Krixter's picture
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{"novel_id": "n0008gd", "chapter": 6, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0008gd/6/", "title": "幕間", "content": " 私が彼女の事を唯の家族以上の存在として意識し始めたのは何時からだろう。\n 明確に分岐点があった訳では無いと思う。\n\n しかし日毎に増していくこの気持ちは最早疑う余地も無く、今現在声を大にして言う事が出来る程にハッキリとした気持ちとして私の胸の中、体の中に渦巻いている。\n 私、アテナ・ジルニクスは私の妹、クレア・ジルニクスを一人の女の子として愛している。\n 勿論家族として、一人の妹としても愛しているが、この気持ちは唯の親愛等では量り得ない。\n\n 私が始めに彼女を見て感じたのは恐らく確かな親愛だった。\n 両親が口を揃えて可愛いと称賛する妹を覗き込み、同じような感想を抱いたと記憶している。\n クレアの少し前に生まれたもう一人の妹、レオナを見た時も同じように感じたと思う。\n とは言っても、私はその時どう足掻いても唯の一歳児だった。\n 愛おしい存在に触れたいと感じはしても、それ以上の言葉も記憶もあまり残ってはいない。\n\n 物心がついた頃、多分三歳か四歳の頃かと思われるが、その頃になると目の前に居る妹、クレアが他の子と、私やレオナとは違う事に薄々気づいた。\n 寝返りも自分で打てず、一人で座る事も出来ない。\n 同い年のレオナはもう既に歩いているというのにハイハイも出来ない。\n\n 疑問に思いつつも私は深くは考えずに両親がする様に寝返りを打つのを手伝い、自分の体を背もたれにして座らせてあげたりとお姉ちゃんごっことも言える様な事をして過ごした。\n クレアは良く笑う子で色々と手伝ってあげると私に向かって無邪気な笑みを浮かべてくれた。\n その頃から私の中で日増しに大きくなっていったのは「クレア可愛い!」という気持ちと言葉だった。\n\n「あてなねぇしゃま」\n\n と、拙い言葉で私を呼ぶクレアの可愛さと言ったら実際に鼻血が出た程だ。\n 慣れるまで相当の時間を要したが、それも今となってはいい思い出だ。\n\n ここでようやくクレアの状態について明確になりだした。\n どうやらクレアは生まれつき四肢が魔力欠損によって動きにくいという事だった。\n\n 腕は辛うじて魔力が流れているが、足の方は絶望的と言わざるを得なかった。\n この時私は一生妹が、クレアが歩く事が出来ないということを知った。\n\n 可哀想だと思った。が、それも一瞬とも言える時間だったと思う。\n 続いて私は思った。\n この頃の私とクレアの体格差は見るに明らかな程開いていた。\n 同年代の常人より優れた体格と魔力量のお陰で私は身体能力も秀でていた。\n 数日前からクレアを背負って庭を散歩したりも出来ていた。\n その状態で数時間程なら疲れない自信もあった。\n\n なら私がクレアの足になればいいんだ。\n\n そういう結論が出るのは簡単だった。\n 耳元ではしゃぐクレアの声は今でも耳に残っている。\n\n「アテナ姉様すごいっ!」\n\n と、きゃっきゃとはしゃぐクレアの姿を思い起こし、自分でもどうかという様な笑みが零れるのを自覚する。\n 私がずっとクレアの傍にいて、ずっと世話を焼いて、ずっと甘やかして可愛がってあげればきっとクレアが可哀想なんて誰も思いもしないだろう。\n\n 成長するにつれて、可愛さと相まって同性でもドキリとする様な美しさも兼ね備えつつあった。\n 母様を手伝って体を洗って上げた時等その水に濡れた肢体に心と目を奪われて気が気では無かった。\n\n 儚く、触れば壊れてしまいそうな何処か浮世離れした美。\n その中にあどけなさ、幼さを残した可愛いクレア。\n\n 私は一生妹を、クレアを守る。\n そう子供ながらに騎士と貴族の誓いを立てた。\n\n そんな矢先、クレアが流行り病の熱で倒れた。\n 皆でクレアを見守る中、医者がもう助からない等とふざけた事を言い出した。\n クレアの苦しそうな息がだんだんと静かになるにつれてまるで頭の中をぐじゃぐじゃにかき乱したかのような激情が渦巻いた。\n 気が付くと私はその医者に掴みかかろうとしていた。\n\n 寸での所で父に止められ、そのままクレアの傍で縋りつく様に泣いた。\n 幾ら泣いても涙が枯れなかった。\n\n 神様どうか、クレアを助けて下さい。\n 何者にも代え難い私の愛するクレアを、妹を。\n そんな私の慟哭に背を向けて両親は部屋を出て行った。\n 隣では同じ様に涙を流すレオナがいた。\n 彼女も同じ気持ちなのだと解り、手を繋いで泣いた。\n\n そんな私達二人の祈りが届いたのか、クレアがなんと目を覚ました。\n 泣き疲れて寝てしまっていた頭が瞬間的に冴えわたる。\n\n 急いで両親を呼びに行き、クレアが助かった事を皆で喜んだ。\n\n その時から少しクレアの様子が変わった。\n 今までは私達や両親にされるがままに色々と世話を焼かれていたのに、偶に嫌がる素振りを見せるようになった。\n 何故か解らない私は母親に聞いてみる事にした。\n それによるとどうやらクレアは恥ずかしがっているらしい。\n お年頃というやつだと教えてもらった。\n\n 今までは無邪気に甘えてくれていたのにと何だかモヤモヤするが、確かに恥ずかしいという気持ちは理解できる。\n しかし、それはこう、恥ずかしいけどお姉ちゃんならオッケーとかそういう感じでは無いのだろうか。\n そう思い浮かべるとまた自分でもどうかと言うような笑みが零れる。\n\n『は、恥ずかしいけど……アテナ姉様なら、いいよ?』\n\n ぐふふ……イカン、鼻血が……\n\n まぁ妹も少し成長して、女の子らしく羞恥心が芽生えてしまったと残念ながら受け入れる他無い。\n しかし、それで諦める訳には行かない。\n 他は恥ずかしいからダメでも私だけ、お姉ちゃんだけは恥ずかしいけどオッケーという感じに持って行かなければ。\n\n まぁそれは日々クレアと生活する中で着実に育ってきているはず。\n 何でも自分で頑張ろうとするクレアには非常に好感が持てるし、自慢の、そして世界一の妹だ。\n でもそれはそれ、これはこれ。\n 恥ずかしがってクレアの愛する姉である私に甘えられないなんてそんな悲しい事は無い。\n だから素直になれる様に、私にだけは甘えていいとしっかり教えてあげなければ……\n\n とは言ったもののその目論見は日々の中で着実に進んでいるので焦ることは無い。\n 本当は一日中クレアを可愛がって、可愛がって、甘やかして、愛し合ったりしたいが、他にもやらなければ行けない事があるのだ。\n\n 先ずは第一に力を付ける事だ。\n クレアを守る為というのは第一命題だが、それとは別に跡取りの問題がある。\n 昨年、父様がポロッと零した言葉を私は忘れない。\n 何処かの貴族に私の愛するクレアを嫁にやるかも等という世迷言。\n\n 確かにクレアの状況が少し微妙な所というのは理解している。\n 対等な婚姻を結ぶにはクレアは体にハンデがあり過ぎる。\n 一生の世話と引き換えに、という事になる外無かろう。\n\n でも有り得ない。\n 私の可愛いクレアをどこの誰とも知らない男に触らせる等許容できる筈も無い。\n ならばどうするか。\n いち早く力をつけ、実績を重ね、当主の座を早々に父様には譲っていただく。\n 勿論父様とて苦渋の選択であったのは理解できるし、その言葉を零した時の苦虫を噛み潰したような表情や日ごろのクレアに対する溺愛振りから察する事は出来る。\n しかし悲しいかな、それは親が子に対する愛情でそれ以上でもそれ以下でもない。\n どうしても常識等を度外視出来ない。\n\n でも私は違う。\n 私が当主になればクレアを手放す事は有り得ない。\n ずっと私が世話をして、可愛がって、一生愛してあげるのだ。\n\n 後の後継者問題には行き当たるだろうが、そこまでにはまだ時間の余裕がある。\n 優秀な孤児を養子にするという簡単な方法も無いわけではない。\n\n もしくは人類が未だ到達出来ていない同性同士の子供を産むという研究に投資してもいい。\n\n クレアと私の子供……\n\n 想像するだけで幸せな気持ちになる。\n\n だけど今はそんな妄想は置いて、日々研鑽に励まないと。\n\n 力を付けて、クレアを守って見せる。\n\n お父様、さっさと当主の座を明け渡して下さいね?", "afterword": "ちょっとヤンデレ風味?\nしかし、好きなんですよね、ヤンデレ。\n余り激しいのはアレですけど、愛情が深いぶん、ああ、主人公愛されてるんだなぁと感じて、何だかほっこりします。\n私だけかな?笑\n応援して下さっている方に感謝っ!\n遅筆なので、ちょっと間が空く時もあるかもしれませんがお許しをorz"}

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