| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 150, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/150/", "title": "150 魔法の相性", "content": "「おう、ちょうどいい時間だな」\n\n「……海漢さんでしたか」\n\n いきなり景色が変わった瞬間に声をかけられて身構えてしまいましたが、その相手は海漢さん。\n どうやらお昼を食べているみたいでした。\n\n「ユウカたちはどのルートを辿った?」\n\n「上、上、上、上のルートですね」\n\n 海漢さんは地図を片手に食事しています。\n 今私が伝えたルートにチェックが入れられました。\n\n「これで残りはいくつですか?」\n\n「ん……あと13だな。俺らのクランはまだ戻ってきてないのが2パーティーある」\n\n あら、意外と私達のほうが速かったみたいですね。\n 移動にこそ時間はかかりますが、最後が宝箱だったせいでしょうか。\n ……いえ、下り坂というのも意外に時間がかかるものですよね。\n\n「ユウカはあとひとつ最後まで行ったら今日はもう終わっていい。今日で各パーティーが2ヵ所ずつ埋めると残りは6ヵ所だ」\n\n「明日中には終わる計算ですね」\n\n「つーか今日で見つかってくれることを願うよ」\n\n 午前中の海漢さんのパーティーは、下、上、下、上でちょうど真ん中の部屋へと行ったみたいです。\n 確かに中心があたりっぽいですが、残念ながらハズレだったようですね。\n\n「……ゴールが決まってるって決めつけてると危ないんじゃないの」\n\n「ん……?」\n\n「こういう形のダンジョンだと、ゴールってランダムなんじゃないの。毎日ゴールが変わるとか、そういう可能性のほうが高そうじゃない」\n\n アイリーの指摘は海漢さんたちにとっては爆弾でした。\n もっともなことを言ったのです。\n 私なんかだと正解はど真ん中というイメージです。\n でもそこはすでに海漢さんたちが先ほど行っています。\n\n さて、実際はどうなのでしょうか。\n\n「……だとするとまずいな。今までのチェックが無意味じゃねーか」\n\n「そもそも人数が足りないぞ。俺らじゃ4PTが限界だ。ユウカたち以外にも助っ人が必要になってくる」\n\n「朝から頑張るとして……3往復でなんとか済ませるとなると9PTはほしいか。4往復としても7PTか」\n\n「これ以上PT分けるのは辛いだろ。俺らそもそも陸上じゃ微妙な装備だし」\n\n 私達を含めて今は5つのパーティーです。\n 今日のペースだと2往復の合計10ヵ所しか調べることが出来ません。\n もっと早朝から頑張りますか?\n それでも3往復で15ヵ所。\n あと2パーティー……といえばですよ。\n\n「今日はどうしますか? 私たちはこのまま次の終着を目指したほうがいいでしょうか」\n\n「いや……いや、そうだな。とりあえずはそれぞれもう1ヵ所ずつ調べてみよう。そっからでも判断は遅くないだろ」\n\n それもいいかもしれません。\n アイリーの言い分が正しいとも限りませんし、調べてない所を埋めていくことで判断はしやすくなるでしょうからね。\n\n\n 気を取り直して二度目のダンジョンアタックです。\n 先ほどと同じ道のりで、最後の分岐を下へ行く予定です。\n\n まずはひとつ目の部屋です。\n ウッドクーカという、全身が木で出来ている人形が現れました。\n どうやら途中途中の小部屋で出てくるモンスターはランダムみたいです。\n アイリーが突撃して倒してくれました。\n\n ふたつ目の小部屋。\n 一度戦ったプラントクーカです。\n これもアイリーだけで倒してしまいました。\n\n そしてみっつ目の小部屋でした。\n フレイムクーカというモンスターが現れたのです。\n その名の通りに身体全てが炎で出来ている人形です。\n\n「めんど……くさすぎでしょっ!」\n\n アイリーの太刀がフレイムクーカの胴体をなぎ払いますが、その胴体は上下に別れたりはしません。\n 私も腕や足に斬りつけるのですが、まるで一瞬だけ切断された手足はすぐにくっついてしまうのでした。\n なんという泥仕合でしょう。\n こちらに有効的な魔法はなく、向こうの攻撃は遅くて当たらない。\n 延々と斬りつけるしかありませんでした。\n\n\n「……相性って大事なんですね」\n\n フレイククーカを斬り続けてどれぐらい経ったでしょう。\n その姿が消えるときにはついホッと一息ついてしまいました。\n 倒さなきゃ先に進めないのは中々に面倒ですね。\n\n「そうね。海漢たちの中にも遅れてるパーティーがあったけど、どうせウォータークーカとかそんな感じのやつと出会ったからでしょうね」\n\n 彼らは海を拠点とするだけあって、おそらく水魔法は覚えているのでしょう。\n ただしそれだけだと今の私達と同じく、延々と効果の見えない物理攻撃をするしか無いと。\n\n「新しい魔法を覚えたほうがいいのでしょうかね」\n\n 今はなんとかなりましたけれど、今後は武器での攻撃が無意味なモンスターも現れるかもしれません。\n 私が唯一覚えている【影魔法】に攻撃力はありませんからね。\n 何かしらの物理攻撃以外の手段というのもあったほうがよさそうです。\n\n「……その時には、私が新しく【刻印】をするわ」\n\n「……そうでしたね」\n\n すっかり忘れていましたけれど、そういえば今の武器はアイリーに炎の刻印を彫ってもらっていたのでした。\n 効果は攻撃力アップだったと思うのですけれど、もしかしたらこの武器を魔法みたいに変えることもできるのかもしれません。\n\n とりあえずは魔法はまだ覚えなくていいと結論をつけ、先へと進んでいきます。\n 最後の分岐は下へ、まだ見知らぬ終着へと向かいます。\n\n 代わり映えのしない洞窟の中を進んで、似たような部屋へと辿り着きました。\n\n「今度も宝箱だといいのですけれどね」\n\n「そうね。でも今度は無理みたい」\n\n 部屋の中央に同じように煙が集まります。\n でもその大きさは宝箱よりももっともっと大きな形でした。\n\n「ゴーレム……かしら」\n\n 身体は水で出来ているようでした。\n 見た目は今まで戦ってきたクーカと似たものがありました。\n しかしその大きさは、私達の倍ぐらいはある巨体なのでした。\n\n これは、たいへん時間がかかるかもしれません。\n 身体が水で出来ているということは、フレイムクーカと同様に武器での攻撃は効きにくいでしょう。\n 巨体な分だけ体力もあるでしょう。\n 覚悟を決めてモンスターへと突っ込みます。\n\n\n『地を這う炎が敵を討つ! ──フレイムスカット!』\n\n アイリーの足元に炎が生まれ、その炎が地を走りながら水のゴーレムへと向かっていきます。\n 鈍重なゴーレムはそれを避けることができません。\n ジュッと音を立てて水のゴーレムの周辺に水蒸気が溢れます。\n それが収まったあと、ほんの少しだけ縮んだゴーレムが現れました。\n\n あと何度当てたら倒れてくれるのでしょう。\n 私がゴーレムの前面に立ち、アイリーが後方から魔法を使っています。\n アイリーが火の魔法で助かりました。\n 水の身体に対しては、弱点をつけているみたいですからね。\n\n 私がこのゴーレムに対して出来ることはほとんどありません。\n 身体が大きいので、私が攻撃してもそれで相手が動きを止めるということが無いのです。\n 私も一応攻撃しているのですが、それで引きつけられているのかどうかも分かりません。\n 無意味ではないと思うのですけれど。\n\n\n 長い時間戦い続けています。\n ゴーレムの身体はある程度小さくなったでしょうか。\n それでもまだまだ私よりも背は高いです。\n\n 小さくなったのはいいのですけれど、その分動きが素早くなってきている気がします。\n それでもまだまだ私には余裕があります。\n ゴーレムの攻撃は素直ですからね。\n\n\n アイリーの魔法によって、再び水蒸気が舞いました。\n 一瞬だけゴーレムの姿を失うこの瞬間だけは集中しなくてはなりません。\n しかし、それでも無理な時もありました。\n 水蒸気が晴れた時、そこにいるはずのゴーレムの姿がなかったのです。\n\n「──ユウカさん、上!」\n\n アイリーの声に上を向くと、今にも私の上に落ちてこようとしているゴーレムの姿がありました。\n なんということでしょう。\n あの巨体とあの遅さで跳びはねるなんて思ってもみませんでした。\n\n「くっ……」\n\n 急いでその場を離れます。\n 上空から風が吹いているようでした。\n そして私のすぐそばに、その巨体は音を立てて落ちてきたのでした。\n\n ズンと大きな音がします。\n それに巻き込まれなかったことに一安心。\n でもそれもすぐに驚愕に変わります。\n\n ゴーレムの巨体が落ちてきたことで、地面が少しだけ揺れました。\n その衝撃で私の身体も少しだけ揺れます。\n 起き上がったゴーレムが、私に近づいてきます。\n 私はゴーレムを引き付けつつ、でも攻撃には当たらないようにゴーレムの背後へ回ろうとしました。\n\n しかし、身体が動かないのです。\n 地面が揺れたことで地についた手が、膝が、離れてくれないのです。\n\n「──ユウカさんっ!?」\n\n 動かない私に何かを感じ取ったのでしょうか。\n アイリーが今までと違う魔法を使うようです。\n\n『馴れ馴れしく近寄って来ないで』\n\n 一歩ずつ、ゴーレムはゆっくりと近寄ってきます。\n\n『私が笑顔で対応するからって\n あなたと仲がいいわけじゃない』\n\n 私はどうして動けないのでしょう。\n どうにも頭が働きません。\n\n『私の中の炎がくすぶる』\n\n アイリーの魔法は今までと違う一小節で終わるものではありません。\n 何か大きな魔法を使ってくれるのでしょうか。\n\n『他人に等しく優しくするのは私の壁』\n\n ゴーレムの手が私に伸びてきます。\n もう一刻も猶予がなくなった時です。\n\n『それはすぐにでも具現化する\n ──フレイムウォール!』\n\n アイリーの詠唱が終わりました。\n 同時に、私のすぐ目の前に炎の壁が現れます。\n\n その炎の壁はゴーレムの腕を巻き込みました。\n 今までよりもすごい勢いでその腕を蒸発させていきます。\n それでも炎の壁は弱まりません。\n\n ゴーレムは痛みを感じないのか、ただ私に近寄ってきます。\n そしてその身体全てが、炎の壁に飲み込まれていったのでした。\n\n\n 後には何も残りません。\n 水でできたゴーレムの身体は全てが蒸発したのでした。\n\n「たぶん、よくある攻撃だけど、ゴーレムが着地する瞬間にジャンプしなきゃダメだったのね」\n\n「次からは気をつけますね」\n\n おそらくですが、ゴーレムが着地するときに、その地面と一緒に揺れてしまうと一時的に動けなくなるのでは、というのがアイリーの予想でした。\n 正しい予想だと思います。\n 今までにない動きでしたし、ただ跳ねるだけでは芸がありませんからね。\n\n「手に入ったのは……『ウォーターゴーレムの水魂』ですか」\n\n 塊ではなく魂なのですね。\n しかし使いみちはいまいちわかりません。\n あとで皆さんと相談でしょう。\n\n ──ああ、疲れました。\n アイテムも確かめたところで、いきなり景色が変わるのでした。\n\n\n------\n\n\n「今度は時間がかかったみたいだな」\n\n 気付けば目の前には海漢さん。\n どうやらまた入り口まで戻されたようでした。\n\n「そちらは速かったみたいですね」\n\n お昼を食べた後、海漢さんたちと私たちはほぼ同時に出発しました。\n 正直な所、私達のほうが早く戻ってこれるかなと思っていたのですけれどね。\n 相性の悪いフレイムクーカや、終着にモンスターがいたことが遅れた原因でしょう。\n\n それはともかく相談です。\n このダンジョンの攻略をどうするのか、その判断をするために進んだのですからね。\n\n\n「結局推測になるんだが、正解のルートはランダムと判断して間違いないと思う」\n\n 地図上でまだ行っていない場所は6ヵ所に減っています。\n そうですね。\n 可能性でいうなら、残りの6ヵ所に正解があるよりも、実は毎日ランダムで切り替わっていたという方が高そうですからね。\n\n「それではどうしますか?」\n\n「人を呼びたい……んだが、今の俺らじゃなあ。それにユウカたちも、あまり知らない人は呼びたくないだろ?」\n\n 彼らは海賊の件で協力者を得にくいん状態なんでしたっけ。\n それに知らない人を呼びたくないのは確かにそうでした。\n そうなると、声を掛けるのは彼らしかいないでしょう。\n\n「エストさんたちと、マッドさんたちにお願いしましょう」\n\n 私達の頼れる知り合いというと、もう彼らしかいません。\n ついでにマトヴィさんにも声をかけましょうか?\n もうクランを作れているといいのですけれど。\n\n 上手くいけばこれで3パーティーです。\n それを……日付が変わった瞬間からダンジョンを攻めたらなんとかなるのではないでしょうか。\n\n 海漢さんたちからも同意を得、私とアイリーはダンジョンから出ました。\n 彼らは出来る限りダンジョンを攻略するそうです。\n 私は皆さんに声をかけ、今日中に人を集めます。\n\n 今日は徹夜です。\n 日付が変わった瞬間に、またダンジョンへ挑むことにしましょう。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv100 (↑2)\n職業:隠密Lv51 (↑2), 復讐者Lv67\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:5100/5100 (↑100)\nMP:5100/5100 (↑100)\n-\nSTR:450\nVIT:320\nAGI:1570 (↑10)\nDEX:910 (↑10)\nINT:350\nポイント:120 (↑20)\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv50 (↑4), 投擲術Lv12\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv15\n夜目Lv42, 超聴覚Lv85, 気配察知Lv89\n農業Lv18, 水泳Lv10, 潜水Lv10\n【アクティブスキル】\n影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv38, 裁縫Lv83, 釣りLv8, 製糸Lv31\nポイント:248 (↑5)\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+12, 性豪+10, 信頼+5, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,620,150e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n 鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n 隠密補正のマフラー\n 認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n 速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+7\n 転移のイヤリング"} |
Xet Storage Details
- Size:
- 17 kB
- Xet hash:
- ded8ac11d68fd7a55c9fc20c2ed8eb98e28b0c715a08b5c329a6410bc3691812
·
Xet efficiently stores files, intelligently splitting them into unique chunks and accelerating uploads and downloads. More info.