Krixter/Repo / n0007ht /109.json
Krixter's picture
download
raw
13 kB
{"novel_id": "n0007ht", "chapter": 109, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/109/", "title": "自供", "content": "「…………。」\n\n ユニスが不穏な間を取った。夕焼けの中、やや強い風が吹き抜けていく。同時にアスリの脳裏にも、良くない可能性がよぎる。\n まさか、墓地の横のアスリの手中で漏らしたあの時が、ユニスにとっての初めての射出であったのだろうか。そうであれば、押し黙ったユニスが勝ち抜くことは不可能であることは確実であって、暗くなるタイムリミットまで、アスリも一部始終を陳述しなければならなくなる。\n\n「ん?ってかさ、待って!お乳って、おちんちん剥けば出るん?」\n「出ないよ!」\n「でも、アスリがさっき剥いたら出ちゃったじゃん?」\n「そんなん知らん!」\n「アスリに触ってもらって、すっごくえっちな気分だったんでしょ?ま、普通はちゃんとよしよししないと出ないけどね。」\n\n ラリーヤが補足なのか、それともティサへのアシストなのか、一言付け加えた。ただ残念なことに、この言葉を受けてティサが思考を振り向けた先は、アスリにとっては面倒としか言いようがないところにあった。\n\n「何?それじゃさっきのは置いといても、ユニス、誰かによしよしされてたってこと!?」\n「違っ!」\n「じゃあ、さっき初めて?」\n「……んっ。」\n「初めてじゃないね?だって剥くだけじゃ出ないって、自分で言ったよね?出してなきゃ、そう言えないよね?」\n\n 鼻から抜けるような、息とも返事ともつかない声で形作られたユニスの小さな守り柵は、連続してたたみかけるティサによって、いとも簡単に突破された。アスリの事前予測通り、ユニスは真実に迫られれば脆弱だ。アスリにとってさらにまずいのは、ユニスの真隣にいるのが、ひた隠しにしてきた変態を今日で全て解き放ってしまった、予測不能の変態を上回る変態であるということである。\n\n「ティサ、ユニスもさ、ひとりでくちゅくちゅしたんでしょ?男の子はくちゅくちゅなんて鳴らな…、いやでもユニス皮すごいから、くちゅくちゅ鳴るか。」\n「えっ!?何?それじゃユニス、ひとりでおちんちんよしよししてたん!?」\n「違っ!!!」\n「じゃあ何?誰かによしよししてもらってたってことになるけど?」\n「それも違って!」\n「じゃあもうひとりじゃん!自分でいじりはじめたってこと?」\n\n 流動的な場の中にあって、アスリに夕暮れ時の光が、わずかに差し込んだ。ティサの興味は、ユニスの自己との向き合い方に進み始めている。アスリも確証は持てないが、変態のユニスならアスリの手の中に全て漏らしてしまう以前に、きっとどこかで自分の皮膚と、その中身を鍛えぬいていた確率は高い。\n ところが、この直後、馬鹿なユニスはとうとう余計な言葉を口走ってしまった。\n\n「じゃなくて!!アスリの……!!」\n\n 近くを飛ぶ胸の白いカラスの群れが、甲高く数度鳴いた。時は止まり、3人の6本の視線が、アスリへと集中した。\n その中にあって、最も鋭いティサの瞳は、すぐにユニスへと戻っていく。\n\n「…………アスリの?」\n\n 低い声だ。かつて母に2枚の腰布を並べ置かれた直後のように、アスリの気分は急速に悪化している。これからの流れ次第では昼に食した魚が、今度は本当にアスリの口から飛び出してくるかもしれない。\n\n「…………。」\n\n また、ユニスが押し黙った。これ以上、ユニスに任せておいても、議論の終点はアスリにとって極めて不利にしかなりえない。重大な賭けにはなるが、しくじったユニスに罰を与える意味もこめて、アスリは先手を打ち、ユニスの秘密を開示することを選択するしかなかった。\n\n「……あんさ、さっきは特に言えんかったけど、ユニスこの前その……、お乳、漏らしちゃったんよね。」\n「はっ!?何それ?ってか、なんでそんなん、アスリが知ってるん?」\n\n 再び、全ての注目がアスリに集まり、当然のようにティサの真剣な声がアスリにかかった。ここからの弁明が、アスリだけでなく、ティサの思いの明暗を分けることになる。サバンナの地面のように乾きつつある口内に残った、ごくわずかな唾をアスリは一度飲み込むと、慎重な言葉による処置を開始した。\n\n「あの……、ごめん、ティサに隠してたみたいになっちゃうけど、お昼の話って、ちょっと続きあって。最初にティサと会った日、襲われた日、ユニスのこと、私おんぶしてたら、ユニス、私の髪の毛の匂い嗅いで、あと私の……、裸、思い出して、おちんちん固くなっちゃったじゃん?」\n「そうだね、このヘンタイ。バカ。」\n「痛だいっ!!!ヤメロ!」\n「まぁ、ちょっと待って。で、まぁ、それは最初の日の話でさ。あれから、お墓の横で怖いの、ティサが見ちゃった日、あったでしょ?あれん時も、最初、逆に私がユニスにおんぶされてたけど、そしたら、今度は私の……おっぱい、私の、ちっちゃいのに。でもユニスに当たったら、またおちんちん固くしちゃって。」\n「うぎゃああああ!!!!!」\n\n ユニスが絶叫した。ここまで叫んでも犬は助けに来ないのだから、ユニスが何らかを責められ叱られていることは、あちらにも確実に伝わっているようである。\n\n「ユニスうっさい!!!アスリ、それで?」\n「だから私も、今のティサみたく布の上から掴んで、こら!ってしたら、その……、ユニス、びくびくしちゃって、どんどん濡れてっちゃって。」\n\n アスリが自身に対して何をしたのかについての内容は欠落しているが、ユニスに関しては事実である。もう、今日は昼食後の時点で、アスリは一度嘘をつき、真実を求めたティサに涙させてまでいる。絶対的なアスリの秘密と、ティサに伝えなければならないユニスとの過去の、中間地点はここしかない。\n\n「あぁ、だからあのあとユニスの巻いてたやつ、変な匂いしたんか。絶対あの匂いじゃんって思ったから、怪しいなって思ったんよね。」\n\n ラリーヤがまた一段といやらしい笑みを浮かべたのに対して、ティサの表情は岩のように固い。危険な立ち位置のアスリは、おそらくティサに近い顔のはずである。真面目で律儀なティサは、アスリの股間まで鷲掴みにして、ユニスと同じように引っ張ったり潰そうとしたりするようなことはないだろう。ただ、一生の恩義をもとに隠し事をしないでほしいと述べた昼時のティサと、たった今、アスリが向かい合うティサとでは、同じ1人の人物が近い状況に置かれているものとは思えないほどに、後者の方が殺気立っている。\n\n ティサをこうしてしまったことには、昼に途中まで話したところで、脱衣することになったユニスにうつつを抜かしてしまった、アスリも責はある。それ故か、昼にはあったユニスに代わってのアスリへの謝罪は今はなく、かろうじてユニスにのみ怒りの矛先は向けられている。\n ただし、全部を開示する訳にもいかないアスリのみを追及するのも酷であることは、過剰に自己を正当化するつもりもないアスリ自身も、危うい立場ながらに理解している。むしろ悪いのは、午後の洞窟の時間を、いやらしい香りと物量で圧倒する知識で濃密にしてしまった、ユニスとラリーヤだろう。それらがあったせいで、ティサは大胆にもユニスの初回を所望してしまったし、アスリへのリスペクトはまだ保っているとしても、ユニスの一連の初めてが欲しくなってしまったはずだ。\n それにも関わらず、実はアスリが少なくとも乳搾りの点で先回りしていたということを知ったティサが、まさに感じているのは、ほぼ間違いなくアスリに対しての嫉妬だろう。洞窟の空気があれほどまでに狂気で満たされなければ、もしかするとティサは昼過ぎと同じく、アスリには柔和な雰囲気を醸し出せていたかもしれないが、ティサはユニスの全てという新しい概念を得て、欲望の制御に手間取っているのかもしれない。\n\n 口には出せないアスリの自己弁護をよそに、ティサは冷静さを保ったまま、アスリが放った情報を的確に整理し、それでもアスリは責めず、なおかつユニスへの追及の手を緩めることもしなかった。低く、ティサが続ける。\n\n「ユニス、あの日もぴゅっぴゅしてたんは分かった。じゃあ、自分ではよしよししてないってことだね?」\n「……………痛だだだたたた!!!!!潰れる!!!」\n「なんか言え!!このヘンタイ!!」\n\n 性器に対して自分自身で快楽を与えることは、ティサがその果実を自らにも与えているかはまず考慮しないものとして、アスリの母と同じく、ティサにとっても悪であるようだ。そして黙秘を貫こうとしたところを見るに、ユニスは有罪のようである。未だにアスリの目前の状況は予断を許さないが、この光景もまた1つの、アスリにとって大切に保管しておくべき糧になる。\n 何であれ、ユニスがどういう転び方を選ぶかに、アスリの命運もかかっている。ユニスが強く両目をつぶって、斜め先の足元に顔を向けた。何かが来る。\n\n「ぐっ!!!なんだよ!いいじゃん!別に俺の体なんだから、どうしたって!」\n「うわ!!!やっぱそうなんじゃん!!!」\n\n ユニスは自慰を自供した。まだティサの嫉妬にどのように対処するかという問題は残されているが、アスリはわずかに安堵した。これでアスリは、自らの悪い習慣を夕陽の下に晒さずに済むはずであった。\n\n「そんなんどこで覚えたん?」\n「うっさい!!!手離せ!!!痛だたた!!!」\n「こら!!!何?私の手じゃ出せないん?ぴゅっぴゅするか、どこで覚えたか言え!!」\n「ヤメロ!!!」\n「じゃあ潰す!!!」\n「ぎゃああああ!!!だから!!だから……!だから……!」\n「だから何?」\n「だからアス……。」\n\n 一足先に、アスリは夜を迎えた。終わりだ。もうアスリには、繰り出せる手は残っていないし、何もしゃべることができない。ティサに握られているユニスが、アスリの全てを握ってしまっている。\n\n「何?またアスリ?」\n「……。」\n\n 今度はティサも、アスリに目をやることもせずに、ひたすらユニスをにらみつけている。嫉妬は、怒りへと変わりつつあるようである。今日のアスリは、すでにティサから涙とともに情けまでかけてもらっていたというのに、この有様なのだ。ティサから見て、昼に弁明したアスリは説明責任を果たしていないことになるし、その先に今の状況がある。アスリにとって極めて苦しい、ごく近い未来が迫っている。\n\n「アスリに教えてもらったん?」\n「違っ!!」\n「じゃあ何?」\n「……だから。」\n「聞こえん。はっきり言え。」\n「だから!!!!!」\n\n ユニスが破裂する。何が飛び散るのか。強い吐き気をともなって、一筋の汗の雫が、アスリの背骨に沿うようにして流れていく。"}

Xet Storage Details

Size:
13 kB
·
Xet hash:
91d2d481a0c34ab33210604c8c22cb46dd814819f5859be3b4a4bd444d176f0f

Xet efficiently stores files, intelligently splitting them into unique chunks and accelerating uploads and downloads. More info.