Krixter/Repo / n0005cn /117.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 117, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/117/", "title": "117 狩人の甘え", "content": " 洞窟の中を通っていると以前のことを思い出します。\n あの時は真っ暗闇で、【夜目】が役立ってくれました。\n その時に比べると今はしっかりと周りを見ることができました。\n それでも岩壁はでこぼこしてて、影が多くてはっきり見渡せるわけではありませんが。\n\n ゆっくりとしたペースで洞窟の中を進んでいきます。\n たまにモンスターの鳴き声らしきものが聞こえますが、少なくとも周囲にはいませんでした。\n 案外大したこともなさそうで、一息ついた時です。\n\n 耳元でぴゅっと音がして、ほんの少しだけ遅れて風が通りました。\n\n「上っ! コウモリの群れだよっ!」\n\n 夕凪さんの大きな声で上を見ると、幾つもの赤い瞳があったのです。\n 数瞬遅れてぽとりと落ちてくるコウモリ。\n 夕凪さんが1匹倒したみたいです。\n\n「「キキキッ」」\n\n コウモリが倒されたからなのか、それとも大きな声を上げたからなのか、はたまた私たちがここを通ったからなのか。\n 天井裏に張り付いていたコウモリたちが飛び立ち、私たちに向かってきました。\n\n「小さいですっ! 気をつけて!」\n\n それだけ伝えると私も武器を構えます。\n コウモリたちは身体が大きくなく、数だけはたくさんいました。\n 弓の一撃で倒れたので、それほど体力はないのでしょう。\n ここで求められるのは速度。\n 威力よりも、ただ速度を持った正確な一撃です。\n\n「っ!」\n\n 頭上を通りすぎようとするコウモリの1匹に狙いをつけて短刀を振ります。\n それは見事にコウモリを正面から捉え、一瞬でポリゴンになってはじけ飛びました。\n\n すぐ近くではヨウも同じようにして倒しています。\n さらにすぐ近く、残念ながらリコの攻撃は当たっていませんでした。\n\n「リコ! 攻撃しなくていいから皆を守って!」\n\n リコはステータスの関係上、手数を増やす攻撃や素早い攻撃というのは苦手でした。\n 下手に攻撃をするよりも、守備に徹してもらうべきでしょう。\n\n さらに様子をうかがいます。\n マトヴィさんと紫桜さん、それにアイリーは苦戦しながらもコウモリの数を減らしていっています。\n ステータスが気になります。\n ティエルは魔法があたりませんが、彼女にはそれでも魔法しかありません。\n\n「くそっ! 当たれっ、当たれよっ!」\n\n 一番苦戦しているのはニィルでした。\n 彼女の射る矢は一本たりともコウモリには当たっていません。\n 夕凪さんも弓の不利を感じたのか、最初の一撃以降は槍を使っていました。\n ニィルには弓しか無いのでしょう、当たらなくても矢を射続けました。\n\n だから、次に起こったことも当然なのかもしれません。\n\n「いたっ……」\n\n 何度目かの、上空に位置取るコウモリに攻撃した時です。\n 不意に横からの衝撃を受け、私は短刀を手放してしまいました。\n\n「っ! ニィルッ!」\n\n 続いて、パシンという乾いた音。\n 確認する暇はありません。\n すぐさま手放した短刀を広い、再びコウモリへの攻撃を続けました。\n\n\n コウモリと出会ってからおおよそ10分。\n ようやく私たちは緊張状態から抜け出すことができました。\n\n「……最悪」\n\n まずは被害の確認です。\n 一番の被害はアイリーでした。\n いえ、コウモリには攻撃力もほとんどなく、だから直接的な被害というわけではありません。\n アイリーの振るう大太刀、それが洞窟の壁に斬りつけて折れてしまっていたのです。\n\n「まあ、ここじゃ使いにくからしょうがないわね」\n\n 取り出したのは初めて見る形のナイフです。\n うーん、さすが元ナイフショップ店員です。\n いったい幾つの武器を持っているのでしょう。\n\n「ティエル、大丈夫でしたか」\n\n 一番苦戦したのはティエルでしょう。\n ティエルのつかう魔法は基本が水で、速度があるとはいえません。\n\n「すみません、お役に立てませんでしたね」\n\n「いいんですよ。あなたが強いから一緒にいるというわけでは無いんですから」\n\n 一番の理想は私だけが攻撃して、彼女たちは安全な場所から声援を送ってもらうことです。\n もちろんそんなことは言えませんけれど。\n\n それにティエルは回復魔法を使えますからね。\n ちょこっと噛み付かれただけですが、それでも回復してくれる人がいると安心ですから。\n\n さてさて、モンスターを倒して確認することといえばドロップ品です。\n 最近やっとドロップを確認する癖がついてきました。\n とはいえ弱いコウモリなので、あまり期待はせずにインベントリの確認を行います。\n\n 追加されていたのは、リトルバッドの羽に牙に血ですか。\n 羽はどうやら確実にドロップするみたいで、その数は30個を超えています。\n 牙は50%ぐらいのドロップ率でしょうか・\n 一番低確率な血は1つだけ手に入れています。\n ただ残念ながらどれも使い道は……いえ、どうやらこの牙は投擲に使えるみたいです。\n 攻撃力は低そうですが、コウモリ相手には有効かもしれません。\n 【投擲】スキルのレベルは低かったですし、鍛えるためにも積極的に使ってみましょうか。\n\n そしてお待ちかねです。\n 先程から視界の端っこに点滅しているアイコンがありました。\n 迷わずにタッチです。\n\n『職業【盗賊】Lv100到達により職業が進化します』\n『職業進化先を選択してください』\n\n────────────────────\n【探索者】【軽業師】【隠密】\n────────────────────\n\n あら?\n 【探索者】以外にも選択肢がありますね。\n どれを選べばいいのでしょうか。\n\n とりあえずはそれぞれの説明を見てみます。\n\n────────────────────\n【探索者】\n ダンジョンでの活動に補正がかかる\n 罠を見つけやすくなる\n 隠し扉を見つけやすくなる\n モンスターを見つけやすくなる\n────────────────────\n【軽業師】\n 回避行動に補正がかかる\n すべての行動が早くなる\n────────────────────\n【隠密】\n 暗闇での行動に補正がかかる\n プレイヤーに見つかりにくくなる\n モンスターに見つかりにくくなる\n 不意打ちの際に大ダメージを与えやすくなる\n────────────────────\n\n 説明を見てもイマイチわかりません。\n ただ【探索者】は選ばなくてもいいでしょう。\n すでにマトヴィさんと紫桜さんがいますからね。\n\n そうなると選ぶのは【軽業師】【隠密】のどちらかです。\n 更に言うなら、今の私の戦い方を考慮すると【軽業師】なのでしょうか。\n 基本的にモンスターの攻撃は回避が前提ですからね。\n でも、でもですよ。\n 目指しているのは【隠密】なのです。\n この服装だってそうですし、選んだ武器もそうなのです。\n\n ……【隠密】がいいですね。\n なりたいものになるのが一番でしょう。\n 早速選択してみます。\n\n────────────────────\n名前:ユウカ\n種族:人間Lv66\n職業:盗賊Lv100 (↑1) → 隠密Lv1 (New), 復讐者Lv35\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:3400/3400\nMP:3400/3400\n-\nSTR:290 (↑20)\nVIT:120\nAGI:840 (↑45)\nDEX:660 (↑45)\nINT:350\nポイント:380 (↑10)\n────────────────────\n\n 【隠密】に進化することでいくつかのステータスが上がりました。\n それも合計で100も、レベルに換算すると10も上がったことになります。\n 強すぎて不安になってしまうぐらいですね。\n\n こうして自分のステータスを見ると酷いですね。\n どれたけ体力がないのでしょう。\n まあ実際には体力ではなく防御力なので、走ったりするぶんには大きな影響はないからいいのですけれどね。\n\n「夕凪さん、私も職業が進化しましたよ」\n\n うふふ、夕凪さんも最近進化したばかりですからね。\n 私も負けてはいられません。\n\n「ユウカちゃん、おめでとう。それで、落ち着いたらちょっと話したいんだけどいいかな?」\n\n さて、なんのお話でしょう。\n もしかして勝手に職業を決めちゃったのを怒ってらっしゃるのでしょうか。\n\n「皆も聞いてほしいんだけど、さっきの戦闘で悪いことがあったんだよ」\n\n「夕凪さん?」\n\n「ユウカちゃんは黙ってて。……ほら、ニィル。なにか言うことがあるんじゃないの?」\n\n 集団で動いていて誰か一人だけが悪いってことはない、そう思って声をかけようとしたのですが夕凪さんに止められてしまいます。\n かわりに前に出されるニィルさん。\n なんだか下を向いています。\n\n「あたしは……なにも悪いことなんてしていなああっ!?」\n\n ニィルさんが声を貼り上げた瞬間、風を切る音と足元に突き刺さる音が聞こえました。\n\n「ああ、ごめんごめん。ついモンスターがいるかと思っちゃったよ」\n\n 弓を構えた夕凪さん。\n すでに矢はなく、ニィルさんに足先を貫いているのでした。\n\n 突然のことに動けない私たち。\n そんな私たちの様子を確認しながら、夕凪さんの話は続きます。\n\n「ねえ、ニィル。ニィルが狩人でプライドを持っているのはわかるよ。いきなりやってきた私たちに思うところがあるのもわかるよ。でもさ、味方を矢で射るのは間違ってるとは思わないのかな。しかもユウカちゃんに矢を当てたのに謝りもしないなんて、それはさすがにおかしいんじゃないのかな」\n\n 矢が……私に?\n ……ああ、そういえば不自然な攻撃で武器を手放してしまった瞬間がありましたね。\n あれはコウモリの攻撃ではなく、ニィルさんが間違って射た矢だったのでしょうか。\n\n「それとも、ニィルは初めから私たちを攻撃するつもりだったのかな?」\n\n「っ……ふざけるなっ! あたしたち狩人は卑怯なことは絶対にしない!」\n\n「だったらなんで謝らないのかって言ってるんだよ!」\n\n おお、おおお……。\n 夕凪さんが怒っています!\n まったくもって初めての光景です。\n 私を含め、夕凪さんとニィルさん以外は驚いているのも当然でしょう。\n\n しかし、どうしましょうか。\n 私自身は気にしていませんが、確かに間違ったことを謝らないニィルさんは問題なのでしょう。\n それでも私だけだと構わなくてもいいんですが、少なくとも夕凪さんとの関係は最悪になっています。\n これだとこれ以上一緒にいるだけでも危険でしょう。\n\n「……とりあえず、一端戻りませんか? ここで話していても危ないでしょうし」\n\n まだ数分しか経っていないとはいえ、ここには大量のコウモリがいたのです。\n このまま時間が過ぎるとまたコウモリが湧いてくるでしょうし、また喧嘩になる気がします。\n 進むことができない以上、戻って頭を冷やすのが一番です。\n\n「……ああ、ごめんね。そうだね、戻ろうか」\n\n「ここまで来て戻れるわけがない!!」\n\n ……もう、ニィルさんはなんなんでしょう。\n 身体は大人なのになんて子どもじみた態度を取るのでしょうね。\n\n「……リコ、エジア。彼女を引っ張って帰りましょう」\n\n 力のある2人にお願いします。\n 弓を扱うにもそれなりに力は必要でしょうが、それは一番というわけでもないでしょう。\n\n 気まずい雰囲気の中、私たちは洞窟を戻っていき、苦労しながら穴から抜け出ました。\n\n\n------\n\n\n 今日はもう何もできないでしょう。\n 気まずいままにニィルさんと分かれ、私たちは貸し出されている空き家へと戻ってきました。\n\n ちらりと見る夕凪さんの雰囲気はもういつもの感じです。\n\n「……ごめんね、変な空気にしちゃってさ」\n\n「いえ、私は気付いてなかったのですけれど、確かに仲間を攻撃してしまったのなら謝るべきだとは思いますから」\n\n ニィルさん、確かに私を攻撃していないとは言っていないんですけれど、悪いことはしてないって言ってたんですよね。\n 私を攻撃はしたけどそれは悪いことではない。\n どういうことなのでしょう。\n\n 私では理解できないことです。\n 仲間を攻撃するなんてありえないことです。\n でも多分ニィルさんは違うのでしょう。\n\n 味方を攻撃しても許される環境。\n そういうのがあるのでしょうか。\n\n「私が一番後ろにいたから分かったんだけどね……」\n\n 考え事をしていると、夕凪さんが語り出します。\n\n「あの子、矢が当たらないって焦ってたんだよ。コウモリって小さいしさ、弓じゃなかなか攻撃しにくいんだよね。私も最初以外は槍を使ってたし。コウモリはさ、上にいるときはほんとにめちゃくちゃに飛んでて、狙うなんてことはできないんだよ。でも攻撃するときは違う、ユウカちゃん達が反撃するときは意外と簡単だったように、コウモリ達も決められた動きはしてるんだよ」\n\n ……そうですね。\n 私たちが反撃するとき、つまりはコウモリが私たちを狙ってくる時です。\n あの時は一直線に私たちのほうへと向かってきますので、比較的攻撃も当てやすかったです。\n\n「そこをさ、ニィルは攻撃しようとしたんだ。ほんと馬鹿だよね、ユウカちゃんが手を伸ばした瞬間に弓を引くんだから」\n\n コウモリが私のほうに上から向かってきたとき、私は下から短刀を振り上げたことでしょう。\n その攻撃はコウモリを斬り裂いて、でも勢いは止まらずにコウモリがいたところを超えて腕が伸びていたかもしれません。\n そこに矢が当たった、ということなのでしょう。\n\n「でも、ニィルさんも攻撃を当てようとしてやったことですし……」\n\n「ダメだよ。ただでさえ生意気な態度をとってたのに、私たちのリーダーが攻撃されたんだよ。それをタダで許すわけにはいかないよ」\n\n「そうよ。それに最初っからあいつは生意気だったのよ。いなくなってスッキリするわ」\n\n 夕凪さん以上に辛辣な言葉を放つアイリーです。\n 見ると皆さん大なり小なり思うところがあったみたいです。\n そうでしたか……。\n\n「ニィルは子供なんだよ。村長の判断に噛み付いたり、それでいざ洞窟の中に入ったらテンパったり、攻撃の最中はモンスターしか目に入らなかったりさ。あんなのはわがままな子供だよ」\n\n 子供という言葉に視線をついエジアへと向けてしまいます。\n ……いえ、彼女は大丈夫。\n 以前の戦いでも1人だけ突出するなんてことはありませんでした、きちんと私の指示に従ってくれる可愛い子です。\n エジアを手招いて膝枕をしてあげます。\n いい子いい子。\n\n「そんなことよりさ。ユウカ、盗賊から進化したんだっけ?」\n\n「あっ、僕も知りたいっ!」\n\n「……」\n\n マトヴィさんと紫桜さん、それに無言でヨウも近づいてきます。\n やっぱり同じ盗賊だけあって気になるんでしょう。\n\n あの時の選択肢と一緒に【隠密】のことについて話します。\n ついでに【探索者】の詳しい話も聞いていきました。\n\n そんなとき、ガラリと空き家のドアが開かれたのでした。\n 現れたのは、日に焼けた壮年の男性です。\n 弓を背中に持った、身体つきのいい男性でした。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv66\n職業:隠密Lv1, 復讐者Lv35\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:3400/3400\nMP:3400/3400\n-\nSTR:290\nVIT:120\nAGI:840\nDEX:660\nINT:350\nポイント:380\n-\n【パッシブスキル】\n短剣Lv100, 投擲Lv28\n看知の瞳Lv32, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv36 (↑5), 超聴覚Lv55 (↑4), 気配察知Lv61 (↑3)\n農業Lv18\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:181 (↑1)\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+8, 信頼+4, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,700,750e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   雨蜥蜴のアーミーベスト\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n   転移のイヤリング"}

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