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{"novel_id": "n0009cd", "chapter": 4, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0009cd/4/", "title": "第四話 手術室にて──臨床実習開始", "content": " 私が目覚めたとき、なぜか意識が朦朧としていた。\n 目の焦点がまったく定まらず、全体的に薄暗い──まるで明るい光が遥か彼方にあるような感じだった。\n 今、私が思い出せる最後の光景は、自分の掌に乗せた精神安定薬の白い錠剤だった。それを服用したかどうかさえ、はっきりとした記憶がない。\n ぼんやりとしているうちに、しだいにサンダーソン先生の声が聞き取れるようになってきた。彼女は、幾人もの相手に対して話しかけているようだった。\n サンダーソン先生の講義!? ──そう、それは間違いなく研修時の講義口調だった。\n 目の焦点が定まったとき、視線の先でサンダーソン先生が話をしている姿を確認することができた。でも、視界の端はまだ霞んでいて、周りは良く見えない。\n どうやら、間違いなくサンダーソン先生の講義中のようだ。\n でも、今まで私は眠っていた──いったい、どうやって、先生の講義を受けていたのだろうか? そのうえ、目覚めたばかりの私は、ベッドの上で横たわっていた。これでは講義の受けようもない……。\n しだいに意識がはっきりしてくると、自分が一糸纏わぬ全裸にされて、病院ベッドの上に仰向けに寝かされていることがわかった。さらに両足はあぶみに吊されて、大きく広げさせられていた。\n 吊された足をあぶみから下ろそうとしたところで、私は両方の脛と太股が革製のベルトで固縛されていることに気づいた。それを外そうと思って手を動かさそうとしたら、両手首と両腕も同じように革製ベルトで病院ベッド上に留められていた。また、これらよりもやや太めのベルトによって腰回りの方も完全に固定されていて、下半身全体がまったく動かせないようになっていた。\n ここ四日間、私は、ずっとこの病院ベッドで寝ていたが、あぶみ以外に、このような仕掛けが隠されていたことにぜんぜん気づいていなかった。おそらくシーツを被さられていたからだろう──今は単に無機質な黒いレーザー地を晒していた。\n そして、霞んでいた視界が完全に開けたとき、私は、白っぽい部屋で明るいライトに照らされて、サンダーソン先生を始めとする青い手術衣の集団に囲まれていることを認識した。\n 私は、すぐ目の前の手術用マスクに隠された顔を見た。そのダークブラウンの瞳は、よく知っている人物だ──そう、そこにいたのはステファニーだった。そして、その青い手術衣の集団は、私と同じ婦人科医学研修の課程に属する研修医たち──私の同期生たちだった。サンダーソン先生自身も手術用マスクを除いて同じ手術衣を着ていた。\n 今、私は白いタイル貼りの手術室──視界がはっきりしたときに目に入ったライトは天井に設置された無影灯だった──で、素っ裸にされたうえに、419号室にあった病院ベッドの上で大股開きにされて、身動きが取れないように拘束されたまま、サンダーソン先生と同期生たちに取り囲まれていたのだ。\n どうして、自分がこのような状態でいるのかがまったく理解できなかったが、どうやら、今は婦人科医学研修の最終課程の真っ最中らしい──私は睡眠薬で丸一日眠らされていたようだ。未だに頭の芯に残る重い感覚がそれを如実に証明していた。\n「私たちの患者が目覚めたようです。……さて、これで研修医全員が揃ったったので、あなたたちの婦人科医学研修の最終課程を始めることにします。そして、最終課程の研修内容は、実際の患者に治療を施す臨床実習です」\n 私がサンダーソン先生を見上げていると、彼女も振り向いて私を見つめてきた。互いの視線が静かに絡み合う。\n 私は、困惑した。\n 猿轡を噛まされているわけではないので、サンダーソン先生に抗議しようと思えば、話しかけることはできる。でも、私は沈黙を守らざるを得なかった。この辱めが、私への処罰であることが今の一瞬の目配せで理解できたから……。\n 私が、この婦人科医学研修の臨床実習で被験者を務めること──同期生たちの目の前に自分の外性器を晒して何らかの実習を供されるという、この尋常ではない屈辱に耐えることこそが、私に下されたサンダーソン先生の処罰なのだろう。\n 私は、今、この場にいて、なおかつ、何も問題のない状態だった──私は、まだ医学研修の課程にいる。そして、その最終課程を受け始めている──まさに私は、これ以上にない妥協によって解決された立場にいるのだ。\n「ジョージー、婦人科医学研修の最終課程として行う臨床実習を最後まで受け続ける覚悟はできていますか?」\n このとき、私は自分が手術室にいることと周りにいる同期生たち全員が手術衣を着ていることの重大性をあまり理解していなかった。だから、深く考えずに返事をしてしまった。\n「はい、大丈夫です。サンダーソン先生」\n 私を囲む研修医たちは、当惑した様子で互いに目を向け合っている。でも、誰も言葉を発していない──それは奇妙な沈黙だった。ふだん、私たちは授業中によく私語を交わしていたから。\n 私は、自分自身に何が起ころうとしているかまったくわからない状況にもかかわらず、彼らを何らかの方法で安心させなければならないように感じられた。\n「サンダーソン先生、私にも手術用マスクを付けていただけますか?」\n 私は、軽い調子で言った。\n「もちろんです、ジョージー。あなたのために、ちょうどここに、それを持ってきています」\n サンダーソン先生が、私の顔の上に手術用マスクをそっと被せたので、私の同期生たちは、より一層当惑したような表情になった。\n 一方、サンダーソン先生は、より確信を持って自信に満ちた顔つきになった。彼女は、私がこれを自分に対する処罰であると認識したことを、そして、私が医学研修の最終課程を無事に修了したいと考えたなら、協力しないわけにはいかないと自覚していることを完全に確信していた。\n 結局、同期生たちの緊張をほぐすことはできなかったが、落ちつきを取り戻させることだけはできたようだった。\n とくに男性研修医たちは、先ほどまでのどこか硬い感じがする表情から、ふだんどおりの軽いノリを思わせる雰囲気を取り戻している。そして、彼らは、まるで少年のように好奇心旺盛な顔つきをして、私の体のあちらこちらに熱い視線を泳がせていた。彼らの瞳に奥に医学的な関心だけでなく、性的な関心も見え隠れしているように思えるのは、私の自意識過剰だろうか。\n「さて、本日の臨床実習の患者ですが、ジョセフィーヌ・ホーカー研修医が自分の性欲異常亢進症を治療するにあたり、臨床実習の被験者として名乗り出てくれました。全員、ジョージーの英断と献身に感謝するように」\n この恥辱に満ちた処罰を受け入れるという、私の意志を密かに確認し終えたサンダーソン先生は、婦人科医学研修の指導医として、これから行う臨床実習の内容を研修医たちに説明し始めた。\n「──そして、今日の臨床実習は、あなた方のうち、何人かの者が苦手と感じている外科手術です。万が一、あなた方の中で退出する必要性が生じた者は、躊躇なく退出してもらってかまいません」\n ──外科手術!?\n 婦人科医学研修の最終課程──臨床実習が外科手術というのは初めて聞く話だった。確かに今いる場所は手術室に違いないし、全員が手術衣を着てもいたが、まさか本当に外科手術が私に対して行われるとは、今の今でまったく思っていなかった。\n そもそも性欲異常亢進症の治療としての外科手術とはいったい何なんだろうか? サンダーソン先生は、いったい私に何をするつもりなのだろうか!? 自分の外性器に対して──今の拘束されている状態から考えて、それ以外には考えられなかった──外科的に何を施されるかわからない不安から、私の心臓は早鐘のように打ち始めていた。"}

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