| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 140, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/140/", "title": "140 ウィークリーボス・ウルク&スコル", "content": " 死屍累々の様子の中、私は知っている姿を探します。\n アイリーも夕凪さんも倒れています。\n 少し離れた位置にはマトヴィさんと紫桜さんも。\n 一体何が……。\n\n「ユウカさんっ!!」\n\n リコの大きな叫び声。\n リコは私の位置からは一番遠くにいました。\n 後ろにはティエルもいるみたい。\n\n「リコっ!」\n\n 急いで駆け寄ります。\n どうやら誰かと争っていたみたい。\n 今は乱入してきた狼とオークのセットに手間取っていて、ちょうどリコ達は休憩中のようでした。\n\n「何があったのですかっ」\n\n「ユウカさあぁぁん」\n\n リコが私に抱きつきます。\n 顔を私の胸に埋めて、もしかしたら泣いているのかもしれません。\n これでは話を聞けません。\n\n「おう、ユウカか。戻ってきたんだな」\n\n「……エストさん?」\n\n そうそう、エストさんです。\n 久し振りに会ったのですが名前は思い出せました。\n\n「どうしてここに?」\n\n「俺から教えてやるよ。いろいろと大変だったんだぜ。……つうかまだ大変なままだけどな」\n\n ちょうどいいです。\n エストさんからいろいろと教えてもらいましょう。\n\n\n「そうですか。そんなことが……」\n\n「つーわけでPK連中は大体終わりだろうな。それでも生き残る奴はいるだろうが、あとはそいつらを倒してしまえばおしまいだ」\n\n「でもそれだけじゃありませんよね……」\n\n「ユウカが連れてきたやつなあ……あいつはやばいだろ。ヘタしたらPK連中も俺らも仲良く全滅だ」\n\n PKの人たちが私達を襲ってきたこと。\n エストさん達は夕凪さんに呼ばれて助っ人としてここに来たこと。\n そして、私が戻らなければ危なかったことを聞きました。\n\n それはいいのです。\n 問題は私が連れてきたモンスター。\n\n「ありゃ、ウィークリーボスだな。キツいけど倒せたらすげーウマイぞ」\n\n ウィークリーボス。\n 初めて聞く名称です。\n\n フィールドに現れるモンスターは、種族のほかにも違う分類ができます。\n\n まずは普通のモンスター。\n 倒したら倒した分だけすぐに復活するモンスター。\n\n 次にユニークモンスター。\n 例えばモンスターを何匹も倒したり、または運良く出会ったり。\n 運が良ければ何度も戦えますが、運が悪いと中々出会えない。\n 強さは普通のモンスターよりもちょっと強いだけ。\n そういえば一度だけ戦った、大きなコッコバードがいましたね。\n\n デイリーモンスター。\n またはデイボス。\n そのマップに一日一度だけ現れるモンスターです。\n 強さは同じマップの中ではかなり強い部類です。\n パーティーでやっと倒せるレベルなのだとか。\n\n 最後にウィークリーモンスター。\n またの名を週ボス。\n デイボスよりも更に長く、6日間に一度しかリポップしません。\n 強さもデイボス以上、さらには出現する場所もランダム性が強いそうです。\n 何よりも、一度見つかるとまず逃げられないのだとか。\n 出会うことは難しく、逃げることはまず無理で、倒すことはそれ以上に難しいそうなのです。\n\n「結構前に俺らも戦ったことあんだけどな。……まあアレとは違うやつだけど、その時は全滅だ」\n\n「それって、私達じゃ無理なのでは?」\n\n「いやいや、そこは無理してでも倒さなきゃまずいだろ。今の状況でお互い全滅なんてなったら、結果がどうなるか分かんないからなあ」\n\n ああ、そうでした。\n 私達のクランは争っている最中。\n 勝たなければ私達のホームが奪われてしまうかもしれません。\n\n「そうですけれど……攻撃、ほんとに効きませんよ?」\n\n 離れた位置から短刀を投げつけただけですけれど、今ではピンピンしていますもん。\n もっと近づいて、思い切り攻撃してなんとかというところなのでしょう。\n でもあれに近づくなんて……。\n\n「大丈夫です。ユウカさんのことはしっかり守るっす」\n\n 悠二さん。\n 彼はしっかりとリコとティエルを守ってくれたみたいです。\n\n「はっはー。俺もいるぞっ!」\n\n 背後からいきなり現れた……マッドさん!?\n あなたまで助けてくれていたのですか。\n\n マッドさんと一緒にいるのは女性でしょうか。\n なんだか私と似たような装備です。\n それに彼女を示すカーソルが真っ赤なのですが……。\n\n「こいつのことは今は気にするな。あのボスを倒すほうが優先だろ」\n\n「……そうですね。なんとかして倒しましょう」\n\n「一応俺たちもいるからな」\n\n あら?\n ワニ皮装備で統一された人たちです。\n どなただったでしょうか。\n\n 人数を確認します。\n まずは私、リコ、ティエルと連れてきた幼女3名にヨウの7名。\n エストさん、悠二さんにマッドさんとその女性。\n ワニ皮装備の人たちが3名。\n 合計14名であのボスへと挑むことになりました。\n\n\n「まずは狼だな。あの機動力を奪わないと俺らには手出しできない」\n\n あの狼はオークの乗せているくせに異様に速く動きます。\n エストさんは火力はあるのですが、素早さが足りなく狼を捕らえられないそうでした。\n\n「それは、私がなんとかします」\n\n あまりなんとかできる自信はありませんけれど。\n\n「あんたがユウカだってね。あたしも手伝ってあげる」\n\n「ええっと……」\n\n「ダイラだ。あんたにはあとで話があるから、死んだら許さないよ」\n\n うーん、なんだか敵意満載です。\n マッドさんと一緒にいた方ですよね?\n 私とは関係ないと思うのですけれど……。\n\n「では一緒に頑張りましょうね」\n\n しかし武器がありません。\n アイリーがいたらなんとかなったのかもしれませんが、短刀1本だけではいつもの様に動けないかもしれません。\n\n「あれ、あんたがやったの」\n\n ダイラさんがPKを蹂躙している狼を指差します。\n その前足。\n\n「あ、あれは私のですね」\n\n なんと、私が投げた『短刀・黒光』が狼の前足に刺さりっぱなしになっていました。\n これならなんとかなるかもしれません。\n\n あと必要なことといえば、私の素早さを上げることでしょう。\n 逃げている間中、狼を振り切ることができませんでした。\n 私が得意なことは、相手以上のスピードで翻弄することです。\n 同じ速度で移動してても私に勝ち目はありません。\n\n まずは装備を外します。\n 少しぐらい防御力を増しても、私のステータスではほとんど意味は無いでしょうから。\n 今まで装備しっぱなしだった雨蜥蜴のベスト、鰐皮の篭手に脛当て。\n マフラーやらアームカバーなんかも外し、残ったのは下着に和服とあとは帯だけです。\n あとはステータス。\n 全部をAGIへと振ってしまいましょう。\n\n────────────────────\nAGI:1040 → 1360\nポイント:320 → 0\n────────────────────\n\n これで準備は完了です。\n いきなり速く動けるようになると身体が追いついていかないかもしれません。\n いえ、身体というよりも目と頭がというべきでしょうか。\n でも今のままでは難しいですからね。\n\n「おうユウカ、中々色っぽいじゃねーか」\n\n 手足の素肌を晒した私を、マッドさんがからかってきます。\n やめてください。\n さっきからダイラさんがすごい表情をしているのですからね。\n\n「さ、さあ。それでは行きましょう」\n\n「ふんっ」\n\n ちょっとだけ気まずいです。\n でも頑張ります。\n\n\n 私とダイラさんで狼を狙います。\n 残りは狼が倒れた後に全員でオークを狙う予定です。\n 私達が倒れた時は、バックアップでマッドさんが待機します。\n\n「そろそろあたしたちの出番みたいね」\n\n 襲われていたPKの人たちはどうやら全員倒されたみたいです。\n ……あれ、これってもう私達のクランの勝利ではないのでしょうか。\n でも何もアナウンスはありません。\n やっぱりあのボスを倒さないといけないみたいです。\n\n「あたしはあんたよりも強いって見せてあげる」\n\n なんなのでしょうね。\n ボスを倒した後にぜひ話をききたいです。\n\n\n------\n\n\n ダイラさんに遅れて狼へと向かって駆け出します。\n ダイラさんも足は速く、ステータスを振った私と同じぐらいです。\n もしかしたら私よりもレベルは高いのかもしれません。\n\n 狼へと近づきます。\n 近くで見るとその大きさが分かります。\n オークを乗せている狼だけでも、私の背よりも高いのです。\n オークの背は、見上げないとわかりません。\n\n「──リビルド!」\n\n 何も掴んでない右手を掲げて一言、それだけで狼に刺さっていた私の武器が手元に戻ってきます。\n 【投擲】スキルのレベルを上げていて本当に良かったと思える瞬間です。\n これで私の装備も元通り。\n あとは狼を何とかするだけです。\n\n\n「はあっ!」\n\n ダイラさんが狼の足を斬りつけます。\n 狼の、というよりも四足歩行の動物への対策は簡単です。\n 決して正面には立たないことです。\n 前への動きはとても速いのですが、比べると横の動きはそうでもありません。\n 人みたいに足を軸にして回転ができませんからね。\n\n 私とダイラさん、お互いが狼の両側にいるような位置取りです。\n 狼がコチラを向こうとしたらダイラさんが、ダイラさんを向こうとしたら私が斬りつけます。\n こうなってしまうとあとは簡単。\n もしかしたら私とヨウでもできたかもしれません。\n\n でも挟み込む格好に持って行くまでが大変です。\n 近づくまでは狼の速さが遺憾なく発揮されますからね。\n 接近できるほどの速度は、まだヨウには無いでしょう。\n\n 狼の四脚ばかりを狙っているので、狼の動きはどんどん緩慢になってきます。\n けれどそうなると、狼にまたがっているオークが生きてくるのでした。\n\n「グオオオオオッ!!」\n\n オークが持っている巨大な棍棒が降ってきます。\n 私の周囲が全部影になって、まるでビルが倒壊してきたみたい。\n 思いっきり後ろに下がって躱します。\n\n 私のすぐ目の前を棍棒が通過して、そのまま地面をたたきます。\n 比喩ではなく地面が揺れて、少し陥没しました。\n\n「当たったら即死ですね、これ」\n\n 狼の動きが遅くなると今度はオーク。\n まだまだ気は抜けません。\n\n\n 狼がこちらを向いて噛み付こうとしてきます。\n 私が回避する前に、反対側のダイラさんがその双剣で狼を攻撃し、狼をひるませました。\n\n 頭上から棍棒が振り下ろされます。\n 棍棒が横薙ぎに振るわれます。\n それらを後ろに、横に、上へと避け続けました。\n\n そして狼の四肢が動かなくなった後、やっととどめを刺せたのです。\n\n すでにボロボロになっていた狼は、最後は声もあげずにその身体を消失させました。\n ……狼の動きが遅くなったら、オークは降りてきたらいいと思うのですけれど。\n 狼が動けなくなっても、なぜかオークはまたがったままでした。\n\n「っしゃあ、お前らいくぞ!」\n\n 全身を鎧で固めた悠二さんを先頭に、エストさん達が突っ込んできます。\n こちらの戦いにも私は参加です。\n 体力だけはノーダメージでやり過ごせましたから。\n\n 私とダイラさんは一旦離れます。\n 悠二さんがオークに近づくと、悠二さん目掛けて大きな棍棒が振り下ろされました。\n それを悠二さんは避けずに、盾を構えて受けました。\n\n ゴォンと重い物同士がぶつかる音が響きます。\n 驚いたことに、悠二さんの盾はオークの棍棒よりも小さいのに。\n それなのに、しっかりと抑えることができています。\n\n「すごい……」\n\n 一体どれほどのレベルなのでしょう。\n 試しはしませんけれど、私達の中で一番防御の高いリコでも即死しそうな攻撃なのに。\n\n「そのまま抑えてろよっ!」\n\n すぐ傍をエストさんが駆け抜けます。\n 一緒にマッドさんも動いています。\n 彼らの攻撃はオークのお腹を見事に切り裂きます。\n\n 痛かったのでしょうか、思わず一歩引き下がるオーク。\n しかしその目はまだ攻撃的で、ダメージそのものはそうでもないみたいです。\n\n「身体はダメだな。弱点一点狙いだ」\n\n エストさんに向けられる棍棒は、やっぱり悠二さんが抑えます。\n この2人のコンビネーションはバッチリ見たいです。\n エストさんは避ける素振りすら見せません。\n\n 今度は胴体ではなく、その足を狙って斬りつけます。\n やっぱりオークは一歩下がって……いえ、斬りつけた方の足は動かないみたい。\n いずれは回復するのでしょうが、集中して狙うのはよさそうです。\n\n「ユウカ、あたしらも行くよ」\n\n 一緒に休んで様子を見ていたダイラさんですが、再びオークに立ち向かうそうです。\n そうですね、私も一休みは十分です。\n\n まずは集中して足を。\n 悠二さんのおかげで、私たちは攻撃しほうだし。\n すぐにオークはその場から一歩も動けなくなりました。\n\n 足が動けなくなったら今度は関節を狙います。\n そうなるともうこっちのもの。\n オークはその場に膝を折る格好へとなりました。\n\n これで後ろは斬り放題です。\n ついでなので私は悠二さんと一緒にオークの腕を狙います。\n 振り下ろした棍棒を悠二さんが抑え、その腕を私が斬りつけます。\n 何度か繰り返すと、すぐにオークは棍棒を手放してしまうのでした。\n\n こうなったらもう簡単です。\n オークは足も腕も動かない。\n そして身体は硬く、噛み付いてきたりということもありません。\n\n 何度も何度も胴体を斬りつけて、やっとオークを倒すことができたのでした。\n\n\n やっとの思いで週ボスを倒しました。\n PKの人たちも全員死んでいます。\n けれど、未だクラン同士の戦いが終わったというアナウンスはありません。\n\n「あとは、こいつだけだな」\n\n エストさんが、ダイラさんに向かって剣を構えました。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv98 (↑10)\n職業:隠密Lv49 (↑20), 復讐者Lv67 (↑20)\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:5000/5000 (↑500)\nMP:2200/5000 (↑500)\n-\nSTR:450 (↑100)\nVIT:320\nAGI:1560 (↑520)\nDEX:900 (↑100)\nINT:350\nポイント:100 (↓220)\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv46 (↑20), 投擲術Lv12 (↑8)\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv11\n夜目Lv42, 超聴覚Lv85 (↑6), 気配察知Lv89 (↑6)\n農業Lv18\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv32, 裁縫Lv81, 釣りLv8, 製糸Lv26\nポイント:278 (↑44)\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+12 (+7), 性豪+10, 信頼+5, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n229,550e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n 速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+6\n 転移のイヤリング"} |
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