Krixter/Repo / n0005cn /174.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 174, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/174/", "title": "174 模擬戦から分かること", "content": " うわぁ……大変に寝過ごしてしまいました。\n これも明け方に襲ってきたリンとティエルのせいです。\n それでも守りぬいたティカとユリと一緒に部屋を出ようとして気付きました。\n\n 2人の姿が見つかりません。\n\n 誰かが連れて行ったのでしょうか?\n そうかもしれませんが、そうでないかもしれません。\n インベントリからワンタッチで服を着て、私は広間へと向かいます。\n\n\n 広間に降りて一安心。\n そこには夕凪さんと一緒にティカとユリの姿がありました。\n もちろんちゃんと赤ちゃん服を着ています。\n\n さらに、エストさんの姿もありました。\n エストさんも一緒になって赤ちゃんにちょっかいを出しています。\n 焦って裸で降りてこなくてよかったと、この時は思いました。\n\n「ユウカちゃん、今朝は随分ゆっくりだったね」\n\n「ごめんなさい。ご飯はもう食べましたか?」\n\n「ヨウちゃんが作ってくれたから気にしなくていいよ」\n\n「……へえ、ヨウがですか」\n\n まだ料理は覚えたてで、ろくな料理を教えていなかったと思うのですが一体何を作ったのでしょうね。\n 文句が出ない以上は美味しかったのでしょうけれど。\n\n「おう、やっと起きてきたな」\n\n エストさんは私を待っていたみたいです。\n ええ、もちろんきちんと覚えています。\n 私に会いに来たということは、例のオーダーメイドの素材を集めてきたということなのでしょう。\n\n「早速だけど依頼、頼めるか?」\n\n「ええ、もちろん構いませんよ」\n\n さて、それでは改めてお話を詰めていきましょう。\n\n「集めてきた素材はコレだ。こいつを使ってパーティー分の服を作ってほしい」\n\n テーブルにドサドサと集めてきたであろう素材が積まれます。\n 茶色い革と毛と、なにかの塊です。\n\n「そいつはサドブルディーヴの素材だ。砂漠エリアの日ボスだから素材としては十分だろう」\n\n 触ってみると、革は見た目よりもずっとしっかりしていました。\n 毛はさほど長くもなく、\n\n「サドブルディーヴはぶっちゃけラクダだな。砂漠だけあって非常に熱いから、そいつで防具を作れば涼しくなるんじゃないかと思ってな。依頼品はずばりコートで頼む」\n\n「あら? 悠二さんは鎧を身に着けていましたよね?」\n\n「おう、実は悠二が一番の被害者でな。砂漠じゃ暑すぎて鎧なんて着てられねーんだよ。まあ俺らも服すら着てないんだけどな。上半身素っ裸で武器だけ持ってんだから滑稽だぜ」\n\n うわぁ……。\n 南に進まなくてよかったと思います。\n しかし、暑さ対策ですか。\n そういえば西は雨の対策が必要でしたね。\n そこに現れるシャワーリザードはいい耐水防具の素材となりますし、このサドブルディーヴの革も間違いなく熱さの耐性を得られるのでしょう。\n\n「分かりました。それでは早速作りますね」\n\n デザインはどうしましょうか。\n 砂漠で使う、そして日差しを遮る必要があるということは、コートというよりもマントっぽくなるのでしょうか。\n となるとロングコート、頭も隠したほうがいいのでフード付きで。\n ……魔法使い?\n\n とりあえずはまず1着、作るだけ作ってみましょう。\n\n 大きさはあまり考えません。\n ある程度は自動でサイズが変わりますし、わざわざ計測したくもありませんから。\n ここで気をつけるのはバランスだけです。\n 男性が身に付けるということで下手に締め付け過ぎたりはせず、かつ丸すぎないように気をつけて革にハサミを入れて……。\n\n「っと、そういえば色の指定はありますか?」\n\n「あ~……とりあえずはそのままで1着作ってくれ。俺はちょっと外にいるから、完成したら呼んでくれ」\n\n 私の作業を見ているだけでは暇だったのでしょう、エストさんは立ち上がると広間から外へと出て行きました。\n 別に自由にしてもらっても全く構わないのですが……夕凪さんに目配せすると、任せてと言わんばかりに大きく頷いてくれました。\n\n「ユウカちゃんの女に手を出さないように見張っておくよ」\n\n ……まぁ、そうなんですけれどね。\n\n 夕凪さんはティカとユリをこの場においてエストさんの後を付いて行きました。\n 赤ちゃんの面倒を見るのも私の仕事です。\n まだ私が何をしているのかは分からないだろうけれど、それでもゆっくり見えるように裁縫を始めようと思います。\n\n\n 改めてコートを作り始めます。\n その前に、まずは受け取った素材をしっかり確認しておきましょう。\n\n まずは体毛。\n これは大量とはいえないでしょう。\n ラクダということですし、体毛は長くないでしょうからね。\n\n 次は革です。\n コートのベースとなるものです。\n どうやら革には二種類あって、それぞれ『サドブルディーヴの革』『サドブルディーヴの瘤革』という名前です。\n ……コブ?\n 数は『瘤革』のほうが少ないので、おそらくそちらがレアドロップなのでしょう。\n ラクダのコブって、なにか特別なところがあるのでしょうか。\n\n あとは謎の塊です。\n これは『サドブルディーヴの瘤』でした。\n またコブ……中に水でも入っているのでしょうか。\n\n これらを全て使っていいそうです。\n それでは早速始めましょう。\n\n まずはハサミで革をおおまかに切り取っていきます。\n 体型はとりあえず私に合わせましょう。\n 足元から頭までを覆うぐらいの大きさです。\n 身体に巻いてもまだ余裕があるぐらいには広く取りましょう。\n\n「あら、ユウカさま。男物の服とは珍しいですね」\n\n「ティエル、おはよう。今日はエストさんが来ているんですよ。前にお手伝いしていただいたのでその御礼にと造っているのです」\n\n 後は縫うだけという時になってでティエルが降りてきました。\n 服を着ているので一安心。\n やんちゃなティカの面倒を見てもらいましょう。\n\n チクチク針を通します。\n そういえば最近はスキルに任せて服を作っていたので、こうして針を使うのも久しぶりな気がします。\n そこまで性能を追求しない場合、スキルを使ってぱぱっと作ったほうがラクですからね。\n でもこういう防具の場合、手縫いにすると性能は少し増しますからね。\n 依頼品に手抜きはできないのです。\n\n そうして依頼の品、1着目が完成しました。\n\n「どうでしょうか。ティエル、一度着てみてもらってもいいですか?」\n\n ちょうどよく目の前にモデルがいるので身につけてもらいます。\n 胸回りだけは目の毒ですけど。\n\n「これは……マントですか?」\n\n「ええ。砂漠で使うそうなので、熱さから身をを守るように全身を隠せるようにしてあるの。よければフードも被ってもらっていいでしょうか」\n\n フードも被ると、まさに魔法使いという風体です。\n これで真っ黒にしたらまさに悪い魔女という感じになりそうですね。\n\n うん、いい出来です。\n  これなら日差しもしっかりと遮ることが出来るでしょう。\n 早速エストさんにお見せしましょう。\n\n\n 外に出るとエストさんはすぐに見つかりました。\n なにせすぐそばにいたのです。\n どうやらアイリー、リコを相手に模擬戦をしていたようでした。\n う~ん……エストさん相手ではアイリーとリコでは物足りないと思うのですけれど。\n\n「おっ、もう完成したのか」\n\n 私に気付いたエストさんは模擬戦を切り上げて近寄ってきました。\n 早速お渡しすると、エストさんはすぐに身にまとい、そしてすぐに脱いでしまいます。\n\n「これ、マントだな。コートじゃなくて」\n\n その言葉に、私はその場に崩れ落ちました。\n\n なんということでしょうか。\n 最近裁縫をしていなかったから?\n 砂漠、そして熱を防ぐと聞いたから?\n アイリーと馬に相乗りの時にもマントだったから?\n\n コートと聞いていたのに、私はマントを作っていたのでした。\n\n「まあ、材料はまだあるからいいんだけどな」\n\n それだけが救いでした。\n\n\n------\n\n\n「むしろこうして現物があると、色々と要望も出てくるってもんだ」\n\n 私が作ったコート(マント)を手に、エストさんは要望を出してきました。\n そもそも私のイメージしていたものと、エストさんのイメージしていたものは大きな違いがありました。\n トレンチコートのようなスッとしたデザインのものを考えていたのですが、エストさんはモコモコしてるのをご希望でした。\n 砂漠で使うものなのに。\n\n まずはフード。\n たくさんのファーを取り付けましょう。\n デザイン以外の意味はありませんが、日差しを遮るという意味では全くの無駄というわけではないのでしょう。\n サドブルディーヴの毛はそれほど長くはありませんが、それでもファーを作るには十分です。\n\n 丈は勿論足首を隠すぐらいまで長くとります。\n 前面は閉じずに、ボタンをも特にはつけません。\n それだけだと少しさみしいので、やはりファーで縁取りを行います。\n 足元は全部がモコモコ、前面もモコモコ、袖口もモコモコ。\n うん、どう見ても冬に着るアウターです。\n\n「後は色だけどどうすっかな」\n\n 基本は砂漠で使うアウターです。\n 砂漠で目立つようなデザインにするか、それとも溶け込むようなデザインにするか。\n\n「参考までに、こういうのを作ったことはありますよ」\n\n 私が以前に作ったアーミーベストです。\n 防水性を持った、迷彩色の使いやすいベスト。\n 最近はインベントリに仕舞いっぱなしですけれど。\n\n「あー……迷彩か。悪くないけど趣味じゃ無いんだよなぁ。それだったら真っ黒にしてもらったほうが……でもなぁ」\n\n「とりあえず迷彩色にしてみますか? 色だけなら元に戻すことも簡単ですからね」\n\n「そうだな。それじゃとりあえずは頼む」\n\n\n 色はすぐに付けることができました。\n リコが定期的にいろんな染料を持ってきてくれますからね。\n 聞いていませんが、もしかしたらホーム内に採取ポイントがあるのかもしれません。\n\n「思ったよりも悪くないな」\n\n────────────────────\n『サドブルディーヴのロングコート』\n サドブルディーヴの素材をふんだんに使ったロングコート\n【ボーナス】熱耐性、視認阻害\n【製作者】ユウカ\n────────────────────\n\n 迷彩色を付けたことでボーナスが追加されました。\n モンスターに見つかりにくくなる……のでしょうか。\n しかし、相変わらず具体的な数字はわからないのですね。\n 身につけてモンスターから攻撃を受けて、自分のHPを見て初めて性能が分かるのです。\n\n「いや、だいぶ良いな。趣味じゃねーけどだいぶよさ気だ」\n\n ちなみに、作ったコートはエストさんではなくリンが身に着けています。\n まあ、自分で身につけても分かりませんからね。\n\n「それと同じのをもう1着作ってもらっていいか。それと、もう1着は白か銀にしてもらえたらそれでいいな」\n\n「それは構いませんが……それじゃ全部で3着じゃありませんか?」\n\n「ああ、最初の失敗作はあれはあれでいいぞ。ただそうだな、マントはマントのままで、フードにだけファーをつけてもらえばよりいいな」\n\n「じゃあそうしますね」\n\n\n そうしてコート2着の茶色の迷彩のロングコート、1着の銀と白のまだらなロングコート、それと1着の茶色いマントが完成しました。\n 思ったよりも簡単な依頼で助かりました。\n エストさんには伝えていませんが、縫い糸には『糸魂』を使用しています。\n ステータスには現れませんが、きっと防御力が増していると思います。\n\n「さあ、準備はいいな」\n\n そして今、私はエストさんと武器を構えて対峙していました。\n ロングコートの性能を確かめたいということで、なぜか私が相手をすることになったのです。\n\n「そらっ、行くぞっ!」\n\n エストさんは盾は装備せず、ロングソードだけで私に斬りかかってきます。\n はためく白銀のロングコートが少し眩しかったりもします。\n\n 私も普段のとおりには動かずに、珍しくそのロングソードを迎え撃つことにします。\n 振り下ろされるロングソードに合わせるように短刀を振り抜きます。\n そのままお互いの武器を弾いて……そう思っていたのに。\n 私が短刀をぶつけてもエストさんの振り抜きは止まらず、私の短剣の振りだけを逆向きに変えたのでした。\n 踏みとどまることもできません。\n 私は自分の短刀を自分の身体に押し付けられ、そのまま吹き飛ばされてしまいました。\n\n「……」\n\n まぁ、分かっていたことです。\n エストさんはプレイヤーの中でもレベルの高い方で、私は常にレベル上げをしているわけではないのです。\n 元々出会った時から差があったのですから、一対一で叶うはずがありませんでした。\n\n エストさんは私が吹き飛んだのを見て武器をしまいました。\n そしてなぜか首を傾げています。\n 全く、もっと差があるとでも思っていたのでしょうか。\n\n「……こんなに差があるのはおかしいだろ」\n\n それは私の思い違いでした。\n どうやらエストさんは私がもっと戦えると思っていたみたい。\n そんなわけがないのに。\n\n「ユウカ。今回の依頼で【裁縫】のレベルは上がったのか?」\n\n「いいえ? 上がっていませんけれど?」\n\n「カンストしてるわけじゃないよな?」\n\n「……? ええ。85レベルなので、最近は上がりにくいですね」\n\n「……ちなみに、種族のレベルは?」\n\n エストさんは何を聞きたいのでしょうか。\n 別に隠すようなことではありませんから普通に答えます。\n\n「そういえば、しばらく前から100のままですね」\n\n 私の答えは、エストさんをある意味納得させるものでした。\n ため息一つ、私に向かってはっきりと述べました。\n\n「……ああ、分かった。そういうことか。っつーかユウカだけじゃないな。夕凪もアイリーもリコもだ。お前ら種族を成長させてないからスキルが成長しねえんだよ」\n\n そこからはお説教の時間でした。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv100\n職業:隠密Lv51, 復讐者Lv67\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:5100/5100\nMP:5100/5100\n-\nSTR:450\nVIT:320\nAGI:1570\nDEX:910\nINT:350\nポイント:120\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv58, 投擲術Lv12\n跳躍Lv2\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv15\n夜目Lv42, 超聴覚Lv86, 気配察知Lv89\n農業Lv18, 水泳Lv11, 潜水Lv11, 調教Lv1\n【アクティブスキル】\n火魔法Lv7, 水魔法Lv4, 影魔法Lv100\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv38, 裁縫Lv85, 釣りLv8, 製糸Lv31\nポイント:148\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+12, 性豪+13, 信頼+6, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,610,150e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+7\n   転移のイヤリング"}

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