Krixter/Repo / n0007ht /144.json
Krixter's picture
download
raw
8.81 kB
{"novel_id": "n0007ht", "chapter": 144, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/144/", "title": "幸福の口づけ", "content": "「ユニスも、つるつるちんちんにしてあげよっか?子どもちんちんなのに、赤ちゃんになっちゃうねー?」\n「やだよ!」\n\n ユニスの反撃は、常に短く失敗に終わる。加えて今日は、ラリーヤがユニスも剃毛するのだそうだ。\n 素晴らしい試みだ。ユニスが赤子にまで戻ってしまえば、ティサは大人である優位を常にユニスに示せるに違いなく、陰毛がついたままの髪紐を指先で振り回して笑うティサも、もっと軽やかになれるはずであるし、アスリもそれで良い。事態がユニスの剃毛に向かいつつある中、それでも終始一貫して乱れかけた流れを本筋に戻すのは、すでに剃り上げた一筋を有するラリーヤの役割だ。\n\n「ま、ユニスのお毛け剃るのはあとにしてさー。紐もほどいて、ユニスも頑張れるようになったんだし、とりあえずティサ、ちんちんにもちゅっちゅしてあげよっか?」\n「は!?」\n\n ティサの指先から、髪紐がどこかに飛び出し、逃げていった。同時にアスリの真後ろの置きたいまつの方から、羽虫が火に入ったかのような、何かが燃え入る音が上がった。余裕が出てきていたはずのティサにも、一瞬で驚きの火が広がっていく。\n\n「ちょっと!!嘘でしょ!?」\n「さっきお口とお口で、上手にできてたじゃん。」\n「いやいやいや!おちんちん……だよ?」\n「私、昨日おちんぽペロペロしてたとこ、見たっしょ?あんな風にすればいいから。」\n\n ぐうの音も出ないティサが、ラリーヤの急な旋回を前にこわばった。人を説得するのにあたって、過去の実績ほど役に立つものはない。昨日のラリーヤにできて、今日のティサにできないことなど、原則として存在しないのだ。\n 固いティサの口元と、真上の主人の顔を見上げるユニスの皮まみれの1本が、アスリの心臓を加速させる。昨日も目にした口と、性器の組み合わせだ。あの太陽をまとったイケメンのくすんだ輝きは、日食のようにラリーヤの口中に収まっていた。\n 一方、ユニスは常時、日食だ。これから食事の前にティサは、一度ユニスを太陽にして、薄暗い洞窟を照らし出すのだろうか。それともティサはこのまま、日食を喫食してしまうのだろうか。どちらをティサが選択するにしても、この時点でアスリの胸元は苦しいし、自慰がしたい。洞窟の地面にはもう、ほぼ確実にアスリの恥ずかしい池ができあがりつつある。\n\n「ほら、どしたん?まず、ちんちん持って?昨日は普通に触ってたじゃん?」\n\n その通りだ。昨日、ラリーヤから大人と子どもの違いについて説明を受けた後、ティサは自ら進んでユニスの槍に直に触れて、たゆんだ皮膚をめくりあげ、ユニスを大人にしたり、また被せて子どもに戻したりして遊んでいた。それが今日、衣服を身に着けなくなっただけで、触れられない訳がないのだ。\n 一呼吸を挟んでから、再度ユニスの付け根に向かうティサの両手の指先は、すぐ前に髪紐をほどいた時と同じ、紐をつまんだような形で、またしても震えている。先端は子どものまま、わずかに大人に進む柔らかそうな体毛の上に、ティサの両方の小指と薬指が置かれると、まだ腰を引くようにしたままのユニスの腰が、びくりと震えた。今度は涙も落ちないが、ユニスの皮余りもここだけ水浴びしてきたかのように水気を帯びている。\n 日々ユニスの捕らえた獲物をさばき、自然の様々を採集して働く、少し色づいたティサの人差し指と中指と親指が、女性らしさを伴って、静かにユニスの槍の柄を包み込んだ。手にした上向きの柄を、ティサがそっと自らの顔の方へと向けていく。\n ここから先は、難易度が一気に跳ね上がる。仮にアスリが口にする係を請け負ったとしても、昼食の肉を食べた時のように、または昨日のラリーヤのように、臆せず食することはできないだろう。\n\n 他人事とは思えぬほどに、アスリにも伝わってくるティサの躊躇の中、一滴、雨が降った。槍の穂先からの涙でなく、アスリの真上から降った雨だ。雨に向かって、ティサもラリーヤもアスリも、一斉に上目遣いをユニスに送る。\n\n 両目を大きく開き、ティサと同程度か、それ以上にこわばっているユニスのこめかみから顎にかけて、汗がにじんでいた。これが今、雨となって落ちたのだ。\n 愛するユニスも、一生懸命だ。そのユニスに、アスリが今なすべきことは何か。\n\n 手をつなぐことだろう。隠すことを妨げるためだけに右手で掴んでいたユニスの左手首を、アスリが手のひらにつなぎかえて、さらに指まで絡めさせてやれば、アスリの右手に、ユニスの応じる力が込められていく。アスリの思いやりも、熱っぽい湿気と一体となって、つなぎあわされた手中に宿る。\n\n「……ティサ、汚いから。いいよ。」\n\n 立ち止まったティサに、ユニスが助け舟を送り出した。今のユニスの声は、いつも4人で過ごす時のユニスのものでなく、昼前にこの洞窟でティサとユニスが2人だけになって合意形成したことを、アスリが盗み聞きした時のように凛々しかった。\n 優しい男だ。だから、アスリはユニスが好きだし、ティサもユニスが好きなのだ。気配りと気遣いのラリーヤも、さすがにユニスの思いやりを茶化すことも、強引にティサを進めさせることもできないのか、ここは無言だ。\n\n ティサが、時間を使う。次のティサの一手で、状況は前にも後ろにも、どうにでも転がりうる。今が洞窟の分岐点だろう。\n 固いティサの表情は、短い間に真面目から真剣を経て、最後はユニスと同じ、優しさへと着地した。決まった。\n\n「………………ユニスんなら、汚くないよ。」\n\n 尻すぼみに、小さく述べたティサが、目を閉じた。長く美しいまつげが、ほんの少し上に向きを変えるのに合わせて、ティサの顎も等しく角度する。\n\n 軽く前に突き出した、ティサの薄い唇が、ユニスの性に近づいていく。ティサがユニスの直前の空気を吸い、静かな吐息を動かない槍がかき分ける。\n\n「………………っ!!!」\n「んっ!!!」\n\n とうとう、ユニスの特徴的な皮膚が、ティサの唇と接触した。首を一度前に送り出してユニスと触れたティサは、すぐに頭を引いて唇を離す。\n\n「っ!!!」\n\n ティサが、連続した。もう一度、同じようにユニスに短く口づけをしたティサが、後方に倒れるようにユニスの皮先から唇と距離を取っていけば、2人の接地点の間には、ティサの唾液かユニスの涙か、それとも両方が混ざったものか、透明な線状の紐飾りが引かれていった。そうして出来たばかりの新たな紐を、薄目になったティサは、左手だけをユニスの槍から離して、顔の前で手を振って断ち切ると、左の手のひらで眉間から鼻、ユニスの口と性器に触れた口までを覆って、落ち込む時とは異なる仕草で頭を落としていった。\n\n「めっちゃ恥ずかしい…………。」\n\n また幸福だ。心中をそのまま表しながら伏せるティサの、少しでも手で隠そうとする顔の隅々からこぼれるのは、ユニスへの想いを伴った、明らかな笑みだ。羨望をはるかに越えて、真隣で羞恥と愛に共感するアスリの胸の内側では、ティサが得ているであろう幸せが、なぜか自分自身のもののように、じんわりと染み渡っていった。"}

Xet Storage Details

Size:
8.81 kB
·
Xet hash:
9ac32853d2a562f7d44a21e2d579de5c935962d7fbe5931127b60130dda9c3c4

Xet efficiently stores files, intelligently splitting them into unique chunks and accelerating uploads and downloads. More info.