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{"novel_id": "n0007ik", "chapter": 1, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ik/1/", "title": "一生忘れないからな", "content": "俺は人間が嫌いだ。\nしかし生まれた時から嫌いなわけじゃない。大きなきっかけがあったんだ。\nそのきっかけには「あの子」が大きく関わっている。\nあの子という表現をしたのは、彼女が俺に暗い影を落としたことを恨んでぼかしたからじゃない。\n覚えていないのだ。俺を人間嫌いにしたきっかけを作った張本人であるあの子の名前を。\nここで俺があの子の名前に固執しているのには至極真っ当な理由がある。\n中学を卒業してから最後、10数年間あの子には会っていないが、容貌も声もハッキリ覚えているのに、名前だけは思い出せないのだ。\n同じ中学だった友人に聞いても同じ回答だ。存在はハッキリと認識されているのに、名前だけは誰も思い出せない。名前さえ思い出せれば昨今のSNSを駆使すれば見つけられるはずなのだ、あの子を。\nそして見つけ出して本人に改めて言ってやるんだ、どう責任とってくれるんだ、と。\n\n遡ること10数年。地方都市にある中学校に俺は通っていた。友達もそれなりにいて、女子との会話も特に不自由なくできていた。だからだろうか。俺は年齢相応に同級生の女子のことが好きになった。契機はなんのことはない。偶然部活が休みになったときに体育館に女子のバレー部の練習を見に行ったことがあった。俺の目に真っ先に飛び込んできたのが「あの子」だった。スラっとした長身に色白の肌でどこか儚げに見えるのにコートの中では激しく動き回っている。お世辞にも整っているとは言えない容姿に加えて炎天下のもと屋外で部活の毎日を過ごす黒焦げた俺とは対極の存在だった。一目惚れだった。\n\n俺はそれから本人と話したり友達を介したりして仲良くなった。その過程で彼女のことを色々知った。部活では県選抜に選ばれるほどの実力者であり、勉強では学年でもトップクラスらしい。俺はそこまで情報弱者ではなかったはずだが、彼女がそれほどの人物であるとは知らなかった。謙虚であり、目立たないように心がけていたのだろうかと疑った。そんな性格に俺はなお惹かれた。しばらくたって後、彼女とそれなりに仲良くなったと思った俺は彼女に告白した。\n「◯※●×?△!!」\nその時に彼女に言われた言葉が10数年経った今でも脳裏をよぎる。\nフラれたことは確かだ。しかし俺は自分の精神がこれ以上傷つくのを恐れて無意識に彼女のセリフに蓋をした。彼女の名前を思い出すことはあるかもしれないが、あの時の彼女のセリフを思い出すことはついぞないだろう。\n俺はその時から女性と接するのが嫌いになった。\n一生忘れないからな。"}

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