Krixter/Repo / n0007ht /137.json
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{"novel_id": "n0007ht", "chapter": 137, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/137/", "title": "羞恥の恩返し", "content": "「えっ!」\n「え、じゃないっしょ。もう私もユニスも裸なんだから、ティサ脱げんなら、マジでユニスのちんちん食べちゃうよ?」\n「ダメ!!!」\n\n 否定の一言を強く発しながら、ティサは両手で顔を覆ってしまった。今のラリーヤの発言は、直前にユニスにも皮を切ると言ったのと同じく、ティサに対しての揺さぶりだろう。究極の変態でありながら、アスリのように少しでも気を抜くと本能に支配されてしまうこともなく、一貫して理性によって欲求を統御するラリーヤであれば、いずれユニスを捕食する心づもりはあれども、自ら初めての交わりの重要性を説き、お節介とも思えるほどのアシストをしてきた以上、必ずティサの思いを尊重するに違いなく、言葉そのものの意味を字面通りに受け取るべきではない。\n そうは言えども、その究極の変態が対峙するのもまた、煮詰めすぎてしまったスープの具のように凝固している、羞恥心の塊だ。ラリーヤによる実演を見た上で、今日である明日に先送りし、その今日ですら躊躇に躊躇を重ねるティサから、残る1枚の布を剥ぎ取るには、アスリの思いつく限り、ユニスにラリーヤが行ったような、実力行使以外に手段はない。では、嫌がるティサを裸にするとして、ラリーヤはすでにユニスを捕らえて手が埋まっているのであるから、ティサを脱がしにかかるのは、つまるところアスリ以外にいないことになる。\n まもなくラリーヤからアスリには、ティサの取扱いに関して、依頼がかかるだろう。果たして、この貝のように身を閉ざしてしまっているティサをこじあけて、丸裸にすることなど、アスリに可能なのだろうか。\n\n ふと、アスリの脳裏をよぎったのは、たった3日前の夕焼けの尋問だ。3日前のあの時、ユニスに引きずられて矢面に立たされたのはアスリであり、針を刺されかねないほど悪い習慣を、最後まで暴露せざるをえなかった。実のところ、アスリはあの状況下、自慰の事実を罵倒されながら、なお自慰を重ねたいと内心願ってはいたとは言え、通常の思考に沿ってアスリの心中を思いやり、たまにと頻度の副詞による釈明をしつつ、自慰の自供という助け舟を送ったのは、今まさに弱り切っていしまっている、ティサだ。\n\n そのティサはもう、時間切れだ。ラリーヤも努力し、約束もしたのだから、これ以上待つことは許されない。だが、優しかったティサに、アスリが配慮を向ければ、ティサがどうしてもなさねばならないことの手助けはできるはずだ。\n 授かった恩には、同じく恩で報いるべきである。ティサがアスリに、自供という形で羞恥を等しく引き受けようとしたのであるなら、ティサがここで受ける羞恥を同量か、恩の分を加えたそれ以上、アスリも分担するのが道理に適っているだろう。強制的な脱衣のほかに1つ、ティサを正しく導く道筋を見出したアスリは、自らもその覚悟を固めていく。\n\n「ねぇ、ティサ。」\n「…………何。」\n「私も、一緒に脱ぐよ。」\n「……え?」\n\n ティサが両手を顔から離し、アスリの方を見上げた。驚き以前に、アスリの述べた内容にまだ頭が追い付いていないのか、困惑がティサの顔中に広がっている。もう一歩、アスリが考えに至った経緯に進む。\n\n「この前、私が恥ずかしい時、ティサもたまにするって……、私のことかばってくれた。だから、今日は私も、一緒に恥ずかしくなるよ。」\n「嘘……?でも、そしたらアスリ……?」\n\n ようやく、ティサが驚きの感情にたどり着いた。両目を大きく見開いたティサは、口を半開きにしたまま、次の言葉を探しているようである。\n\n「やっぱやるじゃん、アスリ。」\n「え?」\n\n アスリの申し出に、ラリーヤも横から入る。茶化すように含んだその声に、アスリがラリーヤに振り向けば、こちらは顔面が変態の悪で、明らかに何らかのシグナルをアスリに向けて発している。\n すでにアスリはティサに、羞恥の一部負担を宣言してしまっているが、しぼんでいるユニスの影でにやつく変態の賞賛には、どうにも裏があるようである。もしかするとラリーヤは、アスリが自己の利益のためにティサに提案を投げかけたと捉えているのかもしれないし、自身も抱いているティサに続く次の目標の達成にも一歩近づいたと考えて、アスリを褒めるような言葉を送ったのかもしれない。\n たとえば、万が一にもティサがアスリのアシストを受けずに独力で脱ぎ、ユニスと仲を深めたとして、この洞窟の状況下、着衣のままとなるのはアスリだけだ。今でこそ時間の早さは緩やかであるとは言え、そこまで進めばどうなるかはアスリにも予見はできないし、服を着たままであれば、ただ傍観して今日を終えて、後でアスリは濃い自慰で満足しようとするだろう。\n 対して今、ティサとともに脱いでしまえば、どうなるか。どれほど早い流れが待っていたとしても、裸であれば突き進む3人に取り残されず、アスリも最後まで追尾ができる。\n\n すなわちラリーヤにとって、アスリの脱衣はティサを動的にするための試みであるのと同時に、アスリにも向けた、機会の創出に当たる。その上で、ラリーヤはティサに一切妥協を見せないだけでなく、今日という1日の中で、ユニスの2番目とアスリの1番目も、外野から追い求めていているはずだ。\n そうであるなら、またそうでないとしても、あくまでティサへの他利で動いたアスリは、利己の精神に基づかない旨を弁明したい。しかし、これからアスリを待ち受ける明白なコンプレックスの開示と、それによる涙が出そうなほどの羞恥に、アスリがゾクゾクと理性の残る頭部以下が期待しているのも正しく、ラリーヤはラリーヤで、アスリが頭を回し終えるよりも先へ先へ、ティサをあるべき姿に導いていく。\n\n「……まぁ、とにかく。アスリも一緒にぬぎぬぎしてくれるってよ?どうするん?ティサ。」\n「ねぇ、ホントに?アスリ。恥ずかしくないん?」\n\n 自ら泥を被ってでもアスリに寄り添ったティサの理性は、アスリをなお気にかけている。一方でその瞳は、アスリが身を挺して示した道筋にすがり、救いを求めている。あと一声だろう。\n\n「恥ずかしいよ、めちゃくちゃ。でも、私も頑張るから。ティサも頑張ろ?」\n「………………わかった。アスリ、ありがとう。」\n\n ティサが、立ち上がった。立ったまま、片方ずつ足を後ろに出して履物を脱いで、意識を高め切ったアスリも、ティサの正面に裸足で進み、相対する。\n\n この状況を自ら呼び込んで作り出したのは、アスリに他ならないが、今更ながらアスリは、これから起こそうとしている自身の行動にためらい、必ず訪れるであろう羞恥に、早くも身を焼かれつつある。豊かな乳房を持つラリーヤとティサは、アスリの小さな胸を見て、いったい何を思うのだろうか。また、ラリーヤの線とも、かつてのラダンとも、それよりもっと昔に見た女児たちとも、おそらくティサが隠す布の下とも、いずれとも大きく違う、一目で異形と分かる性器を前に、ラリーヤもティサも、アスリを男だと指摘するのではなかろうか。何より、以前はアスリの肉体に欲情できたはずのユニスも、比較の対象が生じたことで、アスリの前だけでは、今のように小さく主張をやめてしまうようになってしまわないだろうか。\n\n「私の体…………、ラリーヤと違って、多分ティサとも違って、ホントに変だから。びっくりしないでね?」\n「私だって、変だよ。おっぱいとか……。」\n\n あらかじめアスリの張った予防線に、ティサも同じく線を重ねる。ほぼ確実に、ティサの懸念はアスリに比べればほんのわずかな杞憂にしか過ぎないだろう。ティサも触れた胸について、アスリはティサ以上に過少であるだけでなく、アスリは性器も問題なのだ。たとえティサも股からはみ出ていたとしても、アスリよりも大きいことなど、ないに違いない。\n\n 恥ずかしい。あまりにも恥ずかしい。じっくりユニスに見てもらうことも恥ずかしいし、同性のラリーヤとティサに見せることも恥ずかしい。\n ここに恥ずかしい肉体のアスリがいるのだから、ティサは恥ずかしがらなくて良いはずだが、ティサもきっと、同じようにこれほど恥ずかしいのだ。それでもアスリの体中をうずかせる、この涙が出そうなほどの羞恥は、アスリの腹の奥を沸かせ、頬の奥の筋肉をぞわぞわとむさぼりながら、背筋に沿って全身を本能に向かわせていく。\n\n やはり、脱ぐべきだ。無言のまま、アスリは短い布の裾を、両手で強く握りしめる。素晴らしい。\n 泉に湯が沸く。意を決したアスリが、脇に作っていた布の結び目をほどく。\n\n アスリの背中側全てが、たいまつの明かりを乗せた、柔らかな洞窟の空気に触れる。ティサと同じく、布で体の前面だけを隠すアスリの後方奥は、文字の壁だ。気づけば自然と内股になって、太ももを合わせるアスリの背後、壁のどこかにあった裸の男の文字は、アスリの尻を見ているだろうし、立位のこの姿勢でも、ぐずぐずに湿った熱い肉の一部まで確認されているかもしれない。\n\n 心臓が、確実に今、大きい。胸腔に腹部全体、さらには手足の筋肉まで、今は全て心臓だ。心臓と化して、血液を送り出し受け止めるようになったアスリの指が、鼓動とともに震える。\n\n「じゃあ、せーのね?」\n\n これは、自殺だ。自決する合図を、アスリは自ら決した。しかし、本能が脱いで辱めを受けたいと語るのなら、理性もまた、ティサのために一肌脱ぐべき時が来たことを語っている。満場一致したアスリの全てに、ティサも黙ったまま、今にも涙を流しそうなほどに目を潤ませて、静かにうなずく。\n\n 洞窟の中、ティサの息遣いだけでなく、向かい合うアスリとティサを真横から見つめるユニスとラリーヤの視線も、アスリに届く。外から聞こえてくる滝の水の音、たいまつが燃えゆく音、アスリの胸から頭の中に、体中に、血液が一定間隔で送り込まれる音、それらの合間に1つ、乾いた木が小さく火に弾けた音が、響いた。今だ。\n\n「いくよ?…………せーーーの!!」"}

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