Krixter/Repo / n0005cn /138.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 138, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/138/", "title": "138 逆恨みと八つ当たり", "content": " 男ばかりだ。\n\n 夕凪が連れてきたメンバーは誰もが強い人達だった。\n それはいい。\n むしろすごい事だと思う。\n でも、男ばかりなのはどういうことなのだ。\n\n しかも、しかもだ。\n マッドとかいうゴリラが、私達のクランに入ったのだ。\n\n「ところで、クランの攻防戦って俺らも参加できるのか?」\n\n エストの一言に、みんなで戦慄した。\n 確かにそうだ。\n クラン同士の戦いなのに、どうして無関係なクランが参加できるというのか。\n\n でもそれはすぐに解決した。\n 一時的に、エストのクランと海漢のクランが私達の傘下に入ることになった。\n うん、それもまあいい。\n なんだか一度傘下に入ると抜けるまでに時間がかかるらしいが、それぐらいはしょうがない。\n\n『あ~、俺はクランを作ってないんだが』\n\n そう、こいつの一言。\n ゴリラはなんとソロだった。\n\n『悪いが俺らのところには入れないからな』\n\n『俺らもちょっと勘弁してほしいな』\n\n そして同じ男なのに、なんとエストも海漢もゴリラをクランに入れるのを拒否したのだ!\n ありえない。\n でもゴリラの戦力は魅力的。\n 非常に魅力的だそうだ。\n\n だから、私達のクランに入った。\n 最低だ。\n\n\n「アイリー、そんな怒ってばっかじゃダメですよぅ」\n\n「わかってるわよ!」\n\n「でもぉ……」\n\n なんでリコはこんなに落ち着いているんだろう。\n 私達の、ユウカさんのクランに邪魔者が入ってきたのに。\n\n でも確かに言うとおり。\n だってもう目の前に、PK集団が揃っているのだ。\n\n 昨日ゴリラたちがやってきた。\n そして今朝、馬鹿どもがやってきた。\n\n『宣戦布告がなされました。対応を選択してください』\n\n 選べる選択肢は幾つかあったけれど、私達が選んだのはもちろんその場での対応だ。\n 私達のクランのホームの範囲のすぐ外。\n そこで戦うことになった。\n\n\n------\n\n\n(おい、なんでマッドの野郎が向こうにいるんだよ!)\n\n(しらねえよ! おい、どうなってんだ! 女だけじゃなかったのかよ!)\n\n(あいつエストじゃねえかよ! 闘技場にいるんじゃねえのかよ)\n\n 私達の向かいで、PK共が何やら騒いでいる。\n どうやら私達のクランだけだと思っていたみたい。\n 馬鹿なのだろうか。\n こいつらだってPK仲間を集めてきたんだ。\n 私達が集めないとは思わなかったのだろうか。\n\n 騒いでいるPK共の中、ひとりだけ異彩を放っている人がいる。\n 背の高い女だ。\n キリッとした表情で、赤い髪。\n 装備は最低限で、立派な体つきを惜しげも無く晒している。\n その人だけが騒がずに、じっとこっちのゴリラを睨んでいる。\n\n あの人がダイラという女性なんだろう。\n ゴリラと何か関係があるのかもって夕凪が言ってたけど、どうやら本当みたい。\n ダイラは胸も大きいが、筋肉もしっかりついてる。\n ゴリラ同士お似合いだと思う。\n\n 目の前で、大きく表示されたカウントが少しずつ減っていく。\n\n 私たちには不安がある、というか不安ができた。\n クランに戦いを挑まれて、私たちは応戦を選んだ。\n それはいい。\n\n なぜか、妊婦のティエルまでもがメンバーに選ばれてしまったのだ。\n どうして?\n 多分だけど、全員強制参加なのだろう。\n もしかしたら選択肢があったのかもしれないけれど、もう確認はできない。\n 私たちは、動けないティエルを守るように戦うしかなくなった。\n\n PK連中はティエルを目にして、焦っていた様子をニヤついたものに変えていた。\n 誰がどう見ても穴だし、当然だった。\n\n「ティエル、あなたは絶対に守るから」\n\n「ありがとうございます。アイリーさん」\n\n「リコ、あなたは死んでもいいから絶対にティエルを守るのよ」\n\n「当然ですっ!」\n\n 私はティエルのことが好きじゃない。\n よくユウカさんに抱かれてるし、えっちな体つきだし、何よりもユウカさんの子供を宿してるし。\n 本当なら私とユウカさんの間に子供ができてるはずなのに。\n\n でもユウカさんの子だ。\n それだけでも守る価値は十分だ。\n\n カウントがゼロに近づいていく。\n\n「そこのティエルさんがなんで妊娠してるのかは、非常に、ひっじょおおおに気になる」\n\n エストがなんか喋ってる。\n\n「だが今はそれはいい。問題は、あいつらが間違いなくティエルさんを狙ってくることだ」\n\n それはもう分かってる。\n\n「悠二、お前はティエルさんのすぐ傍にいろ。絶対に攻撃を防げ。パースと黒砂糖は突っ込んでいい。遠距離攻撃してくる奴らを狙っていけ」\n\n「中々いい案だな。俺らは水中特化ばっかだし、肉壁を任せてもらおうか」\n\n エストたち、海漢たちの行動は、ティエルのおかげですぐに決まった。\n ……どう考えても、火力が少なすぎる!\n\n そして、カウントがゼロになる。\n\n\n「マッド! こっちへ来い!」\n\n「当然だあっ!!」\n\n 向こうのゴリラ女が大声で叫んで、それにゴリラ男が反応する。\n ゴリラ男はその見た目からは信じられないぐらいに早く走って、PKと私達の中央で、ゴリラ同士でぶつかり合う。\n 剣同士のぶつかり合う音がここまで響いてくる。\n\n「この裏切り者がっ!!」\n\n「裏切るわけがねーだろっ!!」\n\n ゴリラ同士、ふたりだけで通じる言葉を喋りながら戦っている。\n それが中央で、今まで見たことないぐらいハイレベルな戦いをしているのだ。\n 私たちはすぐに身動きが取れなかった。\n\n でもすぐに動き出す。\n ゴリラ同士はその場で足を止めているわけじゃなく、前後左右縦横無尽に動いている。\n PK達と私達のちょうど真ん中で始まった縄張り争いは、私達を放っておいて違う場所ヘと移っていった。\n\n「っしゃあ! お前ら突撃だっ!!」\n\n それを見て、向こうの連中が突っ込んできた。\n 今声を上げたのがたぶんキラーマシン。\n 向こうのクランのリーダー、実質率いているやつだ。\n\n 私も少し前に出る。\n\n 一番後ろはティエル。\n その前をリコと悠二が固める。\n その前には肉壁軍団。\n さらに前には私とエスト。\n 夕凪は弓を射やすい場所へと移動したはず。\n ……エストの仲間2人がいない!\n\n「アイリーって言ったっけ? 俺が突っ込むからフォローよろしく!」\n\n 片手に剣、片手に盾を持ったエストが気楽に話しかけてくる。\n どうしてそんなにお気楽なのだ。\n 迫ってくる男たちにビビっている私が弱いみたいじゃないか。\n\n「バカにしないでっ!」\n\n 太刀を両手でしっかりと握る。\n\n「あんたが、私のフォローをするのよっ!」\n\n そして迫ってくる男たちに向かって駈け出した。\n\n「あっ、おいっ!」\n\n\n 勢い良く飛び出した私に、すぐにエストが追いついてくる。\n これがレベルの差、ステータスの差なのだろう。\n とっても気に食わない。\n\n「おいおい、女の子が無理するなって」\n\n「ふんっ」\n\n そんなのは無視だ無視。\n もう敵は目の前だ。\n\n「女の子、じゃんっ!」\n\n 私に向かって長剣が突き出されてくる。\n それを体を横に向けて躱す。\n 回避は私も苦手じゃない。\n ユウカさんを何度も見て、真似しようと努力したから。\n\n 隣から口笛が聞こえた気がした。\n\n 目の前の男は驚いている。\n 私が躱すと思わなかったのだろうか。\n 私は盾を持っていない。\n 躱して当たり前ではないか!\n\n「はあっ!」\n\n その突き出た腕。\n 長剣で突いて、伸びたままの腕に向かって太刀を振り下ろす。\n それだけで決まり。\n 腕がちぎれ飛んだり血が飛び散ったりはしないけれど、これでこいつの腕は動かない。\n 無傷でひとりの利き腕を使いものにならないようにできた。\n 上々の滑り出しだ。\n\n「止まるなっ!」\n\n 私の目の前が一瞬だけ暗くなる。\n 同時にキンッという金属がぶつかる音。\n 一歩退くとすぐにわかった。\n エストが私をかばって盾を構えていたのだ。\n\n「相手のほうが多いんだ! 一撃入れたらすぐに退け!」\n\n 怒られた。\n でも当然だ。\n 不満は顔に浮かべてしまうけれど、頷いたので許してほしい。\n\n そこからはPK連中に囲まれないように、私とエストはゆっくり下がりながら攻撃を凌ぐことになった。\n\n\n 基本的に、人同士の戦いは中々決着がつかない。\n\n ひとつに、モンスターとの戦いに比べ、人同士はステータスの差が抑えられているからだ。\n 実際には抑えられているらしい、だ。\n モンスターを相手にする場合はレベルが全て、ステータスが全て。\n ちゃんとレベルをあげたら馬鹿でもモンスターは倒せる。\n\n でも人同士の場合は違う。\n ステータスの大きな格差は小さく減らされ、どちらかというと技量が重要になってくる。\n そして大きな問題。\n 私たちは防具を身に着けていて、そこを攻撃しても威力は出ないのだ。\n 一番最初に腕を殺せたのはたまたま運が良かったから。\n それ以降の戦いはジリ貧だった。\n\n「やっべ! いったん思いっきり下がるぞ!」\n\n エストの声に一も二もなく反応して、背中を向けて後ろに駆け出す。\n 直後にやってくる炎の塊。\n くそっ、あっちには使える魔法使いがいたようだ。\n\n「あっちいな、くそっ!」\n\n 私も叫びたい。\n 人数は相手のほうが多くて、私達のHPは徐々に減らされていた。\n そこにこの魔法だ。\n 死にはしないまでも、中々のピンチになっている。\n\n「ティエルに、回復してもらうわ」\n\n「そうだな。あとはもう泥仕合だな」\n\n 向こうの魔法使いはひとりだけらしい。\n こっちに攻撃できる魔法使いはほとんどいない。\n ティエルはこの戦いでは回復しかする隙がないだろうし、私は魔法をあまり鍛えてない。\n というか、あの魔法使いを何とかしないと私達がピンチだ。\n\n「っしゃあ! お前ら、出番だぞ!」\n\n「「うおおっ!」」\n\n むさい海の男達が大声を上げる。\n まあ、死なない程度に頑張って欲しい。\n\n 海漢達とすれ違って、やっとティエルの魔法が届いた。\n これでHPに余裕ができる。\n ちらりと目に入ったリコと悠二の周りには、たくさんの矢が落ちている。\n 向こうの弓使いが狙ってきたのだろう。\n ふたりともしっかりと守れているようだ。\n\n「魔法使いを狙うわ」\n\n このままじゃ危ない気がする。\n 魔法使いを狙わないと、絶対に味方が死んでしまう。\n\n「待てって、ここから突っ込んでも途中で力尽きるだけだ」\n\n エストは落ち着いている。\n それが私を苛つかせる。\n\n「でも──」\n\n「見てろって。あいつらも馬鹿じゃねえからあの魔法使いは殺してくれるはずだ」\n\n あいつらって──。\n 文句を言おうとしたらパーティーチャットが入ってくる。\n\n『エストっ! あの魔法使い殺したよっ!』\n\n『やべーって! 周り敵しかいねーって』\n\n「ほらな?」\n\n ああ、名前はなんだったっけ。\n 思い出せないけど、すぐに姿が見えなくなった2人だ。\n まさか狙ってたのだろうか。\n\n でもおかげでだいぶ楽になった。\n あとはひたすら泥仕合だ。\n 相手の攻撃にさえ気をつけたら、なんとか死なずに済みそうだった。\n\n\n そこからはひたすら集中の連続だった。\n 相手の攻撃も私の攻撃も、ひたすら肌の見えている部分に集中する。\n HPに余裕があっても目を突かれたら一時的に見えなくなるし、首を切られたら即死する場合もあるし、関節を切られたらそこから先が動かなくなる場合がある。\n お互いそれを狙っているのだ。\n 防具の上から攻撃してもダメージは少なすぎるから。\n\n 視界の隅っこに表示されているゲージを見る。\n 幾つかのゲージは真っ黒になっていて、パーティーメンバーの誰かが死んだことを示していた。\n わたしも何人か殺したはずだけど、味方も何人かが死んでいる。\n\n 今押しているのだろうか、それとも押されているのだろうか。\n 常に前線にいる私からは見えなかった。\n\n 後ろから回復魔法が飛んで来る。\n 回復してもらったのも何度目だろう。\n ティエルのMPは持つのだろうか。\n そろそろ危ない気がする。\n\n 不意に、後ろでドスンと音がした。\n まさか。\n まだ目の前には敵がいる。\n でも後ろを確かめない訳にはいかない。\n 一瞬だけ、顔を後ろに向けた。\n\n ティエルはきちんと立っていた。\n じゃあ倒れたのは?\n それを確認する前に、私の首を剣が突き抜ける。\n それでおしまい。\n 私はその後を見ていない。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv88\n職業:隠密Lv29, 復讐者Lv47\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:4500/4500\nMP:4500/4500\n-\nSTR:350\nVIT:320\nAGI:1040\nDEX:800\nINT:350\nポイント:320\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv6, 投擲術Lv4\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv42, 超聴覚Lv79, 気配察知Lv83\n農業Lv18\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:234\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+5, 性豪+10, 信頼+5, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n529,550e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   雨蜥蜴のアーミーベスト\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n   転移のイヤリング"}

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