Krixter/Repo / n0007ht /111.json
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{"novel_id": "n0007ht", "chapter": 111, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/111/", "title": "せわしい家路", "content": "「…………えっ?」\n\n 耳を疑ったアスリが、とっさに頭を持ち上げた。ティサのずっと先では、洞窟の中で剥き出しになったユニスの先端のように真っ赤な夕陽が、まもなく地平線に接しようとしている。\n\n「なんていうか、その、寝る前……とか?だから、別に、変じゃないから。」\n\n 長いまばたきをしたティサが、明らかに恥ずかしがりながら、アスリの肩の後ろの方へと目を逸らした。夕焼けを背から受け、影となっているティサの顔も、アスリの目には奥の太陽ほどに赤らんで映る。\n\n「ティサ……、ありがとう。」\n\n 自然と、アスリの口からこぼれたのは、ティサへの感謝だった。やはりティサという人は、アスリにとって尊敬すべき友人だ。この告白によって、どれほど自身が辱めを受けるのか、アスリは自ら実感したばかりである。それをティサは、アスリの心情を慮って、あれほどラリーヤに対して軽蔑するように話していた行為の経験を、率先して暴露した。\n 寄り添う優しさを差し伸べられるティサは、どうしてもユニスにふさわしい。ユニスはティサと生涯を添い遂げれば、必ず幸せな生涯を送ることができる。その将来に、アスリは嫉妬すべきでないし、日々微笑ましくユニスとティサがロマドウで暮らす姿が見られるのなら、アスリとして不服はない。アスリはティサに敵わない。\n\n ただ、それはあくまでアスリにとってである。ラリーヤは軽く口をとがらせると、冗談めいた口調で自らにかけられた不当を指摘していった。\n\n「なんだ。じゃあさ、ユニスも、アスリも、ティサも、みーんな結局、くちゅくちゅしてるってことじゃん。私だけ変態とか言われて、損したわー。ってか、ティサやってないって言ってて、やってたって、嘘ついてたんじゃん!さっきだって、ホントはやってきたんでしょ?」\n「うっさい!ラリーヤのバカ!さっきやるわけないでしょ?私とアスリ、今どんだけ恥ずかしいと思ってんの!?」\n「…ごめんってば。でも、みんなえっちなの好きなんだってわかって、私、嬉しいよ?」\n「バカ!ラリーヤとユニスは別、私とアスリは普通。あと、もっかい言うけど、さっきはホントにやってないかんね?私、アレ来てる時はラリーヤと違って、やんないようにしてんだから?もういいからさ、早く帰ろうよ?」\n\n あまりの急転直下の流れに取り残されるアスリの前に、羞恥を嚙み殺しているのであろうティサは、地面に置きっぱなしだった荷物を一気に抱え込んでいく。いやらしさにまみれるラリーヤも、恥ずかしいばかりのティサを見ては、洞窟の中のように独壇場を作り上げることもできず、ややゆっくりとティサに続いて、身支度を整えるしかない。アスリがあと1人の変態の方にも目をやれば、こちらはティサの隠し事を知って何かを我慢しているのか、それとももっと馬鹿になってしまったのか、完全に呆気にとられた表情で、美しい夕焼けを瞳に反射させているだけであった。\n ふとここで、アスリは我に返った。まもなく出立するこの面々に、アスリは最後にもう一言、どうしても伝えておかなければならないことがある。\n\n「あっ!あのさ、1個だけ。もうみんなわかってると思うけど、絶対帰ってから、その……、そういう話しちゃダメだかんね?マジで。」\n「別に言うつもりなんてないけどさ、さっき私と同じ変態だと思われたくないって言ってたんに、アスリもティサも一緒なら、気にしないでよくない?えっちなこと、みんなしてたし。」\n「だからラリーヤと一緒にしないで。私とアスリは、そんなんじゃないし。」\n「ラリーヤ、ダメだから。まぁ、なんでもいいから、ホントに言わんでね?」\n「ってかさ、みんな普通にするもんなんだから、そんな話しても大丈夫じゃないん?カインタだと、男の子も女の子も、恥ずかしがりの子以外、みんな昨日何回とか、全然言ってたよ。」\n\n カインタは滅んでしまったが、かつては性の村だったのだろうか。アスリの想像も及ばないが、とにかくこれから帰る先は、いつも通りのロマドウである。母に2枚の腰布を並べられてしまったエピソードは抜きにしても、アスリはラダンの身に起こった出来事も共有して、釘を刺しておくべきだろう。\n\n「ダメなもんはダメ。これさ……、いや、マジで誰にも言わんでほしいんけど、ラダン、って、私の1番歳近いお姉ちゃんね。それ……してるの、昔ママにバレてさ。すっごい、すっごい怒られて、素っ裸にされて、あそこの毛、全部剃られちゃって。」\n「うわっ!サイアクすぎる!」\n\n ティサが笑いもせずに、口を真横に開いて、嚙み締めた奥歯を見せる表情を取った。今夜ティサも寝る前に、血まみれにならないようにしながら慰めるのであれば、アスリとしてはこの糧の旨味も伝えておきたいが、それではあまりに本論から逸れすぎる。この次に言う部分が、ラリーヤとティサとユニスへの釘であり、針だ。\n\n「で、なんていうか、その……、お股の、おまん…、まぁいいや。丸出しで広げられちゃって、真ん中の中身のとこ、さっきのユニスみたく剥き出しにされて……、針刺されそうになっちゃって。」\n「ひぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」\n\n 悲鳴を上げたティサが、立ったまま腰を引いて内股を押さえる姿勢をとった。この姿もどういう訳か、アスリに対して欲求をもたらしてくるところがある。一方でラリーヤは、この話を聞いても無言で、遠くを見つめながら、何か物思いに耽っているような様子だ。\n さすがは変態だ。きっとこちらは今のたったこれだけの短い話で、アスリのようにうまく咀嚼して、こっそり自らに与えているのだろう。\n ところが、残る呆けた顔をした1人は、頭も呆けていた。ユニスはまたしても、非常に余計なことを口走る。\n\n「……あの、袋みたいなんに?」\n「はっ!?どゆこと?」\n\n こちらも変態なのだから、呆けていても見たものは一切忘れられないようだ。すぐにティサが、ユニスをけん制する態勢を取っていく。\n\n「いや、いっつも離れてたから、よくわからんかったけど、なんかアスリの見た時……。ってか昼言ってた、穴とかホントにあるん?アスリ、なくなかった?」\n「いや!あるから!私、女の子なんだから!」\n\n 否定の言葉を発しつつ、今のユニスの述べたことの中には、見逃してはならない点があった。何事もなく流れてしまいかけているが、ここは絶対に押さえておかなければならない。\n\n「ん…、ってか!待って!待って!ちょっと、今さ、ユニスいっつもって、それどゆこと?私の全部、こっそり見たんって、1回こっきりでしょ?」\n「あの……、いや、なんてか、アスリ、結構前から牛連れてきてたから。」\n「はっ!?!?!?」\n「嘘!?」\n「えっ、えっ、えっ!?何?じゃ、もっと前から、アスリが裸になってるとこ見てたん!?」\n「いや、ごめんって!」\n\n たった1人の禁忌の記憶が、アスリの頭の中をかき回すように巻き戻っていく。アスリがユニスに見つかったあの日の前から、ユニスはアスリを見ていたのだ。アスリは過去、あの川辺の木陰で何回、いや、何十回、何百回行って、どれほど良くなっただろう。ともすれば、薄い茂みすら生えていなかった頃さえ、ユニスは見ていたかもしれない。アスリの股と腹の奥は、熱い。\n 思考が立ち止まりかけたアスリに代わって、ラリーヤとティサがユニスに続く。もちろん、一方に据えられるのは性で、もう一方は怒りだ。\n\n「じゃあアスリ、いっぱいくちゅくちゅして、ユニスもたくさん見ていじいじしてたってこと?」\n「このバカ!!!!!ラリーヤもバカ!やっぱりユニスのは潰す!もっかいおちちん出しな!!!赤ちゃん作ってから、女の子にする!」\n「うわ!ヤメロ!」\n「ティサ!今からなかよしするん!?」\n「バカ!ラリーヤ!しない!おい!コラァ!!!逃げんなユニス!!!」\n「ちょっと!ねぇ、待ってよ!」\n\n ティサがユニスを追いかけ始めれば、ユニスも逃げることになる。今日の最後の最後に、ユニスに何度も自らの全てを覗かれていたことを知ったアスリの内側は真っ白で、一切の整理がつかずにひどく荒れ果ててしまっている。\n それでも森からやってきた2人の鬼ごっこの先では、逃亡する主人に合わせて犬も駆け出し、さらにその先では暇を持て余していたであろう牛たちも、移動を再開している。このままここで、もたもたする訳にもいかなくなったアスリは、ラリーヤと手分けして残る荷物を素早くまとめると、伸びきったいくつもの影に追従しながら、家路を急ぐしかなかった。"}

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