Krixter/Repo / n0007ht /148.json
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{"novel_id": "n0007ht", "chapter": 148, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/148/", "title": "克己", "content": "「ティサッ!!!!!」\n「うそっ!?」\n\n 前に倒れそうになったユニスが、ティサの名前を今日1番大きく呼んだ。あのラリーヤまでもが目を丸くして、ユニスとつないでいない方の手を口の前に広げており、目前の光景が信じられない様子である。加速する洞窟に遅れを取るアスリの精神は、くわえてからまだ動きのないティサに、早くも大きく差をつけられている。\n いや、ティサは動いている。その動きは、昨日ラリーヤがイケメンを前にして口を性器に変えた、頭を前後に振ったり、頬をこけさせて吸い込んだりしていた動きのうち、しゃぶり取るようにするものだ。\n\n あれほど性に抑制的だったティサが、今や口いっぱいに含んだユニスを、舌で舐めまわしている。なぜティサは今、眉間にしわを寄せて、おそらく口の中から鼻孔の奥深くまでを、狂おしい濃厚さで満ちさせ、呼吸することすらままならなそうにしてまで、ユニスを舐めあげているのか。\n\n 愛だ。ユニスを愛しているからだ。たとえ薬液を蹴られて体中にかけられ、その器を膝に当てられてしまっても、ユニスが嫌だとこねた駄々を、ティサは全力で回収して、その姿勢でもって、子どもでしかなかったユニスを大人に成熟させようとしていのだ。\n あの狂気の蓄積は、性の権化たるラリーヤも看過できなかった。しかしティサにとって、ユニスであれば汚くはない。故に、ティサの口淫は、ユニスの清潔とティサの衛生観念の両面から理に適っているだけでなく、ユニスが正しく将来に向かうことも手引きする、正しい選択である。\n\n「あっ……!ティサ……!」\n\n ユニスがまた、ティサを呼んだ。その直前には、たしかな快楽もあった。\n\n「えっ、ちょっと、それ………………、すごい……!!」\n\n 何かを言いかけて止まったラリーヤも、百戦錬磨のラリーヤへと身を戻し、ティサを称賛する。その間もティサの舌は動き、唇の端からはユニスとティサが口と口同士で接触した時と同じく、2人の混ぜあった唾液が少しずつ外へ、さらにティサの体上の薬液へと向かう。\n\n アスリは自ら正しいと下した結論が、果たして本当に正しいのか、わからなくなった。事実に目を向けなければならないことも、また事実だ。一方で、事実は狂ってしまった。ユニスの狂気が、ティサまで狂わせてしまった。\n\n 違う。アスリも一緒になって、どうしようもないほどに狂いたい。それが改めて正しい結論だ。もう、自慰を行っても許されるだろうか。\n それも違う。自慰でもない。アスリが今したいのは、夢中で昨日のラリーヤを真似るティサと同じく、凄まじいユニスを口中で堪能し、本能を満たすことだ。\n\n 悔しいほどに、ティサが羨ましい。今、確実にティサは、脳で直接ユニスを味わっている。我慢を痛感すればするほど、涙がこみ上げてきそうな感覚が胸の奥からせりあがり、胸のずっと下、泉の奥でも噴出し、アスリから徐々に距離を遠くするティサの口とユニスの性器の密着に、追いすがるアスリの魂と、より後方に置き去りされていく肉体は乖離していく。\n\n「あっ……!ティサ、ティサ!ティサティサティサティサティサッ!!!」\n\n つないだままのユニスの左手が、強くアスリの右手を握り返した。ティサに前傾していたユニスが、一気に突き上げるようにして上体を起こす。\n 連続してティサを呼び続けたユニスの、無駄なく美しく割れた腹筋の中央を、1滴の汗が周囲の汗を巻き込んで、水流として落ちていく。その流れをさかのぼって見上げたユニスの、前に突き出した顎の奥では、すでに何かが嚙み殺されている。\n\n「あ!!!ダメ!!!ティサ!!!ちょっと!!!」\n\n その何かを直感したラリーヤが、ティサの左肩を右手で掴んで、後ろに下げようと試みた。しかし、ティサは両手で押さえる槍の中央から指を離さない。当然唇も離さなければ、ティサは口中の動きを止めることもしない。ティサが口の中で、ユニスと世界を作り出していく。\n\n 止められない。止めてはいけない。アスリは空いた左手を、ユニスのすねに置きやってさすり、波に飲まれそうなユニスを誘って、自身の切なさをユニスに累乗する。\n\n「あー!!あー!!ティサ!!ティサー!!!」\n\n 愛の返答だ。快楽の奥のユニスが、献身のティサに愛を返した。\n\n「あーっ!!あーっ!!あーっ!!」\n「あーーー!!!」\n\n ユニスが、流出する。ユニスに心を重ねようとするアスリの本能も、欲求に苦しむ肉体に感嘆の声を上げさせる。\n 再びユニスが前傾し、びくり、びくりと、全身を大きく震わせた。まだ震える。まだ震える。\n\n 5回、6回。まだ震える。\n\n「あーあーあー、もうー!!あー!!」\n\n 諦観に満ちたラリーヤが、少ない言葉で状況を語る。何を言わんとしているのかはアスリも想像がつく。ただ、覆水は盆に返らないし、蹴り上げて飛び散らせた薬液も、器には戻らない。漏らしてしまったユニスの乳も、ユニスの槍に帰すことはなく、あとはティサが受け止めるのみだ。\n\n そうであった。ティサの口内では、狂気が乳とないまぜとなって、愛が暴力となっているはずだ。\n 我に返ったアスリが、未だに微動するユニスの寂寞の眉から、ティサへと視線を戻せば、こちらは目じりが裂けて眼球を落としそうなほどに瞼を開かせきっていて、現物よりずっと太い丸太を、突然口に放り込まれしまったかのようである。自らここまでしておきながら、受け止めたユニスの愛の答えは、ティサが考えていた以上に凄まじい速度を伴っていたのかもしれない。\n\n アスリの頭上から聞こえてくる、荒々しいようで女々しい、連なる吐息のリズムは変わらないものの、右手に込められていた握力は、直後に急速に弱まっていった。ユニスは、余韻の時間に進んだのだろう。中身の蓄えられたティサの頬も、もうこれ以上は膨らまないはずだ。\n\n「もう!また出ちゃったじゃん!」\n「ん-っ!!!ん-っ!!!」\n「あーっ!!ティサ!!ヤメロ!!」\n\n 自分を表現し切ったユニスと、口いっぱいに愛を留めるティサの2人を、やや甲高くラリーヤが諫めた。ティサが何か言いたくても喋れないのは仕方ないが、余韻に浸るだけで口が空いているユニスは、何をやめてほしいのかはっきりすべきだろう。それでもユニスの働きかけは、ティサの口づけを終えさせるのには有効であったようで、高度を下げつつある槍が、洞窟中のティサの洞窟から引き抜かれていった。\n\n「んあっ!!!」\n\n ティサから離れる瞬間、ユニスがまた一度歓びを滲ませて、身をよじる。ティサもユニスを一滴もこぼしたくないのであろう、尖るような形の薄い上下の唇はいやらしいし、その唇に挟まれて子どもに戻ってしまった、全てがずぶ濡れの子槍もいやらしい。頼りない茂みの付け根から、ティサは両手も放しながら、驚くように見開いていた目を今度は細め、なお皮を見つめながら、ユニスの乳を保持する口元を、空いた両手で覆っていく。\n\n「ん-っ!!ん-っ!!」\n「あーあー、どうする?ぺってする?」\n\n 言葉を口にできないその背に、乳房を揺らすラリーヤが片手を回して、ティサに配慮をかけた。風が吹けばはためきそうな皮に包まれたことで、立ち上っていたユニスの狂気は、湿った唾液の匂いへと置き換えられた一方、ティサの口内は未だに狂気で充満しているはずだ。\n 一体ティサは、今どのような味わいを得ているのだろうか。再び眉間にしわを寄せてしまったティサの顔は、それが決して優れたものでないことを物語っているが、あの強烈なユニスをティサは口いっぱいに広げているのだから、ラリーヤの言うように吐き出すとなど、もしアスリが当事者であれば絶対にしないし、言語道断である。もっと踏み込んで言うのであれば、アスリが口中でユニスを受け止め、どうしてもこれ以上口に含んでいられなくなってしまった時には、ユニスがどうあったか、しっかりと記憶してから全て飲み込んで、ユニスと永遠に一体になることを選ぶはずだ。\n\n「ん………………っ!」\n\n ティサの喉が、一度小さく引き締まってから、弛緩する。口から鼻までを覆っていた両手のひらをよけたティサが、左手の甲で口元を拭い、続けてつぶやく。\n\n「…………変な味。」\n\n 狂気を飲み干したティサが、薄い唇を笑みの形に変えた。ティサも、ユニスを無駄にしなかった。\n 成し遂げたその口元には、まるでラリーヤのものかのような、悪さが控えている。ティサが狂い、己の理性に打ち克った。"}

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