| {"novel_id": "n0005cn", "chapter": 187, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0005cn/187/", "title": "187 樹海の中の小さな村", "content": " 朝、日の出とともに私たちは行動を始めます。\n まずはテントをしまい、朝食はしっかりと。\n なにせ今日からは未知の樹海です。\n 打ち合わせも念入りに行いましょう。\n\n「ここからは新しいモンスターが出てくるはずだから慎重にね。それと、できたら今日は村かダンジョンを見つけたいかな」\n\n「……ダンジョンも、ですか?」\n\n 村を見つけたいというのは分かります。\n 連日の野宿というのは辛いですからね。\n でもどうしてダンジョンなのでしょう。\n 樹都を目指している以上、今はひたすら南へと進むべきではないのでしょうか。\n\n「理由は大きく2つかな。まずはヨミちゃんのペットだね。できたら早めに用意してあげいからね。もう一つは利益のためだよ。ユウカちゃんも知っての通り、ダンジョン産のアイテムっていうのは思った以上に高値がついたよね。何よりもこの辺りはまだ探索が進んでないみたいだから、ここで私たちがダンジョンを独占することは一時的であろうとも大きな利益を生むと思うんだ」\n\n なるほど、それは正しい指摘でしょう。\n 確かにヨミさんだけペットがいないのは可哀想ですからね。\n ダンジョンで確実にペットが手に入るわけではありませんが、可能性が高いのは確かでしょう。\n 利益があるというのもうなずける話です。\n ボスがいたらレアなドロップも手に入りますし、そうでなくとも私たちが独占しているダンジョンのように色々と使いようのあるアイテムが手に入るかもしれません。\n\n「ただ、私たちが手を出せないぐらいに強い可能性もあるわね」\n\n その通りです。\n 出会うかどうかは別として、ダンジョンにはボスがいるのです。\n そのボスが私たちが倒せるのかどうか、まだ判断はできません。\n\n「まあそこは臨機応変にね。道中のモンスターである程度の予想はできるし、強ければ逃げたらいいんだよ」\n\n「そうですね。今は全滅するわけにはいきませんから、安全に行きましょう」\n\n 今全滅すると、またホームから移動のし直しとなってしまいます。\n それでは面倒ではありませんか。\n ゆっくりでもいいので、確実に樹都を目指したいと思います。\n\n「あの……ペットというと、夕凪さんの白フクロウみたいなものでしょうか?」\n\n「そうですよう。ダンジョンとかでたまにペットの卵が手に入るんですよう。それを孵化させると、自分だけのペットになるんですう」\n\n「ペットの姿形はある程度選べますからね。気に入ったモンスターを探してみるのもいいかもしれませんよ」\n\n そういえば、ペットについてはまだ詳しく説明していませんでいたね。\n まあ卵を手に入れてからでいいでしょう。\n 目当ての姿にするためには、確か卵でそのモンスターを殴りつけるのが主流なのだとか。\n ドロップ品を捧げるだけで十分なのですけれどね。\n\n「それじゃあそろそろ向かおうか。ユウカちゃんは先頭をお願いね」\n\n「ええ。ゆっくりと進みますね」\n\n それでは南へ向かいましょう。\n 今までよりも深い森の中を、私たちはゆっくりと南に進んでいきます。\n\n\n ここからは少し距離を取りつつ進んでいきます。\n まずは先頭に私です。\n 私から見て右後方にアイリー、左後方に夕凪さん。\n 私の真後ろにはリコとヨミさんが続きます。\n ただまっすぐ進んだだけでは村やダンジョンとぶつかる可能性は小さいでしょうから、出来る限り左右も見渡そうとした結果です。\n\n『ユウカさん、もうちょっとゆっくりお願いしますう。また姿が見えなくなりましたあ』\n\n『あら、ごめんなさいね』\n\n もちろん大きな声で叫んだりしたらモンスターを引き寄せることになるため、基本的にはクラン内の会話を用います。\n こうして離れていても会話ができるのは便利ですね。\n\n 今のところ、まだモンスターは現れていません。\n まだまだ境界線上に近い場所だからでしょうか。\n でも、それはただ見つけられていないだけでした。\n\n『痛っ!』\n\n アイリーの悲鳴が聞こえてきます。\n 転んだのかとも思ったのですが、どうやらそうではないみたい。\n\n『──ユウカさん、上っ!』\n\n 頭を押さえるアイリーの姿が思い浮かびます。\n アイリーの言うとおりに上を眺めて気付きました。\n 木の上に、大量のサルが陣取っていたのです。\n\n『ユウカちゃん! アイリー! 急いでリコちゃんのところに集合して!』\n\n きっとみなさんの頭上にもサルのモンスターがいたのでしょう。\n 慌てた夕凪さんの声が響きます。\n 木の上に位置するサルたちが一斉に木の枝等を投げてきますが、今は無視するしかありませんでした。\n\n お互いの姿を常に視界に入れるように移動していたため、リコのすぐまではすぐでした。\n 振り向くだけでもリコの姿は見えたのですが、最低です。\n リコとヨミさんの頭上にはたくさんのサルがいて、頭上からの投擲のせいで身動きがとれないようでした。\n 盾を頭上に構え、リコとヨミさんが小さく固まっています。\n\n「ユウカちゃん、私は弓でフォローするから……」\n\n「はい! 私は飛び込みます!」\n\n リコのすぐそばまでたどり着いた次は、すかさず飛び上がります。\n そのままサルの前までジャンプはできないので、そり立つ樹木を二度三度と蹴りながらです。\n 途中で枝や石が私の身体にぶつかりますが、そんなことを気にしてはいられません。\n\n「このおっ!」\n\n 目の前のサルを斬りつけます。\n 枝の上には所狭しとサルの群れ。\n どんなに適当に武器を振っても外れる気はしませんでした。\n\n 枝から枝へと飛び移りながら短刀を振り回します。\n サルの攻撃手段は投擲だけのようで、枝や石が飛んでくるばかり。\n 新たに身に着けている両手の鉄甲で弾きながらサルへと迫ります。\n\n ここに来て鉄甲の有用さが目立ちます。\n なにせ武器を持っている以上、鉄甲で殴る機会は私にはほとんどありません。\n 盾の代わりにこの両手の鉄甲は非常に有効なのでした。\n\n 飛んでくる石を出来る限り鉄甲で弾きます。\n それでも全ては弾けなくてじわじわと私のHPは減っていきますが、それでもそれほど問題にはなりません。\n 少なくとも数分はHPを考えなくても大丈夫そう。\n 気にせずサルを斬り続けます。\n\n このサル、身体はさほど大きくなくても体力はそれなりにあるようで、私の一刀で斬り伏せることはできません。\n 二度三度と斬りかかってやっと倒せます。\n さすがは森のモンスターといいますか、始まりの街から離れているだけはあるといいますか。\n その数はなかなか減らないのでした。\n\n 10匹ぐらいは倒したでしょうか。\n その場に留まると大量の石や枝が飛んで来るので、1匹倒すたびに私は枝から枝へと飛び移る必要がありました。\n サルの体力以上に移動に時間を取られます。\n 遅々として減らないサルの数に危ないかもと思った時でした。\n\n「ユウカちゃん離れてっ!」\n\n『私の炎で踊り狂え!\n ──ヒートダンス!』\n\n 夕凪さんの声に従って身を地面に投げた瞬間でした。\n アイリーが一瞬で詠唱を終わらせ、その魔法を発動させます。\n\n アイリーの掲げた両手に炎が産まれ、段々と広がっていきました。\n\n「みんな伏せて! あの火に触っちゃダメだよ!」\n\n ……魔法はパーティーメンバーには当たらないのでは?\n そう思いつつも指示にはきちんと従います。\n リコとヨミさんもしっかりその場にしゃがんでいました。\n\n 頭上を焔の波が広がっていきます。\n それはとても不思議な光景でした。\n 炎は決して腕を掲げているアイリーよりも下には降ってこず、しゃがんだ私は燃える炎を下から眺めているのです。\n\n「アイリー、いつの間にこんな魔法を覚えていたんですかあ……」\n\n リコが驚くのも当然でしょう。\n あとで聞いた話ですが、この魔法は【火魔法】をカンストしたことで覚えることができたそうです。\n 本当に、いったいいつの間に覚えたのでしょうね。\n\n その炎の熱は、そのまま上空に位置しているサルの群れへと襲いかかります。\n いきなり現れた炎の海に、サル達は為す術もありません。\n その熱気のせいなのか、サル達は喚きながら暴れだします。\n それこそ踊り狂うように。\n ダメージそのものよりも、炎の熱気に耐えられない様子です。\n\n「……もうダメ」\n\n 焔の波は唐突に消え去りました。\n 腕を下ろしたアイリーは肩で大きく息をしています。\n 上空のサルの群れは……数は減っていないみたいです。\n\n「この魔法、範囲は広いんだけど威力はそれほどでもないの。でもダメージはそれなりに与えたはずだから、あとはお願い……」\n\n その言葉を聞き終える前に私は再び飛び上がります。\n 樹木を蹴って再び枝の上へ。\n 目の前に現れるサルの群れ、どうやら皮膚にやけどを負っている様子です。\n\n これならば──。\n\n 目の前のサルに斬り付けると、今度は一刀のものに切り捨てることができました。\n これならば、さほどの時間も掛かりません。\n\n 私が樹上で縦横無尽に斬りかかり、下からは夕凪さんの矢がこれでもかというぐらいに飛んできます。\n 全滅まではすぐでした。\n\n\n 皮、皮、皮、脳、皮、皮、脳、皮……。\n 倒したサルのドロップ品を確認します。\n 多くは『サイレントモンキーの皮』、極たまに『サイレントモンキーの脳』。\n 体毛の短い皮の使い道はイマイチ思いつきませんし、脳なんてちょっとグロテスクですらありました。\n まさか食べろというわけでもあるまいし。\n\n「アイリー、お疲れ様でした」\n\n「あの魔法、本当ならもっと威力があるのよ。でも詠唱を急いだほうが良さそうだったから……」\n\n「気にしなくて大丈夫ですよ。アイリーのお陰でサイレントモンキーの群れを倒すことができたのですからね」\n\n ヒートダンスという魔法は、その名の通りに熱気で相手が踊ることから名付けられているみたいです。\n あのサルの群れを包み込むくらいに広い範囲に効果が及ぶのですが、その分だけMPの消費も激しいそうでした。\n 範囲と、それとモンスターの数によっても消費MPが増えるそうなので、それならばすぐに魔法が消えたことにも納得です。\n 威力にも文句はありません。\n ただ範囲魔法ということで、味方も巻き込んでしまうという使い勝手の悪いものでもあるそうでした。\n\n「ていうか、あのサルたちはなんなのよ。どうしてこんなに大勢襲ってくるの」\n\n「……本当に、そうですよね」\n\n その通りです。\n 樹海に入って初めての戦闘が大量のサルだなんて、お出迎えにしても多すぎだとは思いませんか。\n\n「……名前からなんとなく想像はつきますけれど」\n\n「ヨミさん?」\n\n「サイレントと言うぐらいですから、おそらく静かに迫ってきたのではないでしょうか」\n\n そもそも頭上にはあまり気を配っていませんでしたから、私たちのそばに初めからいたというのは理解できなくもない話です。\n でもあれほど大量というのは、少々バランスが悪いと思うのです。\n\n「……ついでに、サイレントモンキーに気付かなればどんどん仲間を呼ばれるとかかな。だったらあの大量の群れも納得できるよね」\n\n「それって、常に樹の枝にも気を配れってことなのかしら」\n\n「そういうことだね。群れを呼ばれる前にサイレントモンキーを見つけたらすぐに狩れってことなんだと思うよ」\n\n「なんとも面倒な話ですね……」\n\n これではフォーメーションも考えなおす必要があるでしょう。\n それぞれ単独で頭上を見つつ周囲を見つつ、というのはさすがにオーバーワークになるでしょう。\n 探索能力は劣りますが、ここは全員でまとまって動くべきでした。\n\n\n それからもゆっくりと南下を続けます。\n 真っ直ぐ南に進むのではなく、東に行ったり西に行ったりとマップの不明な箇所を少しでも埋めていくように。\n もちろんマップは広大なので、その全てを埋めることは不可能です。\n けれど少しでも埋めることで、ダンジョンや村の位置を探す手がかりにもなるのです。\n\n 私は皆さんにペースを合わせながら樹上を移動しています。\n 基本的に現れるサイレントモンキーは一匹か二匹ばかりなので、適当に地面に殴り飛ばして私の役目はおしまいです。\n すぐに見つけたら群れにはならないという予想は正しいみたいです。\n 単体では弱いモンスターなので、私は殴り落とすだけで優先的にリコとヨミさんに狩ってもらいます。\n できればヨミさんが私たちに追いつくぐらいまで育ってほしいと思います。\n\n 樹上のサイレントモンキー担当の私の更に上には白フクロウのハッキが飛んでいます。\n ハッキはモンスターは探さずに、ただ開けた場所を探してもらっています。\n 樹木のない場所、それはすなわち村があるのだと思われるからでした。\n\n そうして徐々に南下すること数時間。\n ハッキが開けた場所を見つけたようでした。\n 早速その場に向かいます。\n 樹海の中において開けた空間。\n 暗い森の中からでは眩しくすらありました。\n\n 私たちは樹海の中で、初めての村を見つけたのでした。", "afterword": "名前:ユウカ\n種族:人間Lv100\n職業:隠密Lv51, 復讐者Lv67\nクラン:Crystal Vespa\n-\nHP:5100/5100\nMP:5100/5100\n-\nSTR:450\nVIT:320\nAGI:1570\nDEX:910\nINT:350\nポイント:120\n-\n【パッシブスキル】\n短剣術Lv58, 投擲術Lv12, 拳Lv2 (↑1)\n跳躍Lv2, 登攀Lv2 (↑1)\n看知の瞳Lv33, 工人の瞳Lv15\n夜目Lv42, 超聴覚Lv86, 気配察知Lv89\n農業Lv18, 水泳Lv11, 潜水Lv11, 調教Lv1\n読書Lv1\n【アクティブスキル】\n火魔法Lv7, 水魔法Lv4, 影魔法Lv100, 道術Lv1\n隠密Lv47, 解錠Lv20\n料理Lv38, 裁縫Lv85, 釣りLv8, 製糸Lv31\nポイント:148\n【レジストスキル】\n幻惑耐性\n-\n【実績】\n復讐達成+12, 性豪+16, 信頼+9, 呪文個性+8\n-\n【資産】\n1,610,150e\n-\n【装備】\n武器:短刀・黒光、短刀・白光\n 鉄甲・黒蜂、飛苦無・黒討\n防具:速度低下耐性の和服、隠密補正の帯\n 雨蜥蜴のアーミーベスト\n 鰐皮の篭手、鰐皮の脛当て\n 隠密補正のマフラー\n 認識阻害のアームカバー、認識阻害のタイツ\n 速度低下耐性のサラシ、黒い下着\n装飾:婚約の腕輪+7\n 転移のイヤリング"} |
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