Krixter/Repo / n0005cn /137.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 137, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/137/", "title": "137 クラン攻防戦", "content": " 夕凪から話を聞いた。\n 確かに納得できるものだった。\n でも、だからって。\n ユウカさん無しでなんとかできる自信はあまりなかった。\n\n「マトヴィも知ってたの?」\n\n「ああ、夕凪から聞いたんだ? もちろん。最初から夕凪に相談されてたしね」\n\n そう。\n そうなんだ。\n 知らなかったのは私とリコだけなの。\n まあ確かに、私もリコもあまり頭をつかうのは良くないけどさ。\n それでももうちょっと早めに教えてくれたっていいと思う。\n\n「夕凪はこれからアテルダムだってね。いい人達が見つかるといいんだけど」\n\n「当てがあるって言ってたし、それは大丈夫でしょ」\n\n これから数日以内に、ユウカさんを狙ってPKが集団でやってくる。\n それを私たちは、ユウカさんに知られないうちになんとかしようというのだ。\n\n 助っ人に心当たりは、残念だけどある。\n ユウカさんの知り合いで、私達の知り合いでもある強い人。\n 始まりの街アーバウンドからアテルダムに行く途中に出会った男の4人組。\n\n 確かにあいつらは、強い。\n そりゃあずっと最前線にいるような人たちだ。\n 助けを求めるのは間違ってない。\n\n けれどそのうちのひとり。\n 盾を持ってた無口な男。\n ユウカさんに一目惚れしてた男。\n こいつにだけは来てほしくなかった。\n\n まあ、その場で文句は言わない\n そのせいで負けたら元も子もないからだ。\n\n「マトヴィ、今使ってる武器を出して。『刻印』をつけてあげるわ」\n\n「……それはありがたいね。でも一体どういう風の吹き回し?」\n\n「そりゃあ……負けたくないからよ」\n\n そういえば『刻印』はユウカさんと私の武器にしかしていなかった。\n それはもちろん今まで不要だったから。\n 『刻印』を入れても武器が強化されるのはほんのちょっとだし、今までの私たちには必要なかったし、なによりもお揃いっていうのがよかったから。\n でも今はそんなこと言ってられない。\n 少しでも強くなる必要がある。\n\n「『刻印』は炎ね。少しだけ攻撃力があがるわ」\n\n もっとも、それしか知らないんだけど。\n 一応毒とか麻痺とかあるけど、確率は低いし、人相手だと耐性持ちだったら無意味だし。\n 確実なのは炎の刻印だろう。\n\n「ありがと。話は変わるけど、アイリーはペットは育てないの? 今回も結構役に立つと思うよ」\n\n そういえばマトヴィのペットはスライムだ。\n 強くはないけど、相手の足止めには結構有効らしい。\n\n 私は……。\n\n「掲示板で目当てのペットの情報があったから、そろそろ狙ってみるつもりよ」\n\n「へえ……ちなみにどんなやつ?」\n\n「……馬よ」\n\n そう、馬だ。\n 私は思ったのだ。\n ユウカさんとふたりっきりで馬に乗って、草原を駆けまわる。\n きっと素敵なことだ。\n\n からかってくるマトヴィを無視して次の準備だ。\n リコの手伝いで、出来る限り回復薬を作っていく。\n これも大事。\n 人同士だと、長期戦になりやすいから。\n\n 私たちはできたばっかりのクランのホームで、戦いの準備を始めていた。\n\n\n------\n\n\n アテルダムにやってきたよ。\n いやあ、転移水晶というのは便利なものだね。\n ユウカちゃんを騙して設置させちゃったみたいでちょっとだけ悪い気がするけどね。\n でも大事なことだったから。\n\n アテルダムの広場を見渡すと、すぐに目当ての人たちを見つけることができた。\n\n「やっ、エスト。またあえて嬉しいよ」\n\n「お、迎えに来たのは夕凪だけか。どうせならみんなで来てくれたらよかったのにな」\n\n ははっ、彼は相変わらずだね。\n\n クラン『デッドライン』のリーダー、緋色のエスト。\n 彼の名はプレイヤーでは有名だね。\n なんといっても一番最初に闘技場で優勝した人だから。\n\n「ほんとごめんね、いきなり連絡なんかしちゃって」\n\n「いやいや、あの内容ならしょうがねーよ。むしろ連絡してくれてよかったくらいだ」\n\n ……ん?\n それはどういう意味だろう。\n 特に彼らとPKとの間で確執があったとは聞いていないけれど。\n\n「……こいつが、うざすぎてね」\n\n「おう」\n\n エストたちに紹介されたのは、巨漢の男。\n んー……どこかで見たような気もするけど。\n\n「……誰?」\n\n「あんたがユウカの知り合いだってな。俺はマッドだ。よろしくな」\n\n どうやらユウカちゃんの知り合いみたい。\n マッドねえ……。\n マッド……マッド!?\n\n「マッドって、まさかあのマッド!? 最強のPKの!?」\n\n「おう。そういえばあんたとは初めてだったかもな」\n\n ユウカちゃん、いったいいつの間にこんなのと知り合ってたんだい。\n マッドの話は私も聞いたことがあるよ。\n 強い人相手には容赦しない、PKのくせに不意打ちはしない、掲示板ではいっつもけんかを売っている、最近は闘技場で暴れてるとか。\n ……あれ、あんまり悪い人じゃない気もするね。\n\n「俺らが闘技場からこっちに移動するときにね、こいつもついてきたんだよ。戦いの匂いがするってね」\n\n「がはは、俺はPK掲示板も覗けるからな。ユウカが狙われてるってわかりゃ、そりゃあ参加するしかないだろう」\n\n うーん、思ったよりもいい人なのかも?\n 戦力的には申し分ないから、大歓迎だね。\n\n「助かるよ。エストたちを誘ったはいいけど、まだ不安だったんだ」\n\n「ははっ。感謝するのはまだはえーぞ。PKのメンツは知ってるがこの戦力じゃまだ足りないだろうかなら」\n\n「うわあ……それは嬉しくない情報だね」\n\n まったく、ユウカちゃんはどれだけモテてるんだいって話だよ。\n\n\n それで、さっそくマッドからPK連中の詳しい話を聞こうとした時。\n ちょうどすぐ傍を、落ち込んだ様子の男たちが通りかかっていった。\n どこかで見たような顔だね。\n\n「あれ……海漢くんじゃない?」\n\n「ん……あー、誰だったか? どこかで見たような気はするんだが」\n\n あれ、覚えてないのかな。\n まあ出会ったのはここのすぐ近くの川で、ワニ狩りをちょっと手伝っただけだしね。\n しかも手伝ったのはユウカちゃんだけ、私はそのあとの食事に参加しただけだしね。\n\n「ユウカちゃんって覚えてないかな? ほら、和服に短剣の女の子。ワニ狩りの時に乱入してきた子だよ」\n\n「お……おお、覚えてる覚えてる。そういえばあんたもその場にいたような気がしてきた」\n\n「それでキミたち、こんなところでどうしたの? そういえば掲示板では盛り上がってるみたいだけど」\n\n「ああ、それなあ。まったく、海賊は俺らのせいじゃないのにな」\n\n 彼らから詳しい話を聞いたよ。\n 海賊の攻略に重要そうなポイントが、どうやら川のどこかにあるらしい。\n だからアテルダムから山まで繋がっている川を調べていくつもりだったけど、どうやら善良なプレイヤーたちがこの川の隅々まで調べきってしまったのだとか。\n でもダンジョンなんてものは見つからず、どこを調べたらいいか途方に暮れていると。\n\n 実際は川じゃなくて、水の中にダンジョンの入口があるっていう話らしいけど。\n そして海からそう離れてない場所だろうと。\n\n ……おや?\n\n「その場所、もしかしたら心当たりがあるかも?」\n\n「──まじかっ!?」\n\n「マジすか、姐さん!」\n\n「ちょっ、教えてくださいっす!」\n\n わお。\n 海漢くんだけじゃなく、一緒にいる人達まで迫ってくるよ。\n 思った以上に追いつめられてるみたいだね。\n 私なんかは、海漢くんの責任は全く無いと思うんだけどね。\n\n「うーん、教えてもいいんだけど、私達もちょっとトラブルがあってね?」\n\n ふふっ、いい機会だから彼らも誘ってしまおう。\n 案の定彼らはすぐに乗ってくれた。\n\n「よし、いいぜ。そのトラブルは俺らが解決してやろう。その代わりにダンジョンの入口を教えてくれたらいい」\n\n「よし、交渉成立だね。それじゃあ詳しい話を──彼から話してもらおうか」\n\n\n ダイラ。\n PK掲示板で今一番成績がいい人。\n ほとんど失敗もなく、キル数ばっかりを稼いでいる。\n しかも女らしいっていうんだから驚きだ。\n\n キラーマシン。\n 掲示板ではKiller Machineって名乗っている。\n こいつも要注意人物。\n PKクランのマスターらしい。\n\n ウォンデッド。\n 掲示板ではikemen。\n 別にそこまで顔はよくないみたい。\n\n グリフコ。\n 過去ユウカちゃんに殺されて、それから付け狙っている奴。\n こいつにはみんな全力で当たるつもり。\n そして二度とユウカちゃんを狙っちゃいけないと思い知らせなきゃいけない。\n\n「あとは、そうだな。どうやら結構な人数が集まってるみたいだぞ。プレイヤーが13人にNPCが28人だ」\n\n「うわあ……よくそんなに集まるもんだね」\n\n「夕凪たちの戦力は? 一応俺らで4人、それにマッド、あとは海漢達が7人いるけど」\n\n「私達のとこは、プレイヤーが4人にNPCが1人かな。でもそのNPCは今身動きがとれないから、戦力には数えないほうがいいかも。それとさっきも言ったとおり、ユウカちゃんは除いてるからね」\n\n とりあえずはアテルダムで、これからのことを整理する。\n 私達が、というよりもユウカちゃんが狙われていること。\n PKの集団がやってくること。\n どうやら私達のクランのホームの場所がバレていること。\n そして、もう時間はほとんどないこと。\n\n「俺はダイラを担当する。こいつはマジで強いぞ。俺じゃなきゃ止められないだろうからな」\n\n「マッドってかなり強いって聞いたけど、そんなにやばいの?」\n\n「ああ、やばい。俺じゃなきゃまず止められないな」\n\n「まあマッドは協調性ないからね~。むしろちょうどいいんじゃない?」\n\n「じゃあ俺らは残りだな。まあちょうどPT組んでるし、それぞれで連携するのがいいだろうな。どうせ向こうもそこまで連携はできてないだろうしな」\n\n「OKだ。ところでこのメンバーに、魔法を使える奴はいるのか……?」\n\n ……。\n\n「まじかよ。一応俺らは水魔法は使える奴が多いけど、そこまで鍛えてはないからなあ」\n\n「あははっ、みんなして脳筋ばっかだ」\n\n うーん、さすがゲームで前線を走っている人たち。\n 私が何も言わずとも勝手に話が進んでいくよ。\n\n「──夕凪さん。それで、どうしてユウカさんがこの件を知らされていないのか、そろそろ教えてくれませんか?」\n\n「ああ、やっぱり気になるよねえ……」\n\n さすが悠二くん。\n みんな空気を読んで聞いてこないのに、やっぱり聞いてくるんだね。\n\n「別に、ただユウカちゃんを戦わせたくなかっただけだよ。ユウカちゃんが下手に気付いて、気を使ったりなんてならないようにしたかったんだよ」\n\n ユウカちゃんは優しいからね。\n 自分が狙われてるせいで無駄に襲われたりっていうのがわかると、もしかしたら私達から離れちゃうじゃない。\n ……まあ、ほとんどあり得ないとはおもうけどね。\n むしろ、逆にPK狩りにハマっちゃいそうだし。\n\n「あとは報酬の話だけど、エストたちは話していた内容でいいのかな?」\n\n「ああ、ユウカにオーダーメイドできる権利だろ? それで俺らは十分だ」\n\n 裁縫スキルを育てているプレイヤーって案外少ないんだよね。\n 師匠がいないから、予め現実で裁縫ができる子じゃなきゃなかなか覚えられないから。\n そこをしかもタダでっていうんだから、十分な報酬だよね。\n ……あとでユウカちゃんを説得しないとね。\n\n「俺はいらないぞ。ダイラと戦えるだけで十分だ」\n\n マッドはさすがの戦闘狂ぶりだね。\n それにしてもなんだかダイラっていうPKに拘っている気がするよ。\n もしかしたら何か理由があるのかな?\n\n「俺たちもダンジョンの場所を教えてもらえるだけで十分だ」\n\n「いやいや、キミらはそれだけじゃダメでしょ」\n\n そこが君らの目当てのダンジョンとは限らないんだから。\n\n「それに加えて、もしも私が教える場所が間違っていた場合、私達もダンジョン探しを手伝うよ。大陸の西側は結構調べてるからね。どうせだからもっと西を探してみるよ」\n\n「すまない、助かる」\n\n もちろん私たちにもメリットはある。\n 今のうちに媚を売っておけば、また助けてくれるかもしれないし。\n それに海都にも行ってみたいし?\n\n「それじゃあこれから私達の拠点に移動するけど……変なことはしちゃダメだからね?」\n\n 最後に念を押して、皆でパーティーを組む。\n これで私達の拠点には、広場の転移結晶から移動できる。\n まったく、パーティーの誰かひとりでも知らない人がいたら新しい街には行けないのに、拠点には移動できるんだからね。\n 今はとっても助かるけれど。\n\n\n 私たちは戦力を得た。\n エストたち4人に、マッド、それに海漢くんたちの7人。\n あとは私、アイリー、リコちゃん、マトヴィ、紫桜くん。\n NPCのティエルさんはお休み。\n ユウカちゃん、エジアちゃん、ヨウちゃんはお出かけ中。\n\n 合計15人。\n PKの数はプレイヤーとNPC含めて41人。\n まだまだ戦力の格差は否めない。\n けれど私達のほうがレベルは高いはず。\n\n そして翌日。\n 私達のクランに、宣戦布告がされた。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv88\n職業:隠密Lv29, 復讐者Lv47\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:4500/4500\nMP:4500/4500\n-\nSTR:350\nVIT:320\nAGI:1040\nDEX:800\nINT:350\nポイント:320\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv6, 投擲術Lv4\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv42, 超聴覚Lv79, 気配察知Lv83\n農業Lv18\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:234\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+10, 信頼+5, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n529,550e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   雨蜥蜴のアーミーベスト\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n   転移のイヤリング"}

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