| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 17, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/17/", "title": "愛おしきコンプレックス", "content": " アスリの正しい記憶では、もちろんあの出来事はラダンとアスリが母に抱きしめられるところまでであり、その夜は母が女の会でもらってきた名前の思い出せない、酸っぱさだけが記憶に残る果物を、夕食後に3人で食べて終わった。どこかで野営を張っている父とダカクはいなかったものの、日中の件など話題には上らず、アスリの卒倒、というよりも絶頂の手助けもあって、ひとまずラダンは受難から逃れ、母との和解を成立させることに成功したのであった。加えてアスリの見ていた限り、母の言うところのチクッとする罰も、執行直前で中止となったようだった。\n だが、さすがにあれだけの羞恥を経ていつも通りのように振る舞うのも難しかったのか、それから数日、アスリとの道中でラダンとの間には、何やら不鮮明なコミュニケーションしか交わされることはなかった。\n\n 腫物に触れるとまでは言えなくとも、何となくラダンとの距離感を保ったまま迎えたある日の早朝、アスリは家の裏の方から聞こえてくる、久しぶりに嬉々としたラダンと母の声で目を覚ました。ほどなくして寝床のアスリの元にもラダンが駆け寄ってきて、半女になったことを伝えてきた。アスリもそれを聞くと朝の眠気など吹き飛んで、自分のことのように喜び祝いの言葉を贈り、続けてラダンは父とダカクにも報告をして、家中はいつになくめでたい雰囲気で一色となった。そして上の2人の姉がそうであったように、ラダンもえんじ色で足元が隠れるほどの長さの腰布を身にまとい、一通り荷物をまとめると、父とアスリとダカクに見送られながら、母に連れられて巫女たちの元へと出発して行ったのであった。\n それからは今のアスリの日常が、おおよそ2年続いている。\n\n ところで夢の中で母から受けた、半女になった時のラダンと同い年となったのにアスリはまだ半女になれていないという指摘は、アスリの意識外の深層心理からにじみ出てきたわけでもなく、本人が日ごろから気にかけていることである。アスリは全くその制度の詳細を存じていなかったが、アスリの感覚的には半女・半男が成人して女と男になる時は、それぞれ半女・半男となってからだいたい3年程度経過した時で、子どもが半女・半男になる時は不定だった。ただし、男子の場合は半年程度の間隔で一度に数名が半男となることが多く、半女になるタイミングだけが、それこそ人によってまちまちで、早い者では今のアスリの3歳より年下でも半女になることがあった。\n アスリはすでに適齢を超えて半女となるのが遅れている部類に入っており、現に同い年でまだ半女でない少女たちも残り少なくなってきているばかりでなく、すでに半女の期間を終え、一足先に大人になった年下の者もちらほらと現れてきているのである。もちろんそれ自体はロマドウの村の中で特段珍しい事柄ではないし、ラダンにしても半女となったのは比較的遅い方であって、おそらく当時は今のアスリのようにやきもきした気持ちを抱き、そしてやっと半女になったわけであるから、もう少しの辛抱で解決されることに違いはなく、アスリもその点への疑いはほとんどなかった。しかし、年下の女子たちに1人、また1人と先を越されていく度に、アスリのいつまでとも計れない待機から生み出される揺らぎは大きくなり、なぜ自分はまだなのか、いつになったら半女になれるのか、解のない苛立ちを伴った思案を繰り返してしまっているのは確かであった。\n この時もアスリは、せっかく母から針で攻撃される幻想から逃れたにも関わらず、悪夢に起因する別な現実によって責め立てられたことで、結局消沈した思考へと囚われ、ぼんやりと眺めていた川面から視線を落としていった。\n\n 見下ろす先、真っ先に目に入るのは、先ほど何も身につけないままにしておいた、足を閉じても一本の線となることのない、自分自身の股間である。それはあの2年前の出来事で見たラダンの一直線とは、完全に別物である。アスリは少し足を広げ、その下でも大きく飛び出している唇を指でつまみつつ、どういう因果関係も思いつかないが、まだ半女になれないのはこの部分に余計な肉が余り過ぎているためなのではないかと不安を深めた。\n この部分は成長に伴って以前より多少大きくなり色づいてもきているが、アスリが物心ついた時にはすでにこのような形状でほとんどが完成されていた。それでもかつて幼い時分は特段気にすることもせず、他の同世代の童女たちとともに水浴びをし、惜しげも無く立派な性器を晒していた。\n アスリの意識がその肉片に向けられたのは、その最中にある1人がアスリの股から何かはみ出ているという指摘を発した時であった。そこで初めて、アスリは他の女子たちの股間が一本の線か、正面から何も見えないか、または何か挟まっていてもわずかであるかということを認識し、大きな衝撃と羞恥に襲われたのであった。\n その日をもってアスリは集団の水浴びを一足もふた足も早く卒業し、以来、このような誰もこない場所でもない限り、アスリは川の中に三角柱を作って、誰にも見せたくない大きな持ち物を隠し続けてきたのである。\n\n アスリは少し膝を立てると、両方の小陰唇をつまんで引っ張って紐のように結んだり、包皮をめくってクリトリスの中身を出したりしながら、改めて自身の性器を検分した。自分のものが他者とあまりに違いすぎることに気づいてから長い間、この部分はコンプレックスが塊となって、そのまま両太ももの間についているようなものである。しかし、自慰を覚えて以降、そうともばかり思えなくなっているのは確かであり、仮にも性器が大きすぎるために半女になれないとしても、体についている以上手放すことなど出来はしないが、もはやなくてはならないほどの存在と言っても過言ではなかった。\n また、恥辱にまみれるラダンの割れ目を思い浮かべて特別な休息をとるほど性癖を歪めてしまっているアスリにとって、異形の性器は誰にも明かしたくない最大の羞恥の弱点であり、かつ性的興奮の原料でもあった。そしてグロテスクに思えるほどだぶつき飛び出ている皮膚を、なぜだか愛おしいとも思うのであった。\n\n こうして性器を愛でているうちに、追い払うことに失敗した悪夢由来の不安を、アスリはいつのまにか意識しないところで打ち消していた。だが、副作用として、先ほどしっかりと満たしておいたばかりの性欲はカラカラに乾きあがり、また性器をいじめ上げたい欲求も焚きつけられてしまっていた。その証拠に、大きな2つの唇を付け根に近いところで開いてみれば、中からは前回の残りなのか、それとも今新たに生産されたものなのかはわからないが、いずれにしても膜で囲われた小さな穴からは、白っぽく少し泡立ったような蜜が、いつの間にか肛門の方へ向けてあふれ出していた。\n またも我慢がならなくなってきたアスリは、その液体を右手の中指でたっぷりすくい取ると、もう一方の手で分厚い包皮で隠されていた大切な中身を剥き出し、丁寧に塗り上げて、優しくゆっくり、くるりくるりと転がす遊びを始めてしまった。\n\n「うっ…、うっ…。」\n\n 予想通り、指を1回転させる毎に生じる即効性の強力な刺激が、たった1か所から全身に突き抜けるように逡巡していった。今は直接的に中身に触れている分、快楽の物理的な大きさは苦しいほどであったが、自ら生み出したローションは、その重たさを紛らわせるだけでなく、体内へダイレクトに哀愁を送り込む手助けをしていた。"} |
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