| {"novel_id": "n0007er", "chapter": 2, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007er/2/", "title": "二人になったらこれか?", "content": "さぁ、話の続きだ。\n今の状況は部屋のドアに女子高生がいて、部屋にはセフレ未満の元同級生がいる、だ。\n時間停止アプリ?を使ってるわけじゃないが、この事態、まだ進めるわけにはいかない。\nなぜ、大学2年の俺の所へ女子高生が?の説明だ。それも話さなきゃいかん。\n\n騒動が起きたのは今朝だ。\n通勤ラッシュで混雑する山手線の五反田駅、そこで痴漢騒ぎがあったのだ。\n俺は大学まで電車で通っている。で、電車を待っていた。\n明らかに、その女子高生はドアに押し付けられていた。というよりも逃げようとしていた感じだった。そして電車が停まり、その子は外に飛び出してきた。が、勢い余ってホームで転倒した。\n俺は咄嗟に女子高生ではなく、バタフライナイフを持った車内の手を掴んだ。そして引きずり出した。既に電車が止まる前から普通の痴漢ではない雰囲気を感じていたからだ。\n俺は、転びそうになった痴漢の顔面を蹴り上げ、まず逃げる動きを止めた。そして蹴られた顔を抑えてホームに転がる痴漢の頭を何度か踏みつけた。そして、ざわつく周囲のサラリーマンに駅員を呼ぶように頼んだ。\n駅員が到着するまでの間、俺は着ていたジャケットを脱いで女子高生に渡した。\n何故かと言えば、彼女は痴漢のバタフライナイフのおかげで制服をばっさり切られていたのがわかっていたからだ。\n駅員が来て、連行される痴漢と一緒に彼女と俺も駅員室に行き、その後やってきた警察の質問に答えた。\nそれが終わると俺は鞄からノートを取り出し、俺の連絡先を書いて女子高生に渡した。貸したジャケットをこの後返してもらう為だった。\n\nということで、昼過ぎに彼女から俺の携帯に電話が入りお礼を言われ、ジャケットを返したいから、と俺の予定を聞かれた。\n彼女は学校を休み、俺も結局渋谷で朝飯を食った後部屋に逆戻りしたことを話した。痴漢の顔を思い切り蹴り上げたので、履いていた革靴に奴の前歯の跡がつき、えらくカッコ悪く見えたからだった。\n\n「で、では、今日の夕方にお部屋へお邪魔します」\n女子高生はそう言った。\n「あー、宅急便とかでいいですよ?」\n「い、いえ、助けていただきましたし、ご迷惑でなければ、是非・・・、お願いします」\n女子高生からお願いされたら、断る男子大学生なんてこの世にいない。\n「わかりました。じゃ、お待ちしてますよ。部屋にいるようにしていますから、近くまで来たらまた連絡してください」\nと、俺は間違いなく言った。\nはずだったのだが、予告なしにいきなり彼女が来てしまって今、ということなのだ。\n\nこっちの話も長くなってしまった。\n\nさて、制服を切られた女子高生なのだが、眼鏡をかけて髪は三つ編み、という昭和のテンプレみたいな子だ。まぁ、だからストライクというレトロ趣味の好事家もいるだろうが、俺としては低い評価だ。真面目でいい子、なのはこれまでの流れでよくわかった。よくわかったからこそ、俺の置かれた現状にはそぐわないこともはっきりわかるのだ。\n俺の部屋にいる元同級生三村清美は、下着姿なのだ。というか、こいつは全裸か下着かの2択で、後は俺の部屋まで来た時に着ていたぺらっぺらのコートしか持っていない。で、こいつは部屋の中では基本下着、それを洗濯している間は全裸、ということなのだ。\nそんな、外見は女の元同級生がいる部屋に真面目な女子高生が来れば、そりゃあタダじゃ済まない。よくて唖然からの逃走、悪ければ俺を非難、罵倒するルートまであるだろう。痴漢から助けといて、お前の方は変態でしたってオチかよ!みたいな。イヤだイヤだ・・・。\nま、とてもほのぼのとあの痴漢騒ぎをネタに世間話をする状況にはならない。なるはずがない。だろ?\nちょっと現実逃避してみよう。\n仮に女子高生が俺の部屋に来るなら、ギャルっぽくて好奇心旺盛なちょい外道な感じが好ましい。大きな化け物を飼っている面白い大学生のお兄ちゃん的な視線なら最高だ。ってか、それ以外平穏に進むパターンが思いつかない。\n\n昔、玄関開けたら2分でご飯ってテレビCMあったっけなぁ。ドア開けて女子高生がいるこのシーンで思いつくのは、そんなことばかりだよ。\nあー、正直言えばさ、もしこの女子高生来訪がきっかけで、この子が三村排除の起爆剤になってくれるとかね、ほんの少ーし思ったりもしたわけだよ、わざわざこの化け物がいる異空間の我が部屋に足を向けてくれるならさ。\nだから、まずいいお兄さんになって、実は困ってますとリアルを打ち明けることができて、私が一肌脱ぎましょう的展開とかになってさ、結果三村がいなくなるってハッピーエンドでこの話が終わるのをね、ほーんの少し期待して待ってたんだよ。そのスタートが事前連絡だった、んだよなぁ。\n俺の具体的なプランはこうだった。\n近くまで来ましたぁ、今コンビニを出たところですー。\nあ、じゃあこっちも表に出て待ってるよ!\nからのジャケット返却、お茶飲みながら化け物がいる現状報告、そしてうまくいけば化け物退治の相談まで、みたいな。\n最悪、その下着姿を隠せる場所へ三村を蹴りこんでしまうって手もあったんだよ、風呂場とかトイレとかさ・・・。\n\nだが、女子高生はストレートにやってきた。まさにわき目もふらず、だろう。\n俺だって部屋へ入れてやりたい。お茶くらい出してやりたい。\nだが、・・・ああ、それを円滑に進めるルートが思いつかない・・・。\n\nと、ドアノブを握ったまま時間停止アプリを解除できないでいる中、俺の状況を知らない女子高生は\n「あ!今朝はありがとうござまーす!これ、助かりました!ありがとうございまーす!で、お礼にケーキを持ってきました!一緒に食べたいんですが、あがっていいですか?あがりますね?失礼しまーす!」\nどこのDJラッパーだよ!的な超速挨拶で女子高生が俺の横をすり抜け部屋に入ってきた。\nいやいやいや、その速攻っぷりって眼鏡と三つ編み属性にはないスキルじゃないの?あまりに意外な展開で俺は初動が遅れた。\nそして、女子高生はキッチンのテーブルに持ってきたケーキを置き、ざざっと見渡して湯沸かしポットを見つけると水を入れ替えスウィッチを入れた。そして台所の引き出しを開け紅茶のパックを発見しテーブルに出した。更に、洗ってあるマグカップを二つ見つけ、それもテーブルに置いた。\nここまで、俺の許可なしの立て板に水な攻撃だった。なんだ、この女子高生は?\n「あ、改めて今朝はありがとうございました!私、五反田清明高校1年の沢登みどりといいます。みどりは平仮名です」\nペコリと頭を下げる彼女に、俺は何を言っていいのかわからない。この感じ、三村が暴れている時に膝が抜けるあの状況に近いかもしれない・・・。\n「高見さん、いえ、これからは俊さんと呼ばせていただきます!」\n「は?」\n「実は、五反田の駅で痴漢をやっつけてくれた今日の俊さん、めちゃくちゃカッコよくて、私はっきり言って惚れました。ってか、マジ惚れです。男を見ました。抱かれてもいいって思いました」\n「え?なに言ってるの?」\n「何って、今日はお借りしたジャケットを返すのを口実に早速お部屋に上げてもらおうと思ったんです。そして実行に移したのが今、です」\n「は、はぁ?」\n「あ、お湯湧きましたね、紅茶しか見つからなかったので、私は頂きますね!」\nみどりちゃん、と呼んでいいのか、とにかくさっきまで大人しかった女子高生は、俺の部屋のキッチンを縦横無尽に動きまわりまごう事なき「ケーキをお客様にお出しする私の部屋」を構築してしまった。\nいったい、この子何なんだ?\n「いや、見事なお手並み、という感じなんだが・・・、沢登さん、だっけ?俺の部屋を知ってるみたいだったけど・・・」\n度肝を抜かれた俺の様子を見て、みどりちゃんは\n「あ、失礼しました!ひとり暮らしの人って、置いてあるものの場所とかだいたい同じですし、その辺は経験です、経験」\nとラッパー調にえへへと加えて言い、紅茶を飲み始めた。\n「あー、それで俊さん、何か武道みたいなことやってたんですかぁ?あんなに見事なキック、初めて見ましたよ。空手ですか?テコンドー?」\n「・・・サッカーだよ。こんなほっそい体でマッチョな武道やってる感じ、ないよな?」\nいやぁ、なんかここまで勝手に振舞われて警戒感マックスだ。少しでも個人情報漏らしたら勝手にプリウス買ってました、さっき届きました、まであるんじゃないか?怖いよ、こいつ。\n「サッカー!きゃー!かっこいい!今はどうなんですか?部活継続?今度のワールドカップ、ロシアまで見に行っちゃうとかします!?それなら連れてって欲しいですー!」\nうあ・・・、一人でエンジン全開しちゃうタイプか・・・?\nその時だ。\n「ちょ、ちょっとさぁ・・・、何この子?今、勝手に入ってきてたよね?」\n定位置、というか居住スペースであるベッドと窓の間の約2m平米にいた三村がのそっと立ち上がった。\nああ、お馴染みのアニマルプリントの下着上下だ。これ、どうなるんだ?\nやはり怪獣対決に発展して俺、火だるまか?"} |
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