| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 123, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/123/", "title": "奇怪な楽園", "content": "「あ!ティサ!離してあげて!」\n\n ラリーヤがティサに注意したのと同時に、ユニスの袋から手を離し、ティサの手も払った。ユニスが強く腰を引く。子どもに戻った槍が、大きく上下する。\n\n「くっ……!!」\n\n 止まった。ユニスの堤は、どうにか波を押し返したようだ。おそらくティサがあとひと剥きしていれば、もしくは先ほどユニスがこっそりと地面に乳を漏らしていなければ、ラリーヤはイケメンを背で受け止めたのに続いて、一昨日のアスリのように顔から浴びなければならなかっただろう。\n つい、下ばかり注目してしまう真隣のアスリが、ちらりとうかがったユニスの表情は、我慢に成功したにも関わらず、なぜか腹でも下す直前かと思えるほどに苦しそうで、涙すら流しそうである。いくら筋骨隆々で相手が女でも、3人で寄ってたかって取り押さえられている上に、器にすりきりいっぱい入った乳をこぼさないようにしなければならないユニスに、なせる身動きはない。大きな深呼吸を挟んだユニスは、今、唯一可能な言葉による反撃に打って出ていった。\n\n「もう……、やめろよ!何が大人なんか知らんけど、さっきのアイツみたいに剥き出しの方が変なんだよ!」\n「えっ?カインタだったら、もうユニスぐらいの年の男の子は、みんなおちんぽになってるけど?」\n「へっ……!?」\n\n 弱く、短い反撃だった。ラリーヤから異端だと聞かされたユニスの顔中に、不安が広がっていく。ダカクもそろそろ、ユニスを追い越して、剥き出しになるのだろうか。\n 追い打ちをかけるかのように、透明な細い糸を垂らす槍の先端を、ラリーヤは臆せず左手でつまみ上げた。不敵さと悪さが煮詰まった笑みを、ラリーヤがだらしない涙を流す男子の証明に送る。何を言おうというのか。\n\n「……だって、カインタだと、こうやってお毛けが生えてきた男の子は、ちんちんの先っちょの余ってる皮、みーんなちょん切っちゃうからね?じゃないと、大人の男の人になれないんだよ?」\n「は!?」\n「え!?」\n「ちょっと、どゆこと!?」\n\n 当事者だけでなく、ティサとアスリも、ラリーヤに思考を奪われた。怪しいラリーヤは、つまんだままのぬめる皮が滑ってしまわないよう、指先が白くなるほど強くはさんで、手前側に思い切り引っ張りながら、ティサのシンプルな問いに答えを示していく。\n\n「痛たたたたた!!!引っ張んな!!!」\n「んふふ、ユニス、おっきくなってんのに、すっごい伸びるね!で、こうやって、びよーんって目いっぱい、伸びるとこまで引っ張って……。」\n\n ラリーヤがおもむろに、傍に置いていた果物を切った刃を手にした。木の枝葉を通り抜けた日光を受けて、刃が光る。伸びきったユニスの皮膚に、刃が接近していく。\n\n「ちょっ!!」\n「おい!!」\n「この辺かな?この辺?じゃ……、ユニス、大人おちんぽになろうね?」\n\n そっと、刃がユニスの皮膚に触れる。ユニスが腰を引き、皮膚が極限まで伸びる。\n\n「よいしょ!よいしょおお!」\n「ヤメロォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」\n「いやああああああああああああ!!!!!!!!」\n\n ラリーヤが刃を左右に動かした。ユニスが絶叫し、ティサも悲鳴を上げた。\n\n さすがにラリーヤは、切らなかった。より正確には、ユニスが腰を引いたことで、刃と皮膚の間にわずかな空間ができ、ラリーヤはそこを割いたのだった。\n\n アスリは、声を上げなかった。もっと言えば、声を上げられなかった。今のラリーヤの話を聞いて、何かが、アスリの中で大きく歪んでしまった。\n\n この場の木漏れ日を、アスリは覚えている。ラダンを背後から抱きかかえた、あの日に近い。だが、あの時は剃毛による羞恥を踏まえた、針という究極の痛みであり、禁忌を犯したことへの途方もない罰であった。\n それが、今の話はどうだろう。ラリーヤ曰く、カインタの男子は罰としてではなく、大人になるために、ラリーヤの見せたことを行うのだそうである。しかも、ラダンの時や、まさに今のユニスのように未遂で終えるのでなく、しっかりと刃を皮目に入れる上に、刺すのに留まらず、断ち切ってしまうというのだ。\n\n 背筋が煮立って、ゾクゾクする。なんということをするのだろう。もしもユニスがこの伸びたところを切られてしまったとして、たとえば髪や爪のように、また生えてくるものなのだろうか。それとも歯のように、一度生え変わればそれっきりなのだろうか。ただ、何にせよしばらくは、たとえユニスのものであっても、イケメンのものに近しい形状を取って剥き出しのままになってしまうであろうことは、ひしゃげて壊滅してしまったアスリの頭でも分かる。\n\n 糧としての濃さが、圧倒的だ。味が、強すぎる。なぜ、いわば暴力が、アスリにこれほどをもたらそうとしてくるのか。目先の答えは、簡単だ。それは、アスリがおよそ2年にもわたって、さらけ出され、没収され、広げられ、辱められる姉の性器を思いながら快楽を得てきたのとともに、あの姿に自分を重ねて、母に謝罪をしながら快楽を享受してきたからにほかならない。\n それ故に、異性の全く違う形状であっても、ラダンが大人の証を否定されたように、自らの極限の一部を生贄を捧げなければ、大人になれないとしたカインタの掟は、朦朧としてしまいそうなほどにアスリにフィットしている。しかも、一連を説明するためにラリーヤが踏み台としたのが、目の前にいる愛する人の恥ずかしい皮膚であったのだから、アスリの体中の水分が、枯渇して干上がってしまいそうである。\n\n やはり母は、常に正しかった。ラダンがあんな目にあってしまったところで、アスリは懲りて害にしかならない習慣を断たねばならなかったのだ。\n つまり、アスリの性は壊れてしまっているし、手遅れだ。一昨日の洞窟の中で聞いた仕組みも、今日ラリーヤがイケメンと見せた男女間のやりとりも、今のユニスの皮が切られて、猛烈な痛みとともに剥き出しになってしまう妄想も、果てはかつてのラダンの惨めな姿も、全てを全て、ないまぜにして、アスリはじっくりと自慰に耽りたい。\n\n「バカか!?!?!?マジでちょん切られるかと思ったわ!!!!!」\n「恥ずかしいねー。ホントに切る時、今みたくおっきい声上げたり、暴れたりする子は、みんなに押さえられて、さんざん馬鹿にされんだよ?ほーら、子どもちんちん切っちゃうぞー、泣け泣けーって。」\n\n 刃を手にしたままのラリーヤが、つまんだ皮を振り回しながら語った。これもまた、アスリにとって興味深い風習だ。ユニスの皮膚以外、3人が何も被せてこないことを良いことに、ラリーヤは続ける。\n\n「ってかさ、さっきのあの人も、全然皮なかったじゃん?男の子って、みんな最初、ユニスほどじゃなくても皮あるけどさ、ロマドウでも、おんなじ風にしてんじゃないん?」\n\n 現世を離れ、1人だけ遠くの奇怪な楽園の中にいるアスリには、ラリーヤが転換した話がなかなか身に入ってこなかった。一拍の間を置いて、ようやくアスリは、いつになく難解なラリーヤの質問の先が、自身に向けられていたことを理解した。\n\n「………………あ、いや、そんなん聞いたことない。ダカクだって、ユニスのと全然違うけど、皮被ってて、逆に剥けちゃったら泣いてたし。」\n「ダカクはまだお毛けも生えてないんでしょ?アスリのパパとかさ、お兄ちゃんのとか、どうなん?」\n「パパのなんか見たことないし、お兄ちゃんのもずっと見とらんし、知らん!考えたくもない!」\n\n せっかくのアスリの楽園に、父や兄の存在は不要だ。ダカクについては、また剥きあげて泣き出すのなら、楽園に入る権利ぐらいはあるかもしれない。\n この間も、ユニスは先端を伸ばされたままで、依然、滅んだカインタを受け継ぐ大人の男に成長するのかは、ラリーヤの一存にかかっている。ユニスとしても、アスリのように股に何かぶら下げておく生活に慣れきっているのか、長い皮膚の守りに入っていった。\n\n「ってか、ラリーヤ!もう痛いから、引っ張んのやめろよ!あと危ないから、それもうしまえって!」\n「えー?せっかく大人になれるんにー。ちょんって切っちゃうだけだよ?」\n「やだよ!!」\n「ずっと子どもちんちんのまんまの方が良い?」\n「バカ!!俺だってほら!こうやって毛生えてんだから、もう大人だし!ラリーヤの方が生えてないんだから、子どもじゃん!」\n\n まともな答えが返ってくることの少ないユニスにしては、この状況下で、なかなか良い話題展開だ。ユニスに向けたラリーヤの責めは、アスリの内面を突いてくる良さがあったが、このユニスの指摘も、鋭いところを突いている。なぜラリーヤが、これだけ成長した肉体に、あえて罰を受けたラダンのようなことをしているのかは、アスリだけでなくユニスにしても疑問だろうし、明日ユニスとつながることを宣言したことなど忘れてしまったかのように、顔を引きつらせたままのティサにしてもそうだろう。\n\n「んふふふ、私、もう大人の女なんだよ?」\n「は……?」\n「あと、それとさ。ユニス。」\n\n ラリーヤが、またしても悪くなった。そのまま、手にしていた刃を近くに軽く放り投げ、引っ張り続けていたユニスの先端からもラリーヤが指を離すと、すぐさまユニスの皮膚は縮み上がって、付け根の方にできる限り巻き戻っていった。ユニスの槍は、先ほどよりも幾分、皮の量が増えているようであるし、大人と子どもの間にいた時よりも角度も低く下がってしまっていて、槍と呼べるほどの強さをアスリは見て取れない。\n 一方、ユニスを解放したラリーヤは、両手を一度自らの両膝につけて、その手を鼠径部にかけて滑らせながら立ち上がると、無毛の縦筋を囲うように、広げた両手の人差し指と親指で、大きく逆三角形を作り上げていった。近いこの位置では、ラリーヤのわずかな剃り残しが、アスリも識別できる。\n\n「どう思う?私のおまんこ?」\n\n 1本の線が、強調される。問われた相手はユニスだ。ユニスが答えなければ、誰も喋らない。アスリの鼓動に合わせるかのように、弱っていたユニスの槍が、角度を取り戻していく。"} |
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