| {"novel_id": "n0007ex", "chapter": 3, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ex/3/", "title": "3", "content": "初雪と会話にならない言葉を交わしながら、時間は夜になってしまった。冷凍食品を温めて食事をした後、俺は家から一向に出ていこうとしない彼女に苦慮しながら、シャワーを浴びて自室に戻った。\n\n【克行】\n「初雪、今出たぞ……って……」\n\n崩れた制服姿の初雪がベッドの上でだらしなく眠っている。ブラウスの裾から小さなおへそとやわらかそうな腹部がチラリと覗き、別に匂いの強い部分ではないが、嗅いでみたい欲求に駆られる。\n\n普通ならばいたずらでもしたいところだが、そんな事ができるわけはない。\n\n気持ちよさそうに無邪気な笑顔でよだれを垂らしながら、眠るその顔を目にすると、そういった汚れた感情は一切消え失せて、ただ純粋に寄り添いたいと思うだけ。\n\n口ではああ言っているが、本当は俺のそばに居心地のよさを感じているのだろう。\n\n【克行】\n「まったく……風邪ひくぞ……」\n\n跳ねのけた布団をかけなおし、いつものようにパソコンへ向かう。しかし、初雪の眠っている隣でネットゲームなんてできるわけがない。\n\n【克行】\n「今日はちょっとムリー、ごめんな~っと」\n\nクランメンバーに挨拶だけ済ませ、パソコンをスリープ状態に……さて、さすがに初雪の隣で眠るのは躊躇われるので、リビングのソファーに寝転がり、スマートフォンを手に友人とのグループメッセージを確認する。\n\nなんでも、探偵部とかいうよくわかんない部活に所属してるヤツが、温泉地で起こる怪異を調査しているらしい。\n\nしかし、アップロードされている写真は卓球とか温泉卵を頬張っていたり……学校サボってなにしてやがる!\n\nそしたらまた、別の友人が超特急で向かいますとか言って、原付スクーターでサーキットをかっ飛んでいく動画とか、他にも色々。\n\n今の時代、どんなに遠く離れていても、誰とだってコミュニケーションを取れる。\n\nだけど、どうしてだろうか……どことなく、別に寂しいとかそういうのじゃなくて、物足りない感じがするんだ。\n\n俺だって温泉に行きたいし、原付でかっ飛ぶのはあれだけど……となると、他者の人生に嫉妬していたり、羨ましいと思うのとは違う。だけど、この気持ちはなんだろうか……\n\nもうすぐやってくる夏休みが目の前にある。だけど、俺は不安だった……\n\nそれは去年もあった事だが、長い休みの間で友人と遊んだりしていた。少なくとも疎遠とかそういう感じではなかった。\n\nだけど、例えばの話、俺が夏休み中に死んだとしたら、果たして友人は涙してくれるだろうか?\n\n不思議な問いだが、つまりは友達だとか家族だとか、絆でつながっていると思われる人物が本当に自分を必要として、大切に思っているだろうか?\n\n毎日顔を合わせるし、直接言葉も交わす……だけど、ネットだけの付き合いも多い昨今ではそれもおんなじ友達というくくりになるし……\n\nじゃあ、俺はどうなのかといえば、ネットでの友達が死んだら、安易に涙するかもしれないし、直接関わっている友人が死んだときは、現実が受け入れられず、案外ケロっとしていて泣かないかもしれない。\n\n現実は逆であって欲しいものだ。実際に会った事があって、大切な人でなければ、涙は流さない。\n\nしかし、俺が死んだところで、誰も悲しみはしないんじゃないんだろうか?\n\nネットを通してつながっている――物質的な接続が行われている安堵感がある反面、大切ななにかがオフラインになってるんじゃないだろうか?\n\n【克行】\n「いくら時代が進歩しようとも、心までは……」\n\nそんな気持ちになることは、この時代に生きていると多かった……\n\nやっぱりそう思うのは自分だけなんだろうか?\n\n【克行】\n「眠い……」\n\n小さい頃からあまり考えない性分の持ち主だったからだろうか? つい考え過ぎると眠くなってしまう事が多い。\n\nいつもより早い時間だが、テレビを見たり映画を見たりしていたら、初雪を起こしそうで悪い気がしたので、眠りに就くことにした。"} |
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