| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 135, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/135/", "title": "135 竜都バルラーウ", "content": " 目覚めると、こちらを見下ろす視線がありました。\n\n「おはよう、ヨウ」\n\n「おはようございます、ユウカさん」\n\n 身体を起こそうとすると、ちくりと腕に刺さる痛み。\n 私に抱きついていたエジアのツノが刺さっていました。\n\n「ヨウはずっと起きててくれたのですか? よければ少し休んでいてくださいね。その間にご飯を作ってしまいますので」\n\n そう伝えると、ヨウはすぐに横になりました。\n 無理をさせたみたいです。\n 美味しいご飯を作ってあげましょう。\n\n 昨日は思ったよりも移動できませんでした。\n なんとか今日中にはたどり着きたいですね。\n\n 西にある街の名前はエジアからすでに伺っています。\n 竜都バルラーウというそうです。\n その名の示すとおりに、エジアのような竜人が多く住んでいるそうです。\n もちろん他の種族も住んでいますけれどね。\n\n それよりも、気になるのは街の名前に竜の文字が入っていることです。\n 夕凪さんが言っていました。\n 竜人、それに天使と悪魔。\n それぞれが本に載っていたと。\n もしかしたら、天使の都と悪魔の都もあるのかもしれませんね。\n\n 料理には豚肉を使います。\n なんて言っても見た目の立派なオークの肉が手に入りましたからね。\n ……ええ、動いている時の姿を思い浮かべてはいけません。\n\n とりあえずは焼いてしまいましょう。\n 時間をかけたら塩につけたりもできるのですけれど、出先ですからね。\n 調味料で味をつけるしかできません。\n\n 結局お手軽料理になってしまいました。\n ヨウとエジアが起きるまで、昨日の反省でもしていましょう。\n\n\n「首斬り!」\n\n 武器を構えて技名を叫びますが、特に何も起こりません。\n 対象はモンスターでなければいけないようですね。\n\n ……何も起こらないと、ちょっと恥ずかしいですね。\n\n この安全地帯を出てモンスターと戦ってもいいのですが、万が一にも倒れるわけには行きません。\n ここで大人しくしていたほうがよさそうです。\n\n 自分のステータスでも眺めていましょう。\n\n やっぱり目を引くのは【短剣術】です。\n もう初心者とは名乗れませんね。\n\n あと気になるのはあまり……。\n ……!\n ああ!\n なんということでしょうか!\n\n 装備品を見て気付いてしまいました。\n 私、まだヨウと指輪交換していない……。\n\n いえ、今気付けてよかったというべきでしょう。\n 街に入ったら早速指輪を購入しようと思いました。\n\n\n「おねえちゃん! 朝からごちそうなの!」\n\n 目覚めて一番、挨拶よりも先にご飯に目が行ったみたいです。\n 竜人だし、やっぱりお肉に目がないみたい。\n いつの間にか起きていたようも、気付きにくいのですが喜ぶエジアを見て微笑んでいます。\n\n さっそくご飯を食べましょう。\n 今日の予定はまずは街へと辿り着くこと。\n 必要なアイテムを、セイレーン対策のアクセサリーと、それと指輪を購入すること。\n 一番の目当ては、自宅の見積もりを取ること。\n\n よし、完璧です。\n それでは今日も元気よく駆け出しましょう。\n 出てくるモンスターとも戦いましょう。\n 昨日と比べ、きっと私たちは強くなっているでしょうから。\n\n\n------\n\n\n 街道に出て、昨日と同じように走ります。\n 野盗がいなければ、やはり街道が一番ですね。\n なによりもモンスターがほとんど出ませんから。\n 林の中とは比べ物になりません。\n\n しかし、それでもたまには現れてしまうのでした。\n\n「上にもいるの!」\n\n 最後の一匹は、ちょうど私に向かって跳ねてきたところ。\n 上から迫ってくる爪、それに向かって私も飛び跳ねます。\n\n 交差の間際に一閃、それがトドメとなるのでした。\n\n\n この道に出てくるモンスターは2種類のようです。\n まずは昨日も戦ったオーク。\n 大きな身体と、醜悪な顔が特徴です。\n 次に先ほど襲ってきた狼たち。\n ワーグという名前で、常に1匹のオークとは違い大体は1~3匹で動いているようです。\n\n「ユウカさん、前から2匹です」\n\n ヨウの警告通り、前から2匹のワーグが迫ってきました。\n こいつらは2匹以上いると非常に厄介です。\n 連携巧みで、私達の中の1人だけを常に狙ってくるのです。\n\n「お互いフォローできるように、少しだけ離れましょう」\n\n 最初は常にくっついていました。\n けれどそれだと向こうの狙いが分からないのです。\n 多少危険なのですが、向こうの狙いがはっきりしたほうがすぐに倒せるのです。\n\n エジアを真ん中に、私が左前方、ヨウが右前方に。\n 動きの早い私達が両側に陣取ります。\n\n 2匹は横に並んで、まっすぐに街道をこちらへ向かってきます。\n まだ向こうの間合いに入っていないので、その歩みは非常にゆっくり。\n これがある程度まで近づくと、いきなり速くなるのです。\n\n まだ……。\n まだなの……。\n\n ほんとうなら私だけで突っ込みたい。\n でもワーグの動きは素早くて、追いかけっこじゃ追いつけません。\n\n 2匹のワーグがいきなり駆け出す。\n きた!\n 狙いは……ヨウ!\n\n「エジア! ヨウのすぐそばに!」\n\n ヨウとエジアにはワーグ達を迎え撃ってもらいます。\n 少し離れた位置に私。\n 一直線にヨウに向かっていくワーグに向けて、両手に持っている短刀を思い切り投げました。\n\n 勢い良く飛んで行く2本の短刀。\n それはワーグの死角から、見事に前足へと突き刺さりました。\n 1匹のワーグはそれで動けなくなります。\n\n もう1匹はお構いなしにヨウの元へ。\n その大きな口を開いたところで、ヨウの鋭い一撃。\n でもそれは身をよじってかわされてしまいます。\n そこへエジアの一撃です。\n バランスを崩したところへ、ドラゴンパンチをぶち込みました。\n\n 飛ばされるワーグを尻目に、私も次の攻撃の準備。\n 短刀を放ってしまったので、もう手元に武器はありません。\n けれど今の私はもう大丈夫。\n\n「──リビルド!」\n\n 両手を掲げて、技名を叫びます。\n すると先に倒れていたワーグ、その前足に突き刺さっていた短刀が私の手元へと移動してきます。\n そう、これが【投擲】を鍛えた結果。\n 投げた武器が手元へと戻ってくるのです。\n\n 再びの、思いっきりの投擲。\n 私からはヨウの後ろ姿しか見えませんが、その先にはワーグがいるはずです。\n\n「ヨウ、かがんで!」\n\n 私の投げた短刀がぶつかる直前、ヨウは見事に身をかがめます。\n その先にはふらついたワーグの姿。\n エジアの一撃が効いていたみたいです。\n その頭に、見事に短刀が突き刺さりました。\n\n 動けないもう1匹は、ヨウがその首を落としておしまいです。\n\n\n「意外とたくさん襲われますね……」\n\n いえ、実際にはそれほど多くの戦闘はしていないかもしれません。\n でも最初は戦い方が分からずに、1時間ほどワーグと退治していた気がします。\n だって近づいたらすぐに気付くんですからね。\n\n 側面、または後方からの投擲が有効だと気付くまでに数時間。\n そこからスキルを鍛えるのに数時間。\n そしてやっと、スムーズに戦えるようになったのです。\n\n「そろそろ街に着くと思うの」\n\n その言葉はさっきも聞いた気がします。\n けれど確かに、最初よりも街道がしっかりしてきた気がしますね。\n 相変わらず街道の両側は林に覆われているので、あまり遠くが見えません。\n それに街道もまっすぐではなく、あとどれほど進めばいいのかも分かりません。\n\n「……あら?」\n\n 木々の間から、緑色ではないものが見えた気がします。\n 気になりましたが、私たちは常に全力疾走。\n これ以上急ぐことはできませんでした。\n\n それから数分。\n やっと、竜都バルラーウへとたどり着いたのでした。\n\n\n------\n\n\n バルラーウの特徴は、灰色の一言です。\n 街を囲んでいる門も、それに街の中のほとんどの家も。\n まさに灰色一色と言っていい具合でした。\n\n「これは何なのでしょう」\n\n 道端に落ちていた、カケラらしきものを拾ってみます。\n 石なんかよりもだいぶ軽いです。\n このくすんだ色、これは……。\n\n「おねえちゃん、これからどうするの?」\n\n「ああ、そうですね。まずはお金を稼ぎましょう」\n\n アテルダムを出てからずっと戦ってきました。\n その間物を買うことはあっても、売ることはできませんでしたからね。\n インベントリには色んなアイテムがいっぱいでした。\n\n「それじゃあこっちなの」\n\n エジアにアイテムを買い取ってくれるお店へと案内してもらいます。\n 私も、そして恐らくヨウもこの街は初めてですからね。\n 頼れるエジアがいて助かります。\n\n\n「すみません、アイテムを買い取ってほしいのですけれど……」\n\n「そう、どれだい?」\n\n「それがですね、結構な量があるのですが……」\n\n「ああ、なるほど。それじゃあこっちに出してくれ」\n\n 案内されたお店はいわゆる総合商店です。\n なんでも売っていて、なんでも買ってくれるというお店です。\n その分専門店に比べるといまいちな場合が多いのですが、時間は短縮できます。\n\n 売るものをカウンターへと並べていきます。\n まずはシャワーリザードの革、それに肉も。\n リトルバッドの羽に牙に血。\n スライムの粘液、セイレーンの爪。\n それにオークの腰巻きとワーグの肉と牙。\n\n 使いみちの無いものと、美味しくないお肉を売却します。\n 防水装備はもう全員分あるのでシャワーリザードの革も売ってしまいます。\n もし必要になったら、こんどはもっといいものを探せばいいのです。\n\n「ん、オークの肉はないのか?」\n\n「えっと、美味しかったので私達で食べようと思っています」\n\n「そうかあ。オークの肉は高いんだがなあ」\n\n お店の人は竜人です。\n やっぱりお肉が好きなようですね。\n\n そうして算出された売却額、全部で328,800eとなりました。\n 中々の金額です。\n\n そのままお店を出る……ということはせずに、今度は買い物です。\n\n「探しているものがあるのですが、お伺いしてもよろしいですか?」\n\n「おお、もちろんだ。中には物のを売るだけ売ってまったく買わない奴らもいるからな。お嬢ちゃんみたいなのは大歓迎さ」\n\n うふふ、ツノが生えているから怖いのは怖いのですが、どうやら人当たりはいい人みたいです。\n\n「ええとですね、セイレーンの歌声に対抗するアイテムを探しています」\n\n(それと、婚約指輪もです)\n\n「お、それならあるぞ。別のフロアにあるから案内しよう」\n\n(指輪もそっちだな)\n\n「ありがとうございます。エジアとヨウはここでお店を見ててくださいね」\n\n なんて優しい店員さんなのでしょう。\n いかつい竜人がかっこ良く見えてきます。\n\n お店の1階は雑貨。\n 2階には武器防具。\n アクセサリーは全て3階にあるみたいです。\n\n「こいつだな、不応の首輪。これに宝石を組み合わせることでセイレーンの歌声に対抗できるだろう」\n\n 渡された首輪。\n どうやら首輪そのものには効果はなく、くぼみに宝石をはめることで効果を持つそうです。\n しかし値段が……。\n\n「首輪と宝石セットで40万eですか……」\n\n 私の所持金は、先ほどの売却額を足しても200万eちょっとです。\n 5セット購入するのが限界です。\n しかも一番の目的は家の見積もりなので、ここでお金を使い切るわけにもいきませんでした。\n\n しかし、買わないわけにもいきません。\n 幾つ購入するのが正解でしょうか。\n 身重ということで、ティエルの分は除外してもいいかもしれません。\n そうなるとエジアとヨウの分だけ?\n\n でももうすぐリンを出迎える予定です。\n それに途中の村で出会った人たち。\n ミーオさん、ミドさん、ニィルさん、ニィルグさん。\n やはりお金が足りません。\n\n「……お嬢ちゃん、お金が足りないなら少しぐらいは負けてやるぞ」\n\n「ほんとですかっ!」\n\n「あっ、ああ。あまり値引けないがな。そうだな……首輪を4セットに、婚約指輪をつけて150万eはどうだろうか」\n\n おお、なんということでしょうか。\n これなら悩まずに済みそうです。\n というよりも、相手から数を指定してきたのに、変更をお願いするなんてしにくいですからね。\n\n「ありがとうございます! おかげでなんとかなりそうです」\n\n「なあに、この店を贔屓にしてくれたらいいのよ」\n\n「はい、必ずまた来ますね」\n\n 気分よく買い物ができました。\n またここを利用したいですね。\n\n\n「おねえちゃん、そろそろお腹が減ってきたの」\n\n 気付けばもう日も暮れようとしています。\n 思ったよりも時間が経つのは早いですね。\n\n「そうですね、それでは先に泊まるところを決めましょうか」\n\n「まかせてなの。こっちがいいの」\n\n うん、やっぱりエジアは可愛いですね。\n 私の手を引いて先頭を進むエジアについていきます。\n\n\n「すまないが、この時間だともうねえ……」\n\n「お客さん、もうちょっと早く来てくれないと困るよ」\n\n「ごめんね、ついさっき埋まっちゃったんだ」\n\n なんということでしょうか。\n エジアに案内される形で高級な宿屋から順番に巡っていったのですが、どこも埋まっているそうです。\n 別に私が一番乗りでこの街に来たとまでは言いませんけれど、プレイヤーの数は非常に少ないはずです。\n いったいこれはどういうことなのでしょう。\n\n そんなことよりも私達です。\n せっかく街に来たのに野宿なのでしょうか。\n\n「……私が昔住んでいた家があるの。そこなら泊まれるはずなの」\n\n ……まさかのエジアのご両親に挨拶ですか?\n 気持ちは嬉しいのですが、さすがにそれはちょっと。\n\n「大丈夫なの。住んでいるのは私の友達なの。でもちょっとだけうるさいの……」\n\n「それぐらいなら気にしませんよ。ヨウも大丈夫ですよね?」\n\n こくりと頷いてくれました。\n うふふ、お友達ならむしろ歓迎です。\n\n そして、エジアが住んでいたという家までやってきました。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv88 (↑4)\n職業:隠密Lv29 (↑9), 復讐者Lv47 (↑2)\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:4500/4500 (↑200)\nMP:4500/4500 (↑200)\n-\nSTR:350 (↑10)\nVIT:320\nAGI:1040 (↑55)\nDEX:800 (↑45)\nINT:350\nポイント:320 (↑40)\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv6 (↑5), 投擲Lv100 (↑27) → 投擲術Lv4 (New)\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv42, 超聴覚Lv79 (↑3), 気配察知Lv83 (↑2)\n農業Lv18\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:234 (↑14)\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+10, 信頼+5, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n529,550e (-1,171,200)\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n 雨蜥蜴のアーミーベスト\n 鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n 隠密補正のマフラー\n 認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n 速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n 転移のイヤリング"} |
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