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{"novel_id": "n0009cd", "chapter": 1, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0009cd/1/", "title": "第一話 宿直室にて", "content": "「ジョージー! ステファニー! あなたたち、いったい何をしているの!!」\n 突然の激しいノックとともに、宿直室の中にサンダーソン先生の甲高い怒声が飛び込んできた。\n おかげで、私のオルガズムは中断を余儀なくされてしまった。あともう少しでイクとこだったのに……。\n「こんな破廉恥なこと……宿直室のベッドで行うなんて、どういう了見なの!?」\n 狭い仮眠用ベッドの上で絡み合う私たちの裸の体が開け放たれたドアから差し込む廊下の薄明かりによって、ほんの僅かに照らされる。同時に廊下の冷えた空気が暖房の効いた室内に流れ込んできて、汗にまみれた体から急激に体温を奪っていく。\n でも、私が鳥肌を立てて震えたのは、その寒さのせいだけじゃない。怒りに満ちた眼差しで私を見つめるサンダーソン先生の翡翠色の瞳が、これまでにないほど冷え冷えとしたもので、それが私の心を凍えさせたのだ。\n「ジョージー、あなたが誰かまわずに、こんなふうに淫らな行為をしている場面を、いったい何度、私が注意したと思っているの? あなたは、この聖ジョセフ病院のすべての女性研修医と淫らな関係を持たないと気がすまないのかしら!?」\n さらにサンダーソン先生は、私の下半身にうずくまるように身を伏せているステファニーにもその怒りの矛先を向ける。\n「ステファニー、ジョージーの股間から早く顔を離しなさい。いったい、あなたは、フィアンセに、どんな言い訳をするつもりなの? ──ともかく、その汚れた顔を洗って、口の中をゆすいできなさい!! 本来ならば、あなたは、三十分前にトムソン夫人の血液検査をしているはずでしょ。ただちに研修勤務に就きなさい!」\n そのサンダーソン先生の厳しい声に身を震わせたステファニーは、ベッドから抜け出して慌ただしく身なりを整えると、顔も上げずに──まさに影のように部屋から抜け出していった。\n「ジョージー、こんなことばかりしていては、あなたの評価は下がるばかりよ」\n 再び、私に視線を戻したサンダーソン先生は、ややくたびれたような口調になっていた。そして、私とステファニーが愛し合った最中に、二人の裸の体から零れ落ちた汗と愛液にまみれたベッドシーツを見つめながら言葉を継いだ。\n「──そのうえ、宿直室のベッドまで、こんなに汚してしまって……。宿直当番の研修医は、みんな、このベッドで仮眠するのよ。この病院の研修医というだけで、どうして、誰もかもが、あなたの体液にまみれたベッドで仮眠しなければならないのかしらね!?」\n「シーツの洗濯は、私が自分でやりますわ」\n 私は、サンダーソン先生の皮肉混じりの言葉に対して、やや控えめに言い返した。\n「口答えをしないで! すでに勤務時間に遅刻しているあなたが、どうして、シーツを洗う時間を持てるというの!? それに、あなたもステファニーと同様、体を清めなければいけないわ。──本当に、あなたは、この病院に居着いている色情狂のトラブルメーカーだわ!」\n 不用意な反論は、彼女の炎のように燃えさかる怒りに油を注いでしまったようだ。私は何も言わずにドアに向かって歩き始めようとした。しかし、その歩みは、心を凍らせるような冷たい声音によって遮られる。\n「ジョセフィーヌ・ホーカー、本日、あなたが研修勤務に就くことを禁止します──そうね、白衣を着替える必要もないわ。身を清めたら、私の部屋に行き、そこで私が戻るまで反省して待っていなさい。それと、明日から一週間、研修勤務時以外は、あなたが他の研修医と接触することは厳禁よ。他の研修医たちの医学研修をこれ以上滞らせるわけにはいきませんからね。ジョージー、私はね、発情している野良猫の前に大事な血統書付きの猫を放り出すような真似、もうするつもりはないわよ!」\n サンダーソン先生は、そう言い残すと足早に立ち去っていく。そして、私は、彼女が廊下の先で看護師に向かって、シーツを洗うように大声で命令するのを聞いた。たぶん、病院内の誰もが──そう、入院患者でさえも彼女の喚き声が聞こえただろう。\n サンダーソン先生は、すでに私のどのような言い訳も聞く耳を持っていないようだった。確かに、そろそろさじを投げられても仕方がないかもしれない。すべては、これまでに私が引き起こしてきた数々のトラブルに起因しているのだから自業自得と言えば、まさにそのとおりなのだ。\n 私が廊下に出ると、同じ医学研修課程の属しているゴードンがにやにやと嫌らしい笑みを浮かべながら立っていた。そうやっている彼は、背が低いこともあって、まるで女の子をからかって遊んでいるジュニアハイスクールの少年のようだった──とても研修医には見えない。\n「ジョージー、そんなに体を持て余してるなら、僕がいつでも相手になってやるよ」\n「余計なお世話よ!」\n 私は、自分の顔よりも下にあるゴードンの眼鏡顔を見下ろしながら言い返した。\n「こんなところで油を売っている暇があったら、さっさと自分の研修勤務に戻ったら?」\n「勤務時間中にステファニーとしけ込んでいた君に言われたかないな」\n ゴードンは、やや視線を下げて私の胸に好色な目を向けながら答える。\n「私が何をしようと、あなたには関係ないでしょ。だいたい、私は、あなたと違って成績に問題がないから、少しくらいサボっても大丈夫なの」\n セクハラぎりぎりの言動を弄するゴードンに対して、怒りを爆発させた私は、彼のコンプレックスである研修成績のことに言及してしまった。言い始めた直後、これはまずいと思ったが、止められなかった。\n「あなた、このままだと研修課程、修了できないかもしれないわね。少しはデイビッドを見習ってみたら?」\n ゴードンの顔色の変化は、劇的だった。私の毒舌を耳にした直後、一瞬、顔を青ざめさせ、それから真っ赤にして怒鳴り返してきた。\n「き…、君だって……、せ…、成績に問題がなくても素行に問題があるだろう。お…、お互い様じゃないか! それに、あんなオタク野郎と僕を比べないでくれ。ふ…、不愉快だ!」\n いたくプライドを傷つけられた様子のゴードンは、屈辱で満面を朱に染め、大きな足音を響かせながら歩き去っていく。\n 私も、できるだけ早くサンダーソン先生の執務室に出頭するために、シャワールームに向かって急いで歩き出した。ともかく少しでも反省している態度を見せなければ、この病院から追い出されてしまう。それだけは確かにのゴードンの言うとおりなのだ。", "afterword": " この小説は海外の femcirc fantasy(女子割礼妄想)小説を翻訳したもので、原作は今は亡き femcirc fantasy グループに投稿された Meredith 氏による、\"Making Rounds.\"です。日本と違って海外では非常に多くの femcirc fantasy 小説が書かれていますが、その中でもベスト10に入るだろうと訳者が個人的に思っている傑作中の傑作です。\n Meredith 氏は、この作品以外にもいくつの femcirc fantasy 小説を書いていますが、残念なことに femcirc fantasy 界から去ってしまっており、ここ何年も新作を執筆していません。\n 作品のタイトルについてですが、これにはずいぶんと悩みました。原題の \"Making Rounds.\" は単純に訳すと『巡回』となります。しかし、話の内容からすると、どうもしっくりしません。単語レベルでいろいろと意味をすり合わせた結果、\"Making\" を『作ること』あるいは『製作』とし、\"Rounds\" を『丸彫り(像)』とし、それを組み合わせて \"Making Rounds.\" を『彫像造型』という意味合いに取ってみました。さらに、それを内容に合わせて『石膏標本』と意訳してみました。\n なお、自分には医学的な知識はまったくありませんので、本文中の陰核を切除する手術シーンの描写や手術中の登場人物たちのセリフに関しては、けっこういい加減です──というか、ほとんど妄想の産物です(笑)"}

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