| {"novel_id": "n0008gd", "chapter": 12, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0008gd/12/", "title": "2-6", "content": " 学園に通い始めて三日目。\n\n その日は初めてのテストだった。\n 前世では何度となく受けて来たはずが、久しぶり過ぎて結構緊張してしまった。\n\n 問題としては簡単な計算や地理、歴史等の前世と似通ったモノもあれば、この世界特有の魔術学と呼ばれるモノも含めて全部で六教科だった。\n 流石に一年のこの時期ともなれば簡単な問題が多かったのが幸いだったが、やはり僕は文字を書くスピードが遅いのでテスト時間はほぼギリギリまで使ってしまった。\n 動きが悪い上に、字が汚くならないようにゆっくり丁寧に書かなければいけないから尚更時間が掛かる。「字、汚いね?」なんて誰かに言われる訳には行かないのだ!\n 見直しが碌に出来なかったのが不安な点ではあるが、手応えはあったと思う。\n 結果は週末明けに張り出されるのだが、楽しみな様な不安な様な、そんな懐かしい感覚を覚える。\n\n テストが終わった後、セラがダメだったと落ち込んでいたので、昨日本人が言っていた通り勉強が苦手である事が伺えた。\n 昨日約束した通り、解らない所は僕が出来る範囲で教えるからと慰めたら「絶対だぞ?」と手を握られて念を押されたので、勿論と答えて置いた。約束を違える気などサラサラないので望む所だ。\n 友達とテスト勉強するのって何だかちょっと憧れるし……\n\n 前世でも人と一緒にテスト勉強するなんて経験が無いのでちょっと楽しみだったりする。\n そんな僕達を見て、アンジュとエミも僕とテスト勉強をすると言い出したので二つ返事で了承して置いた。\n\n 因みにレオナ姉様は何時もの調子で「まぁまぁかな」と言っていたので、出来なかったという事は無いだろう。\n アテナ姉様は渋い表情だったが、そこまで悪くはないだろう……多分。\n\n そしてその日の夜。\n\n もうお風呂にも入り、歯も磨き、後は寝るだけとなった頃。\n 僕は何時も通り日課の読書をしつつ、就寝までの時間を潰していた。\n\n そんな時、不意にゆっくりと僕の部屋のドアが開く。\n 誰か来たのは確実だ。\n この時間に訪れるとするとアテナ姉様かレオナ姉様の二択なのは解りきっているので、特に慌てる事も無く本を閉じ、来訪者を待つ。\n\n「クレア? 起きてるー?」\n「起きてますよ? どうかしましたか? アテナ姉様」\n\n 来訪者はアテナ姉様だった。\n 服装は寝間着にしているゆったり目の白いワンピース姿だ。\n 因みに僕とサイズ違いの同じものだったりする。\n 対してレオナ姉様はパジャマみたいなタイプが好きで、ゆったりした黒のズボンとシャツの上下セットみたいなモノを愛用している。\n\n 僕が返事をすると少し遠慮がちだった態度は成りを潜めて、アテナ姉様は直ぐにドアを閉めて僕が座るベッドまでやって来た。\n 当初遠慮がちだったのは恐らくもし僕が寝ていたら起こさない様にという配慮の為だろう。\n\n ベッドまでやってきたアテナ姉様は手に持っていたピンク色の液体が入った瓶をベッドの近くにあるサイドチェストの上に置いて、そのままベッド脇に腰かけた。\n\n 何の液体だろうという疑問は浮かぶが、態々僕の部屋にやって来たという事は何か用事があるのだろう。\n アテナ姉様の続く言動を見守っていると何時もの笑顔で口を開いた。\n\n「ふふふー、もう寝てるかと思ったけど起きてたんだね」\n「はい、まだそんなに眠くなかったので……」\n「今日はテストだったから疲れてるかと思って」\n「あー……そうですね、あんなに字を書いたのは初めてだったので、少し……」\n\n 言われてみれば先程持っていた本が少し何時もより重く感じた気がする。\n この世界の本はハードカバーの本が多いのでそれでなくても結構重いのだ。\n まぁ僕にとってはだが……\n\n 創作本や物語調の小説等なら小さい文庫本サイズの本もあるにはあるが、数は少なく、やはりハードカバーの方が圧倒的に多い。\n\n「ほら、ちょっと手貸して」\n「はい」\n\n そう言って手を僕の方に伸ばして来たので、右手をポンッとその上に置く。\n 続いて、優しくマッサージをする様に手の平や手の甲から二の腕に至るまでを揉み解してもらう。\n 気持ちよくておっさんみたいな声が出そうになるけど自重して置く。\n 右が終われば次は左だ。\n\n 暫く揉み解され、随分と軽くなった気がする。\n\n「ありがとございます。随分楽になりました」\n「ふふふー、いいってことよ! 私かレオナに言えばいいのに、こうして来てあげないと何も言わないんだから、クレアは!」\n「ぁぅ……」\n\n 面目次第もございません。\n しかし、本当に少し違和感を覚える程度だったので大丈夫かなと思っていたのだ。\n まぁ何時も思ってる気がするけど。\n そんな時は決まってレオナ姉様かアテナ姉様がやってきて体を解してくれるのだ。\n 本当に有難いことだ……\n\n さて、マッサージが終わってまたベッド脇に戻って来たアテナ姉様に取り敢えず先の瓶の事を聞いてみる事にする。\n 何に使うモノなのか、ゼリーみたいなのでひょっとするとお菓子かもしれないと期待したのは内緒だ。\n\n「ところでアテナ姉様?」\n「うんー?」\n「その瓶は一体……?」\n「あぁ! そうだった! 昨日言ってたモノがやっと届いたのよ!」\n\n はて?昨日言っていたモノ……\n そう言えば、昨日の朝に良いモノが届くと言っていたのを思い出した。\n\n「あぁ……それが昨日仰っていた良いモノ、ですか?」\n「そうそう! 案外希少で人気も結構あるみたいでさぁ。時間が掛かっちゃった!」\n「へぇ、そうなのですね。食べ物、か何かですか?」\n\n 期待を込めて聞いてみると、アテナ姉様は慌てた様に首と手を振る。\n\n「え? 食べ物? ちがうちがう! た、食べちゃダメだよ?」\n「ふむ……ではそれは一体?」\n「んふふー。これはねー」\n\n よいしょっという具合に手を伸ばして件の瓶を手に取り、僕に見える様にしてニンマリといい笑顔でアテナ姉様はこう告げた。\n\n「これは、腸内洗浄用スライム3号よ!」\n「はぃ?」\n\n 何故いきなりスライムが出て来るんだ?\n 理解が追い付かないのは言うまでも無い。\n どう言う事?\n あ、瓶の中のピンク色が動いた。\n\n「ほ、ほら……ずっとクレアが言ってたでしょ? おトイレが恥ずかしいって」\n「あぁー……はい……」\n「だから、これがあればおトイレに行かなくていい様になるって事よ!」\n「う、うん?」\n「あ、でも! おしっこのほうが無理だから……」\n「は、はぁ……」\n「腸内の老廃物を全て食べてくれるから健康にもきっといいはず! これは一番高いやつでね! ホントに高かったんだけど、その分全然痛くも苦しくもない様にしてくれる液を分泌しながら、中に溜まった老廃物なんかを食べてくれる品種改良版なの!」\n「……」\n「これさえあれば、クレアはもう恥ずかしい思いをしなくて済むって寸法よ!」\n「えぇっと……」\n「あ、あんまり乗り気じゃなさそうね……だ、だめだった?」\n「ぅっ……」\n\n そんな悲しそうな顔をされると弱い……\n しかし、あれが、僕のお尻に入ってくる?\n 入るのかという疑問もあるが、スライムと言うからには問題は無いのかもしれない。\n 痛くも苦しくも無くなる分泌液って何?\n 麻酔?\n そもそもおトイレが恥ずかしいっていう僕の気持ちを汲んで用意してくれたという話だが、どっちが恥ずかしいかと聞かれて咄嗟に応えられる案件でもない気がするんだけど?\n\n でも高いのか……高かったのか……\n\n 一度も試すことなく断るのは簡単だ。\n しかし、僕の事を思って用意してくれたはずのアテナ姉様の気持ちを考えればそれはしたくない。\n\n「そ、それを使うとして、アテナ姉様は……」\n「も、勿論私もついていてあげる! 怖くない様に手も握っててあげるからね!」\n「ぅぅ……」\n\n やはり見られるのか……\n 最早僕にはどっちが恥ずかしいかを判断する事は出来ない。\n し、仕方ない……\n\n「い、一回だけ……試してみます?」\n「わ、わかった! もし合わなかったら別のを考えるわ!」\n\n くっ……一度だけ! 一度だけでも、アテナ姉様の為には試すしかないっ。\n 一度も試す事無く否定する事は僕には出来ない。\n\n そういえば、一応大貴族でお小遣いもそれなりに貰っている筈のアテナ姉様が言う高かったって、いくらしたんだ……値段を聞くのが少し怖い。\n\n 前世の記憶と感覚がある僕は何処までも小市民だった……", "afterword": "初っ端からアナルになったのは反省してる。\nでも後悔はしていないっ。\nブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。\n読んでくださっている方に感謝を!\n少しでも楽しんで頂ければ幸いでございます。"} |
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