| {"novel_id": "n0008gd", "chapter": 7, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0008gd/7/", "title": "2-1", "content": " ついにこの時が来てしまったか……\n\n 僕は今日からピカピカの一年生だ!\n\n 緊張する。\n\n 朝早く目覚めてソワソワとしている内にレオナ姉様とアテナ姉様二人が部屋へとやってきて着替えを手伝って貰う事に。\n\n 王都にある学園は二つあり、僕が通うのはフレイア女学園だ。\n もう一つの方はアレクス騎士学園で所謂男子校である。\n\n 制服は両学園共同じデザインの色違いで、女学園の方は黒のスカートの裾に白のラインが入った物と白いシャツに白いブレザーだ。\n 首元には赤いリボンが付いている。\n 前世でも似通ったデザインは見た事があるので違和感はない。\n まぁ少しアニメとかに出て来そうなデザインではある。\n 男子の方はブレザーが黒になってるらしい。\n\n 部屋にやって来た姉様は二人共既に制服に身を包んでいるのだが、美少女は何着ても似合うんだねという感想しか出ない。\n\n さて僕も着替えを、という所でゴソゴソと二人して僕の衣装棚を物色しだしたかと思うと徐にそれを取り出し、手に持ったまま広げて見せて来た。\n\n「はい、今日の為の勝負パンツ」\n「こっちの方がいいわよ! これ!」\n「ちょっ、そ、それは……」\n\n 先ずレオナ姉様の方から見て行こう。\n それは紐だった。\n うん。\n 見紛う事無き黒の紐パンだった。\n 続いてアテナ姉様の方を見てみよう。\n 少しは大人しい気配がする。\n しかしやけに小さい。\n それ、本当に隠せるの? っていうぐらい。\n お尻とか見えちゃいそうなんだけども、という感じの水色と白の縞パンだった。\n\n っていうか勝負パンツってなんだよっ。\n 僕は一体何と勝負するんだよっ!\n\n「す、少し派手な気がするのですけど?」\n「そう?」\n「ええー? かわいいのに……」\n「そ、それよりも僕、そんなの持ってましたっけ?」\n\n 服や下着に関しては僕はほぼノータッチだ。\n しかし、地味目な感じが好きな僕に合わせてはくれているのでそこまで派手ななのはなかったはず。\n\n「これ? 今日の為に買って入れといた」\n「右に同じく」\n\n どうやら二人が選んで買って来たのを忍ばせていたらしい。\n\n「ふ、普通の……その、普通の白のでいいですから……」\n「え?」\n「な、なぜ?」\n「ちょっと僕には派手な気がするので……」\n「私とお揃いなのに……」\n「私も色違いでお揃いだよっ!?」\n「ふぁっ!? ちょちょ、ちょっと! スカート捲らないでいいですからっ!! は、はしたないですからっ!」\n\n 何を思ったのか、唐突に二人してスカートを捲り上げて見せてきた。\n モロに見てしまった。\n 二人に関しては普段からお風呂に一緒に入る事もあるので裸もみた事はあるのだが……\n 何と言うか、制服姿でスカートを自ら捲り上げてって背徳感がヤヴァイよっ!\n\n 慌てて目を伏せて手で視線を隠す。\n しかし、一瞬でも見えてしまった二人の姿が脳裏に焼き付いて離れない。\n 朝っぱらからなんてことを……\n\n 数分程の格闘の末、渋々ながらも普段通りの白いシンプルな感じのやつで許してもらった僕であった。\n と言ってもこれも僕の男としての感性からすると十分派手だ。\n レースなんかついちゃってリボンまでついてるし。なんか生地薄いし……\n まぁそこは諦めるしかないか。\n\n さて、制服に着替えた後は朝ご飯を食べて出発だ。\n\n 一応通学には貴族らしく馬車で通う事になっている。\n 車椅子も流石に折りたたみの機能まではつける事が出来なかったので少し狭いのだがそこは小柄な女の子三人だ。何とか引っ付いて乗れば十分なスペースはある。\n 貴族街と呼ばれる通りから数分もすると商店などが立ち並ぶ表通り、十字路へと差し掛かる。\n 街並みとしてはファンタジーご用達の中世ヨーロッパ風の街並みと言った所だろうか。\n 北へ進むと王城があり、そのまま真っ直ぐ東に進むと女学園が、そして南に下ると騎士学園がある。\n 道のりとしては三十分程だろう。\n\n 実際にはもう少し短い道のりなのだが、学園がある日は通学ラッシュで馬車で少し混むのだ。\n まぁ皆が皆馬車で通学する訳では無いので前世の様な車の渋滞とまでは行かないのだが。\n\n 馬車に揺られる事数十分。校門までもう少しという所まで辿り着いた。\n 校舎は三階建てで白い石造りのシンプルな感じだ。\n 因みに校庭は随分広く、体育という名の実技訓練があるらしいので木人形や的等が置いてあるのが前世の普通の学校とは違う点だろうか。\n\n 一台ずつ校門の前で止まって降りるのでここでも少し時間がかかる。\n 少しずつ進む馬車に揺られて十分程経過。\n ようやっと校門の前まで進んだ様だ。\n\n 先ずは御者を務めてくれていた壮年の男の人、セバスさんというダンディな髭が素敵な使用人さんが馬車のドアを開けてくれた。\n 父と母が厚い信頼を置いている昔からの使用人なんだとか。\n 続いて、手前に置いてあった車椅子を降ろしてくれた所で先ずレオナ姉様が降り、僕を軽々とお姫様抱っこしたアテナ姉様がその後に続く。\n 正直周りの生徒達の好奇の目が痛いけど、仕方無い……\n\n「……アテナ姉、明日は私がクレアを下ろすからね」\n「えぇー?」\n「あ、ありがとうございます。アテナ姉様」\n\n そして、ようやく一心地という具合に車椅子に僕のお尻が着地した。\n\n「それではお嬢様方、わたくしはこれで。帰宅する時間にまたお迎えに上がりますので」\n「ありがとうございました。セバスさん」\n「ありがと」\n「はーい。ありがとうね、セバス!」\n\n 三者三様にセバスさんにお礼を言って手を振り、馬車はすぐに慣れた様子で校門の前を離れて行った。\n さて、次の馬車が直ぐに来るのでここから移動する。\n\n アテナ姉様が後ろに回り、ゆっくりと車椅子が進みだす。\n やけに周りからの視線を感じるが気付かない振りだ。\n\n 三人で校門を潜り、少し進んだ所で前から一人此方に手を振って走ってくる人が見えた。\n 多分上級生だろうか。\n 雰囲気から察するに多分アテナ姉様の知り合いかな?と当たりを付ける。\n\n「おーい! アテナ! おはよう!」\n「ん? あら、ユリじゃない。今日はいつもより早いね?」\n「随分なご挨拶だな。君の所為で早く来る羽目になったんだぞ……」\n「そ、そうだっけ?」\n\n 前から走ってやって来たのは、美少年さん?\n いや、そんな訳無いか。\n ここは女学園だ。\n 銀色の髪を後ろで一つに束ねた長髪の、美少年に見紛う女の子かな?\n 何故か彼女はスカートじゃなくてズボンなのだがあれはいいのだろうか……\n 取り敢えずアテナ姉様の友達なのはきっと間違いない。\n ここは挨拶をするのが正解だ。\n\n「あの、初めまして、クレア・ジルニクスと申します。姉が何時もお世話になっています」\n「初めまして、レオナです」\n「おっと! これは失礼。挨拶が遅れたね。私はユリアーナ・クレイグだ。以後お見知り置きを、クレア嬢とレオナ嬢」\n「ちょっと! ユリ! 私のクレアに気軽に触るなっ! 手を出したら承知しないわよっ」\n「あいたっ! 酷いな……」\n\n 流れる様な所作で僕の前に跪き、僕の手を取って何かしようとした所でアテナ姉様の手がユリアーナさんの手を叩き落とした。\n 成程。\n これがいわゆる男装の麗人ってやつか。\n 流石女子校。レベルが高い。\n\n「そもそもアテナが入学式の準備を私に押し付けたんだ。少しぐらい見返りが欲しいものだね?」\n「そ、それは、その、あれよ。私のクレアが初めて学園に来るんだから! 寂しい思いをしたらいけないでしょっ!」\n「一体どんな理屈だい。それは……」\n\n どうやら自分の仕事をユリアーナさんに押し付けたらしい。\n これは少し申し訳ないな。\n 家の姉がご迷惑を……\n\n「あ、あの、姉がすいません。ご迷惑をかけたようで……」\n「うん? あぁ! いや! 大丈夫だ。気をつかわせて悪かったね? 私としても可愛い新入生を物色できるからね! 役得もあるから気にしないで大丈夫だよ?」\n「は、はぁ……」\n「クレア! 私はコイツに迷惑なんてかけてないからねっ? こういう奴だから気にするだけ損なんだよ!?」\n「……君は少し私に気をつかってもいいと思うな」\n「……今度お昼に何か奢るから」\n「さて、じゃぁそろそろ戻らないとね。じゃぁまた後で!」\n\n そうして颯爽と去っていくユリアーナさんを三人で見送るのだった。\n 何だか家とは違うアテナ姉様を見れたのは新鮮だったな。\n あれが気心の知れた友達、友情というやつか。\n しかしさっきのやり取り等の所為で凄く居心地が悪いのは確かだ。\n 視線が更に痛いっ。\n\n「じゃぁ私もここから在校生のほうにいかないと行けないから。クレアから離れるのは悲しいけど仕方ない……」\n「えぇっと、またすぐに会えますから?」\n\n そんな今生の別れみたいな顔して言わなくても……\n\n「そうね! じゃぁまた後でね! クレア愛してるっ!ちゅっ」\n「ふぁっ!? ちょっ、ちょっと!」\n「ふふふー、じゃぁまたねー! レオナ、クレアを任せたわよ!」\n「任された……」\n\n しおらしい感じになったと思ったら直ぐに平常運転に戻り、別れ際にほっぺにキスまでして去って行った。\n まるで嵐の様な姉だ。\n まぁ可愛がられているのは嫌でも感じるので悪い気はしないが、流石に公衆の面前では恥ずかしい。\n\n「……アテナ姉だけずるいから私もしとこ。ちゅっ」\n「ふぁっ!?」\n「ふふふ。さぁ行こう」\n\n アテナ姉様に代わって車椅子の後ろに回ったレオナ姉様にまで何故か逆側のほっぺにキスをされた。\n ほらー、更に注目浴びちゃってるじゃん。\n もう居たたまれないよ……\n\n 小さい体を更に小さくする様に縮こまり、火照る顔を伏せたまま入学式が行われる場所まで車椅子を押されて移動する僕であった。"} |
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