Krixter/Repo / n0009fk /11.json
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{"novel_id": "n0009fk", "chapter": 11, "url": "https://novel18.syosetu.com/n0009fk/11/", "title": "決戦の日", "content": " 決戦当日。キリエの体調は万全だった。いつものように着替えを終えて勝負の場となる訓練場に向かうと、何度かストレッチをして体を良くほぐしておく。\n「おはようございます、キリエ少尉! 調子良さそうッスね!」\n と、そこにリーシャが声をかけてきてキリエはびくっと反応してしまう。先日の珍事以来、どうしても彼女の顔を直視できなくなっているキリエであった。時折顔を合わせることもあったがそそくさと目線を逸らしてしまうのが常であった。\n「お、おはようございます……」\n もちろんこの時もスッと目線を外して挨拶をしていた。\n「もう、調子狂うッスね。せっかくの勝負なんッスから、もうすこしテンション上げていきましょうよ!」\n しかし、無駄に元気のいいリーシャを見つめると、キリエの中になぜかムラムラと闘争心が湧いてきてそれが口から発露する。\n「……無意味に興奮してもエネルギーの無駄ですから」\n キリエはそれだけ言うと、ポカンとしているリーシャを置いて起動準備を終えている駆動鎧の乗り込み口に向かう。\n 既に慣れきった動きで駆動鎧の正面ハッチを引き開けたキリエは、さらに太く長く調整されたディルドーを見てグッと息を呑む。\n そして覚悟を決めるとゆっくりとそこに腰を下ろしていく。既に幾度もこの太さを受け入れてきたキリエの肛門はあっさりとそれを飲み込んでいく。同時に背筋にビリビリとした快楽が走っていくが、気力で抑えつけてさらに深く腸内に納めていく。\n すぐに腰が座席につき、ディルドーの先端が結腸に丁度当たる。性感帯として開発された結腸がさらなる快楽をキリエに伝えてくるが、既にそれを受け入れる体勢は整っている。\n「……それでは行ってきます」\n「頑張ってねー、キリエちゃん。いつも通りやれば大丈夫だから」\n いつの間にか搭乗口の所にやって来ていたマインがいつものような気の抜けた声で告げる。それに緊張感を解かれそうになりながらも、キリエは正面のハッチを閉じていく。同時にキリエ自身と駆動鎧が魔術的につながり合った感覚が走り、ゆっくりと人工の巨人が目覚めていく。\n「システムオールグリーン……起動準備完了……」\n グッと肛門括約筋を締めあげてより太く調整されたディルドーを噛み締めると、淡々と目の前のスクリーンに表示された情報読み上げていく。\n 既に直腸内に物があることには慣れ切っている。心は凪いだ水面のように澄み切っていた。むしろ、おしゃぶりを咥える赤子のような気持ちすらあった。\n「……ふぅ」\n この駆動鎧は完全な一級軍事機密であり、同型の機体はタークたちの開発したあの一機しかない。当然、この一月あちらのチームとの交流は一度もなかった。\n 訓練では止まった的を攻撃する訓練こそしていたが……つまり、同じサイズの相手と殴り合うのはこれが初めてである。\n だが、キリエの心は不思議と凪いでいた。自分が負けるというイメージが微塵も湧いてこなかった。\n「……行きましょうか」\n そしてゆっくりとキリエの駆動鎧が立ち上がる。\n\n ◆ ◆ ◆ ◆ ◆\n\n 倉庫の中心部に半径20メートルほどの円が描かれている。そしてその中心に向けて二機の駆動鎧が堂々とした足取りで向かっていた。\n 以前は金属そのままのそっけない色合いだった駆動鎧だったが、流石にそのままでは区別も大変なのでマインが開発しキリエが搭乗する方は白色、タークが開発しリーシャが搭乗する方は赤色に塗られている。恐らく今後実戦に投入される際もこれがそのままそれぞれのパーソナルカラーになるだろう。\n そして、円の中心で対峙する白と赤の駆動鎧を上部整備通路の特等席で見ているのが総責任者兼審判のバウゼン、そしていがみ合う開発担当者のマインとタークであった。\n「ルールは今更確認するまでもないかね?」\n「一応確かめておきましょう。この女がルールの穴を突くと困りますから」\n「それはこちらのセリフですわ。不要な心配の種は潰しておくに限ります」\n 相変わらずの2人にバウゼンは軽く肩をすくめると、改めて詳細に決め直したルールを宣言する。\n「勝負は時間無制限一本勝負。あそこに描いた円の中心で互いに向かい合い、開始の合図と同時に攻撃し合う。円から出るか、倒れたら負け。攻撃手段についてだが、互いの工夫を凝らしたものなら何でもよい。ただし、パイロット及び機体の重要なシステムに致命的な傷を与えない範囲であること」\n 一応駆動鎧には貴重なパイロットを保護する装置は組み込まれているが、元々がカツカツな機体仕様である。そう無茶をできる仕組みにはなっていない。流石に機体を貫通するような刃物をコクピットに差し込まれたりしたらまず命はないだろう。とはいえお互いいがみ合ってはいても、パイロットと機体の価値は誰よりも理解している2人である。バウゼンに言われるまでもなく、そんな危険な攻撃手段を使うつもりはなかった。\n「……では互いに異存はないかね? それでは……始め!」\n バウゼンが高く旗を振り上げると、白と赤の駆動鎧が出力を一気に高めて同時に動き始めた。\n「ッ!? 組み合った!?」\n 赤が先に姿勢を低くして突撃してきたのを見て取った白は、自分も突進しようとしていたのを諦め腰を落として迎え撃つ姿勢を取る。そこに赤が一気に勢いを付けて突っ込んで来たため、互いにがっしりと相手の胴体に手をやる組み合った形になる。\n「……なるほどね、パイロットが優秀なのは認めよう。正直言って瞬殺できると思っていた。まさか一月前までは満足に歩くこともできなかったのに、リーシャを相手にまともに組み合えるとは」\n タークが相変わらずねっとりとした口調でマインを皮肉る。\n「そう馬鹿にしないでもらいたいですね。私の教育プログラムは完璧ですから」\n マインはフフンと鼻を鳴らす。\n「……しかし、こうして目の当たりにすると迫力がすさまじいな。鋼鉄の巨人同士が正面からぶつかり合うなどという光景を目にしたのは私たちが初めてではないかね?」\n バウゼンは2人の言い争いなど気にした風もなく、むしろ少年のような純粋な興奮を隠しきれない様子で言う。\n そしてその言葉には反発し合う2人も素直に頷くのだった。\n なんだかんだ言って、この場にいる3人は純粋に駆動鎧の開発を心から楽しんでいる人々だった。そうでもなければ、ここまで情熱を傾けることなどできようはずもない。\n そして戦況の方は相変わらずだった。互いに相手の体を掴んで体勢を崩そうとしているのだが、元々出力に大した差があるわけではない。じりじりとした攻防が続いていた。\n「……このままでは埒が明かんな。この姿勢では私の新兵器も役に立つまいし……」\n ブツブツとタークが、明らかにわざと聞かせたい声量で独り言を言う。マインはイラッとするが、かと言って露骨に無視するのも大人げないと思い一応聞いてやる。\n「ほう、新兵器ですか。一体何を搭載したんですか?」\n「教えるわけがないだろう。ま、披露した時には既に君たちは敗北しているだろうがね」\n その返事にマインの怒りが余計に募ったその時だった。\n「……動くぞ!」\n 固唾を飲んで見守っていたバウゼンが呟く。\n マインとタークが慌てて試合の方に目をやると白……キリエが組み合った姿勢から一気に身体を後ろに引くところだった。\n 突然掴むべき体が消え失せ、赤……リーシャの機体の手が宙を切る。そこに前へと詰め寄った白が赤の背中へと渾身の張り手を入れようとした。\n タークが苦虫を嚙み潰したような顔になり、一方マインは満面の笑みになる。\n が、赤もその不安定な姿勢からかえって前に体重をかけることで機体を走らせるような形に移行させ、張り手を入れようとしている白の腹へと拳を入れようとする。\n それに気づいた白は攻撃を諦めて見た目よりも俊敏な動きで一歩、二歩と下がって円の縁ギリギリまで移動した。\n 一方、赤の方も仕切り直すためか少し後ろに向けて距離を取った。\n そして再び互いに対峙し合う。\n「……ここまでは互角か。そろそろ切り札を切る時が来たようだな」\n タークの言葉が聞こえたわけではないだろうが、そこで赤がスッと自身の右腕を体の正面に向けて持ち上げる。\n「…………?」\n 何の意味があるのかわからないポーズに困惑するマイン。そして以前タークのチームを見学した際、「切り札」を見せられているバウゼンは楽し気に笑う。\n と、その瞬間赤の右拳が手首の所から切り離され、白の方へと飛んで行った。\n「なっ!」\n マインは予想外の一撃に短く息を吐くが……\n「なんだとっ!?」\n 完全に不意打ちで放たれたはずの右拳は軽く体を捻った白のボディをかすめてあらぬ方向に飛んでいってしまった。\n「……ほう、あれをかわすか! どうやらキリエ少尉は随分と腕を上げたようだねぇ」\n 互いに困惑し合う開発者たちを余所にバウゼンだけが楽し気だった。"}

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