Krixter/Repo / n0005cn /184.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 184, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/184/", "title": "184 空を見上げて", "content": "「ねえエジア。私たちが出掛けた後は、あの子達の面倒をお願いしますね」\n\n「もちろんなの。だって私はお姉ちゃんなの」\n\n\n------\n\n\n 今日は家の裏にある大樹にブランコを掛ける予定です。\n ヨウが昨日のうちに長いロープを編みこんでくれていました。\n 座る部分もルダが簡単に作ってくれました。\n あとは大樹を登り、ロープを結びつけるだけでした。\n\n あらためて大樹を眺めます。\n 目指すは大樹から伸びている枝、そこにロープをぶら下げるのです。\n しかし……高いですね。\n こうして大樹の根本か見上げると、その高さが分かります。\n 空を見上げて見える枝の大きさは、とても小さいものです。\n うーん、100mぐらいはありそうですね。\n\n 気を取り直し出来る限り装備を解いて、新しく作ったグローブを身につけて大樹へと手をかけます。\n 一応登れそう……でしょうか。\n 正直、途中で落ちそうな気もします。\n けれどもワクワクしながら見守っているティカとユリの姿を見ると、挑まないわけにはいかないのでした。\n\n「ママ、頑張って!」\n\n「お母さん、気をつけてね」\n\n 二人の声を背に受けなから、大樹へ指をしっかりとかけました。\n ぐっと腕を引き寄せて、身体を精一杯引き上げます。\n 私の体重全てがかかっても、どうやら樹の皮が向けたりということはなさそうです。\n\n そのままゆっくりと大樹を登っていきます。\n 左指をかけて、身体を引き上げて。\n 次は右腕を伸ばして、身体を引き上げて。\n 焦らずゆっくりと登っていきます。\n\n「お姉ちゃん、頑張るの!」\n\n 私を見守っているのはティカとユリだけではありません。\n もちろんエジアも昨日から一緒ですし、リンもティエルもヨウもいます。\n\n「意外と登れるもんだねぇ」\n\n「ユウカさまはお軽いですから」\n\n 彼女たちは何を話しているのでしょうか。\n ここまで登ってしまうと、もう普通の会話の声では聞こえてきませ。\n\n 半分程度まで登ってきたでしょうか。\n ここまでくると幹の様子も変わってきます。\n 樹の皮も細かくなめらかで、引っ掛かりもなかなか見つからないのです。\n ここからはさらに時間がかかりそうでした。\n\n そして次に腕を伸ばす位置もわからくなり、身動きも取れなくなった時。\n 不意に、次にどこに指をかけたらいいのかが分かったのでした。\n\n 別に手をかける位置が光ったりとか、そういうわけではありません。\n でもなんとなく、どこに指をかけたら安全なのかが分かるようになっていたのです。\n もしかしたらスキルを覚えたのでしょうか。\n 今のこの状態ではステータスを確認することもできません。\n このままでは降りることも難しいですし、ゆっくりと登るしかありませんでした。\n\n\n「わあ……」\n\n 思わず声が出てしまいました。\n 登り始めて一時間。\n やっと下から見えていた枝までたどり着きました。\n 片手を幹にあずけて枝の上に立ち上がって周囲を見渡します。\n そういえばこうも高いところから周囲を見渡すのは初めてです。\n そして、眼下には圧倒的な世界が広がっていたのでした。\n\n 空気が澄んでいるのか、非常に遠くまで見渡すことができます。\n ほんのちょっと違和感なのは、地平線の彼方が真っ直ぐなことでしょうか。\n 当たり前ですけれど、この世界は球体では無いみたいですね。\n\n 風はまったくありません。\n 風や雨などは場所によって決まっていますからね。\n 雨が降っている場所は一日中振り続けますし、風が吹く場所も一日中です。\n そしてここは一日中無風の晴天の場所ですからね。\n\n 景色を堪能した後は、ロープを枝にくくりつけて下まで戻るだけなのですけれど。\n もうちょっとだけここに留まりたい気持ちもありました。\n こういうときは、アレでしょう。\n\n インベントリからアイテムを取り出して口に咥えます。\n 息を吸い込んで思いっきり吹き込むと、甲高い音が響き渡りました。\n そのまましばらく待っていると、一体のセイレーンがこちらまで飛んで来るのでした。\n\n セイレーンに運んでもらえたらもっとラクだったのかななんて、ほんの少しだけ思ってしまいました。\n\n「グキャア」\n\n セイレーンは私に気付いて隣に降り立ちました。\n 脚は枝をつかみやすい形なので、私が支えずとも二本の脚だけでしっかりと立てています。\n セイレーンは私が上げたシャツをきちんと着ています。\n あまり汚れていないのは、多分汚れようがないからなのでしょう。\n\n「お久しぶりですね。元気にしていましたか?」\n\n 流石に立ちっぱなしも怖いので、枝に腰を下ろします。\n もちろんバランスを崩さないように、背を幹に預けて枝をまたいでいる格好です。\n セイレーンは上手に幹の上を歩き、私に寄り添ってきます。\n\n「もしかしたら伝える必要はないのかもしませんけれど、放牧エリアだけでなく、この大樹にも自由に来ていいいですからね。もちろん砂浜も同様ですよ」\n\n セイレーンはもともとは海に住むモンスターです。\n それを放牧エリアだけに縛ってしまうと、きっとストレスになると思うのです。\n 伝えるまでもなくセイレーンはホーム内を自由に飛び交える気もするのですけれど、念の為にね。\n\n「それと……私はこの光景が気に入りました。だからもう少しだけこの場所にいたいのですけれど、よければあなたもご一緒しませんか?」\n\n 私がそう伝えると、セイレーンは喜んで私のあげたシャツを脱ぎ始めます。\n もちろん一人じゃ脱げないので、私が手伝って。\n そうしてシャツを脱いだ後は、両翼で私に抱きついてくるのでした。\n\n まあ、そういう意味だったのでこういう姿勢なんですけれど。\n\n 幹に背を預ける私と、私に跨るセイレーン。\n 大樹から綺麗な声が響き渡りました。\n\n\n------\n\n\n 大樹から降りるのは一瞬でした。\n 幹にぶら下げたロープ、そこを滑りながら降りてきたのです。\n 本当は幹を使って降りようとしたのですが、登る時よりも降りる時のほうがよほど難しかったのです。\n それならば多少怖い思いをしても、ロープを使用して下ったほうが安全かなという判断でした。\n\n 下で待っていた皆さんと合流した後は最後の仕上げです。\n ルダに用意していただいたブランコの座る部分を取り付けるだけで完成です。\n\n「はいはいっ! ママ、あたしが一番ねっ!」\n\n さっそくティカがブランコに座ります。\n ティカの後ろに立って彼女の背中を押してあげると、ティカはほんの少しだけ前に進みます。\n でも……。\n 考えるまでもなく、ロープが長すぎたのでしょう。\n うまく力が伝わらないのか、ブランコをこぐ、という格好にはなりませんでした。\n\n「……ママ、これつまんない」\n\n うう……ティカの目が痛いです。\n それもそうでしょう。\n いくらティカが頑張ろうとも、ブランコはその動きを止めてしまうのですから。\n バカなママでごめんなさい。\n\n でも代案はすぐに思いつきました。\n さっそくこのブランコを作り変えましょう。\n\n 今の問題は、垂らしているロープが長過ぎる、または乗っているティカが軽すぎるので力が掛からないことです。\n もちろんロープは短くするとブランコに乗ることもできませんし、ティカに重くなれとも言えません。\n そうすると私が出来ることはひとつ。\n ブランコの動かし始める位置を、ロープの下がった真下ではなく、ある程度引いた場所にすればいいのです。\n\n エジアにルダを連れて来てもらい、すぐに作業に入ってもらいます。\n 大樹からほんの少しだけ離れた場所に、ブランコに乗る台を作ってもらいます。\n ブランコをあらかじめこの台の位置まで引いてきて、この位置から乗るということです。\n 距離と高さをとったのである程度スピードも出ることでしょう。\n そもそもこのブランコがもし普通のもとの同様に動いてしまった場合、ブランコは際限なく前後に漕ぐことができてしまいます。\n それは半径100mの弧を描くということです。\n むしろ普通に動かなくてと言うか、きちんと物理計算がされていて助かったというところでしょうか。\n\n 台から乗り始めたブランコは勢い良く進んでいきます。\n 最高速で大樹の真下を通過して、弧を描いたまま反対側へ。\n でも風の抵抗を受けてか、コチラ側の台ほどまで高くは漕げません。\n 乗っているティカはそのまま2往復、3往復と繰り返し、そうして初めのブランコを下げた位置で止まるのでした。\n\n「面白かった!」\n\n 止まったブランコを台まで引っ張ってきたティカは楽しそうでした。\n これで一安心。\n せっかく作ったのですから、やっぱり楽しんでいただかないといけませんからね。\n\n 目の前でティカとユリ、そこにルダとアマエも混ざって順番に遊んでいます。\n 楽しんでいただけるのは大変結構なのですが、結局は勢いが落ちるだけのブランコになってしまったのが不満です。\n 漕ぎ続けられないブランコとは一体何なのでしょう。\n どうせならもっとあの勢いを活かせるようにしたいのですけれど。\n\n すぐに思いつくのはプールです。\n あのブランコで勢いをつけて、その下のプールに飛び込むのです。\n うん、これは楽しい気がします。\n ブランコで遊ぶにもいちいち台まで運ばなきゃ行けないのですが、ただ数往復で止まってしまうのではすぐに飽きてしまいます。\n 飽きない工夫が大事なのです。\n まあ、さすがにプールはすぐには作れませんから、とりあえずは完成ということにしておきましょう。\n\n「そういえば、ルダは一緒に遊ばないのですか?」\n\n「私はお姉ちゃんだから、ここで見守ってあげてるの」\n\n あら……いつの間にかエジアはすっかりお姉ちゃん気分のようです。\n 私としても嬉しいことです。\n 私に甘えていたエジアも、いつの間にか大きくなっていたんですね。\n\n ちょっとだけ寂しくなってついついエジアを抱き締めます。\n\n「……お姉ちゃん?」\n\n「ねえエジア。伝えているとおりに、私たちは明日からしばらくここを離れることになります。私たちが離れた後は、あなたにあの子たちの面倒をお願いしてもいいでしょうか」\n\n「もちろんなの。だって私はお姉ちゃんなの」\n\n「うふふ、ありがとうエジア」\n\n 思わず口付けをしてしまうのもしょうがないことでしょう。\n\n\n------\n\n\n 夕方、図書館に篭っていたみなさんも戻ってきました。\n 今日一番頑張ったのは間違いなくアイリーでしょう。\n 『導きの石』を扱えるようになったアイリーは、今日一日で全員の武器に『導きの石』を混ぜたのですからね。\n もちろん同時にはできませんので、武器を一つ作っては竜都へ、新たに石を貰っては戻って武器を作ってを繰り返していたのです。\n 図書館に乗り込んだのも一番最後のはずなのに、こうしてみなさんと同じ時間に戻ってくるのですからね。\n\n「これで出かける準備もできたのですね」\n\n「そうだねえ。みんな【道術】も覚えたし、【読書】も覚えたし。あとは種族を進化させるだけだね」\n\n 夜の時間は明日からの移動の打ち合わせです。\n とは言っても食料も十分にありますし、今では携帯できる調理器具も増えています。\n 回復もリコの薬にヨミさんの魔法とあります。\n 残る不安は……。\n\n「不安なのは、南が森ということでしょうか」\n\n「……そうね。ここから一番近いのが南の樹都だから南に行くのは間違ってないんだけれど、南に行くほど森が濃くなっていくのよね」\n\n 私たちのホームは北西方向、北の湖に面した位置です。\n すぐ西には竜都があり、ずーっと南には樹都があります。\n もうひとつの目指す街である闘都は樹都のずっと東なので、近い樹都に目指すのは間違いではありません。\n\n「そうなると徒歩になるから、どうしても野宿が必要になるんだよね」\n\n「そういえば、馬車の無い移動は初めてですね」\n\n「まあそこまで違いがあるわけでもないんだけどね。パーティーによっては夜も構わず移動するなんて当たり前だしね。でも私たちはそこまで急いでるわけでも無理をしたいわけでもないからね。そうなると、安全地点を探す必要が出てくるんだよ」\n\n「または村ね。小さな村なら探せば意外とみつかるから」\n\n これらは掲示板にはまず出てこない情報です。\n 例えばダンジョンのある村だったりすると別なのですが、大抵の村はクエストもダンジョンもない、ただ休憩に使えるだけの村ですから。\n 自分たちで実際に見つけ、マップを埋めていくしかありません。\n\n「まあちょっと探せば見つかるだろうし、心配することもないだろうけどね」\n\n 明日からは樹都を目指します。\n 本来ならば全員で移動したいところですが、さすがにティカとユリを連れて移動するには早いでしょう。\n そうなると残すメンバーと、連れて行くメンバーを選ぶ必要がありました。\n プレイヤーは転移のためにも全員で行く必要があり、私はティカとユリのためにも出来る限り残したい。\n\n 結局は私、夕凪さん、アイリー、リコ、ヨミさんの5人だけで樹都を目指すことになったのでした。\n 徒歩で長く移動するのは初めてのことです。\n 正直なところ、私は明日がとっても楽しみでした。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv100\n職業:隠密Lv51, 復讐者Lv67\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:5100/5100\nMP:5100/5100\n-\nSTR:450\nVIT:320\nAGI:1570\nDEX:910\nINT:350\nポイント:120\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv58, 投擲術Lv12, 拳Lv1\n跳躍Lv2, 登攀Lv1 (New)\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv15\n夜目Lv42, 超聴覚Lv86, 気配察知Lv89\n農業Lv18, 水泳Lv11, 潜水Lv11, 調教Lv1\n読書Lv1\n【アクティブスキル】\n火魔法Lv7, 水魔法Lv4, 影魔法Lv100, 道術Lv1\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv38, 裁縫Lv85, 釣りLv8, 製糸Lv31\nポイント:148\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+12, 性豪+16, 信頼+9, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,610,150e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n   鉄甲・黒蜂、飛苦無・黒討\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+7\n   転移のイヤリング"}

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