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{"novel_id": "n0006mm", "chapter": 4, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0006mm/4/", "title": "第一話(2)", "content": "「風間さん、こちらです」\n\n佐伯さんが呼びかける声に従い、僕は足を進めた。\n古びた木製のドアの前で立ち止まる。\nインターホンを鳴らすべきなのか迷ったが、既に時間は約束の時間だったので、そのままドアノブを回してみる。\n\nガチャリという音とともに、ドアが開いた。\n\n「……あの、失礼します」\n僕は奥へと声をかけながら、一歩中へと足を踏み入れた。\n玄関を上がると、すぐそこがリビングになっているようだ。広さはそれほどでもないが、日当たりは良さそうだ。そしてそこに、三人の少女が座っていた。\n真ん中に座っていたのが、一番年上の春香ちゃんだろうか。名前の由来か、どこか春のような穏やかで可愛らしい顔立ちをした女の子だ。年齢は12歳。中学生という最もデリケートな時期だろう。半袖のセーラー服がまぶしい。\n左側で興味深そうに僕を見ているのが、二番目の夏帆ちゃん。10歳。\nポニーテールにまとめた髪と、スレンダーだけど活力にあふれた雰囲気。見た目は活発そうな印象を受ける。\nそして右側に緊張した面持ちで座っているのが、一番年下の秋花ちゃん。6歳の幼稚園児。まだ幼い表情が、どことなく守ってあげたくなる。\n三人とも文句なく可愛い、そして可愛いからこそ改めて自分がこの子たちと生活するなんてとんでもないことじゃないかって気がしてくる。\n僕と…妹?たち。どちらとも挨拶を切り出すタイミングを失ってしまい、その空気を佐伯さんが救ってくれる。\n\n「この方が先日お話した、みなさんの義理のお兄さんにあたる、風間佑太さんです」\n「あ、佑太です…初対面で兄なんて言われても困ると思うけど…親父に振り回されたのは僕も一緒なん\nで、できればみんなの力になれたらなって」\n\nぎこちない自己紹介だ。しかし、これが誠実な僕の気持ちだ。\nすると、一番年上の春香ちゃんが静かに立ち上がった。彼女は年齢の割にしっかりとした態度で、一礼してくれた。\n\n「はじめまして、春香です。父の連絡簿には、佑太さんとして記載されていたので、そう呼んでもよろしいでしょうか?」\n\n年齢の割にしっかりしているなと感心する一方で、妙な距離感を感じる。「さん」づけで呼ばれるのも、何だか悲しくなる。\n\n「うん…そう呼んでくれてもいいけど、できれば『お兄ちゃん』って呼んでくれたら嬉しいな」\n\n僕は言ってしまった。言った後で「なんでそんなこと言うんだ自分…」と後悔していると、春香ちゃんはふと表情を和らげた。\n\n「…わかりました。お兄ちゃん」\n\nその瞬間、僕は心臓が小さく高鳴るのを感じた。\n次に、活発そうな夏帆ちゃんが立ち上がって、こちらを見た。\n\n「ゆーた兄…でいいのかな?私は夏帆、よろしくね!」\n\n警戒心の無い笑顔で笑ってくれる夏帆ちゃん。\n\n「で、こっちが春、夏、ってきて秋花。わかりやすいでしょ?」\n「あきかです…」\n\n秋花ちゃんがぺこりと頭を下げる。\n\n「秋花ちゃんも、よろしくね」\n\n僕は最年少の秋花ちゃんに優しく声をかけると、彼女は顔を少し赤らめて、僕の様子をこっそりと見ていた。\n\n「これで、初対面の挨拶はオーケーですかね?どうかしら、一緒に暮らせそうですかね?」\n\n佐伯さんが咳払いをして空気を整える。\n\n「初対面はお互い悪い印象ではないんじゃないですかね?どうですか、風間さん?」\n「そうですね…やはり、こうやって面と向かうと、この子たちを放ってはおけないですね…」\n\n僕の言葉に少し緊張していた春香ちゃんの表情がゆるむ。\n\n「私たちも親戚とかほとんどいなくて…お兄ちゃんがいないと施設に入らなくちゃいけないんです」\n「そうだよね…」\n\nできればそんなことにはなってほしくない。僕でよければ力になりたいのは本音だ。\n佐伯さんは僕たち間に立ち、硬い表情で切り出した。\n\n「では、本題に入りましょう。風間佑太さん、本日中の決定は求めませんが、どうするか決断の期限があります。いつごろお返事をいただけそうですか?」\n「そうですね…春香ちゃんたちの意向もあるし、そこも含めて近日中には」\n「んー、あたしたちはみんなオッケーだと思うよ?ね、はる姉、アキ?」\n\n夏帆ちゃんがあっさりと言ってくれる。この子は誰とでも仲良くやっていけそうなタイプじゃないかな…一緒に暮らすとなると、ありがたい存在かもしれない。\n\n「そうね、お兄ちゃん、優しそうな人だし…大丈夫じゃないかな」\n「あきもゆーちゃんといっしょでいいよ?」\n「みんな、そんなあっさり決めちゃっていいの?」\n\n単に困っているから誰でもいいから頼りたい、って思ってるんじゃないだろうかと心配になる。\n\n「その…お兄ちゃんはパパのこと嫌いかもしれないけど、お兄ちゃん、やっぱりパパとなんとなく雰囲気が似ているんです。だから私たち安心できるのかなって」\n\n…確かにそういわれると少し複雑だ。でも、それでこの子たちが安心できるっていうのなら、それもいいのかもしれない。"}

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