| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 129, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/129/", "title": "129 バレなければいいんです", "content": " 夜中ずっと海に浸かっていたのに、水辺から離れるとすぐに身体はさっぱり綺麗になりました。\n うん、なんて素晴らしいことでしょう。\n\n そんなすっきりとした気分で急な洞窟を手をつきながら登ったのですが、素晴らしい気分はすぐにおしまいになってしまいます。\n\n「ユウカさん! 酷いです!」\n\n いつもの間延びした声じゃありません。\n 洞窟の前で仁王立ちしているリコは本気で怒っているようでした。\n\n「ど、どうしたの? こんな朝から」\n\n「どうしたのじゃないですよ! なんで朝までずっと下にいるんですか! 私はずーっと待ってたんですよ!」\n\n だってアイリーとの雰囲気が良かったんだもの、だって別に約束したわけじゃないじゃない。\n 言い訳ならできるのですが、ここはおとなしく怒られましょう。\n 怒っているリコも可愛いですし。\n\n「ユウカさん! ちゃんと聞いてるんですか!?」\n\n 聞いてます。\n もちろん聞いていますけれど、洞窟から出たばかりの場所で怒っていると……。\n\n「リコ! さっきから聞いてたらちょっとわがまますぎるじゃないの!」\n\n 私の後ろからやってきたアイリーも参戦してしまうのです。\n\n「なんですか! そもそもアイリーのせいじゃないですか!」\n\n「はあっ!? 私のせいじゃなくて、あんたに魅力がないせいでしょ!」\n\n「なんですかこの筋肉ゴリラ!」\n\n「なっ……うるっさいわねこのデブ!」\n\n お互い引くに引けなくなって悪口を言い合っています。\n 別にアイリーはスタイルがいいだけですし、リコも標準的な体型なんですけれどね。\n\n「はーいストップストップ、2人ともちょっと言いすぎだよ」\n\n 見守っていた私のかわりに仲介役を努めてくれた夕凪さん。\n やっぱり頼りになりますね。\n\n「リコちゃん。ユウカちゃんと一緒にいたいっていうのは分かるけど、私達の時も四六時中ユウカちゃんと一緒にいたわけじゃないんだから我慢しなきゃ」\n\n まずはリコへのお説教。\n そうですね、なんだかんだ私は他の人も抱いていましたから。\n\n「アイリーも。リコとは仲がいいんだし誘ったらよかったじゃない」\n\n そうですそうです。\n 人数が多い分には大歓迎なんですよ。\n\n「ユウカちゃんも。喧嘩になる前にとめてくれなきゃ」\n\n 私も怒られちゃいました。\n\n\n「まあ、リコちゃんの気持ちは分かるけどね。今日はずっとここにいるんだし、どうせならユウカちゃんと一緒に砂浜に行っててもいいよ」\n\n「え? いいんですか?」\n\n「いいよいいよ。調査なんて私達だけでできるしね。ほらユウカちゃんも」\n\n 嬉しそうにしているリコと一緒に再び洞窟の中へと押しやられてしまいます。\n 本当に任せても大丈夫なのでしょうか。\n\n でも考えてみると、必須だったのは砂浜だけで、それはもう見つけています。\n あったらよかったという小川もあるので、レンガなんかも作れます。\n 残るものもあったらラッキーというものばかり、それほどまじめに探索する必要もないでしょう。\n\n「えっと……それじゃあお願いしてもいいですか?」\n\n「任せて任せて。私達のホームなんだししっかりと調べておくからね」\n\n「……」\n\n アイリーがなんだかムスッとしていますけれど、非常に乗り気なリコに引っ張られて再び砂浜へと向かいました。\n\n\n------\n\n\n「……なんであんな提案したのよ」\n\n 納得いかない。\n リコばっかり甘やかされてる気がしてならない。\n\n「だって、リコちゃんって甘やかしたくなるじゃない」\n\n そして夕凪の答えもその通り。\n 気持ちは分かるけど、私は納得できなかった。\n\n「アイリーもずるいんだよ? せっかく見つけた砂浜をふたりっきりで楽しんじゃってさ。だったら私達もってなっちゃうじゃない」\n\n「……それは、そうかもしれないけど」\n\n「だから、今はリコちゃん。そして次は私がユウカちゃんとふたりっきりになるんだよ」\n\n「夕凪って結構ずるいわよね」\n\n「私はアイリーやリコちゃんみたいに可愛くないからね。こうでもしないとユウカちゃんに相手してもらえないんだよ」\n\n「そんなこと……」\n\n そんなこと、絶対にない。\n ユウカさんが一番頼っているのは夕凪だ。\n それは唯一と言ってもいいかもしれない。\n 年上だし、いろいろ知ってるし。\n えっちの経験があるのもユウカさんにとってはプラスでしか無いはずだ。\n\n「それよりもほら、とっとと行こう。ここらの土地は私達が先行しているけど、誰も来ないってわけじゃないんだからね」\n\n「……わかったわ」\n\n そうだ。\n 私と夕凪はそれなりに掲示板も見て、きちんと情報を集めてる。\n 向かう人数は少ないようだけれど、確かに西に行こうとする人たちはいた。\n 大体は食材を求めてみたいだけど、ただ探索されてない土地だからという理由の人もいるはずだ。\n そういう人はまっすぐ大きな街に向かうのか、それとも地図を埋めるように動くのか。\n わからないけれど、確かに余裕はあんまりないはずだった。\n\n\n 夕凪と一緒に馬車まで戻る。\n ティエルたちは相変わらず馬車の中だ。\n ホームを設置するまでは我慢してもらうしか無いけど、なんだか申し訳なくなってくる。\n\n「それで、具体的には何を調べるの?」\n\n「ん……正直なところ、ここをホームにするのはもう決定だと思うんだよね。だから自分たちの欲しいものがあるかどうかを調べるってところかな」\n\n「そう……」\n\n そうは言っても、私は別に求めるものなんてない。\n リコはユウカさんと一緒に畑を作ると言ってたけれど、何が必要なのか分からない。\n 土?\n そんなのそこら中にあるし、違いなんて分からない。\n\n「ここらへんを徹底的に調べようと思うから、そうだね……あの砂浜を中心にして半径2kmぐらいかな」\n\n「結構広いのね」\n\n「拠点結晶の範囲が半径1kmだからね。それなりに調べないと」\n\n「ふうん、わかったわ。それでマトヴィと紫桜は?」\n\n「もう二人一緒に探索に向かったよ。どうする? アイリーは私と一緒にいく?」\n\n「……別に、一人でいいわ」\n\n「はいはい。マトヴィたちは東、私は西を調べるから、アイリーは南を調べてね」\n\n なんだか一番面倒なところを割り当てられた気がするけれど、さっき喧嘩をしたからだと思って何も言わずに受け入れた。\n\n\n 夕凪も調べに向かって、残ったのは馬車と私。\n すぐ南に行ってもいいんだけれど、このままじゃ調べようもなかった。\n\n「ねえ、ちょっと話いいかしら」\n\n この場に残っているのは馬車の中の3人だけだから、自然と3人に相談するしかなかった。\n\n「あら、アイリーさん。どうかされましたか?」\n\n「おねえちゃん!」\n\n「……」\n\n エジアは可愛い。\n\n「……えっと、ここをホームにするっていうのはもう聞いてると思うんだけど、その前に探索しろって言われて。それで何を見たらいいのかなって思ったの」\n\n NPC的には村なんだっけ?\n 別にホームでも通じてるから問題ないはずだけど。\n\n「そうですねえ。私は特に何もないですね」\n\n ティエルの返事は予想通り。\n 職業は魔法使いだろうし、生産スキルは何もなさそうだし。\n\n「アイリーおねえちゃん! レンガ作りたいの!」\n\n「小川があったから、レンガの材料は大丈夫だと思うわ」\n\n レンガはいいけど、鍛冶に今後必要なのは鉱石のはずだ。\n でも私はどこで手に入れるのかを知らない。\n やっぱり山なのだろうか。\n 私たち自身のためにも、エジアの成長のためにも手に入れたいもののひとつだ。\n\n「……」\n\n まあ、ヨウが喋らないのはいつものことだ。\n ユウカさんと同じ戦闘スタイルなのは正直気に喰わないけど、たまにだけ聞ける声は結構好きだ。\n\n「まあいいわ。それじゃあ私も離れるけど、馬車の中にいたら安全なの?」\n\n「ええ。外に出なければ襲われないことは確認済みですよ」\n\n「分かったわ。あなた達は馬車から出ないようにね」\n\n「はい。それではいってらっしゃい」\n\n\n 馬車から離れて南へと向かう。\n 馬車は洞窟の出口のすぐ近く、つまりは砂浜のすぐ近くにある。\n ここから2kmが私の調べる範囲だ。\n\n 結局何を調べればいいのかははっきりしなかった。\n 多分適当でいいだろう。\n むしろ調べごとよりも、海岸から離れることでセイレーン以外のモンスターが襲ってくることに注意すべきかもしれない。\n\n 南に向かうごとに草木が茂ってくる。\n 海岸沿いはほとんどが背の低い草か土が見えていたので歩きやすかったが、どうやらこの辺りまで来ると歩くのも面倒になってくるみたいだ。\n\n\n 出てくるモンスターを倒しながら進む。\n セイレーンが強かっただけなのか、それとも私が強くなったのか、出てくるモンスターはそれほどでもなかった。\n 朗報といえば、スパイファスターという身のこなしの素早いクモが出てきたことだ。\n ユウカさんは新しい素材を求めていたし、これはいい知らせができそうだった。\n ……ホームに設定したら、出てこなくなりそうだけれども。\n\n その後も順調に探索していく。\n 探索してて気付いたけれど、そういえば私は『瞳』スキルをひとつも持っていなかった。\n あのスキルがないと採取ポイントは分からないのだ。\n ポイントは有り余っているし、ユウカさんとリコから教えてもらったほうがいいのだろうか。\n\n それでも歩きまわって、そして見つけてしまった。\n\n「……池?」\n\n 海まで流れている小川とは距離が離れている場所に、ぽつんと池があったのだ。\n 流れ込んでいる川も、そこから流れている川もない。\n 池だけがある、とっても不自然な光景だ。\n 湧き水かもしれないけれど、上から見る限りでは深すぎて底は見えなかった。\n 水泡が底から上がってきているようでもなく、湧き水というよりは地下水から地上まで大きな穴が開いているようだった。\n\n「これは、怪しいわよね」\n\n 飛び込んでみてもいいのだけれど、あいにくと私は『潜水』スキルは覚えていない。\n こんなことなら海岸でしっかりと泳いでおけばよかった。\n だったら調べることもできたのに。\n\n とりあえず今はなにもしないことにして、場所だけ覚えて馬車まで戻ることにした。\n 万が一ということがあるかもしれないが、どうせまだこの場所は誰にも知られていないのだ。\n 私達のホームを設定してしまえばもうなんの問題にもならない。\n そう、ここがダンジョンの入口だとしても、誰にも知られる前に独占してしまえば問題にはならないのだ。\n\n\n------\n\n\n「ダンジョン、ですか?」\n\n「かもしれないっていうだけよ。中には入れなかったから違うかもしれないわ」\n\n 夕方になると皆さんが馬車まで戻ってきます。\n 私とリコは午前中はずっと海の上にいて、すっきりしてから戻ってきました。\n あとは馬車の中でゆっくりとお喋りです。\n\n「できれば調べておきたいですけれど……」\n\n「でも、出来る限り早めにホームとして設置したいよね」\n\n そう、そうです。\n 夕凪さんとアイリーの話では、早い人は1日であの嵐を突破しているのだとか。\n 私達が数日は先行しているとしても、移動ペースを考えるといつ追いつかれてもおかしくありません。\n\n この砂浜を、この場所を。\n ホームとしてキープするために、そして無駄な争いを避けるためにも誰にも知られる前にホームとして設定する必要がありました。\n\n「そうですね……。それではまずはホームとして設定してしまいましょう。調べるのはその後でも問題ありませんよね?」\n\n「多分……ダンジョンの入り口もホームの中に設定できることは間違いないし、それで入れなくなったとは聞かないし」\n\n であれば問題ありません。\n そのダンジョンらしきものは、ここからまっすぐ南に行ったところにあります。\n 海岸とダンジョン入り口、ちょうど中間にホームの中心を持ってくるのがよさそうですね。\n\n さっそく馬車で移動します。\n 段々と草木が茂ってきて、馬車の歩みが遅くなるのですが止まるということはありません。\n そういえば道とかも作れるのでしょうか。\n 移動が面倒ですし、可能ならばぜひ作りたいですね。\n\n そうして中心に到着します。\n インベントリから最上級拠点水晶を取り出します。\n なんだかとっても重みを感じます。\n\n「これでやっと落ち着けますねぇ」\n\n「しばらくはゆっくりしたいわね」\n\n「私もたまには生産活動でもしようかな」\n\n それぞれにやりたいことが溜まっていました。\n もちろん私も。\n 何よりも、色んな人とホームの設置をすると約束しています。\n そう、リンともやっと会えるのです。\n\n 設置場所に最上級拠点水晶を使います。\n\n『この地点から半径1kmを拠点に設定します』\n『やり直す場合、この場は放棄し再び拠点水晶を手に入れる必要があります』\n『問題ありませんか?』\n\n システムメッセージにイエスと答えます。\n\n そして──。\n 海と池を含むこの土地は、私達のものになりました。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv82\n職業:隠密Lv18, 復讐者Lv45\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:4200/4200\nMP:4200/4200\n-\nSTR:340\nVIT:120\nAGI:975\nDEX:745\nINT:350\nポイント:500\n-\n【パッシブスキル】\n短剣Lv100, 投擲Lv73\n看知の瞳Lv32, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv42, 超聴覚Lv70, 気配察知Lv77\n農業Lv18\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:217\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+10, 信頼+5, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,700,750e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n 雨蜥蜴のアーミーベスト\n 鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n 隠密補正のマフラー\n 認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n 速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n 転移のイヤリング"} |
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