| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 162, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/162/", "title": "言うべきこと", "content": " 二の腕にあったぬくもりが去るのに合わせて、ふわりとティサの髪がアスリの目の前を舞い、頭を横たえていた草由来の香りが、アスリに送られる。今度はティサが、ユニスの両手を取った。\n\n「ユニス。アスリんこと……、優しくしてあげて?」\n「…………わかった。」\n\n 森の2人による、独特の間合いだ。ティサの初めての血液を中ほどにまとうユニスの皮槍は、真上を向いて興奮を主張するが、ティサと手を取り合い、しっかりと見つめあうユニスに、頼りなさはない。\n これからアスリは、この瞳に見つめられ、ティサが手にする腕の中に抱かれる。別にユニスが初めてでなくても、アスリは良い。むしろ初めてをこのティサにユニスは捧げたのだから、筋道は通っている。\n そして、当のティサは快くアスリに次の道を譲っているし、何よりアスリ自身にとっての初めてだ。まもなく迎える初めての相手がユニスで、アスリは良かった。このまま順調に進めば、昼前にラリーヤがアスリに助言した通り、アスリにとって良い思い出となるだろう。\n\n「んふふふふふ…………。じゃあ、しょうがないね?私より先に、アスリだねー?」\n\n アスリと2人きりで語った時とは打って変わって、変態の化身になり下がっているラリーヤも、アスリの優先を認めた。同時に今の発言は、アスリとユニスに、次に進めという合図以外の何物でもない。まずユニスに何をすべきかに思いを馳せ、アスリが巡るめく羞恥に赤らみ、肉深くの源泉は、湯を沸かしていく。\n\n「よーし!!!じゃあアスリ!!!ヤろっか!!!まずはおまんこ、くぱぁするよ!!!ティサも手伝って!!!」\n「えっ!?!?!?!?」\n「ちょっと!!!!!!」\n\n 不意打ちだ。気づけばアスリの右隣は、一気に回り込んだラリーヤによって確保されている。再び右の二の腕にアスリが感じるのは、ラリーヤの乳房の爆発的な柔らかさだ。\n 当然、膝立ちだったアスリは、とっさに草の山の上でしゃがみこむ。続いてアスリは周りの草を掴んで、足をたたんで座った股間へと、次々に草をかけやって、3人から性器を隠そうと試みた。驚きを見せたティサも、ユニスの手から右手だけを放して、アスリの左肩に触れていく。\n\n「ほら!!!アスリ!!!足広げるよ!?」\n「やぁ!!!ちょっと待ってよ!!!」\n「何!?アスリさっき、ティサにやーやーしないようにしたんに、自分でもやーやーすんの!?!?」\n「いいから、ちょっと!!!」\n\n 良い思い出を願っていながら、このラリーヤは強引だ。たしかにティサが恥ずかしがり、ためらい、延々と遮った挙句、ラリーヤとアスリも協力と応援をしながら、やっとユニスとつながった以上、ティサを推進させたアスリにためらいは許されない。\n だが、急転する時間の直前、ユニスと何から始めるべきかの想起を終えていたアスリには、1つだけ、先に試してみたいことが、すでに心に決まっていた。このまま、直にユニスを泉に招く前に、アスリはそれだけは先に成しておきたい。\n\n「ねぇ!!!ラリーヤ!!!待ってってば!!!」\n「なん、アスリ!?ほら、おまんこくぱぁ!!!」\n「いいから!!!待ってってば!!!ちょっと!!!」\n「なに!?」\n\n やっとラリーヤの、アスリの右手と右足に伸ばした両手が、動きを止めた。アスリは、ラリーヤか、ユニスか、あえてティサか、どこを見つめるべきか悩む。泳いだアスリの両目は、結局ユニスの皮槍にたどりついた。\n 用はないのに、目が向く先はここだ。もっとユニスの上をアスリは見るべきだったが、感情が先に、口内に待機する。\n\n「………………私、………………ちょっとやってみたいこと、…………あるかも。」\n\n 上目遣いを、言葉尻にアスリが乗せれば、斜め上からユニスの視線も降り注ぐ。困惑がともに控える中でも、猟師がアスリの意図を捕えようと、アスリのサバンナを見渡している。\n\n あまりに凛々しくて、アスリは見ていられなかった。本当に、アスリはやるのか。\n\n「……ふーん?なぁにぃ?やってみたいことってー?」\n\n アスリの右の耳元で、性の悪魔が問う。内ふとももを線上につたう、ティサの赤と白のまぜものに伏し目を送りながら、この血と精の筋に続いていく前の、羨ましかったティサの行為を、アスリは自らの肉体に重ねていく。\n\n「………………私も、ユニスと…………、まず…………、ぎゅってしながら…………、ちゅっちゅ、してみたい、かな?」\n\n 欲望を、アスリは声にした。恥ずかしい。\n\n「…………ユニス?」\n「おっ…………。」\n\n 森で育った2人が、すぐにアスリの意を汲んだようだ。すぐさまティサが、左手でつないだままだったユニスの手を引けば、膝立ちのユニスが、真正面からアスリと対峙する。\n 4人の密度が、高い。右隣の悪魔は、まだアスリに問い続ける。\n\n「………………どっちと?」\n「………………えっ?」\n「ユニスの、どっちとちゅっちゅしたいん?」\n「……どゆこと?」\n\n いやらしさしかない問いの出所に、アスリもわき目を向ける。案の定、ラリーヤの顔に広がっているのは、悪さでしかない。悪は、二択を迫る。\n\n「だからぁ、ユニスのお口とちんちん、どっちとちゅっちゅしたいん?」\n\n 無論、アスリの想定は、ユニスの口だ。先ほどのティサのように、アスリはユニスと抱きしめあいながら、舌同士で握手がしたいのだ。\n それは、今も変わらないはずだ。ところがアスリの本能は、別解を理性に示し、理性も本能を称賛する。\n\n「……………………どっ、…………どっちも、かも。」\n「んふふふふふ…………。アスリ、どっちもちゅっちゅしたいってよ?ユニス?」\n\n 恥ずかしい。ラリーヤの囁きが、アスリの内耳を回転させている。うつむくアスリは、喉の奥が突き刺されたかのようだ。\n\n「ユニス?……できる?」\n「………………アスリ?」\n\n 母性に富んだティサの声が、ユニスに可否をうかがった。そこで、ユニスは声で返事せず、代わりにアスリを呼んだ。ユニスはティサに、目でできると答えた上で、次はアスリを気にかけているのだ。\n\n「…………ほら、アスリ?」\n\n 隣のラリーヤは、アスリを促している。両取りを選択してしまったが、アスリはユニスのどちらから口づけすべきか。判断に当たって、アスリはティサの時のように、あまり時間を多くかけることはできない。\n\n 正攻法だ。口と、口で対話し、アスリの愛をユニスに伝えるのだ。口と性器は、そのあとだ。\n\n 決意したアスリの鼓動は、洞窟中に鳴り響くようにアスリの頭をぐらぐらと揺らし、たぎる血潮は全速力で体中を駆け回る。アスリが、正面で膝立ちを取るユニスに、瞳を向ける。それにあわせて、まだユニスとつないでいた左手を放したティサは、そっと寄り添うように、アスリの左隣に腰を下ろしていく。\n ユニスの瞳の中で、熱いアスリが左右に1人ずつ、アスリを見返している。なんという顔をしているのだろう。アスリは今、この苦しいほどに高鳴っている心臓を、ユニスに直に触れてもらって、愛を心から伝えたい。\n 想いのままに、静かにアスリが両手を伸ばし、ユニスの手をそれぞれ取った。この手も、熱い。ティサはこの熱を、ユニスから感じていた。今から少しだけ、アスリもユニスをティサから借りて、我が身にユニスの熱を加えてゆくのだ。\n\n 心臓を、ユニスに伝えなければならない。狩りの目をしながら、ユニスはアスリに手を捉えられている。2人の小さく、熱を帯びた呼吸の中、アスリの引き寄せるユニスの弓のような両手は、心脈の元へと近づいていく。\n\n「……………………っ!!!」\n「!!!!!!!」\n「!!!!」\n「!?!?」\n\n アスリの胸の色づいた左右の頂点に、ユニスの両方の手のひらが、ぴったりとおさまった。これだけで波を被りそうなアスリが息を1つ吸った以外、誰も声を出さない。\n ただ、ユニスは目を大きく見開いて、喉ぼとけを一度上下させており、ティサもユニスがアスリの胸に触れた瞬間に、アスリの左の二の腕に自分の身を寄せながら、視界の隅で左手で口元を隠す仕草を見せた。ユニス以外、左右の2人の表情をアスリは細かく見られないが、ラリーヤも茶化すことなく、ただじっと、成り行きを見守っているようである。\n\n 小さなアスリの膨らみは、これで全てユニスの手中だ。ユニスは、アスリの鼓動を理解しているだろうか。\n\n「…………私のどきどき、わかる?」\n\n 自然と、アスリの口から思いがこぼれる。真一文字に結んだ口で、さらに唇を内側に小さく噛みながら、ユニスがわずかに頷いた。愛しい人だ。\n\n 愛を求めるアスリの手は、アスリの成長を手にするユニスの両手から離れ、次は女子と見まごうほどにきめ細やかでかわいらしい、ユニスの両頬へと伸びていく。アスリの求めに応じるユニスもまた上体を前傾させて、頭をアスリに下ろしていく。\n\n こめかみに浮かんだ汗が、ユニスの頬を流れ、伸び行くアスリの手の中に落ちる。ほどなく、心臓と向きあうユニスの頬を、アスリの両手が取り上げた。\n\n「………………アスリ?」\n\n ユニスが優しく、はにかんだ。一段と、アスリの心臓がこだまする。\n\n「………………ユニス。」\n\n 言うべきことを、言う時だ。ごくりと唾を、アスリが飲んで、勇気とともに恋を形にする。\n\n「………………………………好き。」\n\n 言えた。心臓は、壊れそうなほどに高鳴っている。言葉に続いて、ユニスの両頬に触れるアスリの手を、本能が引き寄せる。アスリに任せるユニスもまた、アスリと距離を近づけながら、瞼を閉じる。\n 美しい顔だ。安堵とともに、瞼を閉じたアスリも、穏やかな暗闇で照らされる。\n\n 唇と、唇が、触れた。アスリは、幸せだ。唇とは、なんと柔らかいのだろう。草の山に座ったままだったアスリは、もっとユニスに近づきたくて、自然と腰を持ち上げ、ユニスに合わせた膝立ちの姿勢を取っていく。それとともに、ユニスの両頬に置いていた両手も、目を閉じた暗がりの中、ユニスの首筋から胸をたどって、背中へと回していく。\n 小さな胸に触れていた、ユニスの両手も胸からアスリの背中に回る。寂しくなったアスリの胸を、次はユニスのたくましい胸板が受け止めた。一方で腰回りでは、固く主張する上向きの1本が、アスリに女子を求めていて、生えかけの薄っすらとした茂みが、男子を2人の間に包み込む。\n\n 2人の体に、距離の概念がなくなった。今、ここにいるのは、アスリと、アスリの大好きで大好きで大好きで大好きな、ユニスだ。時間も、止まる。\n\n 動いた。時間が、動く。アスリの口元で、時間が動いている。\n ユニスの舌が、アスリに会いたいと伝えている。互い違い、斜めに傾げあってつながる唇の端から、アスリがユニスとつながっている証が、2人の混ぜ物となって、流れていく感覚をアスリが得る。小さく開いた唇に、やっとユニスがやってきて、アスリに入る。\n\n 舌が、とろけてしまいそうだ。ユニスの、味だ。2人の接する唇から、鼻孔に赤子のもののような、唾液の匂いが上って、とけゆく舌とともに、アスリの閉じた目から脳の前部まで、ユニスがアスリに付き添っていく。\n\n ただ、アスリもユニスを訪問したい。やってきたユニスと絡めあう舌の隣から、アスリもユニスに向かう。\n 歯に舌が触れた。ユニスの家だ。伸びる舌と舌が、こすれ合う。\n\n ふいにユニスが、舌の力を抜いた。硬く伸ばしていたアスリも、ユニスを真似て力を抜く。柔らかく、ユニスがアスリの舌先をなめあげて、アスリもユニスを舌で休める。\n\n 波が、近いのに遠い。切なくて、もどかしい。それでも今は、この時間をいつまでも、アスリは続けていきたい。ユニスと、1つの舌で暮らしたい。愛を、アスリが送る。"} |
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