| {"novel_id": "n0007ht", "chapter": 175, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ht/175/", "title": "天高く、我問う", "content": "「んんんんうぅぅうううううううううううう!!!!!!!!!」\n\n 激烈な熱を送り込まれたアスリは、あっという間に波の彼方に流されていって、水中で必死に身をよじる。ユニスがこの点に唇で触れるのは、つい先ほどに続いて、2度目だ。1度目の時、アスリは左右両方からラリーヤとティサに責められ、同じようにユニスが中央を攻略した。その間、ラリーヤはアスリの頂いた回数をつぶさに計測していた。\n 3つの唇が同時に触れるのも苦しかったが、今のユニスの独占もまた、必然的にたった1点に全神経の集中が絞られてしまう以上、アスリにとって辛く、耐え難く、至高の至福だ。きっとアスリは、母の胎内で最初にこの1点が創られて、ここからアスリの体が出来上がっていったに違いない。\n\n「んんんんうううっううう!!!!んんんんうううっううう!!!!」\n\n 甘く切ない声を上げ、没頭するアスリが、ユニスの舌遣いの変化を、機微に察知する。つい先ほどの、ラリーヤとティサも絡めた3枚舌での攻勢の際には、ユニスはただただ必死で、上下の唇でアスリを吸いだして、飛び出たところを水を飲む犬のようになめあげるだけであった。たしかに、それでもアスリは十分であったし、初めてを捧げる前段階で同様の手段を用いられていたティサは、こらえきれずに尿らしき何かを失禁し、ユニスの髪を盛大に濡らしてしまっていた。\n ところが、今のユニスはどうだろう。吸いだす唇はより柔らかく、まるでアスリの唇と接する時のように脱力しながら、舌のこわばりも抜いて柔らかく、先端はもちろんのこと、癒着する皮膚の下に隠されていた、アスリの核の付け根までを、優しく、優しく、果物の種を口内で転がすかのように、アスリに新しい波形をかけやっているのである。受けるアスリにとって、ユニスの一振り一振りは、高窓から差し込む月光下、初めて得たあの日の頂点よりもはるかに高く、また母に謝罪する日々で徐々に進んだ次の山よりも険しく、天高くまで届くかのようであった。\n\n さすが、どんな獲物も逃さない、超一流の猟師だ。普段、ぶっきらぼうで、舌っ足らずで、何を考えているのかもわからないし、皮ばかりたるんだあの槍をすぐに固く上向きにして、女子の裸を目にしただけで漏らしてしまう変態であるのに、何でもすぐに飲み込んで、どんなことをやらせても器用で、アスリを命がけで守ってくれて、弱いのに強い、アスリが大好きで大好きで大好きで大好きで仕方のないユニスは、今もこうして、アスリに尽くしてくれている。\n\n 加えて、ユニスはまた綺麗な言葉をティサにも送って、森から続いているティサと、ここで愛するだけのアスリの良心を安心させただけでなく、改めてそのアスリに対して、綺麗な言葉を与えた。それだけに留まらず、ユニスは綺麗なアスリを、最高にするとティサに保証し、より綺麗にするとまで述べたのだ。\n ただ、実態として懸命なユニスが舌と唇で触れる先には、初めて空気にさらされた、しっかりと洗えなかったユニスにも付着していたような何かがあったのであって、アスリは大好きな人に、信じがたい不潔を口にさせている。恥ずかしい。本当に惨めだ。\n それでもユニスは、ティサとの約束を裏切らないし、アスリに向けた言葉も裏切らない。アスリはユニスが好きだ。アスリは最高だ。本当に最高だ。\n\n もうずっと前に、アスリはこっそりと覗き見たラダンの痴態を真似ることで、本質を理解したはずだった。あの時点でアスリが体得した本質は、たしかに正しかった。\n しかし、今こうしてアスリすら知らなかった、付け根までを含む核の全貌に、ユニスが献身する事実もまた、本質から派生する、一歩踏み込んだ本質だ。アスリの理解は深まるのと同時に、ユニスへの愛、羞恥、コンプレックス、この根本を露わにした際の痛み、何よりも身体すべてが一核になってしまったかのような圧倒的で暴力的な快感、付随してユニスとティサ、ティサの成したこと、目の前に控える3人の男女の裸体、男子と女子との垣根を超える性、ユニスの皮膚、ラリーヤが言うカインタで暮らした男子への儀礼、母による禁忌とそれを侵した際の罰、何もかもがアスリの1つの鍋へと放り込まれ、煮立たされ、純真な少女としてロマドウで清らかに育てられてきたはずのアスリの性は、もうロマドウにも、森にも、カインタにも、どこにも戻れないほどに倒錯していく。\n\n 体は、下半身を中心に、ガクガクと震えている。アスリは今、薄いスープを注いだ器の中に浮かんでいる香草の細切れであって、器が揺れれば沈み、浮かんでくれば器の向こうからもたらされる波紋にさらわれ、また沈み、ユニスの舌がさじとなってスープの奥底に差し込まれ、かき混ぜられ、もっと下方で湧く、さらに濃いスープすら、ユニスが下唇でさらっている。\n\n もう、アスリは、わからない。今や全身が、山のすそ野まで剥き出しにされてしまった赤い1点と同じで、ティサとラリーヤが広げる翼で、アスリはユニスとともに洞窟を舞い、外に出て滝を受け、広大なサバンナの上空を、羽ばたいている。\n 見上げた太陽はまぶしいほどに白く、光がアスリを包み込む。かぶりつくユニスを伴って、水流に乗った一枚の落ち葉のように流れるアスリを、あまりに無様なラダンを抱え込んだ、あの木漏れ日を浴びる日のような懐かしく心地よい気絶が迎え入れていく。薄暗い洞窟の空を見喘げているはずのアスリへと降り注ぐ今日の光は、同性の2人の介助をともにする、愛する人の全身全霊を伴った、力強くて優しい、正確な矢だった。\n\n ユニスが放った矢は、ユニスにとって夢だ。ユニスは、アスリのコンプレックスを直視して、目を輝かせて、夢のようであったと語った。ユニスにとって今、夢中になって口づけしているアスリへの夢とは、何か。\n\n 放物線を空間に描く矢は、必ず1点に帰着する。アスリを沖へ沖へと追いやった、波を構成していたであろう一滴一滴もまた、ラリーヤの配った果実の酸味を伴い、柔らかな唇同士の感覚を通じて、アスリの唾液と混ざり合う。アスリの問いも、自身の背中に回る。\n\n こぼしては、ならない。まだ、高く飛ぶアスリに、本能も、理性も、語りかける。\n\n 飲む。喉が、鳴る。\n\n「アスリ!!!!!」\n\n ユニスの叫び声に続き、またアスリの唇がふさがった。ぼんやりと、強く抱きしめられるアスリに、形のない脳は幸福をアスリに伝えている。\n\n「え!?!?ちょっと!!!アスリ大丈夫!?!?んっこの!!!バカユニス!!!早くアスリから離れて!!!」\n「バカか!?!?アスリが、ぶっ飛んでんぞ!?!?」\n「………………君らふたり、ホントさぁ、アホっしょ?」\n\n 焦るティサのユニスに向けた罵声と、護りに入るユニスの凛々しい声に続いて、ラリーヤの呆れ声が続く。ラリーヤの指す2人は、当然アスリとユニスであることは、まだ意識が遠く、常に絶頂下にあるアスリでも、なんとなく把握はできる。\n だが、恍惚とするアスリの直感は、半分筋違いであった。ユニスはもちろん当事者であったが、もう一方はアスリでなく、ティサであることを、真面目とも変態ともつかないラリーヤが告げていく。\n\n「んだから!さっきからアスリ、息もして、心臓も動いてんし、こんな若くて、お豆ペロペロされただけで、死ぬわけないっしょ!?」\n\n まだ状況に追いつけず、息すら整わないアスリが、うっすらとまぶたを持ち上げれば、真っ先に目に入るのは、焦った様子を見せる、自身を抱きかかえているユニスだ。熱い。その付け根の部分はひどくうずいているものの、アスリの抱く感覚としては通常に近く、翼もただ両太ももに挟まれているだけで、形状は元に戻ったようである。\n 一方で、肉付近、薄毛で挟み込むように触れるのは、柔らかくなって熱を帯びている、別の棒だ。多くの皮膚が、多くの皮膚と擦れて、アスリはユニスに安堵する。まだ楽でいたいアスリは、また瞼を閉じて、ユニスに唇を送る。\n\n 激しく、強かった。アスリが空に向かっている間、果物がユニスとアスリを仲介したのだろう。今やそれもなく、アスリは、ユニスを味わっている。大好きだ。\n\n「…………良かった。死んだか思った。」\n\n 真隣でこぼれた、屈託のないティサの言葉に、アスリは我に返る。大きく目を見開いたアスリはユニスの体を揺らし、目で意図を伝えると、名残惜しそうな1回のあとに、ユニスはアスリからわずかに距離を取り、槍はアスリと触れなくなった。半身を起こしたアスリが、ティサに目をやれば、アスリに生じるのは申し訳なさだけだ。\n\n「……………………ごめん。」\n\n 絞りだした声には、まだ多くの快感が残っている。アスリは、クズである。\n\n「ほら!やっぱり!」\n\n 的確なラリーヤが、正当性を主張した。アスリは、何もまとまらない。\n 実のところ、アスリが現実を欠如し空を舞っていた間、アスリも全てを天に預けていたわけではない。アスリも、問いたい。その問いとは、何であったか。\n\n「ってか、すごいじゃん!!アスリ!?私も聞いたことあったんけど、ホントに数えられんくらい、いっぱいイッちゃって、気絶する人、初めて!!正直、ずっとビクビクしてたから、ちょっとやばいかなって思ったけど、やっぱアスリ、すっごいやるじゃん!!」\n\n 意味不明なだけでなく、アスリの容体まで看過していたラリーヤの礼賛はさておき、放心と快楽のアスリは、自身の四肢や体勢を掴みきれないが、当のラリーヤの述べた通り、気絶してしまったのだ。ラダンの、あの時以来だ。今日は気絶したことによって失った時間が、ユニスとの時間が、実にもったいないとしか言いようがない。\n\n 違う。アスリが、ユニスに羞恥の一極を吸い上げられ、なめあげられた時に得た思いとは、何か。この状況下、通常なら、言葉を返すべき相手はラリーヤだ。\n\n しかし、それも違う。ユニスだ。\n\n ユニスのぬくもりに抱かれるアスリが、泉の奥を湧かせて、若草と触れ合う柔らかなる男革に、解を得た。唇をひとつ、アスリはユニスにあてがって、しばし目を閉じ、解は問いであることを突き止める。\n\n ラリーヤには、待っていてもらうしかない。唇を離したアスリが、ユニスに抱きかかえられている身を起こし、反対にユニスを抱くように身をどうにか反転させながら、ユニスに問う。\n\n「………………ねぇ、ユニス。私の…………、私の……………………、おっ、おまん…………のとこ………………、見て…………、夢みたいだったって、あれ………………、まだ私、よく、わかんない。なんで?ユニス、ユニス、ユニス、ねぇ………………、好き。」\n\n アスリが、自制に失敗した。ティサに目を送り、許可を得たアスリは、もう一度小さくユニスに口づけして、続ける。\n\n「ユニス………………、私の、何が夢だったん?」"} |
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