Krixter/Repo / n0006mm /21.json
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{"novel_id": "n0006mm", "chapter": 21, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0006mm/21/", "title": "第四話(3)", "content": "帰ると既に春香ちゃんと秋花ちゃんがリビングにいた。\n\n「あら、一緒だったの?」\n「スーパーまで車を出したら、夏帆ちゃんと会ってね。おかげで買い出し大会だよ」\n「えへへー」\n\n両手にスーパーの袋をはじめとする持った夏帆ちゃんが僕の脇にひっついてくる。\n\n「仲良しねぇ…」\n\n春香ちゃんが微笑むけど、その表情には複雑な何かがある。\n\n「そ、そういえば、あの車ってけっこう古いけど、いつからあるの?」\n\nあまり深掘りされると危険な気がしたので、話題を強引に変える。\n\n「ママがパパと再婚してすぐぐらいだから…8年ぐらい前かしら」\n「あたしが赤ちゃんのころじゃん…そっか、そんな時からあるんだー」\n「あきの生まれる前?」\n「そうそう、秋花が生まれた時もみんなで乗って病院に行ったのよ」\n\n春香ちゃんが懐かしそうな顔をする。\nそうか、あの車はこの家族のいろんな場面を見てきたんだな…\n\n「夏休みなったらさ、あの車に乗ってみんなでどこかにいこうよ」\n\n自然とそんな提案が口から出ていた。\n\n「あたしは海がいいな!」\n「どーぶつえんがいいとおもうの!」\n「私はみんなと一緒ならどこでも構わないわよ」\n\n妹たちの反応は上々で、ちゃんと職を見つけてなんとか計画を実現させたい。\n…オヤジが作ってきた思い出への対抗心かもしれない。\n\nともかく、対抗なのか継承なのかわからないけど、妹たちに楽しい思い出を作ってあげるのは、これからは僕の仕事だ。\n\n「そうそう、これもらってきたからみんなで飾りつけしない?」\n\nスーパーでもらってきた小ぶりの笹の枝を見せる。\n\n「わ、たなばた!」\n\n秋花ちゃんが目をきらきらさせてくいつく。\n\n「正解。短冊とか飾りとか作りたいけど…折り紙とかある?」\n「あるよ!ちょっとまってて!」\n\n部屋に向かってとてとてと走っていく秋花ちゃん。\nその嬉しそうな背中を見ると、やはりこういうイベントは大事だなって思う。\n夏の間にいろいろさせてあげられるといいな。\n\n「こういうのちょっと久々かも」\n\n春香ちゃんが切った折り紙で飾りを作りながらつぶやく。\n\n「僕なんて10年以上前だよ…」\n\nスマホでハウトゥを見ながら切り飾りを作る。\n\n「ふんふん♪おほしさまつくって…おりひめはあきで、ひこぼしはゆーちゃんだね!」\n\n秋花ちゃんが張り切ってお星さまを作っている。\n\n「はる姉、願い事はもう決めた?」\n「うーん……そうね」\n「じゃあ、あたしはこれにした!」\n\n夏帆ちゃんが書いた短冊を見せてくる。\n\n『みんなとずっと一緒に暮らせますように』\n「えー、なっちゃん、ずるいー!あきもそうするの!」\n\n秋花ちゃんが短冊にクレヨンでおんなじようなことを書いている。\n\n「春香ちゃんは?」\n「…なんかみんな一緒だと面白くないなぁ」\n「みんな同じ願いなのは悪くはないと思うけどね」\n\n僕の願いも「家族みんなが健康で幸せにくらせますように」だ、確かに代わり映えがあまりない。\nでも大事なことだと思う。\n\n「じゃあ、あともう一枚、みんな将来なりたいものを書こうか」\n「ふーん…いいかもね。あたしはゆー兄のお嫁さん!」\n「え!?」\n「冗談だよ冗談!やっぱり料理好きだからコックさんとかなりたいなぁ」\n「夏帆ちゃんだったらなれるよね」\n「ありがと!…じゃあ、今日もみんなのために美味しいごはん作らなくちゃ」\n\n夏帆ちゃんが短冊を飾り付けるとキッチンに向かう。\n\n「あきはおひめさま!」\n「そうか……それじゃ星に願わないとねぇ」\n\n流石にその願いは僕が国王にでもならないとかなえられてあげられそうにない。\n\n「お兄ちゃんはどんなの書くの?」\n\n春香ちゃんが僕の手元を覗いてくる。\n\n「そうだね……今はとにかくちゃんと仕事を見つけて家族を守れますように、かなぁ」\n\nある意味僕は、妹たちよりも早い夏休み状態だからね。\n\n「私たちのこと気にしなくて焦らなくていいと思うよ…お兄ちゃんがしたい仕事が見つかるといいね」\n「ありがとう春香ちゃん」\n「春香ちゃんは?」\n「んー……秘密、だって叶えたいんだもん」\n\n春香ちゃんは短冊を隠しながら悪戯っぽく笑う。\nその顔があまりに可愛くて、ドキリとしてしまう。\n\n夏帆ちゃんが料理をする間に、秋花ちゃんは飾り付けに出した文房具のお片付け。\n僕と春香ちゃんで綺麗に飾り付けた笹を玄関先に据え付ける。\n書家の夕暮れ、オレンジ色に照らされた住宅街ではあちこちに生活の気配がある。\nうちと同じように笹をだしている家も多い。\n\n「よいしょっと、こんなもんでいいかな?」\n\n玄関先の柱に笹をロープでくくりつける。\n\n「ご苦労様、お兄ちゃん」\n「七夕なんてちゃんとやるの久々だね…なんか家族っぽくていいなぁ」\n「家族っぽい、じゃなくて私たちは家族よ?」\n「…そうだね」\n\n風に笹の葉がゆれる。\n\n「彦星さんは織姫が三人もいて大変かもしれないわね」\n「可愛い織姫が三人もいるなんて贅沢すぎるよ」\n\nどういうことのない軽口で二人とも笑ってしまう。\n\n「…ねぇ、夏帆となにかあった?」\n\n春香ちゃんが僕の顔を見る。", "afterword": "日曜の更新だというのにこんな日常パートで申し訳ない、という気持ちはちょっとあります(苦笑)。\nもうこういうノリの作品だということでご容赦ください…"}

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