Krixter/Repo / n0005cn /110.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 110, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/110/", "title": "110 絶壁", "content": " 翌日。\n 私たちは揃って昨日の村へと向かいます。\n とりあえず宿は引き払いました。\n\n 昨日出会ったミーオさん。\n 彼女がちらっとこぼした言葉はもう皆さんに伝えました。\n 皆さんの同意も得ています。\n ちょっとだけ嫌な顔をする方もいましたけれど。\n\n「朝に食べた温野菜はこいつらからのドロップだったんだね」\n\n 夕凪さんが槍で器用に手足を切り飛ばします。\n 手元に残るのはにんじんです。\n\n「なんていうか……倒し方も考えなきゃいけないのは面倒だねえ」\n\n「それよりも、ここまできたのにこんなに弱いってのがおかしい気がするけどね」\n\n 倒し方は特徴的だけれども、それ以上に弱すぎるというのがマトヴィさんの意見です。\n\n このゲームのスタート地点はみんな決まっています。\n その場所からまっすぐここに来るとしても、どうしても戦闘は避けられません。\n 今の私以下ではあっても、ある程度は強くなっているはずです。\n けれどもこの辺りのモンスターは非常に弱い。\n 弱すぎます。\n\n 実際どうなのでしょうね。\n モンスターが弱いということは、相対的にプレイヤーが強くなりますから。\n 一撃でモンスターを倒す快感、みたいなのを求めるならむしろ歓迎するかもしれませんよね。\n 私はどうでしょう。\n 弱すぎると飽きてしまう気もしますが、毎度毎度強くても疲れてしまいます。\n 強かったら弱かったりとバラバラなのも、狩りの出来る場所を選んでほしいということかもしれませんね。\n\n「倒し方が重要なんじゃないの。こいつらはアイテムを落とさないってだけで倒すことはできるけど、もっと進んだら特定の方法しかダメージ受けないとか、ありそうじゃない」\n\n「はああ~、アイリーは詳しいですねえ」\n\n ここは考えさせる場所で、苦労するのはもっと先というアイリーの意見。\n 若いだけあって、ゲームには詳しいのでしょうかね。\n 若いというよりも、普段からゲームに触れているかどうかですね。\n ……となると誰も触れていない雰囲気なのですが、どうなのでしょう。\n\n\n 適当に考え事をしながら村までやって来ました。\n 結局種は手に入れていません。\n なんとか手に入れる方法を知りたいですね。\n\n「それではみなさん、あとは自由にお願いしますね」\n\n「一応北に向かうけど、海が遠かったらどうするべき?」\n\n「そうですね……。私たちもいつ終わるか分からないので、その時は野営していただいてもいいでしょうか?」\n\n「できたら戻ってきたいところだけど。それにユウカと離れるとなると食事がまずくなるのがいけないね」\n\n「それは、本当に申し訳ありません。それと食事なのですけれど──」\n\n「わかってるさ。ちゃんと3食用意するさ。味は保証できないけどね」\n\n 村に立ち寄るのは私と夕凪さん。\n 他の方たちはそのまま北へ、海岸を目指してもらうことになりました。\n\n「ティエル、皆さんのことをお願いしますね」\n\n「うふふ。戻ってきたらユウカ様と夕凪さんのおちんちんを独り占めさせてくださいね」\n\n はい、約束ですね。\n\n「リコ、アイリー。エジアのフォローをおねがいしますね」\n\n「任せて下さいっ! エジアちゃんはしっかり守ります!」\n\n「……ふんっ」\n\n アイリーの機嫌は相変わらずです。\n しょうがありませんね。\n\n ふてくされている彼女の顔を両手ではさみます。\n 向こうを向いていた顔をこちらに向かせます。\n 潰れていても可愛い顔です。\n その顔に私は近づいて、そのまま口づけをしました。\n 皆の前で。\n\n 誰かの口笛が聞こえたような気がします。\n\n「ふう……帰ってきたらね」\n\n「……うん」\n\n やっぱりアイリーは顔を合わせてくれません。\n でも先ほどとは雰囲気が違います。\n 一安心です。\n\n「エジアは、みなさんの言うことをきちんと聞くのですよ」\n\n「まかせてなの」\n\n 鼻息荒く応えてくれます。\n なんだか不安です。\n\n「……そうですね、エジアとも約束しましょうか。あなたが無事に戻ってきたら、あなたを私の女の子にしちゃいます。……だから、絶対に無理をしてはいけませんよ」\n\n 私の言い方が伝わりにくかったのでしょうか、最初エジアはフリーズしていました。\n けれどすぐに満面の笑みを浮かべて、私の頬へと口づけをしてくれます。\n\n「絶対なの!」\n\n そう言って皆の元へと去っていきます。\n ……やっぱり不安ですけれど、多分大丈夫。\n 彼女たちのことを信頼してあげましょう。\n\n 皆さんが更に北へと向かう背を見送って、私たちは村の中へと足を入れます。\n\n「……では、夕凪さん」\n\n「ふふっ、とっても愉しみだねえ」\n\n 二人一緒に、小さな商店へと向かいました。\n\n\n------\n\n\n 見知らぬ土地に足を踏み入れてはいるけれど、特に変わったことは何もない。\n モンスターは相変わらず弱いままだし、雰囲気もあんまり変わらない。\n あえて言うなら、道がないから馬車の速度が少し遅いだけだ。\n\n そんな場所を、マトヴィに従いながら北へと向かう。\n なんでマトヴィかというと、ユウカさんが一番信頼しているからだ。\n 信頼というか信用というか、とりあえず判断はマトヴィに一任していた。\n\n 気に喰わないところもあるけれど、ちゃんと納得はしている。\n ユウカさんがクランのマスターで、一番信頼しているのは夕凪。\n その次がマトヴィだ。\n 多分私がユウカさんの立場でもそうする。\n リコは何も考えてないところがあるし、私だって色々と考えるのはそこまで得意じゃない。\n ちょっと話したらわかるけど、多分マトヴィもユウカさんより年上だ。\n こういう判断は経験が物を言うから、年功序列だというのちゃんと認めてる。\n もちろん不満はあるけども。\n\n そのマトヴィだけど。\n 最初はまたユウカさんが女を連れてきたって思ったけど、どうやらそうじゃないみたい。\n 少なくともユウカさんは、ただ単に背中を任せられる人として頼っただけみたいだった。\n マトヴィ自身のことについては、正直なところ何も考えたくない。\n 一緒に連れている男のことは特に。\n\n「アイリー、何をムスッとしてるんですか?」\n\n 隣にいるリコが話しかけてくる。\n 私たちはほとんどが歩いていて、御者のティエル以外は皆徒歩だ。\n 出来る限り死角をなくそうっていうのと、見掛けしだいモンスターを倒していくためだ。\n 今ぐらいのレベルだとインベントリには常に余裕があるから、とれるだけ野菜をとっておこうという話になっている。\n\n「別に……それよりリコはよかったの。ユウカさんとなんにも約束しなくて」\n\n もしかしたら今日中に村に戻れるかもしれないし、遅くても明日には戻る。\n でもユウカさんは何を思ったのか、戻ったら私を抱いてくれるって。\n 私だけじゃなく、ティエルとエジアとも約束してたけど。\n そんな中で、リコだけは何も約束していない。\n まさかユウカさんのことが好きじゃなくなったわけじゃないだろうに。\n\n「えへへ~、だって来週は私の番じゃないですかぁ。ユウカさんのお家でふたりっきりでイチャイチャできるんです、今週ぐらいは我慢できますよぉ」\n\n リコは隣で身体をくねらせて自分の頬を押さえている。\n もちろん顔は真っ赤。\n 私ももうユウカさんの家に泊まったはずなのに、こうまで露骨に浮かれられるとイラッときてしまう。\n\n「ふんっ、どうせリコも私と同じように失敗するのよ」\n\n「そんなことはないですよぅ。私はアイリーと違ってちゃあんとベッドの説明書は読んでますからねぇ」\n\n 本当に。\n 本当に、先週のことは後悔しかない。\n ほんとだったら、私にも……。\n\n「えへへ、ユウカさんとおんなじおちんちんが生えたら、寂しい思いをしているアイリーの相手をしてあげますねぇ」\n\n イヤ! ……じゃないけど、やっぱり一方的にされるのは嫌だ。\n リコと私だったら、私におちんちんが生えていたほうがまだ自然だ。\n\n「なによ。どうせ来週にはバグ扱いされて直されてるわよ」\n\n ……そうだ。\n なんとなく言葉に出てきたけれど、こんなのバグに決まってる。\n 修正されないわけがない。\n\n「そんなぁ~……」\n\n 目に見えてリコが落ち込んだ。\n なに、そんなに生えてほしかったの。\n 私なんてユウカさんに抱かれるだけで満足なのに。\n\n「だってえ、もちろん一番はユウカさんですけどぉ、アイリーとだってたまにはイチャイチャしたいじゃないですかぁ。それに夕凪さんとだってそうですし、ティエルさんとはどうなんだろうって、気になるじゃないですかぁ」\n\n つまり、ユウカさんとおんなじことを経験したいってことなんだろう。\n その気持ちは、わかる。\n とってもわかる。\n 憧れの人とおんなじことをしたいのは当然だと思う。\n\n「だったら要望を出しますよ! おちんちんの生えるアイテムが欲しいって!」\n\n「ちょっと、大きいわよ! ……でもそうね、私も要望を出してみるわ」\n\n どうせなら一緒に出したほうが要望が通りそうだし。\n でも正直なところはどうでもいいかな。\n 私は挿れられるのが好きなのだ。\n 目の前にユウカさんの顔があって、私の身体をかき分けて貫いてくる感覚があって。\n 私は今まさに目の前の人のものになってるんだって。\n その感覚が好きなんだ。\n\n でもユウカさんと同じ気分を味わうのも悪くない。\n 相手は……リコでいいけれど。\n\n「……あんたたち、今の話」\n\n 気を使うのを忘れてた。\n 向こうは大人で、いつもは聞かないふりをしていてくれたから。\n 向こうも興味を持っているなんて、知らなかったから。\n\n「私にも、詳しく教えてくれない?」\n\n 一番先頭にいたはずのマトヴィが目の前にいた。\n ちらっと視界に捕らえた限りだと、エジアと紫桜が前で頑張ってるみたい。\n 一方的だけど。\n\n そうじゃなくて。\n\n「リコ、走るよっ!」\n\n リコの手をとって、マトヴィの脇を抜けて駈け出した。\n 目指すのはもちろん北の端。\n 海まで一直線だ。\n\n「ちょっと、アイリー!?」\n\n リコが叫んでるけど気にしない。\n 今一番まずいのは、マトヴィに全部話すことだ。\n 聞かれた、どこまで聞かれたんだろう。\n 分かんないけど、分かんないから今は離れる。\n 落ち着かなければ。\n\n「アイリー! リコ!」\n\n 後ろからマトヴィの声が聴こえるけど無視だ。\n どうせ目的地は北なんだ、私たちだけで先行したっていいだろう。\n 見る限りだと北はずっと草原だ、きっと危険もないだろう。\n\n 片手はリコと手をつないで、もう片方には武器を持って。\n 二人一緒に草原を駆けていった。\n\n ……。\n …………。\n\n そうして私たちの目の前に。\n やっと海が現れた。\n\n「アイリー、海ですよ海!」\n\n「……そうね」\n\n 夕方まで走り続けた。\n 水平線の向こうに沈む太陽がはっきりと見える。\n そうそう、ゲームのいいところ。\n 太陽を裸眼で見ても大丈夫ってところだ。\n\n 太陽の半分が水平線の向こうに沈んでいる。\n 海はオレンジ色に、ユウカさんの髪の毛とおんなじ色に染まっている。\n 見る限りだと穏やかで、泳ぐこともできそうだった。\n\n でも、あくまでもできそうだ。\n 視線を足元に下ろしていく。\n 海は相変わらず穏やかで、オレンジ色に染まっているだけ。\n でも遠い。\n 遠いのだ。\n 海面までが遠すぎた。\n\n「海だけど、どうしようもないじゃないの」\n\n 確かに私たちは北の端っこまで来た。\n 海を見ることもできた。\n でも、ここは崖だった。\n 断崖絶壁だ。\n ここから飛び降りて海に行くことはできるけど、戻ってくることができない。\n 私たちが求めているものじゃなかった。\n\n「……飛び込みって、こんなに高いところでもするんでしたっけ?」\n\n 知らないわよ。\n 少なくとも私は飛び込まないから、リコが飛び込んだら。\n 水面まで何秒もかかりそうだけど。\n\n「まあ、あとは西に向かえばいいだけだし」\n\n「あれれ、でも色んな村を巡っていくって言ってませんでしたっけ?」\n\n ……そうだった。\n ホントかどうか分かんないけど、まだ嵐に入る前にすれ違ったNPC。\n そいつが言ってたんだった。\n\n「リコは、村めぐりして何があると思う?」\n\n「そうですねぇ。……やっぱり種だと思いますよ。野菜の種が手に入ると思ってます」\n\n 種、ねえ……。\n 私はそうは思わないけどな。\n 種は、どっちかというと【農業】のレベルか職業に関係する気がする。\n\n「私は、人だと思う」\n\n「人って、どういう意味ですか?」\n\n「だから、あの村でいうミーオみたいなNPCのことよ」\n\n ユウカさんからミーオの話は聞いた。\n クエストとしては表示されていないけれど、不満があってそれを解決してあげるって。\n それで、解決した後はどうなるの?\n それでお別れ?\n 私はそうは思わない。\n でも戦えるような見た目じゃなかったし、どうなるのかイマイチ分からない。\n\n そんなことを、海を見ながら考えていたら後ろから声が掛けられた。\n\n「アイリー! リコ! やっと追いついたぞ!」\n\n 振り返るとマトヴィが怒ってる。\n 当たり前だ、マトヴィが今の私たちの中ではリーダーなんだから。\n 無視して逃げて、掴まったら怒られるのは当たり前。\n\n「……まあ、そんなことはいい。それよりもさっきの話だが……」\n\n 腕で首を抱えて、小さな声で周りに聞こえないように喋ってくる。\n 大丈夫、何を話すかはしっかり考えた。\n\n「実はね……」\n\n 夕凪の言ってたこと、全部が本当というわけじゃないの。\n ううん、アイテムってのは本当よ。\n でも作り方がはっきりしてないの。\n 一度だけ作ったけど、もう一度おんなじ素材で作っても作れなくて。\n 基本的に一度作ったものは、品質の良し悪しはあっても成功するはずなのに。\n だからおかしいんじゃないのって。\n 夕凪が最後のアイテムを使ったの。\n それじゃ私たちは楽しめないじゃないの。\n だから要望だすの。\n 要望っていうより、バグ報告よ。\n アイテム作れないけどどうしてだって、それだけよ。\n\n「そうかい、そういうことだったんだねぇ」\n\n 案外すんなりとマトヴィは納得してくれた。\n もちろん嘘八百なんだけど、意外と私は嘘を付くのが得意なのかもしれない。\n\n そんなこんなで野宿の準備。\n 何もない草原だし、そんなに手間もない。\n 問題はご飯だけ。\n 火をおこしたところに、枝で刺した野菜を炙る。\n\n 残念なことに、誰も肉を持ってなかった。\n 基本的に食材はユウカさんが管理してるから。\n ため息を付いて焼いただけの野菜を頬張る。\n まあ、一応味はある。\n 美味しいかどうかは別として。\n\n そうして夜が更けていく。\n マトヴィと紫桜は一番海岸側にテントを建てた。\n 私たちは近づかない。\n 何をしているかも知りたくない。\n\n 間に馬車をおいて、焚き火を起こして。\n そこで周辺を見張っていく。\n でも何も現れない。\n そういえば海の近くは農業に適さないんだっけ?\n よく分かんないけれど。\n\n とっても暇な時間を、焚き火を眺めながら過ごしていく。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv64\n職業:盗賊Lv94, 復讐者Lv32\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:3300/3300\nMP:3300/3300\n-\nSTR:255\nVIT:120\nAGI:755\nDEX:590\nINT:350\nポイント:300\n-\n【パッシブスキル】\n短剣Lv100, 投擲Lv28\n看知の瞳Lv32, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv31, 超聴覚Lv51, 気配察知Lv54\n農業Lv12\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:172\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+7, 信頼+3, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,700,750e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   雨蜥蜴のアーミーベスト\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n   転移のイヤリング"}

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