千金狙いましょうかと思いましたが、どうやらそこまで美味しい話でもないようです。\n ちなみに報酬はいつのまにか1,000eが貰えていました。\n もしかしたらこういう小さなクエストというのは沢山あるのかもしれませんね。\n\n\n「ここが色々と小物を売ってるお店だね。裁縫道具もあると思うんだけどねぇ」\n\n「いえいえ、無理な案内をお願いしてこちらこそ申し訳ありません」\n\n 少々自信なさげな夕凪さん。\n 当たり前ですけれど、興味のない道具っていうのはどこに売ってあるか覚えませんからね。\n\n お店を見渡すと、どうやら手作りの小物をおいてあるようです。\n 木製のちっちゃな棚とか、椅子とか、お皿とかですね。\n なかなか実用的なものが揃っていそうです。\n\n「おや、いらっしゃい」\n\n 声をかけてくれたのは店員さんです。\n あまり大きくないお店で、カウンターの向こうに居座っていました。\n\n「やっほ、久し振りだね~」\n\n 夕凪さんは交友関係が広いです。\n アイリーさんも夕凪さんの紹介でしたし。\n\n「ユウカちゃん、こちら麻良さんだよ。ここの店長さん。麻良さん、こちらユウカちゃん。今固定でパーティー組んでる子だよ」\n\n 夕凪さんにそれぞれ紹介されます。\n あさらさん、と言うそうですね。\n\n 麻良さんの見た目は40代のおばさんです。\n こういう雰囲気のお店に似合ってます。\n 見守ってくれそうな癒し系ですね。\n\n どうやら夕凪さんと麻良さんはたまにパーティーを組む間柄だそうです。\n そして夕凪さんの武器も麻良さんの特注品だとか。\n それにしてはお店に弓も矢も置いていませんね。\n\n「武器を売るのは面倒臭いのさ。自由にしたらいいのに文句をつけてくる奴らもいるのさ」\n\n どうやら、ここでも盗賊ギルドが出張ってくるみたいです。\n 武器屋以外で武器を売るなってことですね。\n 実際は問題ないんですけれど、問題にならない程度の嫌がらせを継続されるみたいです。\n 下着も買えないし、ほんと嫌なギルドですね。\n\n「すいません、編み物用の糸と棒は置いてありますか?」\n\n「おお、編み物をやるのかい。いくつか太さがあるから自由に選ぶといいよ」\n\n 出された糸は絹糸、麻糸、山羊糸、羊糸の4種類です。\n さて、どれにしましょうか。\n 絹糸は手触りがいいので肌着用ですね。\n 麻糸は丈夫なので外着でしょうか。\n 山羊、羊もいいですね。\n\n いやいや、まずは編みやすいものにするべきでしょう。\n 手編みで面積を稼ぐ必要があるのですからね。\n いえいえ、編みやすさよりも値段で考えたほうが良さそうです。\n\n 絹は高いですね。それに濡れると防御力が落ちるようです。\n 水に弱い特徴はそんなふうに再現されているんですね。\n\n 山羊と羊は安いです。\n モンスターのドロップ品らしいので、必要ない人が売るため一定の供給があるみたいです。\n\n そして麻なんですけれど。\n どうやら麻良さんが自ら採取しているみたいです。\n むしろ他に採取してくる人がいないのだとか。\n 値段は絹よりは安いですね。\n\n うーん。\n 練習でマフラーを編むとして、用途を考えると麻のほうがいいんですよねぇ。\n 通気性があるので温かい日でも使えますし、それに丈夫ですし。\n\n「麻良さん、できたら麻糸を大量に欲しいんですけれど、用意することは可能でしょうか?」\n\n「麻糸ねぇ。私一人だけじゃどうしても採取が追いつかなくてねぇ」\n\n むむむ。\n たしかに麻良さんだけでは採取は間に合いませんね。\n しかしそれではどうしたらいいでしょうか。\n\n「あなた達が麻を採取してきてくれたら、麻糸を作れるんだけどねぇ」\n\n そんなことを言われても採取なんて出来ませんよ。\n そういえば、麻はどんなスキルを習得したら見つけられるようになるんでしょうね。\n\n「取りに行きたいところなんですが、残念ながらスキルを覚えていないんです。よろしければどんなスキルが必要なのか教えて頂けますか?」\n\n「おや、本当に行ってくれるのかい。だったらスキルは教えてあげるよ。それに今ある麻糸は全部タダで持って行っていいよ」\n\n おや、それじゃ私たちはメリットばかりじゃないんですかね?\n\n「ユウカちゃん。勘違いしてるかもしれないから教えるけど、スキルを教わるっていうのは、スキルを教わる人がスキルポイントを消費するんだよ」\n\n なんと。\n そういえば今までスキルポイントでスキルを覚えることはありませんでしたね。\n どういうシステムなんでしょう?\n\n「実際に覚えるのが一番早いね。麻良さん、とりあえずパーティーに入って頂戴。ユウカちゃんは麻良さんが入った後でスキルを覚えて頂戴」\n\n 言われたとおり、麻良さんがパーティーに入ったあとでスキルを覚えようとします。\n 覚えられるスキル一覧が表示されました。\n 思ったよりも少ないですね……。\n\n 一覧に現れたのは目当ての【工人の瞳】、それに【木工】【弓】【与一の瞳】……。\n あれ、これってもしかして。\n\n「わかったかい? スキルポイントで新たに覚えられるスキルっていうのは、パーティーを組んでいるメンバーが既に覚えているスキルだけなんだよ」\n\n ……そうなんですね。\n どうりで新たにスキルを覚えた時にスキルポイントを消費しないと思いました。\n これが教えてもらうっていうやつなんですね。\n\n 【工人の瞳】のスキルを覚えるための必要ポイントは5ポイントでした。\n 迷わずに覚えます。\n これで採取も大丈夫でしょう。\n\n それにしても、パーティーメンバーのスキルしか覚えられないですか。\n 目線を変えると、パーティーメンバーのスキルが分かってしまうということですね。\n これだと野良でパーティーを組むのはためらわれる気がするのですけれど。\n\n「そうだね。普通のゲームだとその場限りのパーティーを組んで目的を達成したらはいさようならっていうのはよくあるけど、このゲームだと信頼できる人同士でしかパーティーは組まないかな」\n\n もしくは、知られてもいいスキルしか覚えていない場合でしょうか。\n\n「大事なスキルポイントを使ってスキルを覚えてもらったんだ。だからメリットばっかりってわけじゃなく、それなりのデメリットもあるのさ。それに今後は麻の入荷も期待できるからね。多少の麻糸をプレゼントするぐらい先行投資としては安いもんさ」\n\n そうなるわけですね。\n それでも私のほうがお得な気もしますが、これ以上遠慮したら相手の気分も害することになるでしょう。\n ここは甘えることにします。\n\n「今ある麻糸は麻を持ってきてくれたらそれと交換でいいよ。明日には新しく麻糸が出来上がっているからそれを買ってくれたらいい」\n\n「わかりました。それでは麻を採取してこようと思います」\n\n「麻は西の森に多く生えているから、そこを目指すといいよ」\n\n「はい、ありがとうございます」\n\n「それじゃ麻良さん。またあとでね」\n\n 麻良さんのお店を辞して、夕凪さんと西の森を目指します。\n\n\n------\n\n\n 昨日は4人で西の森で狩りをしました。\n 今日は夕凪さんと2人だけです。\n それでも狩りは昨日以上に順調といえました。\n 昨夜筋力に振ったステータスの効果が出ているようです。\n\n 最初はコッコバードを倒すのに7振り必要でした。\n それが未だとたった4振りで倒せます。\n 夕凪さんの援護が入ると3回斬るだけで倒せるのです。\n コッコバードに突進させる暇すら与えません。\n\n「昨日よりも順調だねえ」\n\n「そうですね。まだレベルも上がりやすいですし、パーティーにも慣れてきたからでしょうか」\n\n「そういえばユウカちゃんはこういうゲーム初めてなんだっけ。それにしてはいい動きするよねえ」\n\n「それをいうなら夕凪さんもですよ。弓なんて普通は当てられませんよ」\n\n「【弓】は命中に結構補正がかかるんだよねえ。だから結構簡単なんだよ」\n\n 適当に雑談しながら進んでいきます。\n 【気配察知】で隠れているモンスターも見つけているため、歩みは遅いですが不安は生まれません。\n\n「そろそろ森だし、その前にお昼ごはんにしよっか」\n\n 取り出されたのはパンとラビの肉です。\n それらに【料理】スキルを用いるとあら不思議、ラビのサンドになりました。\n 早速スキルを活用してくれているようで、なんだか嬉しいですね。\n\n\n 食事もとったのでさっそく森の中へと向かいます。\n 狩りではなく採取をメインにしていきます。\n 麻はそれなりに背が高いはずなので、背の低い草しか生えていない入口付近は無視して奥へと向かいましょう。\n\n 途中で現れたのはスパイスロウダーでした。\n そういえばこいつも糸を落としましたね。\n これも服飾に使えるかもしれません。\n 優先して狩っていきましょう。\n\n スパイスロウダーの吐く糸を躱して脚の一本に一閃します。\n これも前より簡単に、一撃だけで脚が千切れてくれました。\n 攻略法が見えてくるとあとはルーチンで、安全に倒していくことが出来ました。\n\n アイハンターについては【気配察知】が活躍してくれました。\n 昨日は夕凪さんに頼りっぱなしだったのですが、今日は夕凪さんよりも私が早く見つけた場合もありました。\n 【気配察知】は良いスキルです。\n\n 森に入って南東に進みまして、やっと群生地を見つけました。\n そこらの植物と変わらないようにも見えますが、ちゃんと【工人の瞳】が反応しています。\n 狩り尽くしても暫くたてばまた元通りになるそうなので、根こそぎいただくことにしました。\n\n 根本に短剣を入れて切り分けると、切られた麻は勝手にインベントリへと入っていきます。\n これは便利です。\n 早速、今までの狩りの成果を全て夕凪さんにお渡しし、私は麻刈りへと集中します。\n 夕凪さんは【工人の瞳】を持っておらず手伝えないので、周囲の警戒をお願いしました。\n\n だいぶ時間が経って、やっとインベントリの全てを埋めることが出来ました。\n そうはいっても未だに10×10のサイズなので、数はしれているんですけれどね。\n 辺りを見回したのですが、なぜが夕凪さんの姿が見当たりません。\n\n\n------\n\n\n すでに後悔しても手遅れなことでした。\n それがゲームだと言われても、素直に納得はできませんでした。\n そうして私は仕返しを誓ったのでした。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv9 (↑2)\n職業:盗賊Lv14 (↑3)\n-\nHP:500/500 (↑100)\nMP:500/500 (↑100)\n-\nSTR:100\nVIT:120\nAGI:185 (↑15)\nDEX:185 (↑15)\nINT:40\nポイント:60 (↑20)\n-\n【パッシブスキル】\n短剣Lv19 (↑4)\n看知の瞳Lv1, 工人の瞳Lv5 (New)\n夜目Lv3, 超聴覚Lv6 (↑2), 気配察知Lv3 (↑2)\n【アクティブスキル】\n隠密Lv9 (↑1), 料理Lv19\nポイント:10 (↓2)\n-\n【資産】\n1,550e (-1,550)\n-\n【装備】\n武器:短刀・愛切、短刀・哀切\n防具:旅人の服、ただの肌着"} |
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