| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 167, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/167/", "title": "167 Real Part9", "content": " 清々しい朝を迎えました。\n 特に私の身の回りで変わったことがあったわけではありません。\n けれど私は一児の母となったのです。\n そう思うと少しだけ気も引き締まりますね。\n\n 目覚めたあとはシャワーを浴びてすっきりとします。\n ジェルのベッドで休んでいると、どうしても朝にシャワーを浴びたくなってしまいます。\n ジェルに包まれた身体は綺麗になっているはずなのですけれど。\n\n さて、休日の今日の予定は……凛心と……。\n\n「あら?」\n\n 凛心からみんなで遊びに行くという話だったのですけれど、そういえば詳しいことを聞いていません。\n 連絡先は知っているので大丈夫だとは思うのですけれど……。\n 私から連絡をとってもいいのですが、まだ電話をするには早い時間です。\n この時間は……お菓子でも作りましょう。\n 手を抜けるだけ抜けるクッキーなら然程の手間もかかりませんしね。\n\n\n『……燈香さん?』\n\n『あら、亜衣里ですか? おはようございます』\n\n『うん、おはよう……。凛心から連絡先を聞いたの。それでね、もうすぐ迎えに行くから待っててほしいの』\n\n 亜衣里から連絡がありました。\n 迎えに来るのはいいのですが、そのあとはどこに行くのでしょう?\n\n それからしばらくして、家のチャイムがなりました。\n どうやら皆さんで迎えに来られたみたいです。\n\n「皆さん、おはようございます」\n\n 皆さんを一旦家に迎え入れます。\n なにせ私の用意はまだ終わっていませんからね。\n\n「お出かけということですが、今日はどちらに向かうのでしょうか?」\n\n「……あれ、聞いてないの? 今日はちょっと遠出してテニスをするんだよ」\n\n 聞いていませんね。\n 出かけたいと言っていたのは凛心なので、その案も凛心が考えたのだと思うのですけれど。\n 私から視線をそらす凛心ですが、きちんと答えは教えてくれました。\n\n「だってぇ……燈香さん、お風呂から出てこないんですもん」\n\n「その……お風呂場に入ろうとも思ったの。でも邪魔もしたくなかったの……」\n\n ちょっとだけ頬を染めている凛心と亜衣里。\n さて、これで誰が悪かったのかは一目瞭然ですね。\n このお話はもうしないことにしましょう。\n\n「テニスですか。私は初めてですけれど大丈夫でしょうか」\n\n「大丈夫大丈夫。ソフトテニスだし当たっても痛くないよ。ほらほら、燈香ちゃんは準備準備」\n\n「え、ええ……。そうですね」\n\n 運動できる服装を選びましょう。\n その間は皆さんにクッキーを出しておきます。\n\n 皆さんの服装を見ると、普段着と変わらない気がします。\n おそらく向こうで着替えるのでしょう。\n 運動できる服、運動できる服……。\n 普段は身体を動かさないので、こういう時に困ります。\n それでもなんとか服をバッグに詰め込みました。\n\n「燈香ちゃんはお菓子作りも上手なんだねえ」\n\n「えへへ~。私なんて燈香さんの手作りケーキを食べたこともありますよぉ」\n\n「──なによそれ! 同じ職場だからって亜衣里ばっかりずるいわ!」\n\n「ああ、ほらほら。燈香ちゃんちで喧嘩しないの。喧嘩はテニスでね」\n\n テニスで喧嘩だなんて、口喧嘩以上に亜衣里に有利だと思います。\n\n「すみません。お待たせしました」\n\n「それじゃあ早速向かおうか」\n\n 家を出るときには皆さんの靴もチェックです。\n どうやら靴は運動できるものを選んでいるようでした。\n そうですよね、さすがに靴をもう一足持っていくのは荷物ですからね。\n\n マンションを出るとすぐ傍の駐車場へと向かいます。\n ここまでも夕陽さんの車で移動してきたそうで、皆さんの荷物はそこに置いてありました。\n\n「いい車……なんでしょうか?」\n\n「あはは。そんな無理して褒めなくていいよ。私もあまり車に興味はないし、近所のディーラーで燃費の良さそうなのを選んだだけだからね」\n\n あまり車に詳しくはありませんが、コンパクトカーということは分かります。\n 4人で乗るには十分な大きさだと思います。\n\n 運転手の夕陽さんの座席は決まっていましたが、残りの3人は違います。\n 公正なるじゃんけんの結果、私も前の座席に座ることになりました。\n\n「後ろに座らせたらシートを汚されちゃうかもしれないから勝ててよかったよ」\n\n それではまるで私が後ろに座ると変なことをすると言っているみたいではないですか。\n ……その可能性もあるかもしれませんけれど。\n ……誘われたら断れない自信がありましたけれど。\n\n\n 夕陽さんの運転はとても丁寧なものでした。\n 助手席に座っているのですが恐怖心は全く生まれません。\n 下手にスピードを出すこともありませんし、車が左右に寄ることもまずありません。\n 普段から運転しているようですね。\n\n「テニスということでしたけれど、近場ではダメだったんですか?」\n\n「ん~? だって人混み苦手でしょ。この時期だと近場はどこも混んでるからねえ」\n\n ということは、これから向かうところは人が少ないのでしょうか。\n ……この時期でもすいているだなんて、なんだかお金のかかっている気がします。\n\n 車に乗ってから二時間ほど。\n やっと目的地まで到着しました。\n\n 山間にある田舎と言っていい場所かもしれません。\n これは……民宿でしょうか。\n 敷地内にはテニスコートも見えます。\n 宿泊者向けの設備なのでしょうか。\n なるほどコレならば混んでいるということはなさそうです。\n\n「……あら、もしかして泊まりでしたか?」\n\n もちろん着替えは用意しているので、お泊りでも問題は無いのですけれど……。\n\n「日帰りだから安心しなよ。ここは……私の会社の保養所なんだよ。社員とその関係者しか使えないから、ここが混むことはないんだよ」\n\n「すごいですね……」\n\n 私の勤めている会社にも名ばかりの保養所はあったと思います。\n でも訪れたことはありませんし、実際に利用している人も知りません。\n 名ばかりの保養所ではなく、こうやって使われているだなんて。\n 今まで聞かないようにしていましたが、夕陽さんの会社はもしかしたら思った以上に大きいのかも……。\n\n「ただ、私たちだけの貸し切りってわけにはいかなかったんだけどねぇ」\n\n 夕陽さんの同僚でしょうか、ここには私たち以外の姿もありました。\n このような保養所でもバッティングするだなんて、やはり夕陽さんの会社は大きいのかなと思います。\n\n「まあそれぐらいはいいじゃない」\n\n「そうですよお。それに高いところにあるからか普段よりも涼しいですし、いいところじゃないですかあ」\n\n 亜衣里と凛心の言い分ももっともです。\n 心置きなく遊ぶといたしましょう。\n\n\n------\n\n\n 着替えには保養所の一室を使用しました。\n 荷物もここに置いていいそうです。\n 中は小さな旅館という様相で、規模は小さいですが温泉も付いているみたいです。\n\n「……亜衣里は、中々本格的な格好ですね」\n\n「そう? コレぐらい普通よ」\n\n そうは言いますけれど、白の上下にアンダーまで履いているなんて、やる気十分ではないですか。\n 私なんて、スカートこそ身につけてはいますがその下はレギンスをはいていますし、色だって白くはありませんし……。\n\n 着替えて外に出ると、テニスコートは私たち以外にもう一組がいるだけのようでした。\n ラケット、ボールは全て貸し出してくれるそうです。\n ネットだけは自分たちで張る必要がありましたけれどね。\n\n「それじゃあいくわよ」\n\n 私と夕陽さん、亜衣里と凛心でコートに別れて入ります。\n まずは亜衣里から、トントンとボールを足元で弾ませる姿も様になっています。\n そのままボールを真上に放り上げ、勢い良くラケットを振り抜きました。\n\n 一直線に飛んできたボールは私の目の前でバウンドします。\n 亜衣里に打ち出されたボールはとても速く、私はろくに反応ができません。\n\n 私の目の前で弾んだボール。\n 目で追うことはできました。\n 打ち返そうともしました。\n けれど運動不足のこの身体は、ほとんど動いてくれませんでした。\n\n そして、ボールは吸い込まれるように私の身体へと突っ込んでくるのでした。\n\n ……。\n …………。\n\n『燈香ちゃんっ!? 燈香ちゃんっ!』\n\n『亜衣里っ! なに本気でやってるんですかっ!』\n\n『だってカッコいい所見せたくて……。燈香さん目を覚ましてっ!』\n\n ……。\n …………。\n\n「んん……」\n\n 額にひんやりとしたものを感じて目を覚まします。\n ついでに股間にも。\n ……あら、どうして私は横になっているのでしたっけ。\n\n「……燈香さん?」\n\n「……亜衣里?」\n\n 私を心配そうに伺っている亜衣里の顔が飛び込んできます。\n その手には多分冷えた飲み物を包んだタオル。\n 先ほど感じたひんやりとしたものの正体でしょうか。\n\n「私は……ああ」\n\n 私はコートの脇のベンチに横になっています。\n その私を亜衣里が介抱してくれたみたい。\n ああ、思い出しました。\n 勢い良く撃ちだされた亜衣里のボール、それを私は避けることができずに急所にあたってしまったのでした。\n それで私は……。\n\n「……あの、やっぱり痛いものなの?」\n\n「そうですね。男性ほどではないのでしょうけれど、それでもやっぱり痛かったですよ」\n\n 一番の急所は存在しなくとも、おちんちん自体も敏感ですからね。\n それにしても……もしかして、おちんちんも冷やしてたのでしょうか。\n 確かに痛めたところを冷やすのは当たり前なのですけれど、それって場所によるのではないでしょうか。\n おちんちんを冷やすのは、なんだか間違っている気がします。\n まあいいのですけれど。\n\n「燈香さん、本当にごめんなさい。カッコいい所を見せたかったのにこんなことになってしまって」\n\n「亜衣里、気にしなくていいのですよ。結果的には何もなかったんですからね」\n\n 私が気を失ったのは気にしなくていいのです。\n むしろこうして介抱してもらえて役得でしょう。\n こうやって日向で亜衣里におちんちんを撫でられて……。\n\n「よかった……ほんとによかったわ……」\n\n ……おちんちんを撫でられながら言われると、まるでおちんちんのほうが大事みたいに見えますよ。\n ほら、亜衣里がそんなに触るから大きくなったではありませんか。\n\n「亜衣里、そろそろ……」\n\n「うん……」\n\n\n 私が気付いたことで、亜衣里と夕陽さんが選手交代。\n コートの中では亜衣里と凛心が打ち合っています。\n というよりも、亜衣里が一方的に打ち勝っているみたいですけれど。\n\n「いやあ、危なかったねえ」\n\n「ええ。強い衝撃をうけると気絶するって本当だったんですね」\n\n「ん? …‥そっちもだけど、私が言ってるのはあっちのことだよ」\n\n 夕陽さんは、向こう側にいる私たち以外のグループを指さしました。\n\n「燈香ちゃんが倒れた時、亜衣里が大きな声で叫んじゃってね。向こうの人達も寄って来ちゃったんだよねえ……」\n\n「……もしかして」\n\n もしかして、おちんちんのことバレちゃいましたか?\n そう思ったのですけれど、さすがに杞憂のようでした。\n\n「大丈夫大丈夫、ちゃんと誤魔化しておいたから。燈香ちゃんは便秘中のお腹に衝撃を受けて気絶ってことになってるから安心しなよ」\n\n ……うわぁ。\n リアリティはありそうですが、それはそれでイヤですね。\n もちろん誤魔化してくれた夕陽さんに文句は言えませんけれど。\n\n「男だったら死んでたねって笑ってたから、きっと燈香ちゃんのことはバレてないよ」\n\n「そう……ですね。ありがとうございます」\n\n\n「それにしても亜衣里は流石だよ。アレだけスタイルよくて運動神経も抜群なんだもん燈香ちゃんが起きてくれなきゃまた私が相手しなきゃいけなかったよ」\n\n「そうですね……運動は得意だって聞いてましたけれど、こうして見ると凄いですよね」\n\n テニス初心者の私としては、サーブを上から打つことすらできそうにありません。\n\n 亜衣里は凛心相手に遠慮無く遊んでいます。\n 凛心は左右に走り回されていますので、いい運動にはなっていそうですね。\n\n しばらくすると凛心はついに息が持たずに膝をついてしまいます。\n\n「それでは、今度は私の番ですね」\n\n「今度は避けなきゃダメだからね」\n\n「もう…‥流石に大丈夫ですよ」\n\n 亜衣里も遠慮してくれると思いますしね。\n\n\n「燈香さん、いくわよ」\n\n コートに入って対峙すると、すぐに亜衣里がサーブを放ってきます。\n さっきまでの上からではなく、私に気を使って下から軽く打ってくれました。\n ほっと一息。\n これなら当たっても痛くありません。\n\n 跳ねたボールの近くまで駆け寄って、軽く当てるようにラケットを振りました。\n 跳ね返ったボールは速くありませんが、それでも向こうのコートに入ってくれます。\n あら、思ったよりも簡単かもしれません。\n\n 亜衣里も私の反応から考えたのか、少しずつテンポが早くなっていきます。\n 私はラケットを振りぬくことはできずに、亜衣里の放つボールと同じ速度で打ち替え続けました。\n\n パコンパコンと軟式ボールの鈍い音が響きます。\n 亜衣里のボールを打つ音と私の音が全く違うのは、これが上手か下手かということなのでしょうね。\n\n 慣れてくると亜衣里はボールを左右に散らすようになってきました。\n やっぱり負けるのはいやなのでしょうね。\n その気持ちは私も分かるので、必死になって食らいつきます。\n\n 左に向かった後は、右にダッシュです。\n 身体の向きを変えるときにどうしても足がもつれてしまうのは何故でしょう。\n それでもなんとか食らい続けましたが、結局は亜衣里からろくにポイントも取ること無くまけてしまいます。\n\n「はあ、はあ……亜衣里は流石ですね」\n\n「……」\n\n 亜衣里は何かを考えているご様子です。\n 結局は私も下手な部類でしたから、亜衣里はつまらなかったのでしょうか。\n\n「燈香さんっ、流石ですっ!」\n\n 凛心から見たら私も上手なほうですから、凛心だけは素直にほめてくれます。\n 凛心が私に駆け寄ってくる間に、亜衣里は夕陽さんと何かを話していました。\n\n「……だろうね。……やっぱり……」\n\n「……よね」\n\n 何を話しているのでしょうか。\n 気になりますが、何やら真面目なご様子で割り込むことができません。\n\n 私は凛心と遊んでいましょうか。\n\n\n------\n\n\n たっぷりと汗を流した後は、これまた保養所に備え付けの温泉へと入ります。\n あまり広くはないのですがきちんとした温泉なのだそうで、もう夕陽さんの会社の規模がわからなくなってきちゃいました。\n\n「えーっと……ほんとに私も入るのですか?」\n\n「そうだよ。私の車は汗を流さずに乗るのは禁止だからねえ」\n\n「大丈夫よ。私たちで燈香さんを隠してあげるわ」\n\n「そうですよう。それに身体を洗うときはタオルで隠せばいいんですから大丈夫ですよう」\n\n いざ温泉に入ろうという時になって、先客がいることに気付きました。\n 私たちの隣で遊んでいた女性の集団。\n その方たちもやっぱり温泉に入っていたのです。\n\n おちんちんのある私としては、今まで他人の目のある場所では肌を晒すことを避けてきました。\n 温泉なんてもってのほかです。\n でも遠慮しようにも、たくさんの汗をかいたこの身体を洗わないわけにもいきませんでした。\n\n「はいはい、ちゃんとタオルを持って。左右は私たちで隠すから、燈香ちゃんは正面だけ気をつけてたらいいからね」\n\n「それじゃ後ろから見えちゃうわ。どうせなら大きくしてくれたほうが良いかもしれないわね」\n\n そう言いながら亜衣里は私のおちんちんを軽く握ります。\n それだけで大きくなる私のおちんちんは一体何なのでしょうね。\n\n「燈香さん、そんなにタオルを身体につけてたらシルエットが浮かんじゃいますよう」\n\n 皆さんからの指摘も解消しました。\n これから見知らぬ他人のいる温泉へと突入します。\n はぁ……。\n\n\n カラカラと扉を開き、場所を確認したらすぐに洗い場へ直行です。\n 先客は湯船に浸かっているので一安心。\n\n「ふう……」\n\n 椅子に座っての一息で、とても緊張していたのだと気付かされます。\n\n「ほら、大丈夫だったでしょ」\n\n「大丈夫じゃないですよお。今も見られたらどうしようってずっと思っているんですからね」\n\n「あはは、もちろんそうだけど、今日は私たちと向こうのグループしか利用者はいないからね。普通だったらこんなに危ないことはしないから安心しなよ」\n\n 私が安心したいのは今なのですけれどね。\n でもそうですか。\n それでは向こうの方たちが上がってくれたら、ここはもう私たちの貸し切りになるのですね。\n\n「燈香さん、私が身体を洗ってあげますう」\n\n「じゃあ私は正面から洗ってあげるわ」\n\n 凛心が私の後ろに立ち、亜衣里が私の正面に。\n 目立つことはやめて欲しいのですけれど、これも気を使ってくれた結果なのかもしれません。\n 私は彼女たちのなすがままでした。\n\n 泡立てたタオルで身体中を洗われます。\n 亜衣里は私の背中と腕を。\n 凛心が私の前面と脚を。\n\n 洗ってくれるのはありがたいのですが、公共の場で洗われるのは晒し者になっているようなものでしょう。\n どうか見られませんようにという思いで私は身を任せ続けます。\n\n「燈香さんは背中も綺麗ですよねぇ」\n\n「そう? ありがとう」\n\n「たくさん走ったから、脚は念入りにマッサージしてあげるわ」\n\n「それは後で構いませんから……」\n\n 妙に脚の付け根ばかりを触るのはお願いですからやめてください。\n\n「あはは、困ってる燈香ちゃんも可愛いねぇ」\n\n ああ、私の味方はいったいどこにいるのでしょう……。\n\n\n 全身くまなく洗われました。\n 私がさっぱりした後は、凛心と亜衣里の番です。\n\n「えへへ、燈香さんに体を洗ってもらえるなんて幸せですぅ」\n\n「凛心、早く代わりなさいよね」\n\n 椅子に座っている私の前、凛心はもうひとつ椅子を持ってきて座っています。\n 洗われたのですから、洗い返すのは当然でしょう。\n\n「あらあら、身体に痣ができていますよ」\n\n テニスをしている最中の凛心はよく転んでいました。\n だからしょうがないのかもしれませんけれど、女の子の身体に痣ができてしまうのはもったいないですね。\n 早く治ってくれることを願います。\n\n 凛心の体型はゲームの中と全く同じと言っていいでしょう。\n 小さくて少々ふっくらしている、大変に触り心地のいい身体つきです。\n 凛心もたくさん汗をかきましたから、念入りに洗ってあげましょう。\n\n「ああ~……気持ちよかったですぅ」\n\n「じゃあ今度は私ね。燈香さん、お願い」\n\n 私の前に壁が現れました、とまでは言いませんけれど、凛心の後だと背の高い亜衣里がさらに大きく感じます。\n 亜衣里の身体は引き締まっています。\n それでいて肩幅は思ったよりも狭かったりと、女性らしさもきちんと兼ね備えています。\n お胸は相変わらず小さいですけどね。\n\n 洗っている最中、当たり前ですが色んな所を触ります。\n 亜衣里の身体は思ったよりも硬いものでした。\n 筋肉質だからなのか、それとも緊張しているのか。\n 私にはきっとわかりません。\n\n「燈香さん、ありがと……」\n\n 凛心と亜衣里の身体を洗いました。\n 夕陽さんは自分で洗ってくれました。\n あとはもう湯船に浸かるだけでした。\n しかし、私たち以外のグループもまだ残っているのです。\n\n「燈香ちゃん、見せつけちゃう?」\n\n「やめてくださいよ……」\n\n「冗談冗談。離れて座ったらきっと見えないから安心しなよ」\n\n「でも……」\n\n 湯船は透明なお湯で満たされています。\n もちろんタオルを身にまとったまま浸かることはできません。\n 幾ら身体をお湯の中に沈めるといっても、お湯が綺麗な以上は絶対に見えないとは言い切れません。\n 躊躇する私に、夕陽さんはすごいアイデアを出したのです。\n\n「もう……だったら私を膝に抱えなよ。大丈夫、私が同性好きだってのは向こうのグループにも知られてるからね」\n\n ……あら。\n どうやら夕陽さんの知り合いだったご様子です。\n 職場の保養所ということなので、当然といえば当然なのですけれど。\n いえ、そうではなく……。\n\n「それは身体の大きな私のほうが適してるわね」\n\n「ぶぅ、夕陽さんずるいですよう」\n\n「……かわりばんこに座ればいいでしょう。ほら、とっとといきましょう」\n\n 取り合いになりのは嬉しいですけれど、湯船に移動する前から注目されるわけにもいきません。\n 強引に湯船まで連れて行きました。\n タオルはすぐ近くのふちに、タオルを剥いでからは亜衣里たちの後ろに隠れるように湯船に浸かりました。\n\n 私の膝に一番最初の乗ってきたのは夕陽さんでした。\n\n\n「燈香ちゃん、頻繁に脚がもつれてたでしょ」\n\n「……やっぱりわかりましたか?」\n\n しばらくすると、私たち以外にお風呂に入っている集団はいなくなりました。\n お陰で今では皆さん遠慮無く私にひっついています。\n ……もう隠さなくてもいいのですよ?\n\n「凛心ほど極端じゃなかったけどね。……燈香ちゃん、身体を動かすときにさ、ゲームとおんなじようにしてたんじゃないかな」\n\n「……どうなんでしょう。あまり意識はしていなかったのですけれど」\n\n 頻繁に脚がもつれていた私。\n でも転ぶことはありませんでした。\n 脚がもつれるのは、上半身の動きについてこれなかったのは、ボールを左右に散らされて走らされた時、正確には私が走る向きを切り替えようとしていた時だけでしたから。\n\n「燈香さん……凛心もだけど、それってゲームの影響なのよ」\n\n 夕陽さんと亜衣里が説明してくれました。\n\n 普段自分の体を動かさない人がゲームでばかり身体を動かすと、現実でもその動きができるんじゃって勘違いしちゃうんだそうです。\n もっと早く走れるはずだ、もっと高く飛べるはずだと。\n\n そう言われると、私の脚がもつれていた理由も、もっと早く身体の向きを変えることができるのに? と思っていたからなのでしょうか。\n 確かにゲームのほうが自分の身体は軽いですし、方向転換でもいちいち膝に大きな負担は掛かりません。\n\n 亜衣里や夕陽さんが転んだりと危なげな様子を見せなかったのは、普段から自分の身体を現実でも動かしているから。\n きちんと自分の身体を知っているから。\n 私と凛心は運動不足。\n 特に頻繁に転んでいた凛心は、亜衣里にお説教されています。\n\n「でもね、これでもだいぶマシになったらしいんだよねぇ」\n\n もっと昔は年齢制限のないゲームも多く、一時は空を飛べると勘違いして飛び降りが多発したのだとか。\n ベッド型じゃなかった昔は神経の遮断も完璧ではなく、今よりも身体が勘違いしやすかったらしいです。\n もちろんそれは私が大きくなる前の、もしかしたら産まれる前の話かもしれませんけれど。\n こういうお話をされるということは、夕陽さんも私の運動不足を心配してくれているのでしょうね。\n\n「明日からはもうちょっと身体を動かすようにしますね」\n\n「ふふっ、それがいいよ」\n\n なんとなく運動不足を感じて集まった今日の出来事でしたけれど、結果的には運動すべきだったのでよかったのでしょうね。\n\n\n------\n\n\n 帰りは車の中でぐっすりと眠ってしまいました。\n ちなみに、お風呂でも帰りの車でもえっちなことはしていません。\n なんとなくそういう気分じゃなかったのです。\n\n『運動不足の解消だけどさ……えっちなことでもそれなりに運動になるんだよね』\n\n 帰り際に放たれた言葉。\n さて、これはどういう意味でしょうね。\n ……いえ、意味なんて考えるまでもないのです。\n\n どうしましょうか。\n この今の関係を一歩進めたいと、そう言われた気がします。\n 凛心からも亜衣里からも同様の意思を感じました。\n 家に戻った後の私はぼんやりと考え続けるのでした。\n\n 自宅のチャイムがなったのは、普段なら夕飯を作り終えているような時間でした。\n\n 誰だろうと思って外に出ると、なんとお隣の海陽さんです。\n つい二日前に知り合ったばかりですけれど、本日はなんの御用でしょうか。\n\n「あの……夕飯を作りすぎてしまったので、よければ一緒に食べませんか?」\n\n「あら、ありがとうございます。実はすっかり御飯を作るのを忘れてしまってて、お誘いはありがたいのですが本当によろしいのですか?」\n\n「ええ。この前ご飯をごちそうしてしまったお礼ですから」\n\n そのご飯はタオルを貸してくれたお礼だったのですけれど。\n もちろん海陽さんのご飯も気になるので断ることは当然ありません。\n ついでなので今朝焼いたクッキーを持って行きましょうか。\n\n\n 海陽さんは越してきたばかりで、まだ未開封の荷物もありました。\n それでもお部屋は十分に綺麗で、ご飯もとっても美味しいものでした。\n\n そうそう、実は海陽さんは医療関係者らしいです。\n 流石にお医者様ではないそうですが、それでも立派なお仕事だと思います。\n\n「燈香さんが仰っていたゲーム、私も買ってみたんですよ?」\n\n「あら、そうなのですか? それではこれから一緒に遊べますね」\n\n「はい。でも私はこういうゲームは初めてで、よければ教えてもらえないかと……」\n\n「勿論ですよ。まずはですね……」\n\n ご飯に呼ばれる前までは悩んでいたはずなのに。\n 私の悩みは一瞬にして空の彼方へと飛んでいったのでした。"} |
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