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{"novel_id": "n0008jp", "chapter": 9, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0008jp/9/", "title": "9.同時絶頂、その後で", "content": "「んふー……♡」\n\n 僕が長かった絶頂をようやく終えた後で、同じく達し終えた悠里が満足そうに息を吐くのが聞こえた。\n\n それでもまだ僕は寝たふりをしていた。\n\n というか今更改めて起きることなどできるはずもなくて、もう成り行きにまかせてこのまま狸寝入りを続行するしか選択肢がなかったのである。\n\n ペニスはまだ彼女の両ふとももと秘部に挟まれたままで、精液と愛液でベトベトになってしまっていたのだけれど、それを拭うことすらできなかった。ただお互いの異様に昂ぶった体の熱を感じたままそうしているしかなかった。\n\n どうして今、こんなことになっているのだろう。ひとたび射精して冷静になってみると、その疑問がどんどん頭をもたげてきた。悠里はどうして僕のモノに自分の秘部を擦りつけてオナニーをしていたのだろう。\n\n もしかして僕のことが──\n\n──こつん、と額に衝撃を感じた。\n\n こつん、こつん、こつん……とそのまま三回続けて額に軽い衝撃が降ってくる。どうやら悠里が僕の両頬を手のひらで挟んで、横になったまま額をぶつけてきているらしい。まるで額同士でキスをするような感じで。\n\n「……すき」\n\n そう聞こえてハッとして目を開けそうになり慌てて堪える。\n\n 今、悠里は僕に向かって『好き』と言わなかったか。それはライクとかラブとかの好きではなかったか。\n\n 悠里は、そうか、僕のことが好きだったのか!\n\n そう考えれば納得がいく。つまり僕の部屋に入り浸っていたのも、しょっちゅう下着を見せて誘ってきていたのも、そして今こうして僕のモノに自分の秘部を擦りつけてセックス一歩手前まで至っていたのも、すべて僕のことが好きだからそうしていたのか。\n\n 思えば悠里はかなり口下手だ。僕も悠里も感情を言葉ではなく態度で表すタイプで、そのうえお互いかなり意地っ張りだから告白なんてできようもなかったのだ。けれど今の僕は眠っているということになっているから悠里は素直に心情を吐露してくれたのではないだろうか。\n\n そこまで一気に考えて、それからもう一つの可能性に思い至る。\n\n つまり悠里は僕のモノが『好き』だという可能性だ。僕のモノに自分の秘部を擦りつけてオナニーをするのが、好き。精神的なものではなくて、肉体的な好きであるという可能性。僕の内面については特に何とも思っていない、ただの腐れ縁の幼馴染だと思い続けているという可能性だ。\n\n いや、それにしたって、悠里の今の態度はかなり淫蕩であることは確かなのだけれど。\n\n「あ……♡」と悠里が小さな声を漏らした。\n\n 気が付けば僕のモノはずもも……とまた勃起し始めていて、それで彼女のふとももと秘部のすき間で硬度を増してきていたのだ。そりゃあ好きな人に『好き』などと言われてしまってはこうなってしまうのも致し方ない。\n\n すると悠里はまた──こつん、と僕の額に軽い頭突きをして「またおっきくなった……」と囁いた。\n\n そして彼女が添い寝状態を離して起き上がると、彼女の両ふとももの間で粘液にまみれたモノがにちゃあ……♡と糸を引いたらしい。それがペニスの感覚だけで分かった。\n\n「うあー……出しすぎ……」と悠里は指でにちにちと粘液を弄び、そして「──苦ッ」と言った。\n\n 薄目を開けて見ると悠里は指で掬った僕の精液をそっと口に運んだところで、その苦さに「うえー……」と舌を出して眉間にシワを寄せていた。まあ美味しいものではないだろうから当然の反応だろう。そして悠里にとってはその苦味が気付け薬のように作用したらしい。\n\n それまでうっとりとした顔をしていた悠里は、今の自分のここまでの行動にハッとしたらしい。\n\n「なにやってんだ、わたし……!」と愕然とした顔で小さく叫んだ。\n\n それは本当にそうである。\n\n だって彼女の両ふとももにはべっとりと精液が付着したし、彼女も僕も下半身を露出している状態である。お互いの着衣は乱れまくっていていかにも情事の後といった風情だし、そのうえ僕はまだ眠った状態を維持しているのだ。本当に何やってんだ、である。\n\n ひぃーっ、と悠里は小さく悲鳴をあげて、それから慌ててふとももやら何やかやに付着した粘液をウェットティッシュで拭い始めた。ふとももに付いた精液もシーツに落ちた愛液も拭いて、それから自分のショーツをスッと穿く。\n\n そして今度は何やかやの粘液でベトベトになっている僕のモノを手で支えてウェットティッシュでそっと拭い、それから先端にゆっくりと口をつけた。ちゅ……っ♡と中に残ったものを吸われる。\n\n「う──ッ」\n「うえ……」\n\n ほとんど僕たちは同時に声をあげた。僕は性的な快楽から、悠里は口にした精液の苦さからだろうか。\n\n「こんなの飲むひとの気持ちがわかんないな……うへ、まず……」\n\n ぺっぺっと悠里はティッシュに向かって唾と精液を吐いている。よほど不味かったらしい。正直ちょっと傷つく。いや悠里がそうなるのも頷けるし、さすがにこのタイミングで起き出して文句を言うわけにもいかないから黙っている他ないのだけれども。\n\n そして悠里は寝たふりを続けている僕にもちゃんとパンツとズボンを穿かせて、シーツのシワなんかも直して、窓を開けて換気を始めた。\n\n 窓から綺麗な風が入ってきて、それで部屋の中が今まで淫蕩な空気に支配されていたことに気が付いた。\n\n 悠里も同じように感じたのだろうか。彼女は窓の外を眺めながら「ふーっ」とため息を吐いた。どうやらこれで一段落であるらしい。やり遂げたような空気を出している。\n\n そろそろ起きてもよさそうだな、と感じた。\n\n だから僕はゆっくりと目を開けて、さも寝起きですよという空気を出しながらベッドの上で身を起こした。そして窓際にいる彼女に声を掛ける。\n\n「悠里……? また来てたのか……」\n\n「──ッ」と悠里が息を飲みながらこちらを振り返った。\n\n 珍しくその目は大きく見開かれていて、そして頬がスッと赤くなっていく。口を開けて何かを言おうとして、けれども言葉が見つからないのか、ただ口をパクパクと開けたり閉じたりしている。彼女の長い髪がかすかに乱れていて、動揺した顔のままそれを手のひらでそれを撫でつけている。\n\n あ、可愛いな、こいつ。そんなことを思った。\n\n そうしてそれから、悠里が平静を取り戻すまでたっぷり十数秒かかった。\n\n「いやーよく寝たよ。夢も見なかった。疲れてたからかな」と僕が言うと、\n「昼間っから、寝すぎ……」と悠里は小さな声で文句を言った。\n「眠かったんだよ、何でか知らないけど。というか悠里、家主が寝てる部屋に勝手に入ってくるなよ」\n「む……ッ」\n\n 照れ隠しに僕が小言を言うと、悠里はムッと頬を膨らませるような顔をした。そして彼女は『んべーっ』と舌を出して、逃げるように僕の部屋から出て行った。\n\n と思ったらまたドアを開けて「……ばーか」と彼女は言い残していった。\n\n そうして部屋には僕と、それからほんのかすかに残った悠里の淫蕩な香りだけが取り残されたのだった。\n\n\n◇◇◇\n\n\n ともかくそうして僕は悠里に素股をされて、それまで知らなかった彼女の感情の一端を知った。\n\n つまり悠里は僕のことが好きなのかもしれない、と。\n\n そのことについて悠里と話す必要があると感じたのだけれど、しかし、その翌日、それがどうにも上手いこといかなかった。\n\n なぜなら、学校で悠里が僕のことを避けていたからだ……。\n\n\n◇◇◇\n\n\n「睦月くん、悠里ちゃんと喧嘩でもしたの……?」\n\n 寝ているところを悠里に素股された日の翌日の昼休み、学校にて、ぼんやりと天井を見上げていたら与木さんからそう声をかけられた。\n\n 見ると与木さんは心配そうに目尻を下げていた。相変わらず心配しいな子である。\n\n それから窓辺の席の方を見ると、そこに悠里はいなかった。トイレか購買かどこかへ行ったのだろうか。今朝から僕が声を掛けようとするたびにスッと居なくなって、だから今日はまだ一度も悠里と会話をしていなかった。\n\n もちろん昨日僕が聞いた『好き』という言葉の真意だって確かめられていなかった。\n\n「いや、喧嘩はしてない……と思う。なんか避けられている、ような気がする」\n「避けられてる……?」\n「うん、朝から顔を合わせてもばーって逃げられて、一回も会話していないんだ」\n「なるほど……」\n\n 与木さんは人さし指を自分の顎に当てながら「ふむ……」と唸った。それから僕の顔をじぃーっと見つめてくる。\n\n そうして見つめられると、困る。意外と与木さんは目力がある方なのだ。\n\n だからこちらが思わずたじろぐと与木さんはクスッと笑った。そしてとんでもないことを尋ねてきた。\n\n「睦月くんは悠里ちゃんのこと、好き?」\n\n うぐ、と僕は思わず唸った。\n\n そんなに直接的に『悠里のことが好きか』などと尋ねられるとは思っていなかったのだ。いや以前にも同じようなことを与木さんから尋ねられたことはあって、その時は思わずはぐらかしてしまったのだけれど。\n\n けれど、あの時と今ではすこしだけ状況──というか僕の心情が異なっている。悠里から向けられている意識に気が付いてしまったし、僕自身も悠里のことを意識している。\n\n「そうだね、好きだよ」\n\n だから意外にもすらすらとその言葉が口から出てきた。あまりにもさらりと言えてしまったものだから『ああ、僕はやっぱり悠里のことが好きなのか』と自分で再確認してしまったくらいだ。\n\n 僕のセリフを聞いた与木さんは「わお」と手のひらを自分の口に当てて驚いた顔をして、それからパッと明るい顔になってまたクスクスと笑った。\n\n「今日の睦月くんは素直だねっ、善きかな善きかな」\n「あはは、この数日間いろいろあってね。なんか、まあ、そういう感じになったんだ」\n「それで……告白はした感じです?」\n「いや、全然。というか今なんか避けられてるみたいで、それどころじゃないよ」\n「そっかあ……睦月くん、何かしたの?」\n「何もしてない。何もしてないと思うんだけど……」\n\n まさか部屋で寝ているところを悠里に抱きつかれた、なんて与木さんに言うわけにはいかない。そのうえペニスを使ってオナニーをされたなんて。\n\n それに実際に僕は『何もしていない』のだ。\n\n 僕はただ部屋で寝ていただけで、昨日は何もしていない。いや昨日だけではない。悠里が僕の部屋でくつろぎすぎてショーツが丸見えになっているときも、僕の机の角で彼女がオナニーをしていたときも、僕は何もしていないのだ。\n\n 唯一の例外は眠る悠里の体に触れたときだけれど、あのときの悠里は意識を失っていたから彼女は覚えていないハズであるし、結局のところ僕は何もしていないはずなのだ。\n\n だから避けられる理由はないと思うのだけれど……。\n\n「それじゃないかな?」と与木さんが言った。\n\n「……え?」\n\n 見ると、与木さんが確信したような顔をしている。大きなふたつの眼でこちらをジッと見ていて、こちらの心の裡までもを見通すような目だ。\n\n そして彼女は核心を突くようなことを言った。\n\n「睦月くんは、この数日の内に素直に悠里ちゃんのことが好きって言えるようになるような出来事に遭遇したハズなのです。でもキミは『何もしていない』から、だから悠里ちゃんに逃げられているのでは?」\n「なるほど……?」\n「想像だけど、悠里ちゃんの側からのアプローチみたいなものはあったんだよね?」\n「……アプローチかどうかは分からないけど、そうだね、あったよ」\n\n 僕の机とかでオナニーをするとか、そういうのだけれど。\n\n けれどあれは悠里なりのアプローチだった可能性は確かに否めない。\n\n「だったら、今度は睦月くんがもう一歩踏み出してみるべきだと思うのです」\n「もう一歩、踏み出す……?」\n\n「そ」と与木さんはクスッと笑った。「次は何かに遭遇したときに『何もしていない』んじゃなくて、もう一歩前に踏み出してみるのですよ!」\n\n「それで何とかなるかなあ……」\n「なるよ、睦月くんと悠里ちゃんなら絶対なんとかなる」\n「……根拠は?」\n「だってどう見たって二人は仲良しだもん!」\n\n そして与木さんは両腕で小さくガッツポーズをしながら『がんばれっ』といったポーズを取った。演技めいたポーズではあるけれど、彼女がするとなかなか絵になるポーズである。\n\n 与木さんからそう言われると本当にどうにかなるような気持ちになるから不思議だ。\n\n「一歩踏み出す、か……」\n\n だから僕は次に悠里と何かがあったときには絶対にもう一歩踏み出してみようと心に決めたのだった。\n\n もう何もしないで狸寝入りを決め込むわけにはいかないのだから。\n\n\n◇◇◇\n\n\n ところで、次に僕がもう一歩を踏み出すことになるタイミングはすぐに訪れた。\n\n それは与木さんとこの会話をした日の放課後だったのだ。\n\n しかもそこはまた僕の部屋で、また僕の部屋に勝手に入り浸っていた悠里がオナニーをしているときに『もう一歩踏み出し』て彼女のオナニーに参入──というかついにセックスと相成ったわけだけれど……。", "afterword": " ここまで読んでいただいて、ありがとうございます!\n\n 2024年10月10日(木)の週間総合ランキングの4位に当作が入っております!\n 応援いただきました方々は、大変ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします!\n\n また、ブックマーク・評価ポイントをまだ入れていらっしゃらない方は、入れていただけますと大変励みになります。どうか……。\n\n よろしくお願いします!!"}

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