| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 161, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/161/", "title": "好意の認可", "content": " アスリに緊張が走る。当初、ティサはユニスを泉に受け入れられず、ラリーヤに切られ、絶叫していた。ラリーヤが切っていたのは泉の入り口であったが、それ以外の堤も核も、ティサと比べるまでもなく、どう考えてもアスリの方が圧倒的に大きい。細かな部位は関連しない可能性が高いとは言えども、場合によってはラリーヤにアスリも切開されなければ、アスリはユニスと1つになれないだろうか。\n\n しかし、今、アスリは深く杞憂すべきではない。念頭に置くべきことは、3日前にまさにこの洞窟でアスリがユニスに、ティサが初めてを終えた後、初めての2番目を頂戴することをせがみ、受諾したユニスもその要請に従って、正しく行動に移したことである。\n この際アスリにとって、ラリーヤによる切開の痛みなど、どうということはない。この、外にはみ出る真実をアスリはユニスたちに晒し、死に至ってしまいかねないほどの羞恥を受けて、辱められ、ラリーヤの刃すら受け入れて、そうまでしなければユニスの思いに応えることはできないのだ。\n\n「…………は?」\n\n 短い間の興奮を伴うアスリの無言を前に、低い声が洞窟に続いた。ティサがユニスへの愛を変換し、一音でアスリを威嚇したのだ。\n 直後に、声に乗った圧力が、ティサの瞳からアスリに届いた。急に脇で湧いた汗が、アスリの腰へと滑る。\n\n「なん、それ……?約束……?私、そんなん、アスリがユニスとしてるなんて、知らんかった。」\n\n ユニスに本心を開示し、その愛を語りながら苦労したティサは、股間の茶髪の上に置きやった手の奥から、未だに草の山に向けて赤と白の混ぜ物を垂れ流している。怪訝な表情に変わったティサの疑問は当然で、どうしようもなく性にだらしないラリーヤが変態で押し切って、ようやくユニスとつながることを認めたばかりなのだ。\n 故に、ユニスの性器が使用できるかは、所持するユニス本人の意思によらず、ティサが司っているのである。それにも関わらず、ここでユニスが見せた発言は、ユニス自らが起点であって、さらに元を辿ればアスリとの約束という、ティサにとって寝耳に水でしかない代物であり、到底看過できる訳がないのだ。\n\n「んふふふふふ……。アスリ、やるじゃん?」\n\n それぞれアスリへと突き刺さる、緊迫に向かうティサからの視線と、共犯となったユニスの気まずい視線に、怪しくいやらしい、まとわりつくような視線も加わった。この視線は眼だけでなく、大きな胸の上に乗った2つの輪も合わせて、4つの視線を1人で放つのだから、性的恐怖である。\n\n「……ねぇ、アスリ。どゆことなん?」\n\n 再び厳しい問いが、ティサからアスリに飛んだ。これでは、3本の矢を同時に放つユニスの姿をティサに話し、ティサが2本までしか見たことがないと言って、詰問された時と同じ流れだ。随分と前にも思えるが、最近の記憶が濃厚すぎるだけで、ラリーヤの教育が始まるきっかけとなったユニスの裸につながっていく、あの記憶すらたった3日前のものだ。その3日前と比べて、今のティサの方が、初めてを終えて強くなったせいか、口調が尖っている。\n アスリがユニスと約束を取り付けたのは、ラリーヤの教えの時間のあと、3人が洞窟から去って、1人で母に謝罪をしながらユニスの狂気の残り香で波を受けて流され、そこに自慰の対象である本人が戻ってきた時だ。その際、自慰の現場を見てしまったユニスは良いとしても、またアスリは、ティサとラリーヤの前で自慰の自供をせねばならないか。答えを選ぶ間に続くアスリの沈黙に、ティサの眉も徐々に険しく角度を傾けていく。\n\n「…………ねぇ、ティサ。いいじゃん?そんなん?アスリだって、ティサと一緒なんだよ。」\n\n 救いの手だ。ティサに向き直ったラリーヤが、言葉でアスリに手を差し伸べた。\n\n「はぁ?何?私と一緒って?」\n「えー!?わからんのー!?だから、アスリだって、ティサと一緒でー!」\n\n 悪さが一切ない、無邪気で輝かしい笑顔が、ラリーヤからアスリに送られる。思考を続けるアスリの脳裏を、今日の昼食前にラリーヤと2人で過ごした、ひと時の会話がよぎる。\n\n まずい。これは違う件の自供だ。正しくは自供ではない。ラリーヤが、アスリのあることを暴露しようとしている。\n\n「ラリーヤ!!」\n\n そこまで追いついたアスリが、ラリーヤを呼び、右手を前に突き出した。だが、すでにラリーヤの喉は、事実を音に変える直前であった。\n\n「……ユニスのこと、好きなんだよー!!!」\n「ええええええぇええええええ!?!?!?!?!?」\n「!………………。」\n「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」\n\n 終わった。思わずアスリは、両手で目元を隠したのと同時に、ティサの驚きを上書きするように大きく叫んだ。\n 今、ユニスからは、驚きの声は聞こえなかった。つまり、鈍感なユニスでさえ、あれほどアスリがいろいろしていたのだから、アスリの胸中はバレていたということだ。\n\n 恥ずかしい。アスリはあまりに恥ずかしい。なぜ恥ずかしいのか、アスリもよくわからない。アスリは現に、全裸なのであって、本来ならそちらの方が恥ずかしいはずだ。それだけでなく、全裸にも気づいたアスリは、余計に恥ずかしい。\n 正直に言えば、ティサにアスリがユニスに抱く思いを知られてしまったのは、恥ずかしいというより、申し訳ないという思いに近い。森で育まれた愛に、よそ者のアスリが立ち入るべきではないからだ。\n\n では、ユニスに知られてしまったことについて、より正しく表現するのであれば、アスリの愛も公然となったことについてはどうか。これは、恥ずかしい。本当に恥ずかしい。よくティサはあんなことをしながら、ユニスに向かって思いを連呼できたものだ。考えただけで、アスリの頭はおかしくなりそうである。\n\n「えっ!?!?えっ!?!?えっ!?!?ちょっ、待って待って待って!?!?アスリが、ユニスを!?!?!?」\n「なん、ティサ?わからんかったん?ティサとおんなじで、バレバレだったっしょ?」\n「はぁああああ!?!?んなん、どこで!?」\n「えー、たとえばー……、あぁ、私がここで赤ちゃんの作り方教えた時、アスリもユニスの赤ちゃんほしい?って聞いた時とか!!」\n「バカッ!!!!!マジで恥ずかしいから!!!!!ちょっとやめてよ!!!!!」\n\n 恥ずかしさが限界を超えているアスリも、顔を上げて腕を伸ばし、ラリーヤの肩を掴む。あのタイミングで、ユニスへのアスリの思いがラリーヤに知られていたとは、アスリも初耳だ。直前にティサから救ってもらった恩義を感じつつも、アスリはラリーヤに反撃をかけていく。\n\n「ってか!!!ラリーヤ!!!さっきそんなん話して、もう、すぐ……、その……、ユニスの前でバラすとかさ!!!マジでありえん!!!」\n「え、待って待って!!アスリとラリーヤ、何話してたん!?!?」\n「何って、アスリの恋とか?」\n「バカ!!!ラリーヤ!!!」\n「バカ!!!ユニス!!!」\n「俺!?!?」\n\n アスリがラリーヤを罵ったのに続いて、ティサがユニスを罵った。火のついたように騒がしいとは、まさに今の洞窟のことだ。実際、アスリの顔は火で炙られているかのように火照っている。ラリーヤに切られた痛みはどこへ行ったのか、ティサは得られる情報を貪るかのように勢いよく続ける。\n\n「えっ!?じゃあさ、待ってよユニス!!ユニスも、アスリがユニスんこと好きなん、知ってたってこと!?」\n「えっ………………。」\n「……どうなん?」\n「そりゃ…………、なんとなく?」\n\n ラリーヤの肩を手放して、アスリが脱力しながら見つめたユニスは、あの伏し目で、もじもじしながら草を見つめている。どうして今、ユニスの皮槍は、また真上を向いて硬直しているのだろう。恥ずかしいアスリは、本当におかしくなってしまいそうだ。\n\n「…………はぁあ~~~~~…………。」\n\n 半分は言葉の、ティサのため息だ。ただただ、アスリはティサには申し訳ないし、ユニスには恥ずかしい。今のアスリは、ティサの吐いた息すら直視できない。ユニスの伏し目が、アスリに感染してしまった。\n 羞恥のアスリに対して、先に動いたのはティサだった。草が踏まれる音とともに、視界の外からアスリに腕が2本伸び、アスリの両方の二の腕に置かれれば、続いてきらりと、腰飾りについた宝石の輝きがアスリの目に飛び込んでくる。アスリもティサの顔を、見ざるを得ない。\n\n 長いまつ毛の瞳の奥に、怒りはなかった。腕を通して伝わるティサのぬくもりもまた、静かだ。薄く美しい唇が、アスリに問う。\n\n「…………ねぇ、アスリ。あの…………、ユニスんこと好きって、本当……?」\n「…………ごめん、ティサ。私なんて……、ダメだよね?」\n\n 答えよりもまず、アスリが謝罪を先行させる。耳にしたティサが、アスリの体全体を、わずかに近づけた。\n\n「…………いいから。ユニスんこと、本当に好きなん…………?」\n\n 本心を、ティサが求めている。真剣で澄んだまなざしに、アスリも覚悟を決める。\n\n「…………私も、ユニスのこと………………、好き。」\n\n 言った。アスリは、ティサに、ユニスを告白した。ティサも、つぶやくように続ける。\n\n「………………私も。ユニスのこと………………、好き。」\n\n 最後の一言とともに、ティサに柔らかな笑みが広がった。アスリは、視線を落とす。あまりに貧相な自身の胸に対し、ふくよかなティサの乳房は、ユニスに誰が適しているか、如実に示している。ここまでで、アスリはやはり引かなければならないだろう。\n 恥ずかしい思いの中で、アスリはひどく勘違いをしていたが、ユニスに思いを伝えて良いのは、ティサだけなのだ。誰もが沈黙する中、引くように戻る冷静さとともに、アスリの心が、失った恋を涙に変化させようとした、その時であった。\n\n「……………………でも、いいよ?」\n「……………………え?」\n\n ティサが、何かを返した。再びアスリが、視線をティサの顔に戻す。\n\n「……アスリなら、ユニスとなかよし、……してもいいよ。」\n\n 微笑むティサが、優しく首を傾げた。半開きのアスリの口元が、息をのむ。ティサが続く。\n\n「ユニスのこと、私も好きで、アスリも好き。でも、アスリなら、いいよ?」\n「…………それって……?」\n「……アスリは、私の大事な友達。アスリがいなきゃ、ユニスも私も、生きてない。だから、アスリもユニスんこと好きなら、……ユニスと初めて、やってみなよ。いつしたんか知らんけど、初めての約束しちゃうぐらい、ユニスんこと、好きなんしょ?」\n\n 迷わずこくりと、アスリが首を縦に振った。これが、アスリの真意だ。\n\n 直後に、柔らかな感触がアスリの左頬に届いた。ティサが、アスリの頬に口づけをしたのだ。\n 突然の触れ合いに、アスリが驚く間もないうちに、早くもティサはアスリの目の前に戻っている。しかし、ティサの微笑みは大きな笑みへと代わり、左右の口角が上がった薄い唇の奥には、白い歯が並んでいた。\n\n「……アスリ、頑張ってね?」\n「……ティサ、ありがとう。」\n\n ユニスと結んだアスリの約束を、ティサが許した。ユニスに抱くアスリの好意が、ティサに認可された。"} |
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