| {"novel_id": "n0007ik", "chapter": 6, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0007ik/6/", "title": "【2日目】本音と建前", "content": "俺が起きると、隣では葵が静かな寝息を立てながらその整った顔をこちらに向けている。\n俺たちは昨日激しく愛し合った。久しぶりのお互いの名前を呼び合い、身体の隅々まで堪能し合った。\n葵の胸の感触、性器の濡れ具合、唇の柔らかさが未だにハッキリと思い出される。\n俺は勘違いをしていたのかもしれない。\n性行為は人当たりの良い男女同士が意気投合した上でするもので、自分には関係のない出来事だと思っていた。\nだが、葵も俺もそうではない。お互い人生のどこかで周囲から置いていかれ、どこか他人との距離を作って生きていている。友人だってほとんどいないだろう。\nそういう2人だから心の穴を埋めるように身体を求めた?いや、それもありきたりだろう。\nじゃあ、何だろうか?\n考えられるのが『懐古』だ。\n人間は誰しもが、昔の自分は良かった、と思いながら後悔の中で生きているはずだ。しかし、その後悔と向き合い、折り合いをつけて努力と工夫を重ね今を生きている。\nけれども後悔から先に進めない人間もいる。葵も俺も過去の自分から一歩前に踏み出す勇気を持てない。葵は間違いなく学生時代輝いていた。俺もそうだ。放っておいても友達は絶えなかった。\n\nそれに取り憑かれているのかもしれない。\nだから、輝いていた時の自分を思い出させてくれる人間に縋りたくなるのだろう。\n俺は葵が好きで抱いたはすだ。しかしそれは建前で、本音は、自分が好きなのだ。"} |
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