| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 165, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/165/", "title": "3人目の狂人", "content": " 熱意だ。一直線に喋れない口ぶりも、うつむく視線も、握りしめた両手のこぶしも、まっすぐ上を向いて涙する固い皮槍も、ユニスの全てが、アスリを目にしたいという一心で溢れている。\n\n どう考えても変態だ。それ以前に、アスリのなぜ見たいかという問いに対して、ユニスはずっと以前から見たいという思いを抱いていたと口にしただけで、その訳すら回答できていない。\n\n しかし、愛する相手の性の熱意を、ただ笑ってごまかすことなど、アスリにはできない。そうは思えども、アスリもすぐにはユニスに見せられない。足を広げることを考えただけで、アスリは恥ずかしいという言葉では全く足りないほど、極度に恥ずかしいのだ。\n もうアスリは、上目遣いでユニスの顔も見られないし、皮槍も視界の内に入れられない。今は一切ユニスを目にできないし、一方でユニスは愛しているし、その愛する人から願いまで受け取ってしまった。当然、ティサもラリーヤも、アスリは見られない。\n\n 自然と目が向かうのは、午前に苦労しながら眺めた、壁に書かれた聖女と薬の文字だ。目は決まれど、手のやり場のないアスリは、腰の下に積んである草に手を伸ばし、そのうちの1本の端をただ指先でたたみながら、ユニスへの思いだけを蔓延させていく。意味不明なところの多い壁を読んで、アスリは草の数でも数えるしかないか。\n\n「…………んふふふふふふ、だってよ?アスリ?」\n\n また右隣に、妖しい気配が身を寄せてきて、ぴったりとアスリに寄り添った。早速座して、くつろぎ始めた性の悪魔が何かを言っているが、アスリは目を合わせてはいけない。無論ラリーヤは、アスリが余計に時間を浪費することを認めるわけがない。\n\n「どうするん?アスリ。アスリのおっきなビラビラおまんこ、ユニスに見せてあげるん?」\n「おっきいとか言わんでよ!!!!!…………マジで恥ずかしい。」\n\n 事実、大きいのだし、先ほど4人で輪になって立っただけで、ラリーヤのように割れ目にならずに飛び出している巨大な肉をすでに指摘されているのだから、アスリがどんなに羞恥心を抱いたところで、ラリーヤを論理的に否定することはできない。ただ、ここでアスリの心を支えたのは、アスリを大切な友人として、自らの愛するユニスの肉体を明け渡した、ティサであった。\n まだおそらく、ラリーヤに切開された泉の入り口は痛むはずであるにも関わらず、慈悲深いティサは心だけでなくアスリの全てまで支えるように、右隣のラリーヤと同じく左に身を寄せていく。一度はアスリがユニスと成し遂げたかった口づけの願望によって、左にティサ、右にラリーヤのアスリの布陣は崩れてしまったが、結局ユニスの願望が、アスリの両隣の女子2名を再現させた。草に腰を下ろしたティサも、気遣いとともにアスリの左の腕に触れながら滑り出す。\n\n「……アスリ、嫌なら無理に見せんでいいんよ?ユニスが勝手なこと言ってるだけだし。」\n「勝手じゃなくて、マジだし!」\n「は?いや……、待てこらユニス!!!」\n\n 出だしは問題なかったが、あまりにも早い切り替えだ。アスリに触れたばかりのティサの左手は、すぐにユニスを指さして、1人膝立ちしたままのユニスに攻めかかっていく。\n\n「何アスリに、とんでもないこと言ってるん!?!?ヘンタイ!!!」\n「なんだよ!!!ティサだって、今度気が向いたら、自分で見せるっつってたし!!!ティサだって、ヘンタイじゃん!!!」\n「バカ!!!私んは別にいいんけど…………、ってか!!!アスリがヤなら、ダメに決まってんじゃん!!!しかも、なんそのおちんちん!!!なんでまた、ピーンってしてるん!?!?アスリのえっちなとこ、勝手に考えてんしょ!?!?」\n「ティサ、バカか!!!立ってんのは……、しょうがないじゃん!!!ティサだって、おっぱい丸出しじゃん!!!」\n「はぁ!?!?私は女の子だからだし!!!私だって、しょうがないし!!!」\n「そんなん俺だってさっき、ティサとあんなんして!!!」\n「何!?!?じゃあ私としたえっちなこと、また考えてるってこと!?!?…………ヘンタイ!!!アスリがヤがってんだから、えっちなこと、どしても考えたいなら、おっぱいでもなんでもいいから、私んこと考えな!!!さっきのぴゅっぴゅのお乳で赤ちゃんできたら、ユニスがパパなんだよ!?!?」\n「わっ、わかってっし!!!バカ!!!いいよ!!!そんなん、俺も育てるし!!!」\n「あんさ、ホントにそこん2人、バカなん?」\n\n 延々と続きそうな森のやり取りに、冷静なカインタの呆れ声が1つ、ロマドウの右隣から洞窟の中へと響いた。まだ、ティサもユニスも、純真に見えるラリーヤの本筋には戻れない。\n\n「なに!?!?ラリーヤ、バカって!?!?バカなんはユニスだし!!!」\n「ちげーし!!!バカなんはティサ!!!」\n「はいはい、2人ともおバカさんだから。もう2人とも、おまんことちんちんに毛生えてきてんのに、言ってるかんじ、ダカクの方が全然しっかりしてっかんね!!ダカク生えてんのか知らんけど!子どもか!!!」\n「ラリーヤ、ユニスのおちんちん、まだ子どもなんしょ!?あと、私の方がいっぱい毛生えてっし!!」\n「うっさい!!ぼーぼー!!」\n「なに!?ぼーぼーとか言うんなら、今度ラリーヤみたく、剃ってきてあげよっか!?私ツルツルにすんだから、ユニスもツルツルにすんだよ!?」\n「はいはい、今度2人ともツルツルにしてあげるから!!いいから、やめ!!!」\n\n 両手を打った乾いた音が2度続くのとともに、ラリーヤが大きく声を張った。今度のラリーヤの声色には、家中を取りしまる母のような厳しさが含まれている。アスリはラリーヤが暴力に頼ったところをこれまで目にしたことはないが、さすがにこれ以上ユニスとティサがわめき続ければ、2人の頬に1発ずつお見舞いが飛んできそうだ。\n ようやく黙ったティサとユニスの間に、ラリーヤが疲れ切ったように、深くため息を吐き出した。アスリと同じくラリーヤに、ロマドウの大人たちのようにタバコをたしなむ習慣はもちろん備わっていないが、もし手元にキセルがあれば、アスリはラリーヤに一服を差し出してやりたいところではある。落ち着きを取り戻したたき火の薄明かりの中、ラリーヤは髪をかき上げて右耳へとかけやりながら、場を仕切り直していく。\n\n「…………もうさ、さっきから言ってんけど、今アスリの時間なんからね?もう!ホントわかってる?2人とも。さっきもう、2人はいちゃいちゃしたっしょ?こんなんじゃ、アスリがなーんも喋れんくなっちゃうじゃん。」\n\n 駄々をこねる子どもを諭すような口調で、ラリーヤはティサとユニスをたしなめたものの、ラリーヤの述べたように喋る隙がアスリになくとも、アスリから発信したい事柄は、今は特に思い浮かばない。ただラリーヤの発言を耳にし、アスリはまだなお、オーディエンスに徹している。\n ここに突如として、力のこもった眼差しが送り込まれた。出所は、アスリの右隣だ。変化した気配に、思わずアスリが狩りのユニスの如く目を向ければ、厳しい母は、すっかり淫らな悪魔へと切り戻してしまっている。\n\n まずい。このいやらしい視線を、続けざまにアスリに送りつけているということは、淫魔の狙いは、アスリだ。直前のラリーヤの発言をもとにすれば、ラリーヤはアスリに何かを喋らせようとしているということであろうか。半歩先に頭を回してラリーヤに備え始めるアスリを前に、異常なほどに素早い性は、アスリの1歩先に次を繰り出していく。\n\n「……それでアスリ、おまんこ、ユニスに見せるん?」\n\n 来た。ラリーヤは、話の源流を決して逃さないのだ。何よりここでのアスリの答えが、次の洞窟に最短距離でつながることを、ラリーヤはよく理解している。アスリは遅かった。\n\n「いや!!!待って待って待って待って!!!アスリ、イヤなんに、ユニスに見せていいわけないっしょ!?!?」\n\n 思いやりなのか、それとも自分をもっとユニスに見てもらいたいという、少女らしい本心によるのか、またしてもティサがアスリに代わってラリーヤを拾った。動機は何であれ、今のティサの配慮は、アスリにとってありがたいとしか言いようがない。\n\n 本当にそうだろうか。本当に、今のティサの言葉通りに進んで、アスリは良いのか。\n 無論、常々のティサの気遣いそのものは、アスリはいつだって感謝しているし、今もティサに心の中で礼をしていて、まもなくそれを口に出して表現する心づもりも、アスリにはある。しかし、ティサにすがれば、愛するユニスのアスリへの願い事も、なかったことにつながっていく。\n それは、アスリにとって幸せだと言えるのか。もっと言えば、そこまでして、アスリは見られたくないのか。アスリの右手の指先で折りたたまれていく枯れ草の茎が、また1つたたまれる。壁の薬の文字は、相変わらずアスリに薬を示す。\n\n ふと、目を移せば、聖女だ。アスリは聖女を見ているし、聖女がアスリを見ている。\n\n「え……?ウソ?さっきからアスリ、見せんのイヤとか、言ってたっけ……?」\n\n 答えを知っているラリーヤが、目元に勝利を信じて、うつろなアスリの瞳をのぞき込む。アスリが、また枯草をたたむ。\n 足を広げれば、確定的に酷い羞恥の未来が待っていて、ユニスの願いも同時に叶う。では、アスリは、何を願うのか。壁から地面へ、アスリの目も沈む。\n\n もう一度、アスリは地面の小石を見つめて、枯れ草を折りたたむ。見られたくないのか。愛するユニスに、見てもらわなくて、良いのか。ユニスに、見てもらいたくないのか。ユニスに、アスリの極度のコンプレックスを、よく知ってもらわなくて、良いのか。ティサとラリーヤと同じ女子であるのに、全く異なることを意識してもらわずに、アスリは良いのか。\n 触れられて、広げられて、羞恥し、恥辱にまみれて、嘲笑されたくないのか。歪んだ性をもっと歪ませて、極限に恥ずかしい中で迎える波は、どれほど高いのか。\n\n 枯れ草の茎が、千切れた。壁の聖女の文字と、アスリが目を合わせる。少しの間、アスリは時間を忘れていた。アスリは待たせてしまった。\n アスリの瞳の奥に、ユニスでも、ラリーヤでもない、第3の変態が、聖女から授かる。宿った新たな変態が本能にアスリの顔を上げさせて、ラリーヤを見させる。\n ラリーヤも、待ってくれていた。こちらも、ティサと同じくありがたい。そう、まずティサだ。生まれたての変態が、ティサを見つめて、軽やかに左右の頬を緩ませた。\n\n「…………ティサ。私のこと、かばってくれて、ありがとう。」\n「アスリ。いいから!無理しないで。」\n\n 微笑んだティサはまだ、3人目の変態に気づいていないようだ。どこまでもまっすぐなティサは、いずれユニスの良い妻になるべきだ。\n\n「ありがと、ティサ。」\n\n すでに笑顔のアスリが、さらにティサに笑顔を送った。不可思議な笑顔は、ラリーヤにも送られていく。もう1つアスリは、ラリーヤにも伝える。\n\n「…………でも、ラリーヤ言う通り、私、見せんの…………、イヤっては言ってないよ?」\n\n よだれでもこぼれてしまいそうなほどに、顔中がいやらしく、見ているだけで性を喚起させる笑顔で、ラリーヤがアスリに応じた。悪魔のような大変態に見つめられながら、4人の中の3人目の変態は、アスリだ。ここで一気に、アスリは見られてしまうという耐え難い将来を、精神ではじけ飛ばさせる。\n\n 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。絶対に見られたくない。見られたら、アスリはおしまいだ。ユニスにも、ティサにも、ラリーヤにも、異形を馬鹿にされ、アスリは人間でなく、性器として扱われるようになるに違いない。そうして恥辱に苛まれながらアスリは3人目の変態として狂喜し、何度も何度も何度も何度も何度も、愛のユニスと、時には禁忌のティサやラリーヤとともに、波に流されるのだ。\n\n 決まりだ。待望する感情を表情に乗せたアスリが、夕暮れの太陽よりも真っ赤になって、また、ユニスですら見せたことのない伏し目を取って、ユニス本人へ直面する。\n 恥ずかしい。できるだけ、身を小さくしなければならない。両手を握りしめ、胸を隠すように腕を前面で折り曲げたアスリが、肩をすくませ、もじもじとしながら、震える唇でユニスに告げる。\n\n「…………………………だからユニス、私のおまん……の、おっきいびらびら…………、たくさん……、いっぱい!!!いっぱい!!!見て!?!?」"} |
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