Krixter/Repo / n0005cn /185.json
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{"novel_id": "n0005cn", "chapter": 185, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/185/", "title": "185 樹海を目指して", "content": "「ユウカさま。お気をつけてくださいね」\n\n「ええ。ティエルも皆さんのことをよろしくおねがいしますね」\n\n 朝一番でアテルダムへと向かい、作っていた下着を納めました。\n そのお金で食材などの、遠出に必要なアイテムを買い集めました。\n そして今、私たちはホームの境界線で、皆さんに見送られています。\n\n 樹都イグラージを目指すのは私、夕凪さん、アイリー、リコ、ヨミさんの5人。\n ホームに残るのはリン、ティエル、エジア、ヨウ、アマエ、ルダ、ティカ、ユリ、ミーオさん、ニィルさん、それにニィルグさん。\n こうして見るとNPCのほうが明らかに多いですね。\n そのほとんどを抱いている私は一体何なのでしょう。\n\n「ニィルグさん、男ではあなただけですのでいざというときはお願いします」\n\n「何も起こらないとは思うが、心しておこう」\n\n ニィルさんとニィルグさんがいるので食材が尽きることはないでしょうし、ヨウも簡単な料理はできるようになったので食事の心配もありません。\n 作り置きできたらよかったのですけれどね。\n\n「ティカ、ユリ。お母さんたちの言うことをきちんと聞くのですよ」\n\n「うん、わかってる!」\n\n「はい、お母さん」\n\n よしよし。\n これで離れても大丈夫でしょう。\n ティカとユリも大きくなったのですから、少々私が離れたところでなんともないはずですから。\n\n\n ホームに残るみんなに手を振りながら私たちはホームを離れました。\n 短い間とはいえ、NPCだけを残して数日の間を離れるのは初めてのことです。\n 少しばかり心配で、これからのことはその分楽しみでした。\n\n「こうして皆で動くのも久しぶりね」\n\n「そうだねえ。それぞれ個人ではホームから離れたりもしてたけど、今日からは樹都に辿り着くまで戻れないからね」\n\n まずはまっすぐ南へと進みます。\n 聞くところによると樹都イグラージはここからほぼ真南といっていい位置にあるみたいです。\n ただ街道は無いようなので、道無き道を進むこととなりました。\n\n ホームの周辺はある程度歩きまわったこともあるので、特に苦とはなりません。\n 生い茂った草、まばらに生える樹。\n それでもこの辺りはだいぶマシなのでしょう。\n 樹都というぐらいですから、南に向かえば向かうほどに深い緑に覆われていくのかと思います。\n\n 少し進むと前方でガサガサと物音が。\n モンスターが現れます。\n\n「ユウカさん。オークみたいですけどどうしますか?」\n\n なんだか懐かしいですね。\n 竜都を往復するときには必ずと言っていいほどに出てくるモンスターです。\n 何よりも、週ボスとのキツかった戦いが思い出されます。\n 目の前のオークはただのオークだから安心ですけれどね。\n\n「そうですね……そういえば、リコは武器を槍に変えてから戦ったの? 今のうちに慣れておいたほうがいいのではないでしょうか」\n\n「そういえばそうです……あ、ヨミさんも一緒ですよ! オークは弱いですから今のうちに慣れておきましょう!」\n\n「えっと、でも……」\n\n「ヨミちゃん。たしかにヨミちゃんは魔法がメインかもしれないけど、回復がメインかもしれないけどね。いつでも私たちが守れるわけじゃないからね。初めは苦労するかもしれないけれど、私たちがいるうちに慣れておいたほうがいいんじゃないかな」\n\n ヨミさんは戦いが苦手なご様子です。\n アマエ、ルダと一緒に何度か遠出はしているはずですが、その時相手にしていたのは最弱といえる野菜モンスターですからね。\n それに、攻撃はアマエとルダに任せっぱなしだったでしょうし。\n\n「ヨミさん。今なら私たちも手助けできます。それに、思ったよりも痛くないですからね。つらい思いをする前に頑張ったほうがいいですよ」\n\n 今と状況は違いますけれど、思い出すのは初めてプレイヤーに殺された時。\n そういえば、私はモンスター相手にはためらいはありませんでした。\n ヨミさんが攻撃したくないのはどうしてなのでしょう。\n\n「……分かりました。頑張ってみますから、そこで見守っていてくださいね?」\n\n「ええ、もちろんですよ」\n\n リコとヨミさんが槍を構えてオークへと向かっていきます。\n 今まではリコが一番恐る恐るの行動だったのに、ヨミさんが後ろにいるせいかリコが普段よりも頼もしく見えます。\n 事実リコも張り切っているのでしょう。\n リコよりも前に出る私とアイリーに、守らずとも身軽だった夕凪さんと今まであまり守りがいがありませんでしたから。\n\n オークはのそりとリコとヨミさんに向かってきます。\n 迎え撃つ形になるリコとヨミさん。\n オークの棍棒に対してリコもヨミさんも槍を構えます。\n 射程の上では有利ですが、さてどうでしょう。\n\n「ヨミさん、練習のとおりですよっ!」\n\n「は、はいっ!」\n\n まずはリコ、遅れてヨミさんがその手の槍を突き出します。\n リコの槍は十分に鋭いといえるものですが、ヨミさんはまだ遠慮しているみたい。\n\n「……ユウカさん。ヨミのあれ、演技だから騙されないでね」\n\n「……演技?」\n\n「演技とはいえないけどね。でも、実はヨミちゃんが【槍】スキルを一番に覚えてるんだよね。それなのにあの動きってのはちょっと考えちゃうよね」\n\n ええと、基本的にスキルを覚えるにはある程度自力で動けた時に限ります。\n スキルを自力で覚えたということは、槍の扱いはある程度上手になっているわけで。\n だから、ヨミさんの拙い槍の扱いはわざとだとアイリーは言っているのですね。\n\n「でも、相手はオークですよ? 大きいですし、怖気づいてもしょうがないと思いませんか?」\n\n「違うわよ。あれは可愛いってアピールしてるだけよ。ユウカさん、騙されちゃダメだからね」\n\n 別に演技だろうと、可愛ければいいんですけれどね。\n 死にさえしなければ。\n\n ただ残念なことに、もしも演技というならばヨミさんのは度が過ぎていたのでした。\n\n「きゃああっ!」\n\n そもそも、リコは武器を槍に変えたことで、盾職としての役割を十分に果たすことができなくなっていました。\n 鎧は身につけていても、両手は槍を握っているのです。\n それでも普段はいいのでしょう。\n モンスターとの間に身体を割りこませ、その身体を盾にしたらいいのですから。\n\n でもね、オークが棍棒を振りかぶったところで心が折れてしまったのか、ヨミさんはリコの後ろから離れてしまいました。\n\n「ちょっと、ヨミさんっ!? なに逃げてるんですかっ!!」\n\n 一番脚の遅いオークと、脚が遅めのリコに、逃げているヨミさん。\n 一体何がどうなったのでしょうね。\n\n「……酷いわね」\n\n「ちょっと酷いねえ」\n\n そう言う気持ちも分かってしまいます。\n なにせオーク一匹すら満足に相手できないのですから。\n リコはヨミさんを追いかけているからしょうがないとしても、ヨミさんは……。\n\n「しかたがありませんね」\n\n ため息一つ、腰から短刀を引き抜きます。\n そしてオークまで近付いて一言──。\n\n「──首斬り」\n\n その一言で、私の身体は自動的にオークの背後から首に短刀を押し付ける格好に。\n このまま首を切り裂いてもいいのですけれど。\n なんとなくな気分で、短刀を握り直してその脳天から突き刺しました。\n\n「~~~!!」\n\n オークの断末魔が響きます。\n そしてやっと、ヨミさんも動きを止めたのでした。\n\n「……ユウカさん、すごいですよっ!」\n\n「そうですか、ありがとうございます」\n\n 駆け寄ってくるヨミさんにとりあえずのお返事。\n でもね普段からしていた動きだから、そこまで嬉しくもないのです。\n 事実、オークなんてリコ一人でも簡単に倒せるのですからね。\n\n「ねえヨミさん。オークは怖いですか?」\n\n「──怖いです。やっぱり大きな身体っていうのは、それだけで身がすくんでしまいます」\n\n 身がすくむとその場から動けないのではというのは置いておいて。\n 大きな身体のモンスターというのは決して珍しくもありません。\n ここは無理をしてでも、ヨミさんには慣れていただく必要がありました。\n\n「ヨミさん」\n\n「はい?」\n\n 私が何を言い出すのか、何も分かっていないご様子のヨミさん。\n\n「──スパルタです! ヨミさんにはこれからハードな特訓を行います!」\n\n 私は勢い良く叫びます。\n だってそうでしょう。\n こういうのは私の柄ではありません。\n けれど、甘やかすとろくな事にはならないと思えます。\n だったら勢いで叫んで、そのままのテンションで押し通していくしかないのです。\n\n「……ユウカさん?」\n\n「何を呆けているのですか! さあ槍を構えて、さあ!」\n\n「はっ、はいっ!」\n\n ヨミさんが槍を構えます。\n 先ほどとは違ってよほどしっかりしています。\n スキルを一番に覚えたというのは嘘ではない様子。\n\n「そのまま走って、さあ、さあ!」\n\n ヨミさんの背後に回って2本の短刀をカチャカチャ鳴らします。\n さすがのヨミさんもコレには身の危険を感じたのか、全速力で駆け出しました。\n\n「ちょっと、ユウカちゃん?」\n\n 駆けるヨミさんと私。\n その後ろから驚いたようについてくる夕凪さん、アイリー、リコの3人。\n でもね、今落ち着くわけにはいきません。\n 皆さんにはついてきてもらうことしかできませんでした。\n\n\n そのまま駆け続けるとすぐにオークにぶつかります。\n 脚を緩めようとするヨミさんですが、それは私が許しません。\n\n「止まらないで! 止まったら分かっていますね!」\n\n カキンと短刀を大きく鳴らすと、失速しそうになったヨミさんの脚に再び力が入ります。\n そう、それでいいのです。\n 私がオークの恐怖に勝った時。\n すなわち、オークが怖くなくなった時なのです。\n\n「怖いなら声を張り上げなさい! ゲームなんですから恥ずかしがってはなりません!」\n\n「う……うわあああああ!!」\n\n がむしゃらにオークに向かっていくヨミさん。\n でも手だけはしっかりと槍を構えています。\n\n 叫んで近付いてくるヨミさんに驚いたのか、オークはろくに武器も構えていません。\n そしてヨミさんの槍は、そのままオークに吸い込まれていったのでした。\n\n 直後に粒子になってはじけ飛ぶオークの身体。\n ほら、アイリーガ作った武器なのですからオーク程度は一撃なのですよ。\n\n もちろん、一匹程度で落ち着く私でもありません。\n\n「まだまだですよ! 今日は一日中続けます! ほら、また走って!」\n\n ここで余韻なんかに浸らせません。\n もうここまできたら、行くところまで行ってしまおうではありませんか。\n\n\n その後、オークを何匹倒したでしょうか。\n 竜都へ続く街道はとっくの昔に通り過ぎました。\n 出てくるオークはほとんどが単体だったので、特に脅威にはなり得ません。\n それに叫んでいるせいなのか、普段よりも頻繁に現れてくれました。\n これは嬉しい誤算と言えるでしょう。\n そして私たちは、いつの間にか雨降る森の中へと入っていたのでした。\n\n\n「ふう……。ヨミさん、お疲れ様でした」\n\n「ううっ……ユウカさん、酷いですよ……」\n\n ちょっとだけ瞳が赤くなっている顔には色気がありますよね。\n\n「でもおかげでオークはもう怖くありませんよね?」\n\n「そうですけれど……」\n\n ヨミさんはオークをたくさん倒しました。\n おかげで一人で戦ってももう怖くはなさそうです。\n 私も最後のほうは叫び疲れ、ただヨミさんの後ろをついていただけですからね。\n それとヨミさんの槍捌きはなかなかのものだったと思います。\n\n「いやあ、驚いたよ」\n\n「ユウカさん、そんなふうに叫ぶこともできたのね」\n\n「初めて見ましたよお」\n\n 夕凪さんたちは私の邪魔をせずについてきてくれました。\n そのことにも感謝を。\n\n「私も初めてこんなに叫びました。自分でも驚いているところです」\n\n「でもそんなユウカさんも素敵だったわ」\n\n うふふ、ありがとうアイリー。\n でもね、さすがに恥ずかしかったからもうやりませんけれどね。\n\n「ところで、ここは雨が降っているのですね」\n\n 雨が降っているというのも久しぶりな気がします。\n そういえば、前に雨が降っていたのも森に入ってすぐだったような……。\n\n「ユウカちゃん。私たちが竜都を……というか、アテルダムから西の森を目指した時だね。その時も雨が降っていたよ。というか嵐の森だね。クエストのことも考えると、竜都は嵐に囲まれていると思われるから、ここはもう森の端っこだよ」\n\n ああ、いつのまにやらそんなところまで走ってきたようでした。\n つまりはこの森を抜けると樹都に一歩近付くということでした。\n ここからは初めて見るモンスターばかりなのでしょう。\n その前にヨミさんを鍛えることができたと一安心。\n けれど決して気は抜かないように、周囲に目を光らせるのでした。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv100\n職業:隠密Lv51, 復讐者Lv67\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:5100/5100\nMP:5100/5100\n-\nSTR:450\nVIT:320\nAGI:1570\nDEX:910\nINT:350\nポイント:120\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv58, 投擲術Lv12, 拳Lv1\n跳躍Lv2, 登攀Lv1\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv15\n夜目Lv42, 超聴覚Lv86, 気配察知Lv89\n農業Lv18, 水泳Lv11, 潜水Lv11, 調教Lv1\n読書Lv1\n【アクティブスキル】\n火魔法Lv7, 水魔法Lv4, 影魔法Lv100, 道術Lv1\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv38, 裁縫Lv85, 釣りLv8, 製糸Lv31\nポイント:148\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+12, 性豪+16, 信頼+9, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,610,150e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n   鉄甲・黒蜂、飛苦無・黒討\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n   鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n   隠密補正のマフラー\n   認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n   速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+7\n   転移のイヤリング"}

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