| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 135, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/135/", "title": "30", "content": " 滝から川に沿い下り始めてまもなく、大きく地面に段差ができた場所まで、アスリがやってきた時であった。近くに立つ木の枝に掛けられた、手にするものと同じ布が、小走りのアスリの視界に入ってきた。\n アスリが耳をすますと、直接目にすることのできない位置から、不規則に水が跳ねる音が聞こえてくる。どうやらティサは、あの段差と周りに生い茂る藪によって死角となるところで、水浴びをしているようである。\n もっと時間があれば、少しはアスリもティサの状況をうかがって良いかもしれないが、ユニスがアスリを盗み見した過去を告白して、ティサから激怒されていた以上、むやみにティサを覗くべきではないし、そもそも今はそれどころではない。ほぼ確実に全裸であろうティサを大きく迂回したアスリは、もっと先まで進んで、身を隠すものもなければアスリの視界を遮るものもない、流れを挟んで背の低い草がただひたすらに広がっている川辺で、まず履物を、次に上衣を、最後に腰布を脱いでいった。\n\n 川上から吹き抜け、優しくアスリの体を撫でる風が、自然の前にさらけ出されたアスリの性器に突き刺さる。今日は裸になるだけで、ただただアスリは苦しい。身にかけるひんやりとした川の水、一滴一滴が、アスリを誘惑するかのようにくすぐっていく。首筋に、小さな胸、脇、背、腹、手早く、かつ丁寧にアスリを清める自らの指先は、薄い毛の生えた、割れ目と呼べないはみ出しへと向かう。\n 生まれてからこれまで、ともに成長してきた、やや濃い色合いの大きな肉ひだは潤って、内側から外側にかけて、熱い疼きをアスリに伝える。そのまま自然と、アスリが両足を肩幅ほどに広げて、昨日、ラリーヤが刃を手にしてユニスの皮膚を伸ばしたように、近い位置の肉を精一杯引き伸ばせば、ユニスの皮槍と同じく、蝶も羽を伸ばす。続いて、人差し指と中指で挟んで持ち上げ、いわば大人の形をとった大粒も、ユニスの中身よりは小さいとは言え、同様に輝いている。\n\n アスリにとって、重大なコンプレックスだ。それを、かねてより遠目に眺めて、アスリがひたる快楽を真似てしまったと、3日前のラリーヤによる授業を終えた後の帰り道、ユニスは自供した。\n\n つまり愛おしいユニスは、アスリの肉体に、ラリーヤよりもティサよりも、もっとずっと小さな胸に、そして1人の人間の同じ体に属するは思えない、グロテスクなこの性器に興奮し、許されない行為を自ら成したのだ。思えば、あのまだ穏やかだった頃の南の川辺で、ユニスが牛に襲い掛かろうとする獣をアスリの前で初めて射抜き、また初めて伏し目を見せた位置は、アスリからそれなりに離れていた。\n 次は、もっと近くで、見てもらうべきだ。アスリの初めての相手は、アスリに欲情した、ユニスにこそふさわしい。\n\n 剥き出しにしたままの一点が、寂しい。そこに、少しずつかけやる川の水が、嘆かわしい。\n\n これ以上は限界だ。それに、今はのんびりしているわけにもいかない。未だに昨日のラリーヤによる我慢の制限が有効なアスリは、1点への徹底した洗浄を諦めると、悔しいほどに旺盛な性欲をこらえながら、川の中でしゃがんで下半身を全て水に浸し、左右の肉ひだを1枚ずつに、尻、足を全て洗い流して、水浴びを終えた。\n\n ところが、この後の問題も大きかった。ラリーヤの持たせてくれた布を身に着ける前に、その布で濡れた苦しい体をついでに拭いてしまおうと、アスリが布を広げると、この布の面積は絶妙に中途半端なのである。\n たしかに、この布は体を拭くのには十分だし、急ぐ今日は洗髪まで手が回らなかったものの、仮にアスリの長い髪を濡らしたとしても、全てしっかりと拭きあげられるだろう。だが、これをラリーヤが言った通りに体に巻きつけるとして、横にすればアスリの恥ずかしい股間は丸出しだし、股を隠せば胸が丸出しで、両方隠そうとすれば、乳首か、はみ出る肉が外に出てしまう。では、縦にすればどうかと言えば、一応両方は隠れるものの、今度は体を1周する長さがギリギリで、結び目を前にすれば股が見え、後ろにすれば尻が見えてしまう。\n どうにかアスリは結び目を脇に作って、体の横にスリットを作る形を取ったが、そもそも、この布は縦横以前に正方形に近く、どうやっても上下隠せば、腰丈はかなりきわどい。現に、布以外の裸に、唯一身に着けるアスリの腰紐は、横に作った隙間からちらちらと見えているし、不用意にしゃがめば、ユニスに見てもらう以前に、誰の目にもアスリの事実が見えてしまいそうである。\n\n 今更ながらアスリは、布をラリーヤから受け取った時点で、一度広げなかったことを後悔した。それでも今は、あまり油を売ってはいられない。この布を着たままではロマドウに帰れないアスリは、また後ほど元々着ていた服に着替えることになることを予見しつつ、いつになく適当な仕事をしたラリーヤを小さく恨みながら、再び小走りで滝の元へと戻っていった。途中、例の段差の近く、木の枝に布はもはやなく、そこにティサの気配もなかった。\n\n あまりに短い布丈のせいで、無防備な下半身のアスリが、滝の手前、まだ誰も見えないところで一度立ち止まり、泉から垂れてしまった湧水をすくいとって、ごまかしていると、滝の水が落ちる音に加えて、何やらティサの騒ぐような声が耳に入ってきた。やはりティサは先に水浴びを終えて、もう到着しているようだ。\n 急ぎ滝まで駆けていったアスリが目にしたのは、広げた布を手にして必死に何かを訴える、着替えていないままのティサと、乳も股間も丸出しにしたまま、短い布を背に羽織り喉元で軽く結んで、両手を腰に当てるラリーヤである。どうやらラリーヤの意図した布の使い方は、ラリーヤの今の姿が正解なのだろうが、これでははっきり言って衣服として何も機能していないに等しい。ティサとしても、この布を身に着けることは適わなかったようだし、今のラリーヤの着方もアスリは真似できない。\n なお、その奥で早くも危ない目つきをしているユニスは、布を三角形になるように折った上に、それを皮の集まる場所に固く縛り付けていて、卑怯なことにも全てが見えないようにしている。おしげもなく胸を放ち、1か所しか隠さないのであれば、あの手が使えるとは言えども、もうユニスはこの場の3人に何もかも見せているのだから、ラリーヤはユニスからは布を没収して、恥ずかしがりのティサに恵んでやるべきだっただろう。それともユニスは、裸に布1枚を加えたことで、なぜかいやらしさが余計に引き立っているラリーヤを前にして、腫れてしまった槍を布で押さえつけておく必要があるのだろうか。\n\n「だから、こんなん、丸見えになってんじゃん!!無理っしょ!!」\n「じゃあもう、ユニス食べちゃうよ?いいんだね?あ、アスリー!ティサが、着替えてくんなくて…、ってか、アスリも変な着方してるし。」\n「いや、むしろラリーヤそれ、着てる意味ないっしょ。」\n「あっ……!それか!!」\n\n 堂々巡りの中、ラリーヤが戻ってきたアスリに会話を振り向けたのと同時に、アスリを目にしたティサも、アスリの編み出した布の身に着け方に、ひらめきを得たようだ。ただ、この着方はアスリの控えめな胸をもってして可能なのであって、ティサほどの大きさであれば、いくら体の横にスリットの位置がくるようにしても、結び目を作ることは難しいかもしれない。それでもラリーヤは、身動きの取れなかったティサを、この機に一気に動かしにかかる。\n\n「まぁ、もうなんでもいいからさ。じゃあユニス、ちんちん出して、むきむきしよっか?」\n「んっ!!」\n「わかったから!!着てくればいいんしょ!!あとちょっとだけ、待ってよ!」\n「あ!待ってティサ!そっち行かんで、もうこっからは、あん中!」\n\n 忙しいティサがまた川に沿って下ろうと、布を手にして駆け出そうとしたところで、ラリーヤが逃げかけの背に指示をかけやった。ラリーヤの指さす先は、あの洞窟だ。\n\n「えっ、あっち?」\n「いいから。で、脱いだら、脱いだ服、外に全部投げて。着てて良いんは、その布と、なかよししよーよの印だけだかんね?」\n「……は?」\n「今から30ね?30数え終わるまでに全部脱げんかったら、ユニスのちんちんは没収。」\n「おっ!?」\n「ちょっと!?!?何!?どゆこと!?」\n\n ずっと赤らんだままのティサの顔が、やや青ざめたようにアスリの目に映る。没収と耳にして、ユニスも股間に手を置いた。いやらしい全身に冷静な声のラリーヤは、極めて強硬な策を実行に移していく。\n\n「いくよ?いーち!にーい!さーん!」\n「はっ!?ちょっと待って!待ってってば!!」\n\n もうティサは、体と頭のどちらも、ラリーヤに追いついていない。一度よろめき、足をくじきそうになりながらも、どうにか体勢を保ったティサは、犬に追いかけられた時の牛のように、猛然と階段を駆け上って、洞窟の中へと進んでいった。1つずつ数を数え上げいくラリーヤは今の値を告げつつ、道すがら次々と何かを拾いながら、まさに犬の役割を果たして、ティサを追い立て、追尾する。\n\n「……はーち!きゅーう!じゅーう!ほら、ユニスもこっちにおいで!」\n\n 洞窟の前にたどり着いたラリーヤから、ユニスにも声がかかった。水浴びをしたばかりであるはずなのに、いつもより随分と汗ばんでいるユニスは、アスリに一言、何か目で語りかけ、近くで伏せっている本物の犬にも同じく視線を送ると、階段へと向かっていった。\n 今のユニスの無言の意味は、犬には見張りの継続であって、アスリには来いということだろう。もしそうでなかったとしても、事態が動き出した中、アスリもついていかない訳にはいかない。\n\n「……じゅーはち!じゅーきゅー!にじゅー!」\n\n ユニスもアスリも洞窟の前に集結する頃には、ラリーヤが残す数も10を切っていた。ちょうど、履物が1つずつ続いて洞窟の外へと放り出され、ユニスが首尾よく受け止める。\n\n「ちょっと!みんな絶対こっち見ないで!!」\n「にじゅーいーち!にじゅーにーい!にじゅーさーん!」\n\n ティサの焦りが、大きく響く。ラリーヤは構わず数を増やすが、3人ともティサの意思は尊重し、洞窟から一歩下がって、入口だけを見つめる。\n\n「にじゅーしーい!にじゅーごーお!」\n\n 丸められた上衣が出てくる。手を伸ばしてティサの上衣を掴んだユニスに向けて、ラリーヤが今の数を伝えながら、ユニスの足下に指をさした。その意味の理解が一瞬早かったアスリが、代わってユニスの履物の紐をほどくと、ユニスもラリーヤとアスリの意図を汲んで、急いで履物を脱ぎだした。\n\n「にじゅーろーく!にじゅーなーな!」\n\n ティサの腰布が、飛び出した。いよいよ、ティサはこの中で全裸だ。ラリーヤはユニスが受け取ったティサの衣服を、次々と回収していく。\n\n「にじゅーはーち!」\n「待って待って待って待って!!!」\n「にじゅーきゅーう!!!」\n「待って待って待ってってー!!まだ!!!まだ!!!」\n\n ティサが急ぐ。30が、終わる。\n\n「さんじゅっ!!終わり!よしっ!!ユニス!!行けー!!」\n「うわっ!!ラリーヤ!!」\n「ちょっぉおおお!!!ダメぇえええええええ!!!!!」"} |
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